中国への工場進出展開の 経緯と現状等について ※ 内容を一部省略しております 中国への工場進出展開の 経緯と現状等について 旭鋼管工業株式会社 代表取締役社長 若 林 毅
中国への工場進出展開の 経緯と現状等について 中国への工場進出展開の 経緯と現状等について 1.弊社の会社概要 2.中国進出の経緯 (1)当時の外部環境 (2)進出決定に際してのポイント 3.広州盛旭汽車配件有限公司創業から現在に 至るまで 4.創業から現在までに発生した課題 5.今後の海外事業展開の展望
1.弊社の会社概要 事業 創立 資本金 売上高 工場 冷間仕上機械構造用鋼管の製造販売 1965年10月 (現在46期) 9,755万円 1965年10月 (現在46期) 9,755万円 77億円 草加工場 1965年10月稼動 (多品種小ロット) 野木工場 1996年10月稼動 (少品種大ロット)
製品例
2.中国進出の経緯-1 ①-1 2005年当時の外部環境(日本) 2.中国進出の経緯-1 ①-1 2005年当時の外部環境(日本) <国内の自動車業界> 人口減少、自動車メーカー及び自動車部品メーカーの海外進出により、 今後国内新車販売台数及び国内での自動車生産台数が減少していく。 ※2005年 自動車生産台数1,080万台、新車販売台数585万台 <引抜鋼管業界> 自動車・建機等の国内市場の縮小に伴う、引抜鋼管市場の縮小により、 中長期的には供給能力過剰が一層進み、企業間の競争が激しくなる。 国内シェアを伸ばし、国内での受注量を維持しながら、 海外での需要を獲得していく必要がある。
2.中国進出の経緯-2 ①-2 2005年当時の外部環境(中国) 2.中国進出の経緯-2 ①-2 2005年当時の外部環境(中国) <中国の自動車業界> 中国における自動車産業の発展は著しく、世界で最大の市場になりつつある。 自動車部品会社も完成自動車メーカーと共に中国に進出しており、必然的に引抜 鋼管業界は現地において日本と同等水準の製品を供給することが求められている。 ※2005年 自動車生産台数571万台、新車販売台数576万台 <中国の引抜鋼管業界> 鋼管業界において建築用足場管や景観材管などは現地中国メーカーでも生産可 能であるが、精密な機械構造用鋼管に関しては現地中国国内において生産供給 できる会社は存在しない。 ※日本の自動車部品メーカーは日本から輸入している。
中国・日本の自動車生産台数推移 2000年-2009年 単位:万台 自工会・中国汽車工業協会データより
中国・日本の新車販売台数推移 2000年-2009年 単位:万台 10年は両協会の予測値 自工会・中国汽車工業協会データより
2.中国進出の経緯-3 ② 進出決定のポイント(1) 2.中国進出の経緯-3 ② 進出決定のポイント(1) <市場> 中国の自動車市場は世界最大の市場になりつつある。 日本の自動車メーカー及び自動車部品メーカーは既に進出済。進出予定の広州市付近にも多くのメーカーが進出している。 現地(中国)において日本と同等水準の製品を生産する ことが求められ、自動車用鋼管の需要量はますます多く なる。 <競合> 精度の厳しい精密鋼管を生産することのできる現地(中国)メーカーは存在しない。 他社よりも早く進出し経営基盤を固めることが重要である。
3.広州盛旭有限公司創業から 現在に至るまで-1 広州盛旭汽車配件有限公司の会社概要 資本金 3,500万元 出資比率 (弊社50%、新日本製鐵㈱・三井物産㈱20%、三井物産香港有限公司10%) 所在地 広州市花都区汽車城 設立 2005年9月 (創業 2006年11月) 従業員数 約40名 (2010年5月時点110名、内日本人スタッフ4名) 事業の定義 自動車用冷間引抜鋼管及び2次加工製品の製造販売 基本戦略 ・商品・・防振ゴム、ロッカーアーム、シート部品他。 ・価格・・日本と同等(日本からの輸入材使用時) 高品質高価格 ・流通、販売・・顧客訪問営業活動による(弊社と同様) ・製造・・伸管(野木工場をモデルに効率化を図る)及び2次加工まで 伸管機は細径と太径の2種類としまんべんなく製造可能にする。
3.広州盛旭有限公司創業から 現在に至るまで-2 中国進出決定から創業まで(2005-2006年) 3.広州盛旭有限公司創業から 現在に至るまで-2 中国進出決定から創業まで(2005-2006年) 2005年 2006年 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 9/30 11月 三井物産事務所内に広州盛旭事務所開設 広州盛旭事務所開設 工場建屋完成 設備搬入開始 試生産開始 営業許可 事業計画立案 創業 11/20 スポット品初出荷 試運転調整 出張での工場稼動準備/顧客訪問
3.広州盛旭有限公司創業から 現在に至るまで-3 2010年12月期 2010年 (第4期) ・当初事業計画、4年目の目標生産量である400T/Mを達成。 3月 427T /M 4月 423T/M 2010-11年(第4期・5期)経営計画策定。実行中。 ※経営計画概要 ①生産能力増強(600T/M)のための第二期工事実施(建屋拡張・設備増強) ②経営管理体制の整備(リスク管理、情報システム整備、管理者育成・・)
4.創業から現在までに発生した課題-1 人件費の増加 弊社 弊社社員の出向・出張支援、業務量の増加による、人件費の増加 事業の立上げから事業を軌道に乗せるまで、2名の出向者(総経理・副総経理) と1名の専従支援者(工場建設、機械設備装置稼動、生産開始、作業標準化他 工場生産の基盤作り)に加え、多くの弊社社員が出張し業務を支援(期間は1週 間~6ヶ月)。 内容は工場稼動準備、設備、現地社員教育、工場管理、顧客・品質対応他。 弊社から2名が出向・1名が専従支援し、また親会社としての管理業務増加から 必然的に人材が必要になり、人材採用・配置転換を行ったために人件費が増加 した。
4.創業から現在までに発生した課題-2 今後の課題 生産能力増強 人材育成 今後も日本人スタッフを3・4名(総経理・生産・営業)出向・出張させていくが、 現在広州盛旭の業務を日本で行っている部分もあり、現地中国人スタッフ・ ワーカーを育成し本当の意味での自立した組織にする。 システム 今後受注量の増加(それに伴い生産量の増加)が見込まれ、また企業として 次の成長ステージに向かうためにも、経営システム・情報システムを整備する 必要がある。
4.創業から現在までに発生した課題-3 その他 雇用 賃上げ
5.今後の海外事業展開の展望 現在は中国市場の拡大対応に注力する。 受注量増加、生産能力増強、コスト競争力強化 受注量増加、生産能力増強、コスト競争力強化 今後、自動車メーカーの海外生産拠点のさらなる拡大と材料の現地調達化に対応するために、 インド、タイ、マレーシア、北米等に進出する可能性はある。