最近の宇宙マイクロ波背景輻射の観測 銀河の回転曲線 回転曲線の測定値 NASAが打ち上げたWMAP衛星が観測 我々の銀河にも暗黒物質はある。 回転曲線の測定値 暗黒物質の存在 見えている物質から期待される回転曲線 速度 http://map.gsfc.nasa.gov/m_mm.html 中心からの距離 NASAが打ち上げたWMAP衛星が観測 宇宙全体に放射されているマイクロ波背景放射の揺らぎの地図 宇宙の揺らぎには宇宙の歴史、宇宙空間の物質についての情報が含まれている 宇宙の年齢は137億年 見えてるものの5~6倍という大量の見えない物質“暗黒物質”が存在している 銀河の中心からある距離だけ離れたところにある星の回転速度 回転速度は銀河内のどこにどれくらいの質量があるかがわかれば計算できる 見ることが出来る星などの分布から考えた場合、中心からある程度離れると回転速度は遅くなっていくはず 実際に観測された速度は中心から遠く離れても遅くなっていない 見えない物質、暗黒物質が大量になければこの結果を説明できない
XMASS実験 暗黒物質の直接観測 なぜ液体キセノンを使っているのか 1tの液体キセノン 光電子増倍管 によって 蛍光を捕らえる。 暗黒物質が原子核にぶつかった際に落とすエネルギーを捉える。 1tの液体キセノン 原子核 光電子増倍管 によって 蛍光を捕らえる。 暗黒物質 このエネルギーを捉える!! 直径80cm 暗黒物質は宇宙空間を秒速約230kmの速度で動いていると考えられている。宇宙を飛び回るたくさんの他の粒子に比べればこれは非常にゆっくりしている この速度であらゆるところを飛び回っている暗黒物質は、ときどき原子核とぶつかり、小さなエネルギーを落とす。 落とすエネルギーは非常に小さく、スーパーカミオカンデで測定しているエネルギー下限の1000分の1程度しかない 衝突の頻度も非常に少ない、これまでの他の実験での測定されている結果から考えると、XMASS検出器で観測されるのは一日あたり~10個よりも少ない なぜ液体キセノンを使っているのか SKで観測しているエネルギーの1000分の1まで見ることができる。 同種の液体と比べて蛍光波長が長い (175nm、光電子増倍管で直に見ることができるので、光電子増倍管だけ設置すればよく、検出器を簡単な構造にできる) 密度が高く(~3g/cm3)、コンパクトに重い実験装置が作れる(より重たい測定器ほど、より多くの暗黒物質が衝突する) 原子番号も大きく、観測のノイズとなる放射線を止める力が強い。ノイズを大幅に減らすことが出来る 蒸留等などの方法で、実験中でも簡単に純化することができる(わずかな汚れがノイズになり、測定の感度を低くしてしまう。きれいな検出器は暗黒物質探索においてとても重要) 低温だが扱い易い温度 ( ー100℃(170 K))
低放射能光電子増倍管 XMASS検出器・概略 蒸留による純化 2重の容器(内部容器と外部容器)の中に検出器が入っている 内部に入れる液体キセノンをマイナス100度に保つために、真空の層による断熱が必要、内部容器と外部容器の間を真空にする 検出器は60面体構造~650本の光電子増倍管が取り付けられる 放射性物質はノイズとなるため、検出器に使う光電子増倍管は徹底した低放射能化が必要 浜松ホトニクスと共同で部品、構造を改良して極低放射能光電子増倍管を開発した 従来のものの100分の1以下の放射能 6角形PMT ~ 650本 蒸留による純化 液体キセノン~1t 蒸留による精製装置の開発 キセノンに含まれるクリプトンは放射性不純物を含んでいるので、大きなノイズのもとになる。 蒸留装置を開発、このクリプトンの残量を1/1000以下にすることに成功している 内部容器 外真空容器
XMASS検出器の検出感度 過去の実験の最高感度の100 倍の感度 XMASS実験により暗黒物質が発見される可能性が高い 地下1000mに設置することで、ノイズとなる宇宙線の影響を減らす 外部から入ってくるガンマ線、中性子もノイズとなる、これらを止めるために検出器の周囲を大きな水タンクで覆う。宇宙線についても水タンクでさらに減らすことができる 外水槽にはスーパーカミオカンデで使われているのと同じ20インチの光電子増倍管をとりつけ、ノイズとなる粒子が光を出すのを捕らえる。 液体キセノンの温度はタンク上に設置される冷凍機によってマイナス100度に保たれる タンク上には信号を読み出すための電子回路が入るエレクトロニクスハットも設置される。 10-2 これまでの実験の結果 10-4 10-4 理論が予想する領域 CDMSII 相互作用の強さ (衝突断面積pb) XENON10 10-6 エレクトロニクスハット XMASS1トン 10-8 101 102 103 冷凍機 暗黒物質質量(GeV) 灰色の領域は理論で予想されている領域 赤い×で示されているのは特に可能性が高いと考えられている領域 これまでの実験では見つかっておらず多くの実験で上限値がつけられているだけ 過去の実験の最高感度の100 倍の感度 XMASS実験により暗黒物質が発見される可能性が高い 高さ10m 検出器 20インチPMT 外水槽タンク 直径10m