馬モルビリウイルス肺炎 (Equine morbillivirus pneumonia)

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米国の外来呼吸器感染症での抗菌薬投与状況 抗菌薬投与率 普通感冒 5 1% 急性上気道炎 52% 気管支炎 6 6% 年間抗菌薬総消費量 21% 【 Gonzales R et al : JAMA 278 : ,1997 】
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馬モルビリウイルス肺炎 (Equine morbillivirus pneumonia) 届出伝染病: 馬。 動物衛生研究所 「家畜の監視伝染病」 病原体:  パラミクソウイルス科ヘンドラウイルス(Hendra virus)に起因する人畜共通感染症で、ヘンドラウイルス感染症とも呼ばれる。 疫学: 1994年オーストラリア、ブリスベン郊外(ヘンドラ村)のサラブレッド馬飼育場で馬の激しい呼吸器病が発生した。21頭の馬が感染し、14頭が死亡し、これら馬を世話していた調教師と厩務員の2名が感染して同様の呼吸器症状を示し、調教師1名が死亡した。 1995年ブリスベンの北部約1000km離れたマッカイ近郊、 1999年ケインズ、 2004年にはタウンスビルで死亡した馬の感染が確認されている。現在までヒトの発症数は3例6人であり、オーストラリア以外での発生は確認されていない。オーストラリアの森林に棲息する果食性オオコウモリが本ウイルスを保有しており、これとの接触またはその体液により伝播すると考えられている。

2008年 Redlands と Proserpine においてヒトと馬の感染 (R=Redlands, P=Proserpine) 赤:確定症例の有症期 ピンク:ウイルス未確定 ヒトの感染: Redlands Veterinary Clinic (RVC)で馬と頻繁に接触していた獣医師と看護師各1名が6月中旬に発病し、8月中旬に死亡した。 馬の感染: RVCでヘンドラウイルスが確認された5例では、運動失調(よろめき、歩様不安定、左右に傾く)、頭部の傾き、顔面神経麻痺、発熱、呼吸と脈の促迫、粘膜の退色が見られた。症例R1は骨格筋治療を受けていたが、6月26日に食欲廃絶とともに急激に病状が悪化したため安楽死させた。剖検の後、死体を処理業者に引き渡したが、その際のサンプルが中央の試験期間に送られ7月10日に確定した。  症例P1は7月10日に異変に気付いた畜主が開業獣医師の往診を受けたが、急激に憎悪し、翌朝死亡した。簡単な剖検で採材したサンプルから7月14日に確定。

運動障害、呼気相、興奮 沈鬱 軽度の鼻汁 安楽死 外観上正常 R2(雌馬)の体温と脈拍

R2(雌馬)の剖検所見  顎下腺と気管支リンパ節の水 腫状腫大、割面から液体が漏 出する重い肺が特徴的であった。 肺の横隔葉の表面に無数の点 状出血が認められた(右図)。 R3(雌馬)の剖検所見  顎下腺および胸骨と気管 支リンパ節の水腫状腫大、 肺の腹側葉辺縁のリンパ 管の膨張(左図)、子宮漿 膜面の退色と水腫

ニパウイルス感染症 (Nipah virus infection) 届出伝染病: 馬、豚、いのしし。 病原体:  パラミクソウイルス科ニパウイルス(Nipah virus)に起因する人畜共通感染症。脳炎で死亡した患者の出身地がクアラルンプール国際空港近くのNipah村であったことから命名されている。 疫学: 1998年9月末にマレーシアの北部イポーで豚の呼吸器感染症として発生し、クアラルンプール近郊の大養豚地域に拡がり、最終的には100万頭におよぶ豚が殺処分された。本病は人に感染して神経症状を起こし致死率も高い疾病で、1999年12月までに283名の患者が確認され、死者は109名に達した。この発生では、マレーシアから豚を輸入し屠殺していたシンガポールで11名が感染し、1名の死亡が確認されている。また、2003年、2004年、2005年と続けてバングラデシュで人のニパウイルス感染症が発生し、2003年は17名感染8名死亡、2004年は53名感染36名死亡そして2005年は32名感染12名の死亡が確認されている。しかし、バングラデシュの発生には豚の感染は確認されておらず、本病の自然宿主と考えられる果食性オオコウモリの関連が強く疑われている。マレーシアの発生では犬および馬の感染も確認されている。 OIE 小澤義博

ウイルスの感染環: 実線は確認済み、破線は推定段階 感染研 発生地は日本脳炎(JE)の常在地域であり、当初は日本脳炎が疑われた。媒介蚊の駆除、JEワクチンの集団接種などが実施された。しかし、患者のほとんどが成人男性であり、養豚場で豚の屠殺に関与している労働者であること、JEワクチン既接種者からも患者発生が出ていること、養豚場の豚に呼吸器・神経系の症状を示す死亡例があることなどから、JEとは異なる脳炎の流行として調査が進められた。 分泌物および尿との濃厚接触 フルーツコウモリ ブタ ウマ イヌ・ネコ・ネズミ 野生齧歯類 ヒト イノシシ  成豚での致命率は5%以下だが、妊娠豚では流産、子豚では発熱と痙攣から呼吸器症状が激しくなり死亡する。血液混じりの鼻汁や尿により感染する。  流行防圧のため、マレーシアでは約100万頭の豚が殺処分された。 ウイルスの感染環: 実線は確認済み、破線は推定段階

インドオオコウモリ:44匹中の2匹から抗体検出。 バングラデシュの流行 血清診断のみでウイルス分離が行われていないため、ニパ/ヘンドラ様ウイルスとしか記載できない。 インドオオコウモリ:44匹中の2匹から抗体検出。 一方、患者の家の周辺地域で採取された上記以外のコウモリ(2種)、ブタ、げっ歯類、トガリネズミ、ハト、イヌといった動物からは、ニパウイルス抗原に対する抗体は検出されなかった。 2001年4月26日~5月26日、インドとの国境に近いMeherpur地区において、熱性疾患および神経症状により、9名が死亡した。うち7名は家族であり、同じ家に暮らすか、隣接する家に居住していた。患者の平均年齢は40歳(32~60歳)、6名は男性であった。 2003年1月11日~28日、重篤症状を示す脳炎の新たな流行が、Naogaon地区で報告された。症状を訴えた17名(4~42歳)のうち、8名が死亡した。

ウイルスの感染環: 実線は確認済み、破線は推定段階 ニパウイルス感染症  1998年9月にマレーシア北部で発生した新種のウイルスによる脳炎患者は、翌年7月までに入院者265名に達した。その内105名が死亡し、致命率40%と極めて高いことで恐れられている。患者は1週間程度の高熱が続き、頭痛と錯乱、痙攣、昏睡へと進行して死亡した。  マレーシアにおける流行経過を追っていくと、いずれもブタとの接触のあることが判明した。さらに、シンガポールで11名の患者が発生したが、マレーシアから輸入した豚を食肉センターなどで取り扱ったことによるものであった。 フルーツコウモリ ブタ ウマ イヌ・ネコ・ネズミ 野生齧歯類 ヒト イノシシ  成豚での致命率は5%以下だが、妊娠豚では流産、子豚では発熱と痙攣から呼吸器症状が激しくなり死亡する。血液混じりの鼻汁や尿により感染する。  流行防圧のため、マレーシアでは約100万頭の豚が殺処分された。 ウイルスの感染環: 実線は確認済み、破線は推定段階