吉田研究室 13T009 大熊千紗都 13T039 西岡昌太 13T055 安岡佐知子 SSCEセミナー 発表会 溶液中における ストロンチウムの除去 平成28年1月27日(水) 拡販、吸着の順番(NA、K) 吉田研究室 13T009 大熊千紗都 13T039 西岡昌太 13T055 安岡佐知子
背景 ・東北地方太平洋沖地震の原発事故に よって放射性物質拡散 ・放射性物質の被爆により、外部・内 部被ばくの可能性 放射性物質の除染が必要 ・東北地方太平洋沖地震の原発事故に よって放射性物質拡散 ・放射性物質の被爆により、外部・内 部被ばくの可能性 2011年の東北地方太平洋沖地震による原発事故から5年、未だに放射性物質によって福島では避難指示区域があります。 放射性物質にはガンを引き起こす作用があり、 (アニメーション)早急に放射性物質の除染が必要になります。 放射性物質の除染が必要
なぜ原発事故が起こったのか 放射性物質漏洩 ・地震発生後、1~3号機自動停止 ・津波により冷却機能停止 ・圧力容器水位が低下し燃料が露出 ・水素爆発 2011年3月11日日本の三陸沖でマグニチュード9.0の地震が発生し、稼働中だった1号機(46万kW)、2号機(78.4万kW)、3号機(78.4万kW)がこの地震により自動停止した 地震41分後の15時27分の第一波以後、数次にわたり原発を大きな津波が襲った。津波は低い防波堤を越え、施設を大きく破壊し、原子炉は全交流電源を失い、非常用炉心冷却装置(ECCS)や冷却水循環系を動かせなりました よって熱により原子炉内の水が蒸発し、水位が低下して燃料が露出しました。 露出した燃料により原子炉内は高温になり、圧力容器損傷し、放射性物質が漏れ出しました。 漏洩した放射性物質の中には放射性セシウム、放射性ストロンチウムが含まれていました・ セシウム ストロンチウム 放射性物質漏洩
水産物の放射性物質 53.0% http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html (株)東京電力福島第一原子力発電所事故以降、水産庁はこれまで82,658検体の水産物の放射性物質調査を行ってきました(平成27年11月30日現在)。調査の結果、基準値(100 Bq/kg)を超える割合は事故からの時間の経過に伴い低下してきており、特に福島県では、平成23年4-6月期には基準値を超える割合が53%となっていました。 http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html
福島第一原発で出た放射性物質 http://www.enecho.meti.go.jp/about/faq/009/pdf/45.pdf これは平成23年8月26日原子力安全保安院より発表された、福島第一原発で事故後約4日間に放出された大気中と半減期の一覧です。 この他に滞留していた汚染水に含まれていた放射性物質が海洋中に流出しました。 放射性物質は、放出後の時間の経過によって放射線量が減衰していきますが、放射線量が元の半分に減衰するのに要する時間を半減期といいます。 半減期は、放射性物質によって異なります。 (アニメーション) セシウム137は半減樹30年とやストロンチウム90は半減期が29年と長く、危険な物質とされています。 http://www.enecho.meti.go.jp/about/faq/009/pdf/45.pdf
放射性セシウム・ストロンチウム 137Cs 90Sr ・除染方法が確立され ている ・カリウムと性質が類 似 ・体内の血液などの水 ている ・カリウムと性質が類 似 ・体内の血液などの水 分に吸収され体外へ 排出される ・明確な除染方法がな い ・体内に入ると排出が 困難 放射性セシウムは除染方法が確立されており、また、セシウムはカリウムと似た性質を持っています。人間の体内では、カリウムは体液として体全体に含まれています。セシウムも同じように人間の体に入ると体内に含まれている血液などの水分に吸収され、そのまま体外へ排出されます。 しかし放射性ストロンチウムの明確な方法はなく体内に入ると排出が困難です。 そこで私たちは(アニメーション)放射性ストロンチウムについて注目しました 放射性ストロンチウム について注目
ストロンチウムとは アルカリ土類金属 放射性同位体は90Sr カルシウムと性質が類似 →魚介類などの食べ物から侵入 →骨に吸収される →魚介類などの食べ物から侵入 →骨に吸収される まず,ストロンチウムについて説明させていただきます. ストロンチウムとは,単体ではアルカリ土類金属であり,化学反応性が高い物質である. また,原発事故で問題となっている物質の一つが放射性同位体であるストロンチウム90である. そして,もっとも厄介なのがカルシウムと性質が似ているという点である. (アニメーション) これが食べ物などを通して体の中に侵入してしまうと,(アニメーション)骨に吸収されて,体内に蓄積されてしまう. その結果,骨に吸収されたストロンチウムから放射線を放出し続けることになり,白血病のような症状が発症する.これがいわゆる内部被ばくという. 体内に残留 内部被ばく
半減期28.9年 ↓ 除染されない限り 広がり続ける 大気中 陸地 海洋 普段,汚染物質は大気中を漂っていて,至る所に存在している.ストロンチウムも例外ではなく浮遊しており,雨などと一緒に陸地や海洋に沈着する. (アニメーション) ストロンチウムは半減期が28.9年と長く,一度沈着すると除染されない限り,海の流れや地表面の移動で拡散されてしまう.
ストロンチウムの摂取基準値 ・全ての年齢区分における最低限度の値を基準値と して制定 ・乳児用食品・牛乳は子供の摂取量が多いため特に して制定 ・乳児用食品・牛乳は子供の摂取量が多いため特に 厳しく制定 では,ここでストロンチウムの摂取基準について説明します. 厚生労働省によると,以前は食品の項目を細かく分けてそれぞれに基準値を設けており,健康への影響はないと一般的に評価されて,安全は確保されていた. しかし,より一層食品の安全と安心を確保するために基準値の見直しが行われた. (アニメーション) 見直し後は特別な配慮が必要と考えられる飲料水,乳児用食品,牛乳は区分を設け,それ以外の食品を一般食品とした. この基準値は性別を踏まえた全ての年齢区分における最低限度の値を制定しているため,どの年齢の方にとっても考慮されている. その中で,飲料水は全ての人の摂取が必要不可欠であり,摂取量が大きいためWHOによって10 Bq/kgと,どの食品群よりも厳しく制定されている. (アニメーション2) また、乳児用食品と牛乳は子供の摂取量が多く、子供は大人より健康への影響を受けやすいとして,より厳しく制定されている. http://www.aesj.or.jp/information/20120616yamaguchi.pdf
ストロンチウムの濃度分布 福島原発 4700 Bq/㎡ 広範囲に分布 5700 Bq/㎡ 福島市 690 Bq/㎡ つくば市付近 実際にどれくらいのストロンチウムが飛散しているか図を用いて説明します. 福島第一原子力発電所を中心に関東地方まで飛散しており,広範囲にわたって分布していることがわかる. (アニメーション) 福島原発の周辺は住居不可の地域が多数存在し,現在でも帰宅難民がいる状態が続いている. 数値に注目してみると,ひと際目立つ数値が存在する. 福島原発のすぐ北は5700ベクレル,少し離れた場所でも4700ベクレルが観測されている. また,福島市内で690ベクレル,遠く離れたつくば市周辺でも52ベクレルも観測されている. 先ほどの基準値と比較すると,福島原発周辺では基準値の何百倍ものストロンチウムが観測されており,事の深刻さを読み取ることができる. つくば市付近 52 Bq/㎡ (2012年1月13日時点) http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/7000/6213/24/6213_20120912_rev20130701.pdf
従来の除染方法 新規の除染方法が必要 Srはゼオライトにほとんど吸着しない セシウム ストロンチウム ゼオライト では,現在までにどのような除染が施されてきたかを簡単に説明します. 従来における汚染物質の除染方法としてゼオライトという物質を用いて吸着するという方法があった.これは,ゼオライトのイオン交換能の性質を利用して,汚染物質と置き換えるもの. (アニメーション) しかし,ゼオライトを用いた除染方法では,セシウムはほとんど吸着されるのに対してストロンチウムはわずかにしか吸着されないため,ゼオライトを用いた除染は期待できない. そこで,ストロンチウムを除去できる新たな方法が必要になってくる. セシウム ストロンチウム ゼオライト
実験概要 ・溶液からSrを除去 ・異なる吸着材を用いて比較 ・HApの有用性を検証
HApとは ・ヒドロキシアパタイト HydroxyApatite ・骨や歯などの主要成分 ・Srの除染に期待 ・エコ,コスト面から魚骨由来のHApを使用 骨HApは末永先生のご提供 http://digimaga.net/uploads/2008/04/fishbone-sticks-in-a-throat.jpg
ストロンチウム吸着の仕組み ・HApのイオン交換機能 ・Ca2+とSr2+が交換される HAp Sr2+ Sr2+ Sr2+ ヒドロキシアパタイトの結晶模型 (岡田「アパタイトの化学」)
実験条件 ・吸着材:粉HAp,骨HAp,ゼオライト ・溶液:H₂O,NaClaq ・浸漬時間:24,72,120,168h
分析装置 誘導結合プラズマ発光分析装置(ICPS)
実験結果(粉HAp) 約15%の減少 約30%の減少
実験結果(骨HAp) 24hで約60%の減少 ほぼすべて吸着 NaClaqでも同じ効果
実験結果(ゼオライト) NaClaqではほぼ吸着されず Na⁺が原因か H₂Oでは20%程度の減少
実験総括 ・特に骨HApは高い効果を確認 ・ゼオライトではNaClaq中のSrは吸着 しにくい HApの除染効果が期待される しにくい HApの除染効果が期待される
今後の課題 ・粉HApよりも骨HApのほうがなぜ効果が 高いのか ・骨HApがNaClaq中で高い効果を発揮し たのはなぜか
ご清聴ありがとうございました