卒業研究で知っておくこと -ネット文化の注意と権利保護- 2018/11/7水 於:御津高校 卒業研究で知っておくこと -ネット文化の注意と権利保護- 岡山商科大学 経営学部商学科 教授 田中 潔
講師紹介 田中 潔(たなかきよし) 略歴: 岡山大、九州大修了後岡山商大へ勤務。教授 主科目:ネットワークシステム演習、社会調査実践他など 田中 潔(たなかきよし) 略歴: 岡山大、九州大修了後岡山商大へ勤務。教授 主科目:ネットワークシステム演習、社会調査実践他など 連絡先 岡山商科大学 〒700-8601(専用番号で届く)経営学部商学科 tanaka@po.osu.ac.jp (eメール) http://www.nahaha.org (Web) 検索エンジン 「岡山商大 田中」で検索 大学電話 086-252-0642 大学FAX 086-255-6947
演題のポイント SNS社会の出現 卒業研究でも、 ネットは便利。危険な一面も ネット利用には相手を思う「おもいやり」 犯罪やいじめの手段にも 「さらし」は永遠に世界をめぐり消えない ネット利用には相手を思う「おもいやり」 ネット作品にも著者や著作権 卒業研究でも、 どの分野やテーマにも誕生から現在の歴史 先人への敬意、正しく「引用」大切 無断使用・剽窃(ひょうせつ)に注意 ネットをコピペ、さも自分の作品に
ネット社会の進歩 わが国ケータイ電話の略譜を例に 1987 NTT初の移動体電話市販(自動車電話) 日本独自のケータイ⇒ガラパゴス携帯(ガラケー)進歩 2008 iphone日本発売~2016 iphone7公表 2011 スマホがガラケーを追い抜く ガラケー 音声+Web閲覧+電子メール利用が基本 スマホ ガラケー+アプリ+画像+位置情報
Web社会からSNS社会へ Web社会 Web技術で書籍・カタログ・店などが運営されている社会 大学案内や合否も電報からサイト閲覧へ SNS社会 ある目的の参加者がネットを活用する情報サービス(SNS=ソーシャルネットワーキングサービス) LINE、Twitter、Facebook、ミクシィ、グリー、モバゲー、アメーバなどなど多数 似たものにオンラインゲーム型 パズル&ドラゴンズ(パズドラ)などなど多数
ネットの影 依存~拡散へ深刻化 依存・中毒 恐喝・援助交際の可能性 少女性被害9割以上(スマホ・LINE) 2014新聞記事 ネットの影 依存~拡散へ深刻化 依存・中毒 恐喝・援助交際の可能性 少女性被害9割以上(スマホ・LINE) 2014新聞記事 暴言・仲間はずれ・動画流出・既読問題 など 個人情報保護やアカウント乗っ取りなども懸念 拡散(「いいね」やリツィート) 投稿した内容や画像は、ほぼネットから消せない(一生恥ずかしい写真が!) グループ内と思ったらいつの間にか流出 ネットから撮影場所が推定可能 悪ふざけが犯罪や後悔に
高度情報化社会こそ人間性や倫理観必要 高度情報社会に向かえば向かうほど、その人の人間性や対話力・特に倫理が強く問われることになる、権利には義務も伴う 情報を制したつもりが、かえって情報に操られないように 機器利用の巧みさやアプリ利用がクールと勘違いしないように 相手を思いやる・その影響考える 想像力と思いやり
卒業研究の位置づけと目標 御津高校の3ステップ 2つの目的・経験 自分(たち)から、 という挑戦 1年次 産業社会と人間 1年次 産業社会と人間 2年次 総合的な学習の時間 3年次 卒業研究 2つの目的・経験 自分(たち)から、 知りたかったことを深める(探求) そこでわかったことを公開し伝える という挑戦
研究活動の流れ 目標仮説と戦略仮説 1.主題(テーマ)検討し決定 「目標仮説」 これまでの軌跡(歴史)と現在を知る 1.主題(テーマ)検討し決定 「目標仮説」 目標仮説: 研究テーマ これまでの軌跡(歴史)と現在を知る 文献研究(資料整理)や現状分析: わかっていることをまとめ、わかっていないことを明確にする 本研究で扱う課題 解決すべき「戦略目標(仮説)」を立てる 2.自分のやり方で、実験や調査そして考察する 3.結果をみんなに公表する(プレゼンテーション)
研究は戦略的であれ 戦略=目的+手段 目的と手段は階層的につながっている (戦略の階層性) 目的が具体的・明快だと手段が立てやすい そして、戦略とは「選択と集中」 複数の選択肢を出来るだけたくさん作る 選択肢の長所と短所を吟味する その中から選び、まっしぐら(集中)
研究の留意ポイント3つ 1つ 温故知新: これまでを知り(古きを温め)、未知に進む(新しきを知る) 1つ 温故知新: これまでを知り(古きを温め)、未知に進む(新しきを知る) 2つ 捏造(ねつぞう)しない: ゴマかさない。わからないことは恥ではない。次の課題に生かす わかったこととわからないことを区別する 何がはっきりしているか、何がわかっていないのか? 3つ 先人たちの知恵や試みには敬意をはらう 過去の積み重ねで、今(私の研究)がある 参考文献や引用部分をしっかりと
他の人やモノでの権利いくつか 基本的な2つ: 「人格権」と「財産権」に基づきさまざまな権利が生み出されている 著作権 知的財産権 基本的な2つ: 「人格権」と「財産権」に基づきさまざまな権利が生み出されている 著作権 著作者人格権(譲渡不可)と著作財産権(譲渡可)、何かを生み出せば必ず生ずる 右図出典:IPA「教育用画像素材集サイト」 https://www2.edu.ipa.go.jp/ 知的財産権 絵画、写真など精神的な創作努力の成果=知的成果物を保護する権利の総称 肖像権や意匠権 人の命や名誉、自由等に対して認められる権利と モノの肖像権
「剽窃」はダメ、正しく「引用」 「剽窃(ひょうせつ)」と「引用」のちがい 研究における他人のものの使用は認められ、通常使用許可などは必要ない その代わり、正しく引用する(他者の権利を守る) 行為: 他の人やモノの一部分を利用すること ○ 引用: 「一部」は○△のモノと明示する × 剽窃: さも自分のモノとして使う。明示しない。 パクる。
参考や引用の例 引用の形式は分野によっても形式はさまざま。その原則は「後から調べること(追試)が出来るよう」に明示する。 参考文献例 [7]上野達弘、奥邨弘司、本山雅弘 『著作権侵害をめぐる喫緊の検討課題』 高林龍、成文堂〈早稲田大学ロースクール著作権法特殊講義〉、2011年3月20日、初版。ISBN 978-4-7923-3283-9。 [文献通し番号] 著者名、題名、出版社、発行年 引用や出典例 ・・・本人の同意を得た場合のみ、頒布や公開が認められるという条項がある[13]。・・・ 自分の文章中に一部をそのまま挿入し[13]のように [13]上野達弘、奥邨弘司、本山雅弘 2011, p. 202. 引用箇所がどの資料(引用文献)のどこの部分かわかるように
ネットのサイトの場合 URLを明記する 例 参考文献に相当 引用部分は、文献の引用に同じ(前コマ参照) どの段落か何番目の画像かわかる様に [21] http://www.japrpo.or.jp/(パブリシティ権で検索)。 最近はURLが長くなる場合、検索エンジンでの検索単語などを併記し、後からそのページがわかるよう工夫 引用部分は、文献の引用に同じ(前コマ参照) どの段落か何番目の画像かわかる様に
まとめに代えて SNS時代、機器やソフトを正しく使う姿勢 長所や短所を理解して悪用しない 卒業研究は「これまでを十分理解し、新たなことを付け加え、一歩進歩させる」姿勢で 研究は、必ず仮説、実験や考察、発表のステップ 発表では、過去の流れと今回自分たちで行なったことを区別しよう(発表の独自部分) 先人たちの残したものに敬意をもって正しく引用しよう。著作者の権利を大切に。剽窃はしないように