1 科学とは何か.

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1 科学とは何か

大学は西欧から始まった 1088 Bologna Paris(1150/1211) Oxford (1096) Universityの語源はuniveitus、 大学は自治組織 初めScola学を教えた 用語はラテン語 今も学名はラテン語 その語源はscole=ひま 英語のschool、scholarshipは皆同じ語源に由来

Scola学 ギリシャ哲学とキリスト教教義の融合をはかった 神は二冊の書を書かれた:聖書と自然 自由7科(算術、幾何、天文、楽理+3科) ギリシャ哲学とキリスト教教義の融合をはかった  神は二冊の書を書かれた:聖書と自然 自由7科(算術、幾何、天文、楽理+3科) 特に重要な3科は文法(正しい論理で)修辞学(適切な用語で)弁証法(相手を論破) 東洋では「学び」 まねびから由来

科学Science science ラテンscientia知識の意に由来 初出は1794(Oxford辞典) Scientist科学者  William Whewell の造語1837 "History of Inductive Science" それまでは自然哲学natural philosopher 今もPhD 専門領域化 訳語「科学」は幕末 西周 やがて科学は「ほめ言葉」となった 科学は西欧のスコラ学から生まれた → 一神教的性格、攻撃的

科学の特性 1 客観性 価値やイデオロギー、先入観とは無縁 2 普遍性 誰が見ても同じ 1 客観性 価値やイデオロギー、先入観とは無縁 2 普遍性 誰が見ても同じ  3 経験主義 データ中心  datum(ラ) 与えられたもの 4 定量的  数式であらわさられる  定量的取り扱いは正確さを増す 5 唯物論 物質の動きですべてが理解できる

パラダイムParadigm パラダイムとは ある集団における支配的な考え方(例 Samner 酵素はタンパク質である) 科学教育はパラダイムの教育(酵素の構造と機能をタンパク質構造に基づいて教育) 科学の進歩はパラダイムを転換すること(=パラダイムシフト)(Chech リボザイムを発見)

現代科学の問題点(1) 産業化 例はナイロン 機密化 特許の問題 軍事化 兵器に取り込まれた 体制化 多くの科学者が原爆・水爆の開発に協力 産業化 例はナイロン 機密化  特許の問題 軍事化  兵器に取り込まれた 体制化  多くの科学者が原爆・水爆の開発に協力 巨大化  加速器 放射光 ゲノム 過度の競争、精神的な重圧→不正の根源 かって「科学は力、富、徳である」 「知識は力であり、無知は無力である」 その結果、反科学思想が生まれた

現代科学の問題点 その2 科学技術と危険   遺伝子やクローンに対するすばやい応答 利益→科学の権威、不利益性→否定   科学技術とは危険なもの 安全はない(進歩はパラダイムを否定すること→安全の基礎が崩れること) 科学がつまらなくなった   好奇心から「国民のための科学」へ   過度の競争→不正行為   技術優先→秘密主義   巨大化のため「顔」が見えなくなった 

2 安全と研究の規制

タスキギー事件:生命倫理学はどのようにして生まれたか  タスキギー事件:生命倫理学はどのようにして生まれたか 人権運動から:1964 ヘルシンキ宣言 1970 V.R.Potter Bioethicsの提唱 タスキギーTusegee事件 1972  アラバマ州メイコン郡 黒人梅毒患者399人(コントロールとして正常人201人)を1932-1972まで40年間、観察放置していた

ヒトを対象とする実験の規制 1964 ヘルシンキ宣言 以後改訂を重ねている 1964 ヘルシンキ宣言 以後改訂を重ねている 5原則 自発的同意、説明と同意、無償の提供(交通費などは別)、個人情報の保護、倫理委員会の設置 ゲノム情報ではDNA提供者の人権保護、「知りたくない権利」の設置

生物災害Biohazard 生命科学や医学の研究に伴う危険、研究室内の安全も遺伝子組み換えなどバイオ技術に伴う危険も含まれる 研究者の感染は病原菌の発見とほぼ同時 例:1883 コッホ コレラ菌の発見   1894年 ピペットによる感染 マーブルグ事件1967がきっかけ 危険回避には環境破壊も含まれる

DNA組み換え実験 1974 Berg実験の一時停止を提案 1976 NIHが指針(ガイドライン)を制定 1979 日本のガイドライン 1979 日本のガイドライン 2004 現在はカルタヘナ法(法律である) 異種間の組み換えで増殖能がある場合が規制の対象、同種間は対象でない 物理的な封じ込めP1-4 生物学的封じ込めB1-2 届け出るので実験のアイディアが盗まれるおそれがある

バイオセーフティについて 微生物によるバイオハザード(生物災害)を未然に防ぐ安全対策である. バイオセーフティの主な対象は感染症を起こす病原体や毒素である. バイオ実験室 BSL1:通常のバイオ実験室 BSL2:安全キャビネットが設置された実験室 BSL3:バイオセーフティ実験室 BSL4:完全隔離された実験室 基本的には病原性の危険度に合わせてこれらの実験室を使い分けるが、例外もある。 たとえば、人由来の試料を用いて実験を行うとき、BSL3実験室でまず処理を行い、確実に無毒化するなどした後、レベルを下げた実験室を使用している。

カルタヘナ法 正式には「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」 [1]生物多様性の保全、[2]生物多様性の構成要素の持続可能な利用及び、[3]遺伝資源の利用から生ずる利益の公正な配分、を目的とする 2000年、「生物の多様性に関するバイオセーフティに関する条約のカルタヘナ議定書」が採択、これに基づき6月にカルタヘナ法が公布、翌年(平成16年)2月から施行

カルタヘナ法ー概要ー 執るべき拡散防止措置が定まっている場合、それにしたがって実験 執るべき拡散防止措置が決まっていない場合には、大臣の確認を受ける(大臣承認実験) 遺伝子組み換え生物の輸出入の規制、実験等の違反者への罰則 実験計画の提出と承認手続き 教育、健康診断、安全委員会(出来れば文系と医系委員の参加)、記録の保管

動物を用いる実験の規制 動物実験 苦痛を与えない 数を減らす 代替を考える 魚、微生物、培養細胞に代える   苦痛を与えない 数を減らす 代替を考える 魚、微生物、培養細胞に代える   法律「動物愛護に関する法律」、「大学等における動物実験について」文部省通達 委員会を設置し、実験計画の承認を得る。

生命科学研究の規制(続) クローン動物;1997.2.28 英国ロスリン研究所 ドリー クローン人間はドイツ、日本などが禁止 クローン動物;1997.2.28 英国ロスリン研究所 ドリー クローン人間はドイツ、日本などが禁止 理由:男女両性が関与する、偶然性が介在することが各個人の唯一性が確保される=人間の尊厳 胚性幹細胞は研究のみ(国により規制が異なる)

アイソトープ実験 と扱い主任者の管理する特定施設内で行う、実験者の特定と教育 バッジの着用、飲食禁止、機械ピペットの使用、 汚染(特に体内被爆)の防止、汚染検査と汚染除去 記録管理

安全と科学研究 遺伝子組み換え作物 安全の問題:例 透析アミロイドーシス 人工透析が原因の病気 β2ミクログロビンが血中に沈着 安全の問題:例 透析アミロイドーシス 人工透析が原因の病気  β2ミクログロビンが血中に沈着  科学の暫定性:パラダイムが崩れると安全でなくなる  科学者の説明責任accountability 技術の中立論:技術は善でも悪でもない 使う者による

安全と安心は違う 安全はありえない 安心は与えられる 遺伝子組み換え作物、ips細胞などの安全性

3 ヒト ヒトは何か どこからヒトか

ヒトの生物分類学上の位置 真核生物領域(細胞に核がある) 動物界 後生動物亜界(多細胞) 脊索動物門(中枢神経)脊椎動物亜門(内骨格を持つ) 動物界 後生動物亜界(多細胞) 脊索動物門(中枢神経)脊椎動物亜門(内骨格を持つ) 哺乳動物綱(乳腺・胎生・温血・異歯性)有胎盤亜綱 霊長目(サル目ともいうprimate)(掴む手、手が長い、鎖骨の発達、爪)霊長亜目(尾長猿を含む)

ヒトの生物分類学上の位置(続) ヒト上科(類人猿) ヒト科(オランウータン、チンパ、ゴリラ、ヒト) ヒト亜科(チンパ、ゴリラ、ヒト) ヒト属(猿人、原人、旧人、新人;人類hominidともいう) ヒト種(旧人、新人;例ネアンデルタール、ここからヒトsapiens) ヒト亜種Homo sapiens sapiens(新人)

ヒトの特徴 二足歩行 歯並び(臼歯が大、犬歯が小)、発声、無毛 脳の大きさ(チンパンジーの2-3倍) 道具の使用、火の使用 (皮肉な見方)家畜化

ヒトへの進化 1 下等なほ乳類のうち食虫類が祖先 下等霊長類の発生は6500万年前のツパイ 6000万年前 原猿類 4000万年前 新世界猿 ヒトへの進化 1 下等なほ乳類のうち食虫類が祖先 下等霊長類の発生は6500万年前のツパイ 6000万年前 原猿類 4000万年前 新世界猿 3000万年前 旧世界猿 新猿類を経て古類人猿ドリオピテクスなど ヒトはチンパンジーから分化、約500万年前 猿人→原人→旧人→新人、すべて東アフリカ起原、ネアンデルタール(旧人)のゲノム計画もほぼ完了

ヒト化homonization 全地球的な気候の変化→寒冷化、乾燥 二足歩行:森林が消えサバンナ(草原)がひろがった 草原の食料が臼歯を大に 二足歩行:森林が消えサバンナ(草原)がひろがった 草原の食料が臼歯を大に 歩くことが手を自由にし脳を刺激、歯並びも変えた 脳の発達や火、石器の使用は原人から 二足歩行が発声を可能にし、言語が発達 こうして人間性、社会性が成立した 咽頭が下がった 他の動物では口の奥

チンパンジーとの遺伝子の比較 全体では1.23%の違い(3700万塩基対)、ヒトの個人間では0.1% チンパンジーの第22番染色体とこれに対応するヒトの第21番染色体の間では1.44%。たんぱく質レベルでは231種類のたんぱく質のうち83% チンパンジーのY染色体1200万塩基対のうち、ヒトにも対応する1100万塩基対弱の領域では1.78% 第8染色体ではその一方の端近い領域で差が大きく平均2.1%、部分的には3.2%も違う。この領域には脳の大きさに関連する遺伝子や、免疫に関連する遺伝子が含まれている。

  ヒト チンパンジー ゲノム 1.23パーセントの違い、ダーウィンは正しかった 直立二足歩行 できる。手が自由、目の位置が高く 常習的には出来ない 体毛 ない 汗腺が発達 赤子はしがみつけない 食性 肉を多く食べる(30%以上) 菜食中心、肉は3%程度 脳 進化とともに大きくなり1400g(体重の2%) 子はまず脳を作り、体はあとから 380g程度(体重の約1%) 発情期 ない

  ヒト チンパンジー 出産 一匹ずつ 妊娠期間 270日 出産時の脳は大人の25% 230日 出産時の脳は大人の36% 離乳 2.8年(近代社会は異常) 4.5年 子育て期間 20年 離乳は独立を意味しない 4,5年 離乳=成人(成猿) 寿命 100年くらい メスの繁殖期間はチンパジーより短い 老人はヒトに固有 5-60年 メスの繁殖は45年くらいなので、ほぼ繁殖期間と同じ 共同作業 言語、知識を共有し、共同作業ができる めったに共同しない  

人種と民族 世界中のヒトはすべて同じ種 人種は遺伝的なわずかな違い 習慣で皮膚の色で分類することが多い   習慣で皮膚の色で分類することが多い   白人 黒人 黄色人種 マレー(褐色) 赤色 民族は同じ言語、風俗習慣、同族意識を持つ集団