駒宮博男   NPO法人地球の未来 理事長 名城大学大学院経営学研究科客員教授

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      駒宮博男   NPO法人地球の未来 理事長 名城大学大学院経営学研究科客員教授

GHG-Protocolとは何か  (温室効果ガス算定のグローバルスタンダード)

GHG-Protocolはどのようにして出来たか GHG-Protocol Initiativeとは・・・・・ World Resources Institute(WRI)と、 World Business Council for Sustainable Development(WBCSD)が作成  WRIとは : 世界資源研究所(本部はアメリカ)   World Business Council for Sustainable Development(WBCSD)とは :     持続可能な発展へのコミットメントを共有する企業で構成される連合体組織   を中心に集まった世界の企業、NGO、政府機関など多数のステークホルダー   で構成された団体 GHG-Protocol GHGプロトコル事業者排出量算定報告基準(改訂版) (GHG Protocol Corporate Accounting and Reporting Standard)」(2004年3月発行) GHGプロトコルプロジェクト排出削減量算定基準 (GHG Protocol for Project Accounting)」(2005年12月発行)

温室効果ガス(GHG)算定方法の歴史 GHG-Protocol(グローバルスタンダード) (国内法改正をにらんで作成)          (国内法改正をにらんで作成) 事業者の温室効果ガス算定ガイドライン(Ver. 1.6)(環境省) 参考資料(GHG-Protocol和訳 環境省)          (法施行後、不備な点を修正、より厳密に) 温室効果ガス算定マニュアル(環境省+経済産業省)          (改正温対法、省エネ法に完全対応)

GHG算定ガイドライン    Ver. 1.6とは

第1章 原則 原則 内容 妥当性 事業者の温室効果ガス排出及び意思決定要求を適切に反映する境界を定義すること 完全性 第1章 原則 原則 内容 妥当性 事業者の温室効果ガス排出及び意思決定要求を適切に反映する境界を定義すること 完全性 選択した組織境界及び活動境界にあるすべての組織及びそれに関わる活動について説明すること 一貫性 一定の期間にわたって、排出実績について有意な比較を可能にすること 透明性 事実に基づく首尾一貫した方法で、関連するすべての問題について言及すること 正確性 温室効果ガスの計算結果が、意図された用途に必要とされる精度を確保すること

第2章 算定対象ガス 1.二酸化炭素(CO2) 2.メタン(CH4) 3.一酸化二窒素(N2O) 4.ハイドロフルオロカーボン(HFC) 第2章 算定対象ガス  本ガイドラインにおいて算定対象とする温室効果ガスは、京都議定書で算定対象と定められている以下の6ガスとする。   1.二酸化炭素(CO2)   2.メタン(CH4)   3.一酸化二窒素(N2O)   4.ハイドロフルオロカーボン(HFC)   5.パーフルオロカーボン(PFC)   6.六フッ化硫黄(SF6) 

  温暖化係数と代替フロン3種の詳細(1) CO2(二酸化炭素)                             1 CH4(メタン) 21    N2O(一酸化ニ窒素) 310   HFC(ハイドロフルオロカーボン)  HFC-23(トリフルオロメタン) 11,700  HFC-32(ジフルオロメタン) 650  HFC-41(フルオロメタン) 150  HFC-125(1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン) 2,800  HFC-134( 1,1,2,2-テトラフルオロエタン) 1,000  HFC-134a( 1,1,1,2-テトラフルオロエタン) 1,300  HFC-143( 1,1,2-トリフルオロエタン) 300  HFC-143a( 1,1,1-トリフルオロエタン) 3,800  HFC-152a( 1,1-ジフルオロエタン) 140  HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン) 2,900  HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン) 6,300  HFC-236fa(1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン) 560  HFC-43-10mee(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロプロパン) 1,300

  温暖化係数と代替フロン3種の詳細(2) PFC(パーフルオロカーボン)  PFC-14(パーフルオロメタン)                     6,500    PFC-116(パーフルオロエタン) 9,200  PFC-218(パーフルオロプロパン) 7,000  PFC-30-10(パーフルオロブタン) 7,000  PFC-c318(パーフルオロシクロブタン) 8,700  PFC-41-12(パーフルオロペンタン) 7,500  PFC-51-14(パーフルオロヘキサン) 7,400 SF6                                     23,900

第3章 組織境界 子会社の範囲 ①議決権の50%超を所有している。 第3章 組織境界 子会社の範囲 ①議決権の50%超を所有している。 ②議決権の40%以上50%以下を所有し、要件Ⅰ~Ⅴのいずれかに該当   する。 ③緊密者と合算で議決権の50%超を所有し、要件Ⅱ~Ⅴのいずれかに   該当する。  Ⅰ.緊密者と合算で50%超を所有  Ⅱ.親会社の(元)役員・従業員が役員の過半数  Ⅲ.重要な経営方針を支配する契約  Ⅳ.緊密者と合算で資金調達額(負債計上分のみ)の50%超を融資  Ⅴ.その他意思決定機関を支配する事実

関連会社の範囲 ①議決権の20%以上50%以下を所有している。 ②議決権の15%以上20%以下を所有し、要件Ⅰ~Ⅴのいずれかに該当する。 ③緊密者と合算で議決権の50%超を所有し、要件Ⅱ~Ⅴのいずれかに該当する。    Ⅰ.親会社の(元)役員・従業員が役員等に就任    Ⅱ.重要な融資、債務保証    Ⅲ.重要な技術提供    Ⅳ.重要な取引    Ⅴ.その他経営方針に重要な影響を与え得る事実の存在

第4章 活動境界  事業者における温室効果ガス排出量は、(1)直接排出及び(2)電気・熱の使用に伴う間接排出を算定の対象とする。                 (参照:ガイドライン1-7) 1)直接排出                       2)電気・熱の使用に伴う間接排出            3)その他の間接排出        ① 需要発生による間接排出                ②製品等の供給による間接排出

第5章 算定方法 事業者における温室効果ガス排出量の算定は、以下の手順による。 (1)算定対象期間の設定 (2)算定対象活動の特定 第5章 算定方法 事業者における温室効果ガス排出量の算定は、以下の手順による。 (1)算定対象期間の設定 (2)算定対象活動の特定 (3)算定対象組織の特定 (4)活動の種類ごとの排出量の把握 (5)二酸化炭素(CO2)等量への換算

第6章 公表 事業者が温室効果ガス排出量の算定結果を公表する際には、以下の情報を含めて公表する。 第6章 公表 事業者が温室効果ガス排出量の算定結果を公表する際には、以下の情報を含めて公表する。 (1)算定の対象となる組織、期間、活動の範囲等    (2)排出量                      (3)関連する経営指標                 (4)比率指標(原単位)                (5)その他参考となる事項              

第7章 検証 温室効果ガス排出量の算定結果に関する検証の基本的な手順は以下のとおりである。 第7章 検証 温室効果ガス排出量の算定結果に関する検証の基本的な手順は以下のとおりである。  (1)検証目的の設定  (2)検証人の選定(内部検証及び外部検証)  (3)検証範囲の設定  (4)机上レビュー  (5)リスク分析  (6)算定プロセスの検証  (7)検証報告書の作成 

第8章 今後の課題 今後検討を進めるべき主な事項は以下のものが考えられる。 ●算定対象組織 ●「その他の間接排出」と取り扱い 第8章 今後の課題 今後検討を進めるべき主な事項は以下のものが考えられる。  ●算定対象組織  ●「その他の間接排出」と取り扱い  ●不確実性の把握方法  ●検証方法  ●算定ツールの開発   ●業種別算定対象  ●活動の種類事業者の実態に合った算定手法の改善 

補足 : 企業会計との関係       (多くのデータは会計帳票から)

NPO法人地球の未来作成

NPO法人地球の未来作成

HFC  PFC  SF6 NPO法人地球の未来作成

温室効果ガス排出量算定 ・報告マニュアルとは (環境省+経済産業省2006年11月)

第Ⅰ編 温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度の解説   制度の背景   枠組み   権利利益の保護   排出量の公表   他の制度との関係

第Ⅱ編 温室効果ガス排出量の算定方法 報告対象者の判定方法 算定方法の概要 活動別算定方法 ・エネルギー起源以外の温室効果ガスの取り扱い 第Ⅱ編 温室効果ガス排出量の算定方法   報告対象者の判定方法   算定方法の概要   活動別算定方法 ・エネルギー起源以外の温室効果ガスの取り扱い ・報告時の排出量算定方法

第Ⅲ編 温室効果ガス排出量の報告方法   報告書の提出方法   記載方法 第Ⅳ編 付録   業種別の算定事例   関連法規   連絡先・問合せ先   産業分類

予想される今後の展開

京都議定書、GHG-Protocolに対応 特定荷主、商業ビル等も対象に 今後の展開予測   →京都議定書第1約束期間(-6%)はほぼ不可能 改正温対法・省エネ法(2006年4月施行)                  京都議定書、GHG-Protocolに対応                 特定荷主、商業ビル等も対象に 各企業・業種のGHGデータ収集                 昨年度算定、今年度報告開始 対象の拡大(フランチャイズ等)               ほぼ50%の事業所が対象に CAP&TRADEの検討、実施??

都内大型事業所のCO2排出量 朝日新聞 2007年12月

今後のエネルギーはどうなるか 1.石炭の問題点

今後のエネルギーはどうなるか 2.タールサンドの問題点

今後のエネルギーはどうなるか 3.天然ガスの問題点

今後のエネルギーはどうなるか 4.ガスハイドレートの問題点

今後のエネルギーはどうなるか 5.原子力の問題点

今後のエネルギーはどうなるか 5.水素の問題点

6.再生可能エネルギーの問題点 1)バイオエネルギー 今後のエネルギーはどうなるか 6.再生可能エネルギーの問題点 1)バイオエネルギー

6.再生可能エネルギーの問題点 2)太陽光発電 今後のエネルギーはどうなるか 6.再生可能エネルギーの問題点 2)太陽光発電

今後のエネルギーはどうなるか 6.再生可能エネルギーの問題点 3)風力発電

日本では、何が出来るか・・・・・・・ 1)木質バイオマス  :  エタノール、熱、発電 (発電効率は1/3程度、コジェネが鍵) (既に成功事例が出ているが、前提条件は特殊) 2)稲藁バイオマス  :  エタノール (目下研究開発中、エネルギー収支は?) 3)マイクロ水力    :  発電 (大きな発電量は得られないが、郡部ではOK) (農水+国交+経産で農業用水利用推進) 4)マイクロ風力    :  発電 (ダリウス、サボニウスが効果的か) 5)廃棄物エネルギー : 廃油 (廃食油は既に原油相場に合わせて高騰)     (廃パーム油は可能性あり)     (工業廃油は、スラッジ処理がポイント) 6)太陽の直接利用