慶應義塾大学総合政策学部 曽根泰教ゼミ 松原真倫

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慶應義塾大学総合政策学部 曽根泰教ゼミ 松原真倫 構造改革特区の研究 慶應義塾大学総合政策学部 曽根泰教ゼミ 松原真倫

問題意識 すばらしい特区制度! 現実には種々の問題が 財政措置を伴わない地方活性化 地方横並び主義を脱却 規制緩和による地方分権の促進 市町村が中央省庁と直接交渉ができる 現実には種々の問題が 提案数・認定数の減少 実現率の低下 後追い特区の増加

認定数の推移(02年から07年)

全体構成 2.特区制度の基本的枠組み 3.特区の評価 4.特区の問題点 2.第三者機関のガバナンス能力の欠如 第1章 特区制度の概観  1.特区制度の成立過程  2.特区制度の基本的枠組み  3.特区の評価  4.特区の問題点 第2章 特区制度が停滞した原因はどこにあるのか  1.改革に対する中央省庁・官僚の消極姿勢  2.第三者機関のガバナンス能力の欠如  3.特区のPR体制、提案支援体制の問題 第3章 特区の再活性化のために  1.構造改革特区推進会議と東京市政調査会の改革 提言  2.改革の提言  3.PR制度・提案支援制度改革の提言

研究の特色=現地調査、ヒアリング 並河信乃氏 (社)行革国民会議事務局長 白石真澄氏 関西大学政策創造学部教授 草加市役所・中村卓氏 草加市市長付特命理事 (特区・地方財政自立改革担当)

自治体等 申請 検討要請 各省庁 認定 内閣官房特区室 受け入れ 拒否 再検討要請 拒否 再々検討要請 拒否 不成立

草加市の特区提案をめぐるやりとり 提案 「部長職を特別職に」(草加市) 「事実誤認」(E) 再検討要請 「現行法で対応可能」(D) 再々検討要請 「自治体等の要望を踏まえ、引き続き検討」(C) その後、草加市の提案が国の方針に =部長と「副市長」(特別職)を兼務可能に

なぜ特区は機能しなくなったのか ①【規制緩和を進める側の問題】 特区室・第三者機関の力不足  =特区室の官僚の多くが、他省からの出向官僚で あり、改革に消極的である  =第三者機関のマンパワー不足  ⇒「現在の特区室の官僚の多くは、表面的には   仕事をこなすが、裏では自分の省庁のために   動いている」   「検討すべき案件に対して、マンパワー不足」 白石真澄氏

なぜ特区は機能しなくなったのか②【提案側(自治体等)の問題】 提案数の減少 =特区室のPR体制が機能していない ⇒「活動実績が公表されておらず、 活動へのチェックが働いていない」 特区は提案されなければダメ。自治体への喚起。 あじさいキャラバン・もみじキャラバン 年に2回設けられる、あじさい月間(6月)・もみじ月間(11月)という規制改革要望の集中受付期間に先立ち、全国各地で規制改革の制度説明会および規制改革提案・要望の個別相談会が行われる。 キャラバンに同行した白石は、【キャラバンに来るのは、ある程度規制改革などに興味を持っている人たちのはずだが、その彼らでさえ、特区に関する十分な知識を持っていなかった。キャラバンに来ない人はなおさらだろう。現在の特区のPRは不十分だと思う】 特区や地方再生計画規制改革に興味を持った人しか参加しないため、PRの効果が限定されてしまう。 並河信乃氏

政策提言・特区の再活性化のために ①第三者機関の改革 ・事務局の担当官僚を省庁から切り離す ・民間人を非常勤公務員として雇用して事務局に 専従させる ・第三者機関の設置を基本方針ではなく法律で定 める ・第三者機関に基本方針を作成させる

政策提言・特区の再活性化のために ②提案支援体制の強化 ・特区のPRおよび提案支援(コンサルティング) を民間に委託する

まとめ 特区制度が機能するためには ①自治体などが自発的に提案し ②それを、省庁側が積極的に受け入れる がことが必要 この二つの面を促進する改革を提言 →特区制度が機能すれば、地域再生や地方分権に 解決の方向が・・・