シュウ酸による焼却残渣中のカルシウムの再生 現在,年間約5,000万トンの都市ごみが排出され,その70%以上が焼却もしくは溶融などの熱処理により減容化されている.この過程から排出される飛灰中には,有害重金属が含まれており,キレート剤もしくはセメントによる不溶化処理を行った後に埋め立てられている.一般に,飛灰の含有成分は,数%の重金属に対し,カルシウムが30%程度を占めている. 本研究では,飛灰中の微量重金属を分離し,含有量の多いカルシウムを酸性ガス吸収剤として再生・リサイクルする技術を構築することを目的とする. Elemental contents in fly ash Elemental contents [mg·g-1] Fly ash Ash 1 Ash 2 Ca 218 280 Si 73 7.5 Al 21 8.8 Zn 24 80.1 Pb 5.0 48.3 Fe 8.9 2.0
シュウ酸水溶液を用いて飛灰から作製した吸収剤は塩化水素ガスを吸収することが明らかになった. Oxalic acid [mol·dm-3] Ca Si Al Zn Pb Fe Concentration [mg·dm-3] 0.5 1 Fly ash Ash 1 Ash 2 1910 38 51 2500 50 48 N.D. 510 710 170 2 370 460 21 95 100 14 33 36 140 56 54 420 4 110 150 19 24 N.D. : < 0.1 mg·dm-3 Leaching behavior* *Ash/Oxalic acid=0.25 g/100 cm3, Batch leaching for 3 hr シュウ酸水溶液への飛灰中のCaの溶出割合は2%未満であったため,飛灰中のCaをほぼ全量回収できることが明らかとなった.また,Eh-pH図を用いることで,シュウ酸濃度による飛灰中の元素の溶出挙動の変化を予測することができた. シュウ酸水溶液を用いて飛灰から作製した吸収剤は塩化水素ガスを吸収することが明らかになった. XRD analysis of (a) non-treated Fly ash, sample obtained after (b) leaching, then (c) calcined at 823 K and (d) 1073 K