経営システム工学入門実験 ロジスティクス 第3回

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経営システム工学入門実験 ロジスティクス 第3回 経営システム工学入門実験 ロジスティクス 第3回 2018/7/16 担当教員 椎名孝之・蓮池 隆 桑 海侠 担当助教 佐藤哲也 TA: 椎名研究室修士2年、4年生

ロジスティクスシステム 材料の調達から、生産、最終ユーザーへの製品の配達、廃棄/回収までのトータルなものの流れの計画・管理・制御 工場立地 スケジューリング 生産計画 施設配置計画 需要予測 在庫管理 生産 原材料 輸送 需要 地点 輸送 配送拠点 配送 工場内物流 配送計画 輸送計画 調達物流 販売物流   材料の調達から、生産、最終ユーザーへの製品の配達、廃棄/回収までのトータルなものの流れの計画・管理・制御 静脈物流

「経営システム工学入門実験A」 ロジスティクスの狙い         「経営システム工学入門実験A」     ロジスティクスの狙い ロジスティクス、サプライチェーンマネジメントの側面を「体感」 ロジスティクス・システムの計画・管理に役立つ技法を「体感」 在庫管理 シミュレーション 最適化(数理計画)

数理計画問題 線形問題 1個100円、5個であれば500円のような比例関係のもとで、必要な条件を考慮しながら最も良い答えを求める問題   1個100円、5個であれば500円のような比例関係のもとで、必要な条件を考慮しながら最も良い答えを求める問題 非線形問題   大量購入による値引きや交通量の増加による渋滞など、購入量や交通量に比例しないため、非線形と呼ばれる

多様な解き方 図式解法: グラフを用いて解く 表計算ソフト: ソルバー 数理モデリング言語: AMPLやLingo,Lindo

仕入れ問題 ある家具店は卒業シーズンに備え、社会向けの陳列コーナーを設けようとしている。仕入れる予定の商品はベッドと洋服タンスの2種類である。これらの2つの商品を100m2の陳列スペースに陳列しようとしている。また、今回の仕入れに利用できる資金は240万円が限度である。  陳列スペースに関して、ベッド1台につき、陳列スペースは2m2であり、これに対し、洋服タンスの陳列スペースは1m2である。また、ベッドの仕入れ価格は3万円が必要であることに対し、洋服タンスは6万円の資金が必要とする。  ベッドが1台販売によって、得られる利益は2万円、洋服タンスの販売による利益は3万円がもらえる。  上記の条件の下で、この店の店長はベッド何台、洋服タンス何台仕入れすれば、店の利益が一番多いでしょうか?

数理計画問題(最適化問題)の定式化 変数(variables)の定義 なにが制御可能か。なにを動かして最適化を達成しようとするのか。 目的関数(objective function)の定義 計画をどう評価するのか。評価値を大きくしたいのか、小さくしたいのか。 制約条件(constraints)の定義 どのような制約条件があるのか。

線形計画問題(LP) (Linear Programming) 目的関数、制約条件がすべて線形関数からなる 変数は、原則として非負の実数(連続変数) 最大化  z =Σ j=1,...,ncj xj 制約条件 Σ j=1,...,naij xj = bi , i=1,...,m      xj ≧0 , j=1,...,n

仕入れ問題の定式化 変数: ベッドの仕入れ台数x、洋服タンスの仕入れ台数y 目的関数 利益最大化 制約条件 陳列スペースの制約:  陳列スペースの制約:  資金の制約:  非負制約: x>=0、 y>=0

仕入れ問題 変数:ベッド:x  タンス:y 目的関数(利益の最大化): 2x+3y 制約条件: 陳列スペースの制約: 予算の制約: ある家具店は卒業シーズンに備え、社会向けの陳列コーナーを設けようとしている。仕入れる予定の商品はベッドと洋服タンスの2種類である。これらの2つの商品を100m2の陳列スペースに陳列しようとしている。また、今回の仕入れに利用できる資金は240万円が限度である。  陳列スペースに関して、ベッド1台につき、陳列スペースは2m2であり、これに対し、洋服タンスの陳列スペースは1m2である。また、ベッドの仕入れ価格は3万円が必要であることに対し、洋服タンスは6万円の資金が必要とする。  ベッドが1台販売によって、得られる利益は2万円、洋服タンスの販売による利益は3万円がもらえる。  上記の条件の下で、この店の店長はベッド何台、洋服タンス何台仕入れすれば、店の利益が一番多いでしょうか?

仕入れ問題 変数:ベッド:x  タンス:y 目的関数: 2x+3y (最大化) 制約条件: 陳列スペースの制約: 2x+y <=100  予算の制約: ある家具店は卒業シーズンに備え、社会向けの陳列コーナーを設けようとしている。仕入れる予定の商品はベッドと洋服タンスの2種類である。これらの2つの商品を100m2の陳列スペースに陳列しようとしている。また、今回の仕入れに利用できる資金は240万円が限度である。  陳列スペースに関して、ベッド1台につき、陳列スペースは2m2であり、これに対し、洋服タンスの陳列スペースは1m2である。また、ベッドの仕入れ価格は3万円が必要であることに対し、洋服タンスは6万円の資金が必要とする。  ベッドが1台販売によって、得られる利益は2万円、洋服タンスの販売による利益は3万円がもらえる。  上記の条件の下で、この店の店長はベッド何台、洋服タンス何台仕入れすれば、店の利益が一番多いでしょうか?

仕入れ問題 変数:ベッド:x  タンス:y 目的関数: 2x+3y (最大化) 制約条件: 陳列スペースの制約: 2x+y <=100  予算の制約: 3x+6y <=240  ある家具店は卒業シーズンに備え、社会向けの陳列コーナーを設けようとしている。仕入れる予定の商品はベッドと洋服タンスの2種類である。これらの2つの商品を100m2の陳列スペースに陳列しようとしている。また、今回の仕入れに利用できる資金は240万円が限度である。  陳列スペースに関して、ベッド1台につき、陳列スペースは2m2であり、これに対し、洋服タンスの陳列スペースは1m2である。また、ベッドの仕入れ価格は3万円が必要であることに対し、洋服タンスは6万円の資金が必要とする。  ベッドが1台販売によって、得られる利益は2万円、洋服タンスの販売による利益は3万円がもらえる。  上記の条件の下で、この店の店長はベッド何台、洋服タンス何台仕入れすれば、店の利益が一番多いでしょうか?

制約条件 (陳列スペース) 変数:ベッド:x タンス:y 目的関数: 2x+3y (最大化) 制約条件: 陳列スペースの制約: 2x+3y (最大化) 制約条件: 陳列スペースの制約: 2x+y <=100  予算の制約: 3x+6y <=240  a点の座標(10, 20): ベッドは10台、洋服ダンス20台仕入れる b点の座標(30, 40): ベッドは30台、洋服ダンス40台仕入れる c点の座標(50, 10): ベッドは50台、洋服ダンス10台仕入れる

× 制約条件 (陳列スペース) 2*10+20=40 2*30+40=100 2*50+10=110 a点の座標(10, 20): b点の座標(30, 40): 2*30+40=100 c点の座標(50, 10): × 2*50+10=110

制約条件 (陳列スペース)

× 制約条件 (予算の制限) 3*10+6*20=150 3*30+6*40=330 3*40+6*20=240 a点の座標(10, 20): 3*10+6*20=150 b点の座標(30, 40): × 3*30+6*40=330 e点の座標(40, 20): 3*40+6*20=240

制約条件 陳列の制約条件 予算の制約条件 実行可能領域

目的関数 a 点の座標(10, 20): 2*10+3*20=80 Bの座標は?

目的関数     B点の座標(40,20) 利益を最大化させる ベッドの仕入れ台数は40台、 洋服ダンスの仕入れ台数は20台

輸送問題(Transportation Problem)

輸送問題 供給量 必要量 18 10 9 25 12 15 11 処理場A 6 工場X 1 5 4 処理場B 5 6 工場Y 3 処理場C  9 5 6 工場Y 25 3 処理場C 6 12 8 工場Z 7 2 15 処理場D 10 11 枝上に輸送距離

輸送問題 (Transportation Problem) 変数(決めたいこと) 処理場iから工場jへの輸送量xij (≧0) 制約条件 1)処理場iからの輸送量は処理場iの供給量以下 2)工場jへの輸送量は、工場jの必要量以上 目的関数(評価尺度;狙い) 延輸送距離を最小化

輸送問題の数式による表現 変数 xij =処理場iから工場jへの輸送量≧0 XAX XAY XAZ XBx XBY XBZ XCX XCY XCZ XDX XDY XDZ

輸送問題の数式による表現 目的関数  最小化  6xAX+xAY+ 5xAZ+ 4xBX+5xBY+6xBZ+3xCX+6xCY+8xCZ+7xDX +2xDY+10xDZ   (延輸送距離)

輸送問題の数式による表現 制約条件 xAX+xAY+ xAZ≦18(処理場Aの送出量≦処理場Aの供給量) xBX+xBY+ xBZ≦9(処理場Bの送出量≦処理場Bの供給量) xCX+xCY+ xCZ≦12(処理場Bの送出量≦処理場Bの供給量) xDX+xDY+ xDZ≦11(処理場Bの送出量≦処理場Bの供給量) xAX+xBX+xCX +xDX≧10(工場Xへの輸送量≧工場Xの必要量) xAY+xBY+xCY +xDY≧25( 工場Yへの輸送量≧工場Yの必要量) xAZ+xBZ+xCZ +xDZ≧15( 工場Zへの輸送量≧工場Zの必要量)

ソルバー使用上の留意点(1) 「変化させるセル」(変数セル)はなるべく一箇所にまとめる 複数の部分に分かれている場合はコンマ区切り 式をコピーする場合は、セルの相対参照と絶対参照を使いわける(セルの絶対参照切替はF4) 「ソルバーのパラメータ」で、「制約のない変数を非負数にする」にチェックし、「解決方法の選択」は「シンプレックスLP」を選択する

ソルバー使用上の留意点(2) 整数条件・0-1条件のある場合 整数条件や0-1条件が必要なときは、制約条件の指定の中で、変化させるセルを「int」(=整数)または「bin」(0-1)に指定する さらに、「ソルバーのパラメータ」の「オプション」で、「整数制約条件を使用した解決」のなかの「整数制約条件を無視する」の前のチェックをはずす

輸送問題の数式による表現 データ 処理場iの供給量ai, 工場jの必要量bj 処理場iから工場jへの距離cij 目的関数  最小化 ΣiΣjcijxij  (延輸送距離) 制約条件 Σjxij ≦ai (処理場iから送り出される量≦処理場iの供給量) Σixij ≧bj ( 工場jへ輸送される量    ≧工場jの必要量)

パレット回送問題 郵便局X 〒 郵便局Y 郵便局Z 郵便局A 郵便局B 郵便局C 郵便局D 140 120 270 250 70 50 出超局(都会) 入超局(田舎) +100 +250 +150 10 20 90 30 40 130 160 100 60 -180 -90 -120 -110

パレット回送問題のデータ

パレット回送問題の言葉による表現 流れの特徴: 都会から地方へのものの流れが、地方から都会へのものの流れより多い 流れの特徴: 都会から地方へのものの流れが、地方から都会へのものの流れより多い 特徴によって生じる問題: ほっておくと、都市のパレットあるいはケース(以下、パレット)がなくなる 対策: 余っているところから、足りないところに効率よく送る

コンピュータに問題を解かせる コンピュータに輸送問題を解かせるためには、解法が必要 解法については、「基礎OR」などで学習 数理計画を解くためのパッケージ ①EXCELのソルバー(小規模な問題) ②商用数理計画パッケージ   CPLEX、Gurobi、XpressーMP、...

今日の演習・宿題 「仕入れ問題」、「輸送問題」をソルバーで解く (実験後半) さまざまな問題を(数理計画で定式化して)ソルバーで解く (問題1~問題8)、余裕がある場合、問題9~15を解いてみる 宿題:問題16、17。宿題は、レポートとして提出。 締切7月23日(月)9時  提出箇所:実験室レポートボックス