国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置の開発状況(III) 冨田洋、松岡勝、川崎一義、上野史郎、倉又尚之、 森井幹雄、石川真木、片山晴善、海老沢研 (JAXA)、 三原建弘、小浜光洋、磯部直樹 (理研)、 常深博、宮田恵美、並木雅章 (阪大)、 河合誠之、片岡淳(東工大)、吉田篤正、山岡和貴(青学大)、根来均、中島基樹(日大)、上田佳宏(京大) Contents 1.MAXIの紹介(森井講演) 2.打ち上げと開発の現状について 3.MAXIデータの公開について 4.ガスカウンターカメラ 5.CCDカメラ
1.MAXIとは 国際宇宙ステーション搭載のX線観測装置 MAXI-TMM 国際宇宙ステーション搭載のX線観測装置 オールスカイモニタ(ASM)専用。オールスカイサーベイも行える。ポインティング観測はしない ガスカウンタとCCDカメラで0.5-30keVをカバー ASMとしては過去最高の感度。 ベータクロス(原子状酸素のためMLIは使えない) 大きさ2x1x1m 重さ540kg MAXIについて。森井君が少し話すので簡単に。 こんなイメージが毎日(週)取得され動画ができます
2.MAXIの打ち上げ (スペースシャトル) 曝露ペイロード再評価委員会が早期の打ち上げがミッション達成のために急務と答申 JAXA基幹システム本部レベル会議(2006/8/30)において、MAXIの打ち上げ手段をスペースシャトルとすることを正式決定(H2+HTVから変更)。 2J/A(日本モジュール用の3回のミッションの3番目のフライト : 現在から9番目のシャトル)で 「きぼう」船外プラットフォームと共に打ち上げ。 打ち上げは2008年10月でNASAリストに入った。 (但しISSの建設とスペースシャトル運行に大きく依存)
HTVからシャトルへ ELM-ES(船外実験パレット)に搭載。 PAM-PUインターフェース (足)の変更 打上環境条件の変更 HTVバージョン ELM-ES(船外実験パレット)に搭載。 PAM-PUインターフェース (足)の変更 打上環境条件の変更 検出器の振動条件は変更なし 安全性要求の追加 ハニカム→板削りだし 重量:476→537kg シャトルバージョン
シャトル内でのMAXI MAXIはこんな感じで シャトルで運ばれます ISSドッキング機構 曝露部プラットホーム ELM-ES MAXI SEDA ICS
MAXI打ち上げまでのスケジュール 2006.09 一次噛み合わせ試験中 2006.11 X線カメラPFT(振動・音響、EMC、 2006.09 一次噛み合わせ試験中 (今日は冨田の出番) 2006.11 X線カメラPFT(振動・音響、EMC、 熱サイクル)、キャル残り実施 2007.07 X線カメラをシステムへ組み付け システム総合試験 2008.04 射場(アメリカ)へ輸送(※) 2008.10 打ち上げ、運用開始
現在のMAXI 一次噛み合わせ試験 機械噛み合わせと電気接続試験を行う。 構体、熱流体系以外はフライト品で試験。 先月から 今週のMAXI MAXI構体にGSC(ガスカウンターカメラ)のうち1つを取り付けたところ ガスカウンターカメラ(2つのうちの一つ) CCDカメラ(MLI取り付け中) 先月から 今週のMAXI
3.MAXIのデータの公開について 公募観測はない(ポインティング衛星でない) データはライトカーブ、スペクトル、全天イメージを公開する。データは誰でも使用可能。 データは標準的フォーマット(FITS)とし、汎用の解析ツール(例:スペクトルならXSPEC)で解析する。 各種レスポンス(ポイントソースのみ対応)、バックグランド等も同時に公開する。 イベントファイルの公開は保証しない。 広がった天体や複雑な解析を希望する場合はMAXIチームとの共同作業となる。 ここはこれまで全く発表してないので 興味を持つ人が多いと思われる。 ライトカーブ、スペクトル、全天マップはできるだけ 速やかに公開、更新する。 イベントファイルも公開したいが、人員不足で公開を保障できない。 ソフトウェアチームへの参加募集。
データ公開方法 インターネット(WEB)で公開。 既知天体 既知の明るい天体に関しては定期的にライトカーブ等を半自動で更新する。ライトカーブは打ち上げ後3ヶ月での公開と一日一回以上の頻度でのアップデートを目標とする。 オンデマンド ユーザーが指定する任意の天空上のポイントについてライトカーブ等を作成して配布する。ライトカーブは打ち上げ1年後の公開を目標とする。 アラート(ブラックホール候補天体、AGN等の急な増光など)は電子メールとソケット接続も使用。 希望・要望をMAXIチームまでお願いします。 ソフトウェアチームへの参加も歓迎します。 tomida.hiroshi @ jaxa.jp
4.ガスカウンタカメラ GSC (Gas Slit Camera) GSC-Zカメラ部 大面積比例計数管 MDPエレキ部 GSC-Hカメラ部
GSCの開発状況 理研で取り出した炭素繊維芯線を用いた位置検出型比例計数管は1年前に16台完成。 理研と青学での較正実験(1カウンタ1ヶ月)は2006年2月に終了。 現在レスポンス関数作りが行われている。 性能の良いほうから12台がMAXIに組みつけられた。 14プリアンプ×12台=168読み出しのエレキは、2006年9月に完成。 電気ノイズによるボード内クロストークは現在原因究明と対策中。 (現状でも問題ないが、位置分解能を地上較正実験での値に近づける、LDに余裕を持たせるため。)
5. CCDカメラ SSC (Solid-state Slit Camera) 各CCDは24μm pixel、1k×1k、FFT、表面照射 空乏層70μm : 0.5-10keVに感度あり 分解能<150eV ペルチェ素子内蔵(熱はヒートパイプ+ラジエターで宇宙空間へ捨てる) 16素子(1カメラ)を1つのエレキで読み出し 大阪大学、JAXA、メーカーで開発(全て国産) 2x8=16CCDを並べた図(スリット、コリメータを外した状態)。CCD表面は可視光対策でアルミ蒸着 スリット SSC-Z SSC-H 2カメラをマウントした状態
CCDカメラ開発状況 CCD素子は大分前に完成し大阪大学でスクリーニング済み CCD素子を搭載したカメラも完成 現在エレキを調整中 キャリブレーションも同時進行中 機能は問題なし 冷却性能(ペルチェ素子)も問題なし(ΔT=40K)。 CCD性能向上のためノイズと格闘中
CCD性能(性能がいい場合の例) 運用はもう少し高い温度と予想。 2つのカメラ間で干渉がある。 CCDにより個性がある シングルイベント 139eV(G0) 少し広がったイベント(G012) 144eV この図はかなり成績のいいCCDの結果で、実運用でもこれくらいで観測できるというものではない。 例えば温度はもう少し高いであろうし、HZ同時駆動だと少しノイズ増えるかも。 現在ノイズを落とすよう努力中。 Binning=64、温度=-75℃、Mn-k照射 運用はもう少し高い温度と予想。 2つのカメラ間で干渉がある。 CCDにより個性がある 今後、駆動・読み出し系の調整を行い平均でも150eVを切るようにする予定。
まとめ MAXIの各サブシステムのフライト品を用いて現在噛み合わせ試験中 スペースシャトルで2008年10月打ち上げ予定 GSCカメラはほぼ完成。エレキのバグだしと性能向上を実行中。 CCDカメラはほぼ完成。駆動・読み出し部の微調整とキャリブレーションが少々残る。