シュウ酸による焼却残渣中のカルシウムの再生

Slides:



Advertisements
Similar presentations
珪化木を模倣した電波吸収用フェライト多孔体の作製 セラミックス基盤工学研究センター 複合機能研究グループ
Advertisements

題目 多摩地区5市における PETボトルリサイクル事業の比較
生ごみからエネルギー ~バイオガス発電の効果を考える~
超臨界二酸化炭素を用いて作製した水素同位体交換反応用の 白金担持撥水性触媒
MRSA感染を伴う難治性慢性中耳・外耳炎治療のための 新規院内製剤の開発とその製剤学的・薬理学的評価
6//24 地球環境と生物のイベント:先カンブリア時代 7/15 地球環境と生物のイベント:古生代
将来の太陽電池の廃棄量の 予測と処理について
溶解、酸化・還元、酸・塩基 埼玉大学 教育学部 理科教育講座 芦田 実
土壌の酸性化: 「強度因子である土壌pHの低下、あるいは容量因子である酸中和量(Acid Neutralization Capacity)あるいは緩衝能の減少」として定義される.
リサイクル工学特論 ~imai/recycle/recycle.html
1 アルミニウム関連素材等への 抽出クロマトグラフィーの応用 信越化学工業㈱ 群馬事業所 国谷 譲治
アルギン酸 アルギン酸とは‥ 化学構造 ・昆布、わかめに代表される褐藻類の細胞間物質の主成分
ご案内   ナノ分子除菌消臭剤      染めQテクノロジィ社・アメリカ航空宇宙局NASA                共同開発 kadoyaaomori presents.
無機物質 金属元素 「金属イオンの分離」 3種類の金属イオン      をあてよう! 実験プリント 実験カード.
一般財団法人 愛媛県廃棄物処理センター 井関 龍
むし歯 むし歯はどうしてできるのでしょうか?.
気候-陸域炭素循環結合モデルの開発 加藤 知道 地球環境フロンティア研究センター 22nd Sep 2005.
作成:TeamCleanHokkaido
環境や資源を 考えて 生活しよう! ーごみ問題ー.
Control of Power Generation in Actin-Myosin Gels
サンプル合成法(説明とビデオ) LaFeAs(O1-xFx)の場合
土壌管理学講義 「酸性降下物が土壌系におよぼす影響」.
緩衝作用.
高輝度放電ランプ用管球材料の 熱処理および点灯による構造変化
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
有害廃棄物管理棟(旧廃棄物管理施設) 指導教官: 町田 基(教授),天野 佳正(助教),鮫島 隆行(技官) 研究分野:
3.いろいろな気体.
カッセー農法 ・カッセーチップ工法(特許 第 号) ・国土交通省認証技術NETIS HR-020017
In situ cosmogenic seminar
Astro-E2搭載X線CCD(XIS) BIチップにおける 新しい解析法の構築および応答関数の作成
平成貝塚の環境汚染リスクの確認 ~焼却灰と有害物を正しく怖がるために~ 株式会社日本環境カルシウム研究所.
リサイクル工学特論 ~imai/recycle/recycle.html
問題13(耐久性)    コンクリートに劣化現象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
廃プラスチックとは ケミカルリサイクル サーマルリサイクル マテリアルリサイクル マテリアルリサイクルのメリット
特別管理産業廃棄物の 処理・処分の最適化.
Methodology for in situ cosmogenic 10Be and 26Al analyses
信川 正順、小山 勝二、劉 周強、 鶴 剛、松本 浩典 (京大理)
単色X線発生装置の製作 副島 裕一.
新潟大学工学部化学システム工学科 教授 金 熙濬
むし歯 むし歯はどうしてできるのでしょうか?.
2.地球を作る物質と化学組成 1)宇宙存在度と隕石 2)原始太陽系星雲でのプロセス:蒸発と凝縮
シリカガラス表面および表面付近の構造変化
情報化社会を支える量子ビームと化学 大阪大学産業科学研究所 古澤孝弘 ナノサイエンス・ナノテクノロジー高度学際教育研究訓練プログラム
金属のイオン化傾向.
第33回応用物理学科セミナー 日時: 5月15日(月) 16:10 – 17:40 場所:葛飾キャンパス研究棟8F第2セミナー室
リサイクル工学特論 ~imai/recycle/recycle.html
Environment Risk Analysis
販売名1乾燥BCGワクチン(経皮用・1人用) 製品回収
牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥の無機・有機成分と窒素肥効 鶏ふん堆肥(副資材なし)の無機・有機成分、分析方法と窒素肥効
希土類磁石からのネオジムの回収 巣鴨高校2年 西村啓吾.
矢印や凡例を順番に重ねて,最後にグループ化
大同特殊鋼渋川工場 有害スラグ問題 学習会 市民オンブズマン群馬 代表 小川賢 2016年2月7日(日)13:30~
クイズ早押し環境グランプリ 社団法人 未踏科学技術協会.
自然・環境ブック 新潟県 3Rの推進 <内容> 3Rッテ ・私たちが1日に出すごみの量 2ページ 知ッテル? ・「3R」ってなに? 5ページ
水田における除草剤ブロモブチドの濃度変動と挙動
大気中ナノ粒子のフィールド観測 実践プロジェクト <概要> <Summary> Sampling condition Results
(富大院 理工 劉 貴慶、米山嘉治、椿 範立) 多孔質セリウム化合物のテンプレート無し合成法と二酸化炭素吸着剤としての利用
廃PVC中有害金属の 最適な処理方法の評価
牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥の無機・有機成分と窒素肥効 鶏ふん堆肥(副資材なし)の無機・有機成分、分析方法と窒素肥効
アルカリ金属をインターカレートしたh-BNの構造と物性
「水俣市の取り組み」に対する意見発表 ○鈴木慎也 構成 〒 福岡市城南区七隈 福岡大学工学部社会デザイン工学科
HPLC-ICP-MSによる アンチモンの高感度 スペシエーション 分析について
硝酸態 窒素 AD可溶有機物量が 250mg/g・乾物未満の豚ぷん堆肥での測定例
『物理学から見たごみ問題』 燃やして埋めるは 大間違いだ!
第12章 機械構成部品の性質 燒結技術の応用 昔し:溶解や鋳造の困難なセラミックス、高融点金属(W、Mo、など)、高融点化合物(WC、TiCなど) 近代: *青銅系燒結含油軸受け(多孔性を利用)。 *鉄系の含油軸受け 燒結技術が応用される理由は: *小型部品の大量生産 *合金粉の開発に伴って、予備焼結体を熱間鍛造により、真密度に近い大型部品の量産化.
市販石膏(半水)とリサイクル石膏(無水)の表面構造
原子記号の復習 日本語→記号 記号→日本語   H.Kadoi.
○○○株式会社 1.企業概要 当社は、優れた機械加工技術及びエンジニアリング技術、発酵技術を核技術として、△△から排出される汚染物質○○○を短時間に無害化処理し、残渣も堆肥として利用することができる装置を開発、製造している。また、コンサルティング、設計、設置、維持までトータルで行っている。 日本国内では大規模工業団地で導入されているほか、○○国、○○国などに輸出して、現地の環境問題に対して貢献している。
GC/MSによるノニルフェノキシ酢酸類の分析
次期循環型社会推進計画について 現行計画の概要 ● 目指すべき循環型社会の将来像(長期的視点) ● 施策の基本方針 現状と課題
Presentation transcript:

シュウ酸による焼却残渣中のカルシウムの再生 現在,年間約5,000万トンの都市ごみが排出され,その70%以上が焼却もしくは溶融などの熱処理により減容化されている.この過程から排出される飛灰中には,有害重金属が含まれており,キレート剤もしくはセメントによる不溶化処理を行った後に埋め立てられている.一般に,飛灰の含有成分は,数%の重金属に対し,カルシウムが30%程度を占めている. 本研究では,飛灰中の微量重金属を分離し,含有量の多いカルシウムを酸性ガス吸収剤として再生・リサイクルする技術を構築することを目的とする. Elemental contents in fly ash Elemental contents [mg·g-1] Fly ash Ash 1 Ash 2 Ca 218 280 Si 73 7.5 Al   21     8.8   Zn 24 80.1 Pb 5.0 48.3 Fe 8.9 2.0

シュウ酸水溶液を用いて飛灰から作製した吸収剤は塩化水素ガスを吸収することが明らかになった. Oxalic acid [mol·dm-3] Ca Si Al Zn Pb Fe Concentration [mg·dm-3] 0.5 1 Fly ash Ash 1 Ash 2 1910 38 51 2500 50 48 N.D. 510 710 170 2 370 460 21 95 100 14 33 36 140 56 54 420 4 110 150 19 24 N.D. : < 0.1 mg·dm-3 Leaching behavior* *Ash/Oxalic acid=0.25 g/100 cm3, Batch leaching for 3 hr シュウ酸水溶液への飛灰中のCaの溶出割合は2%未満であったため,飛灰中のCaをほぼ全量回収できることが明らかとなった.また,Eh-pH図を用いることで,シュウ酸濃度による飛灰中の元素の溶出挙動の変化を予測することができた. シュウ酸水溶液を用いて飛灰から作製した吸収剤は塩化水素ガスを吸収することが明らかになった. XRD analysis of (a) non-treated Fly ash, sample obtained after (b) leaching, then (c) calcined at 823 K and (d) 1073 K