丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年6月29日 経済学入門 10 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年6月29日
復習1 収入=価格×数量 収入を英語で Revenue 省略すると R=pQ 需要の価格弾力性=1 収入は変化しない 弾力性>1 弾力的という 弾力性<1非弾力的という
復習2 弾力性が無限大 →需要曲線は水平 弾力性は0 → 需要曲線は垂直 必需品ほど需要が変化しない=弾力性が小さい 弾力性の大小を決める要因は代替財の存在
復習3 他財との相対価格 消費スタイルを変更する時間的長さ 短期的には行動を返ることは難しい 長期的には他の用途を用いて代替することが可能
供給の価格弾力性p.178 供給の価格弾力性= 供給量の百分比変化率/価格の百分比変化率 今度はマイナスが付かない 長期供給曲線では企業は機械や建物の数を調整可能
小豆の短期供給曲線=非弾力的 価格 数量 小豆の長期供給曲線=弾力的
需要・供給の価格の弾力性の応用p.183 ワインの人気が増えるとワインの需要曲線が右にシフトする これは価格と数量のどちらに大きな影響を及ぼすのか? 供給曲線が弾力的→数量が大きく変化 供給曲線が非弾力的→価格が大きく変化
弾力的な供給曲線 価格 数量 変化前の需要曲線 数量の変化が大きい
非弾力的な供給曲線 価格 数量 変化前の需要曲線 価格の変化が大きい
需要・供給の法則への介入p.190 政府の市場介入:最低賃金,上限金利 価格変化を起こしたのは市場全体の参加者.特定の個人が悪いのではない 需要・供給の法則は無視できない.価格のコントロールは超過需要か超過供給をもたらす. 場合によっては問題を悪化させることも
課税p.185 たばこ一箱に10円の税金を課した. たばこの値段は上昇し,需要は減少する どの程度価格が上昇して,需要は減少するか? たばこの需要は非弾力的
課税 企業は,政府に10円を持って行かれるので,一箱当たり10円分だけ余計に稼ぐことができないと以前と同じ供給を行わないだろう. よって供給曲線は上方へ10円シフトする しかし,課税後の均衡価格は10円ほどには上昇しない
課税前の供給曲線 価格 数量 需要曲線 課税後の価格 Q0 課税後の供給曲線 Q1 課税前の価格 10円 消費者負担 生産者負担
価格規制p.191 上限価格規制-製品価格について最高価格を課す.例:家賃統制法,上限金利 下限価格規制-最低価格を課す 例:最低賃金法,農産物価格支持政策 上限金利を見てみよう!
上限金利 灰色金利撤廃、消費者保護へ軸足 http://www.asahi.com/business/update/0624/002.html 上限金利は15~20% 灰色金利を撤廃へ http://www.asahi.com/business/update/0624/003.html
資本市場 需要は資金の借り手 供給は資金の貸し手 価格は金利 上限金利<均衡金利 → 需要が供給を上回る(超過需要の発生) 不足が生じる→闇金融へ かえって逆効果の可能性
供給曲線 価格=金利 数量 需要曲線 均衡 金利 超過需要=不足 上限
練習問題p.200 ガソリンの需要の価格弾力性が短期では0.2,長期では0.7.ガソリン価格が28%上昇したときに需要量は短期と長期ではどれだけ変化するか. トウモロコシの供給の価格弾力性が短期では0.3,長期では2.トウモロコシの価格が30%上昇したときに供給量は短期と長期でどの程度変化するか
練習問題 ウイスキーの需要曲線が非弾力的で,供給曲線は弾力的である.嗜好が変わってウイスキーに対する需要が減るならば価格と数量どちらが大きく変化するか.政府がウイスキー製造業者に課税をするならば価格と数量はどちらが大きく変化するか.
第6章不完全市場入門p.211 基本的競争モデルと現実 競争が不完全な場合の価格と数量はどのように決まるか.それは完全競争とどのように異なるか 情報が普通の財とどのように違うか 外部性と公共財
1.基本的競争モデルを拡張するp.213 基本的競争モデルの重要な仮定 企業や個人は価格を所与と見なす 財の品質や価格について完全な情報を有している 価格以外で他の経済主体に影響を与えない 財はその買い手だけが享受できる
現実の経済 それほど競争的ではない:企業は自社のブランドの価格をコントロールできる,他企業の行動や反応を予測する必要 すべての情報を持っているわけではない:中古車を買う人はその状態を完全には知らない,高校生は大学の質や単位の取りやすさについて知っていない
現実の経済/2 自分の行動は自分自身のみにかかってくる訳ではない:実際は,個人の行動は他の主体に直接影響を及ぼしていて,しかもそれに対して支払いを受けたりはしていない.この状況を外部性(externality)が存在するという.教室内で五月蠅くすると負の外部性を他人に与えていると言う.
現実の経済/3 基本的競争モデルでは1人が消費すると他人は消費できなくなる:国防は国民すべてが享受できるサービス.他の人々も消費できる財を公共財(public goods)という.1人の消費の増加は他の人の消費を妨げない(非競合的).ある人の公共財の消費を排除するには大きなコストがかかる(非排除性)
市場の失敗p.216 不完全競争,不完全情報,外部性,公共財があると市場が効率的な資源配分を妨げる場合がある. これを市場の失敗という