MOIRCSサイエンスゼミ 銀河団銀河のMorphology-Density Relation 2002/7/24 小西 真広 銀河団銀河のMorphology-Density Relation 論文名 : The evolution of the galactic morphological types in clusters Ap.J., 542, 673 Fasano et al.(2000)
0.概要 1.Morphology の分類方法 2.他データとの比較 3.Morphology-Density relation 4.まとめ
概 要 z=0.1~0.25にある9つの銀河団を観測。その結果をより近傍とより遠方のデータと比較して、Morphology-Density relation の進化を考える。 * Morphology-density relation (Dressler 1980) 銀河の数密度とともに Elliptical, S0 Sp
分 類 方 法 ・Morphological type (r-band) 見た目とprofileで E, S0, Sp の3グループに分類。 分 類 方 法 ・Morphological type (r-band) 見た目とprofileで E, S0, Sp の3グループに分類。 (中間のものは分ける人の経験に任せた。) →分類精度(遠方でも近傍と同じように分類できるか)を 1.IRAF を使ったテスト 2.Frei et al (1996) のコレクションを用いたテスト で確認。 →S0/a @z=0 以外は大体再現できていた。 S0/a @z=0 ・・・z=0.25 で Frei の方は spiral Fasano の方は S0 になる。
← Sp ← S0 ← E 上段は遠方へ持っていった時の画像 下段は近傍の画像 (Frei sample)
次は Fasano らの分類と MORPHS の分類を比較。 → MORPHS の image を独自に分類 一方で自分達のsample をMORPHSの人が分類。 →結果、16の銀河について相違があった。 →分類する人によるsystematic な違いである (?) この分類法は信頼できる方法である。
・S0/E 比の小さいものと大きなものの2グループが存在。 しかも、 Low S0/E → z < 0.19 High S0/E → z > 0.2 さらに、 Low S0/E → Elliptical の集中度が高い High S0/E → Elliptical の集中度が低い それぞれの空間分布を示すと・・・ Fig 6 ・・・ Elliptical ではS0/E 比の違いが顕著 Sp,S0 ではほとんど見られない Fig 7 ・・・ 銀河団ごとのグラフ やはり,Elliptical では立ち上がりが早い
Fig 6 Fig 7
他データとの比較 ①まずは、より遠方のデータと比較(Elliptical only) Fig 8 ・どのグラフも HEC の立ち上がりが早い MORPHS ・・・Dressler (1997) C98+ ・・・ Couch et al (1998) z ~ 0.3-0.5 z~0.3 z~0.1-0.2 ( Fig 7(a) ) Fig 8 ・どのグラフも HEC の立ち上がりが早い ・HECはみな、E-rich (!?)
②次はより近傍との比較 Dressler (1980) : z = 0.01 ~ 0.06 ・T - ∑ 関係がHEC , LEC ともに見られる(これが定義)。 Elliptical , S0 は数密度とともに増加する、 Sp は数密度とともに減少する これをFig 11 と比較する・・・ LECでは対応関係が見られない。 Fasano et al ではElliptical が減って Sp が増えている ≠ T- ∑
③遠方から近傍までまとめて比較 その1 黒 ・・・ HEC 白抜き・・・ LEC 記号 Fig 9 HEC ・・・ High Elliptical Concentration LEC ・・・ Low Elliptical Concentration 黒 ・・・ HEC 白抜き・・・ LEC 記号 E fraction ・・・z に関係なくほぼ一定 S0 fraction ・・z とは逆に増加 S fraction ・・・z とともに減少 Fig 9
④近傍から遠方までまとめて比較 その2 HECを最小自乗フィットした直線 LECを最小自乗フィットした直線 Fig 10(a)・・・○と●の違いがどの時 代でも顕著 遠方のS0/E比がzにより どうなるか(D97)を支持 Fig 10(b)・・・S0 , Sp as z →0 Fig 10
Morphology-Density Relation 銀河の形態をそれぞれの数密度の違いから見てみる → M-D Relation(T-∑) (Dressler1980)があるかど うか分かる 数密度が高いほど,Elliptical, S0 が多く Sp は少なくなる Density Fraction
Elliptical S0 Sp Fig6 (D97) Fig11 Fig 8 (D97)
◆両方ともHECにはM-D relation は見られるが LECには 〃 は見られない(むしろ逆) ◆Fig11(f) と Fig6(D97) 、つまりHECを比較 → low density ほど Sp → S0 が強く起きている ◆Fig11(e) と Fig8(D97) 、 つまりLECを比較 →density に関係なく Sp → S0 が起きている (◆近傍との比較ではLECでの対応関係が見られなかった) 今回の結果は,より近傍(D80)よりも,より遠方のもの(D97)によく似ている LECのM-D relation はz = 0.1→ 0 で出来た?
◆E-fraction はHEC,LECともにD97 → Fasano にかけて 変化していない 進化の過程でElliptical は生まれた時のまま変わらずで,Sp がS0 になったのでは? つまり,HEC と LEC は生まれつき違うものではないか?
ま と め ◆HECとLECは生まれつき違うものであり, LECは Sp-rich として生まれたものが S0-rich になった HECは Sp-rich から生まれたのではなく初期宇宙の 密な所でElliptical が多く形成され,進化した ◆Sp/S0 ・・・ 銀河団がどれだけ進化しているかに関係する量 S0/E ・・・ z と cluster type(HEC,LEC) に関係する量