東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野

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東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野 LCP日本語版の使用方法 東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野 宮下光令

LCPのサイクル 1.使用基準に沿って、LCPを開始 2.初期アセスメント(セクション1) 3.経時的なアセスメントとアルゴリズムの使用(セクション2) 4.死亡診断(セクション3) (必要ならバリアンス分析)

1枚目(表紙) LPCの使用基準 患者に関わる多職種チームが予後数日または一週間程度と判断し、かつ以下の項目のうち2項目以上が当てはまる場合:    患者が終日臥床状態である      半昏睡/意識低下が認められる  経口摂取がほとんどできない 錠剤の内服が困難である イメージは 終末期ではなく、「看取り期」「日単位」「数日中の死が避けられない」 プレテストでは1~2日から1週間以内(まれにそれより長くなることがある)

2枚目 初期アセスメント 身体症状 有無を記入 目標1 投薬/処方の見直し 目標2 頓用指示 目標3 不必要な治療・検査の中止 身体症状 有無を記入 目標1 投薬/処方の見直し Drが判断し記入またはDrにNsが確認 目標2 頓用指示 別紙頓用指示を参照 目標3 不必要な治療・検査の中止 目標3a 不必要な看護介入の中止 バイタルや体位交換などのルチーンの見直し

2枚目 初期アセスメント 目標5 病状認識 バリアンスの記入 現状で認識されているかを記入する 無理に認識するように介入する必要はない 目標5 病状認識 現状で認識されているかを記入する 無理に認識するように介入する必要はない バリアンスの記入 目標1~5で「いいえ」があったら、なぜそのようなバリアンスが生じたか、それに対する対処はどうしたかを記入する 本来最後に記入するものだったが、使用の簡便さを考えてページごとにした

3枚目 初期アセスメント(つづき) 目標7 連絡方法 目標8 施設の案内 目標9・10 ケア計画 バリアンス 目標7 連絡方法 カルテなどに記入されていれば、転記の必要はない 目標8 施設の案内 パンフレットを渡すか、口頭で説明する 目標9・10 ケア計画 患者や家族と、今後のケア計画について話し合う(説明する) バリアンス 2ページ目と同様

4枚目 継続アセスメント(セクション2) 原則としておよそ4時間ごとに記入する(一番上に時間を記入) 時間は厳密ではなくてよい。ラウンドに合わせてなどでよい 「その他の症状」は患者にとって苦痛な症状があれば、それを記入する 各項目について達成(A)未達成(V)に○をつけて、具体的な問題点を記入する 本来は未達成な場合は最終ページのバリアンスシートに記入するが、必ずしも義務ではない(とても大変だから)

5枚目 継続アセスメント(セクション2) 4枚目は原則としておよそ12時間ごと(1日2回)に記入する(一番上に時間を記入) 時間は厳密ではなくてよい。日勤帯と準夜帯でチェックなどでよい。各項目について達成(A)未達成(V)に○をつけて、具体的な問題点を記入する 本来は未達成な場合は最終ページのバリアンスシートに記入するが、必ずしも義務ではない(とても大変だから)

継続アセスメントシートは必ず記入しなければならないか? 病棟で用いている経時記録用紙や電子カルテなどに記入されていれば、二重記録をする必要はない 初期アセスメント→病棟の記録→死亡診断という流れでよい その際に、チェックする時間間隔や項目などはLCPに順じていることが望ましい

全ての記録をLCPに移行してよいか 本来は全ての記録をLCPに移行することが目的である しかし、これは日本の実情に合わないので、病棟の記録で代用してもよいことにした 全ての記録をLCPに移行する場合には、病院としてそれが認められ、オピオイドの投与などの必要な記録すべき行為を全て記録する必要がある

バリアンス(V)が起こったら どうするか? バリアンスの理由・原因を考える 対処法を考えて実施する LCPのアルゴリズム、頓用指示に沿って介入する アルゴリズム、頓用指示は各施設で規定のものがあれば、それを用いてよい できれば、その結果をアセスメントして記入する

5枚目 死亡診断 死亡診断に関して、必要なことが確実に行われるかをチェックする 本来、遺族会の紹介などのパンフレットを渡すことになっていたが、日本の現状に合わないため、必要時のみ紹介にした

6枚目 バリアンス分析 本来パスはバリアンス分析を行うべきだが、全てのバリアンスに記入するのは現実的に困難である わが国では、病棟の看取りのケアの見直しのときなどに、このシートを用いて記入すればよいことにした

LCP使用上の留意点 LCPは看取りのケアを事務的に行うためのものではない LCPに記入すれば看取りのケアの質が向上する訳ではない

LCPの利点は何か LCPの使用を決定することで、患者が「看取り期」に入ったことを、スタッフで統一して認識できる 初期アセスメントでケアの見直しができる スタッフが統一したケアを提供できる 看取りの経験が少ないスタッフの教育につながる

誰がLCPを記入するか 看護師のみ 医師と看護師が共同して 他のスタッフも共有

今日の説明では詳細がわからない 早すぎて何だかわからなかった 使用マニュアルを作成し、郵送します 郵送先をアンケートに書いてください 来年度もLCPのワークショップを開催します 最新情報は以下のホームページに掲載します http://www.lcp.umin.jp マニュアルのPDF、追加の入手方法、ワークショップの予定もホームページに掲載します

困ったことがあったら連絡を下さい 宮下光令(みやしたみつのり) 東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野 〒980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町2-1 東北大学医学部保健学科B棟314号室 TEL&FAX: 022-717-7924 E-mail: miya@m.tains.tohoku.ac.jp