セマンテックWebを利用した加工工程決定支援システム 電子情報通信学会2007年総合大会 2007年3月21日 松江工業高等専門学校 情報工学科 越田 高志,牧 聡史
1.はじめに(研究の背景と目的) その原因は何か? 地元企業の情報システム化の支援が目的 (高専として,産学連携,地域産業への貢献) 特に,県内中小企業の製造業や加工業における生産管理システム化の遅れが目立つ. その原因は何か? 情報システム要員(専任)がいない.本業で手一杯. 生産管理システムが高価で手が出ない.それは,汎用システムの利用が難しいから.
業種毎,企業毎に生産工程や生産機器,DBなどが異なる. 企業毎に独自の受発注システムやDBとの連携も考慮する必要がある,など. カスタマイズ化が不可欠! 開発方針 ・ベースとなるシステムとして,MZPlatform(産総研開発)を利用する.企業との共同開発を通して,高専が企業要望や現場状況を把握して,それらを反映したプロトタイプ・システムを開発・提供する.地元ソフトウェア会社と連携し,実用化を目指す.
2.加工工程の現状とその問題点 今回のターゲット:地元の金属加工会社 数百種類/月の受注加工がある. ロット毎の加工工程順は特定の監督者が経験に基づき決定し,紙面で指示. 作業開始後の工程変更も多々ある. 工程進捗は,毎日終業後に各作業員が紙面で報告→事務員がDBに登録.
そのため, ・リアルタイムでの工程進捗が把握できない. (ロットの進捗や工程変更は現場でないと分からない.) ・紙面データでの情報が多い.情報共有化がない. そのため, ・作業待ちにともなう機器の稼働率低下,生産性効率も低下する. ・納期遅れや原価割れが判断できない. それら,問題解決のために
3.生産工程決定支援システム リアルタイムで進捗管理が可能な工程管理システムの開発と導入 が必要 リアルタイムで進捗管理が可能な工程管理システムの開発と導入 が必要 今回は,進捗管理と加工工程順番の決定を容易に,かつ正確にしたい! Semanticデータ(RDFやOWL)を利用する. ロットの加工特徴,工程機器の特徴や作業実績データを利用し,Semantic データ化する.
工程機器のRDFデータ例 <uni:MachineSpec rdf:about="SP01" uni:SpecName=“MaxWidth” uni:Spec="1000"> <uni:Machine rdf:resource="ma153"/> </uni:> <uni:MachineSpec rdf:about="SP02" uni:SpecName=“MaxLength” uni:Spec="650"> <uni:MachineSpec rdf:about="SP03" uni:SpecName=“MaxDiam” uni:Spec=" 50"> <uni:MachineSpec rdf:about="SP04" uni:SpecName=“MaxMass” uni:Spec="15"> <uni:Machine rdf:resource="ma153"/> </uni:>
過去の作業データを分析して,ロット毎に工程順を抽出し,その加工特徴と対応付ける. ロット番号 工程パターン Axxxx Bxxxx Cxxxx A B C 工程パターン 加工工程順 A ~, 鋸盤, NC旋盤, フライス盤, ~ B ~, 歯切り盤, ボール盤, ~ C ~, 放電加工, 中ぐり盤, フライス盤 ~
受注入力画面 : 加工特徴を入力する 重量: 素材形態: 数量: 材質: 材料: 焼き戻し: 焼き入れ: 3.5kg ロット番号: 受注入力画面 : 加工特徴を入力する ロット番号: 3.5kg GM1089 重量: 7 素材形態: 単体 数量: K1056 材質: AUB510 材料: 無 焼き戻し: 焼き入れ: 有 ・・・・・・・・ 標準工程:パターンC ・・, NCフライス, NC旋盤, 放電加工, 汎用旋盤, ・・
ロット毎の進捗管理について 問題 ・工程毎に作業日と作業時間しか記録されていない. (例 作業日/ ロット番号 / 機械番号 / 作業時間 ) ・実績データから正確な工程順が抽出できない. その解決 ・バーコードによる工程開始/終了時間登録へ. ・その時間を各クライアントエージェントがサーバに送信.サーバエージェントが各ロット毎,工程毎に開始/終了時間を自動登録することで,リアルタイムでの進捗管理の実現と工程決定の自動化へ!
現在までの進捗 バーコードシステムのプロトタイプは完成. エージェントシステムを開発中である. 研究室内で工程進捗管理のテストを行う. 平行して,工程機器のRDF,OWLデータを作成中. ロット毎の加工特徴の抽出,加工工程の把握とそれらのSemantic データの検討も行っている.