第2期中期経営計画(案) (平成29年度~33年度)

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第2期中期経営計画(案) (平成29年度~33年度) 資料8 第2期中期経営計画(案) (平成29年度~33年度) 平成29年5月 公益財団法人 大阪府保健医療財団

目次 1.第2期中期経営計画の策定趣旨 2.「大阪がん循環器病予防センター」の事業方針と経営戦略 3.現状と課題    ①がん予防検診部門    ②循環器病予防部門    ③経営状況 4.目標と取組み    ①がん予防検診部門    ②循環器病予防部門                     ③経営の健全化 5.収支計画                                P1 P3 P5 P6 P7 P8 P15 P17 P18

1.第2期中期経営計画の策定の趣旨 〔背景〕 〔目的〕 〔計画期間〕 ・中期経営計画(平成24年度~28年度)期間内での収支バランスの均衡が未達成 ・車検診に対する府補助事業が平成28年度限りで終了 ・府出資法人改革を踏まえた収支構造の改善による法人経営の自立化が急務 〔目的〕 ・現計画の達成状況を踏まえ、引き続き公益財団法人としてがんと循環器病予防の専門 性向上と受診者サービスの充実に向けた効率的・効果的な事業を展開するとともに、法 人経営の自立化を図るため、第2期中期経営計画を策定し、計画の最終年度となる平 成33年度において「がん予防検診部門」の収支バランスの均衡を目指し、計画期間中 の目標達成に向けた戦略と、そのための具体的な取組内容を明らかにする 〔計画期間〕 ・平成29年度から33年度までの5か年

〔前中期経営計画(H24~28)における各成果測定指標の達成状況〕 【達成状況(見込み)】 〇達成できたもの  ・利用者満足度:実績91.1%(目標91.0%) 〇達成できなかったもの  ・検診車稼働率:実績67.6%(目標75.0%)  ・乳がん検診受診者増:実績20,600人(目標27,000人)  ・精検受診率の向上:実績88.0%(目標90.0%)  ・総合健診受診者増:実績11,500人(目標12,000人)  ・経営の自立化(収支均衡):実績△118,223千円(目標±0円)

2.『大阪がん循環器病予防センター』の事業方針と経営戦略 2.『大阪がん循環器病予防センター』の事業方針と経営戦略  〔基本方針〕 ・大阪がん循環器病予防センターは、府のがん死亡率が高く、全国で最低レベルにある中、 府民のがん検診受診率や精度管理の向上に寄与するため、これまでに培ってきた専門 性を活かし、受診者ニーズに対応したサービスの充実を図るとともに、収支構造の改善に 取り組む ・また、府と協働して、地域の健康課題を明らかにするとともに、科学的根拠に基づく循環 器病予防対策を強力に推進し、府民の健康づくりに取り組むことにより、大阪府健康増 進計画の実践に寄与する

2.『大阪がん循環器病予防センター』の事業方針と経営戦略 2.『大阪がん循環器病予防センター』の事業方針と経営戦略  〔経営戦略〕 ① がん予防検診部門 Ⅰ トップセールスによる「総合健診の受診者増」 Ⅱ 精度の高い検診施設の強みを活かした「市町村の個別検診の受託の推進」 Ⅲ 受診者のニーズに対応した検診サービスの充実 Ⅳ 個別受診勧奨の強化による「大腸がん検診精検受診率の向上」 Ⅴ 市町村との受診者数の調整による「検診車の効率的・効果的な運用」 Ⅵ 府内市町村・検診機関の「精度管理の推進」 ② 循環器病予防部門 Ⅰ 特定健診・医療費データ等の分析による「地域の健康課題の明確化」 Ⅱ 健康指標改善のための「行動変容プログラムの実践支援」 Ⅲ 循環器病と危険因子のモニタリングによる「エビデンスや方法論の開発・普及」 ③ 経営の健全化 Ⅰ 収益構造の改善による「法人経営の自立化」の実現

3. 現状と課題 ① がん予防検診部門 〔現状〕 〔課題〕 3. 現状と課題 ① がん予防検診部門 〔現状〕 ・府におけるがん予防の中核機関として、施設検診及び車検診を行うことにより、がん検診受診率の向上 に努めるとともに、国の指針に基づいた精度の高いがん検診を実施 ・市町村が実施する住民の5がん集団検診受診者の約3割を占める ・府から組織型検診推進事業を受託し、府内唯一の精度管理センターとしての役割を果たすため、市町 村に対する技術的支援及び検診機関に対するがん検診の精度管理に関する助言・支援等を実施  〔課題〕 ・精度の高いがん検診を実施していることから、経費に多額を要している ・国の胃がん検診ガイドラインが改正され、内視鏡検査が認められたこと、対象者が40歳以上から50歳以 上へ、検査の実施が毎年から隔年となり、対象者が減少することによる胃がん車検診への影響が懸念され る。 ・乳がん検診については、女性医師の確保が十分でなく、2台のマンモ車の稼働率が伸びていない ・車検診について、市町村により1回あたりの受診者数に差異が生じており、検診効率が悪い状況が見受 けられる ・市町村においては、複数のがん検診に対応できる個別検診の需要が高まっている ・午後検診の充実、休日検診やオプション検査など受診者ニーズに対応した検診サービスの充実を 図る必要がある

3. 現状と課題 ② 循環器病予防部門 〔現状〕 〔課題〕 3. 現状と課題 ② 循環器病予防部門 〔現状〕 ・医療費分析、特定健診、保健指導のデータ分析を行うことにより、地域の健康課題の明確化を行って いる ・高血圧対策、禁煙支援、特定健診受診率向上、特定保健指導実施率向上、糖尿病対策の5テー マで行動変容プログラムを策定し、市町村アンケートの実施、研修会の開催等を通じ、その普及・改善 に努めている ・特定の集団の健康状況とリスク因子のモニタリングを実施して、循環器疾患の発症状況の詳細と危険 因子の把握を行っている ・総合健診の機会に、特定保健指導の対象者、その他のハイリスク者に発症予測ツール等を用いて面 接による保健指導を行っている。また、使用するツールは最新の知見に基づき随時改訂している ・行動変容推進事業やモニタリングで得られた情報については、ホームページへの掲載等、情報発信を 行っている 〔課題〕 ・市町村における様々な健康課題に対しては、個別に実践支援を行っていく必要がある ・高齢化の進展とともに、新たな健康課題(サルコペニア、ロコモ、フレイルなど)が提示されており、 その対応が必要となっている ・大阪府健康増進計画の実践に必要な情報の収集と提供を行う必要がある

3. 現状と課題 ③ 経営状況 〔現状〕 ・がん予防検診事業については、府の車検診事業補助の削減や退職給付費 用等経費の増加により、毎年度、多額の赤字額が生じている  〔課題〕 ・がん検診に入札制度を採り入れている市町村や団体が増加していることから、 検診料金の低下による収益の減少の傾向があるとともに、落札できなかった場 合に経営に与える影響が大きい ・収支改善に取り組み、正味財産残高の減少を食い止めることが喫緊の課題 であることから、平成28年度に実施した各がん検診部門別損益分岐点分析 結果を十分に勘案し、検診事業全体として収益の均衡が図れるよう戦略的に 取り組む必要がある

4. 目標と取組み ・トップセールスによる新たな団体の獲得 ① がん予防検診部門 Ⅰ 総合健診の受診者増 (単位:人) ≪具体的活動事項≫ 4. 目標と取組み ① がん予防検診部門  Ⅰ 総合健診の受診者増  ≪戦略目標≫    ・人間ドック健診等収益率の高い総合健診の増加を図ることによる経営状況の改善  ≪成果測定指標≫総合健診の受診者数(継続)    ・トップセールス、午後検診の充実等による受診者増により、平成33年度に15,000人を目指す (単位:人) 28年度 見込み 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度 11,500 13,300 14,000 14,500 14,800 15,000 ≪具体的活動事項≫   ・トップセールスによる新たな団体の獲得  ・午後検診の実施等による受診者の確保  ・大規模団体職員のがん検診など入札制度の効果的な対応

4. 目標と取組み ① がん予防検診部門 Ⅱ 市町村の個別検診の受託の促進 ≪戦略目標≫ 4. 目標と取組み ① がん予防検診部門  Ⅱ 市町村の個別検診の受託の促進  ≪戦略目標≫    ・胃内視鏡検診を含め、精度の高いがん検診を受診できる検診機関として、市町村の個 別検診の受診を推進 ≪成果測定指標≫ 市町村の個別検診の受託件数(新規) ・平成33年度までに16市町村からの受託を目指す (単位:受託市町村数) 28年度 見込み 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度 10 12 13 14 15 16 ≪具体的活動事項≫   ・個別検診の意向のある市町村に対し、積極的な働きかけを行う

Ⅲ 受診者のニーズに対応した検診サービスの充実 4. 目標と取組み  ① がん予防検診部門   Ⅲ 受診者のニーズに対応した検診サービスの充実   ≪戦略目標≫     ・休日検診やオプション検査など受診者ニーズに対応した検診サービスの充実   ≪成果測定指標≫ 休日検診の実施回数(新規)    ・土曜検診(子宮・乳がん検診)の受診回数を平成33年度には24回を目指す  (単位:回/年間) 28年度 見込み 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度 未実施 5 17 22 24  ≪具体的活動事項≫    ・土曜日の子宮がん・乳がん検診の実施、オプション検査の拡大について、市町村等へのPRを積極的に行う

4. 目標と取組み ①がん予防検診部門 Ⅳ 大腸がん精検受診率の向上 28年度 見込み 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度 4. 目標と取組み ①がん予防検診部門  Ⅳ 大腸がん精検受診率の向上   ≪戦略目標≫   ・組織型検診システムを活用したがん検診受診率の向上と精度管理、とりわけ大腸がん(職域)検 診の精検受診率の向上を図る  ≪成果測定指標≫ 大腸がん(職域)検診の精検受診率(新規)   ・平成33年度に大腸がん(職域)検診の精検受診率を75%以上を目指す    (当センターで要精密検査となった者のうち他医療機関も含め精密検査受診した者の率) (単位:%) 28年度 見込み 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度 69.4 70.0 71.0 72.0 73.5 75.0 ※国の許容値を達成した上で、4人の内3人は精密検査受診することを目標にする ≪具体的活動事項≫   ・職域における大腸がん検診の精検受診率が国の定める許容値(70%)に達していないため、未受診者への個別受診勧奨の一層の推進と他の検診機関での   受診状況の把握の徹底を行う

4. 目標と取組み ① がん予防検診部門 Ⅴ 検診車によるセット検診の拡大 ≪戦略目標≫ 4. 目標と取組み ① がん予防検診部門  Ⅴ 検診車によるセット検診の拡大  ≪戦略目標≫    ・市町村のニーズの高い検診車によるセット検診(子宮がん・乳がん)の拡大 ≪成果測定指標≫ 検診車によるセット検診の実施回数(新規)   ・平成33年度のセット検診(子宮がん・乳がん)を92回とする (単位:回/年間) 28年度 見込み 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度 78 80 83 86 89 92   ≪具体的活動事項≫     ・市町村が検診計画を作成する前に、実施可能であることのPRを行う    ・午前中から子宮がん・乳がんのセット検診を実施することにより、受診者の増加を     図る

4. 目標と取組み ① がん予防検診部門 Ⅵ 精度管理の推進 ≪戦略目標≫ 4. 目標と取組み ① がん予防検診部門  Ⅵ 精度管理の推進  ≪戦略目標≫    ・組織型検診システムにより市町村及び検診機関のデータを収集・分析し、助言・指導 等を行うことにより精度管理を推進する  ≪成果測定指標≫    ・精度管理センターとして府内の市町村及び検診機関のがん検診精度を高めることにより、 府民のがんによる死亡率の減少を目指す  ≪具体的活動事項≫    ・市町村の個人別検診データ等を収集・分析し、課題のある市町村に改善策の提案・ 助言を行う   ・市町村に対する訪問支援、電話・メールによる相談など、個別支援を行う   ・研修会の開催、マニュアルの作成支援などを行うことにより、市町村担当者のがん検診 に対する理解を深める   ・症例検討会、技術講習会への講師派遣等により、民間の検診機関の技術水準の向 上を図る

4. 目標と取組み ② 循環器病予防部門 Ⅰ 地域の健康課題の明確化 ≪戦略目標≫ 4. 目標と取組み ② 循環器病予防部門  Ⅰ 地域の健康課題の明確化  ≪戦略目標≫   ・国保加入者に加え、協会けんぽとの協働も含め、より広い範囲での健康課題の明確化 を行う   ・地域や職域で詳細な健康情報を収集することにより、改善のための方向性を検討する とともに、保健指導等を通じて状況改善のための最適解を検討する  ≪成果測定指標≫   ・地域や職域で医療費を高めている要因や健康課題を解明し、毎年提示する  ≪具体的活動事項≫   ・府(国保)や協会けんぽから提供を受けたデータ(特定健診、 特定保健指導及び  医療費データ)を基に、分析を行う

4. 目標と取組み ② 循環器病予防部門 Ⅱ 行動変容プログラムの実践支援 ≪戦略目標≫ ・行動変容プログラムの実践支援による健康指標の改善 4. 目標と取組み ② 循環器病予防部門  Ⅱ 行動変容プログラムの実践支援  ≪戦略目標≫   ・行動変容プログラムの実践支援による健康指標の改善  ≪成果測定指標≫   ・地域の課題に応じた市町村支援の拡充   ・中小企業など職域への支援の拡充   ・実践支援を通じた既存プログラムの改良、新たな課題に対するプログラムの開発  ≪具体的活動事項≫   ・プログラムの実践状況のモニタリングを行い、市町村や企業等を支援する

≪具体的活動事項≫ 4. 目標と取組み ② 循環器病予防部門 Ⅲ エビデンスや方法論の開発・普及 ≪戦略目標≫ 4. 目標と取組み ② 循環器病予防部門  Ⅲ エビデンスや方法論の開発・普及  ≪戦略目標≫   ・大学等と連携し、既存データや大阪とは異なる状況にある地域の知見と対比 しながら、健康課題の分析を明確化する。また、新たな課題であるサルコペニア、 ロコモ、認知症等についても、健診技法、保健指導技法の開発を行い、成果 を広める  ≪成果測定指標≫ ・循環器病と危険因子のモニタリングによるエビデンスと保健指導ツールの開発 ・得られた知見に基づき、大阪府や市町村の諮問に応えるとともに、施策提言等 を行う また、新たな人材(公衆衛生医師、保健師など保健指導者)の育成を行う  ≪具体的活動事項≫   ・分析で得られた知見を学会等で発表しエビデンスとするとともに、わかりやすく情 報発信する

4. 目標と取組み ③ 経営の健全化 Ⅰ 法人経営の自立化 ≪戦略目標≫ 4. 目標と取組み ③ 経営の健全化  Ⅰ 法人経営の自立化  ≪戦略目標≫    ・収益確保及び経費削減による経営の健全に取り組み、計画期間中における「がん予 防検診事業」の収支バランスの均衡を目指す ≪成果測定指標≫正味財産増減額(継続) (単位:千円) 28年度 決算見込み 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度 △118,223 △42,049 △29,858 △23,649 △22,413  ≪具体的活動事項≫   ・総合健診受診者の増加、検診料金の改定、休日検診の実施やオプション検査の拡大等による収益増   ・入札や価格交渉による支出額削減、医療材料費の削減などによる支出減を    図る

5.収支計画 ◇経営改善のポイント 《収益確保のための取組み》 ○総合健診受診者の増加  大規模総合健診の受注を目指すとともに、新たに午後総合健診を実施し、現行の総合健診の一日 あたりの受診者数を増加させる ○検診料金の改定  市町村の車検診及び施設検診は5%、その他の検診は3%の単価の改定を行う ○休日検診の実施、オプション検査の拡大  ニーズの高いレディースの検診(子宮がん・乳がん検診のセット)を常勤職員で休日に実施する。  また、各検診においてオプション検査の受診を積極的に勧める ○午後検査枠の拡大  現在、週1日午後実施している胃内視鏡検査を、週2日に拡大する ○車検診の受診者の増加  1回あたりの受診者を増加させ、効率的な車検診を実施する ○当センターの特色の啓発  インターネット等を活用し、当センターの特色を積極的に啓発するとともに、インターネット予約  システムを導入し新たな受診者の増加を図る

新たな検診実施や検診枠の拡大などを実施するにあたっては、常勤職員で最大限対応し、新たな 経費負担の増加を抑制する 5.収支計画 ◇経営改善のポイント 《経費節減のための取組み》 ○常勤職員の更なる活用  新たな検診実施や検診枠の拡大などを実施するにあたっては、常勤職員で最大限対応し、新たな 経費負担の増加を抑制する ○入札や価格交渉による支出額削減  入札の実施や経営分析の結果をもとにした価格交渉により支出額の削減に努める ○医療材料費の削減  SPDの導入により在庫管理の軽減を図るとともに、安価な同種同効品への切換え等を通じて医療 材料費の削減を図る ○時間外手当等の削減  車検診における勤務時間の調整による時間外勤務の短縮等、時間外勤務手当の削減を図る

《収支見通し》 (単位:千円) 区 分 H29年度 H30年度 H31年度 H32年度 H33年度 経常収益 がん予防検診事業収益 区  分 H28決算見込 H29年度 H30年度 H31年度 H32年度 H33年度 経常収益 1,087,611 1,098,904 1,123,748 1,137,056 1,143,474 1,147,233 がん予防検診事業収益 853,533 913,107 937,951 951,259 957,677 961,436 循環器事業収益 148,853 法人管理収益 85,225 36,944 経常費用 1,205,834 1,140,953 1,153,606 1,160,705 1,165,887 がん予防検診費用 971,756 955,156 967,809 974,908 980,090 一般経費 870,869 887,997 903,391 910,278 909,531 896,541 退職給付費用 49,111 46,327 45,730 49,704 54,986 44,553 減価償却費 51,776 20,832 18,688 14,926 15,573 20,342 循環器事業費用 法人管理費用 当期正味財産増減額 △118,223 △ 42,049 △ 29,858 △ 23,649 △ 22,413 一般正味財産期首残高 335,896 217,673 175,624 145,766 122,116 99,703 一般正味財産期末残高