東北大学理学研究科 惑星大気研究室 M2 佐藤瑞樹

Slides:



Advertisements
Similar presentations
火星の気象と気候 2004 年 11 月 10 日 小高 正嗣北海道大学 地球惑星科学専攻. 講義の概要 太陽系の惑星概観 太陽系の惑星概観 地球型惑星と木星型惑星 地球型惑星と木星型惑星 地球と火星の比較 地球と火星の比較 火星の気象と気候 火星の気象と気候 探査衛星による最新の気象画像 探査衛星による最新の気象画像.
Advertisements

宇宙開発事業団 (NASDA) が開発した、環境観測技術衛星「みど りⅡ」 (ADEOS- Ⅱ ) 搭載の高性能マイクロ波放射計 (AMSR) による オホーツク海の流氷 ( 海氷 ) 画像。左図は 2003 年 1 月 18 日の夜間 (20 時半頃 ) に取得されたデータによる擬似カラー合成画像。
GAIA データベースを用いた大気重力波 レイトレーシング手法の開発 ISS-IMAP 研究集会 2015/09/01 情報通信研究機構 電磁波計測研究所 センシングシステム研究室 久保田実 宇宙環境インフォマティクス研究室 陣英克.
宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
大気科学入門 - 金星大気東西風の超回転について -
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
太陽フレアの磁気リコネクション流入流の発見
金星大気スーパーローテーションの時間変動性評価
タイタン探査の魅力 関根康人(東京大学 ・ 新領域) 杉田精司 ・ 石丸亮 ・ 今中宏 ・ 松井孝典
導波路放出光解析による量子細線の光吸収測定
GLI初画像 冬の低気圧の渦 九州と東シナ海
GPS観測 2006年度地球観測実習 ~新しい可能性を求めて~     新井隆太 大久保忠博 米田朝美        担当教官 宮崎真一.
冨川喜弘 (国立極地研究所・トロント大学)
Venus Express紫外雲画像から得られる 金星雲頂高度の周期的風速変動
金星キャンペーン あかつきの金星を見よう.
成層圏突然昇温の 再現実験に向けて 佐伯 拓郎 神戸大学 理学部 地球惑星科学科 4 回生 地球および惑星大気科学研究室.
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
*大気の鉛直構造 *太陽放射の季節・緯度変化 *放射エネルギー収支・輸送 *地球の平均的大気循環
ティコ第2星表を用いた限界等級の測定 目的 内容 宇宙粒子研究室 竹川涼太
2次元蛍光放射線測定器の開発 宇宙粒子研究室 氏名 美野 翔太.
CMIP5マルチ気候モデルにおける ヤマセに関連する大規模大気循環の 再現性と将来変化(その2)
Damped Lya Clouds ダスト・水素分子
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
はしもとじょーじ(岡山大学自然科学研究科)
近年の北極振動の増幅 Recent Arctic Oscillation amplification
In situ cosmogenic seminar
夏季における首都圏の ヒートアイランドの実態について
地球温度の変化.
速度勾配依存 変動エディントン因子 Velocity-Gradient-Dependent Relativistic Variable Eddington Factor Plane-Parallel Case 福江 純@大阪教育大学.
すばる望遠鏡を用いた 太陽系外惑星系の観測的研究
太陽風プロトンの月面散乱による散乱角依存性の研究
内視鏡画像からの奥行き情報提示による 視覚支援システムの開発
東京大学理学系研究科 天文センター M2 江草 芙実
ロスビー波( Rossby wave) 渦度 (vorticity) 順圧非発散流(絶対渦度の保存) ポテンシャル渦度(渦位)
中越沖地震で発生した 津波のシミュレーション  環境・建設系 犬飼 直之 助教.
金星における近赤外観測高度の特定 STP 岩上研 M2 高木聖子.
YT2003 論文紹介 荻原弘尭.
冬季北大西洋振動が 翌冬の日本の気候に与える影響
~系外短周期スーパー地球シリケイト大気に関する研究~
In situ cosmogenic seminar
2009年秋の北極海ラジオゾンデ観測によって観測された 大気の順圧不安定とメソ渦列
プロペラのTip Vortex Cavitation Bursting と プロペラ非定常計算結果の相関に関する研究
倉本研究室 宇宙理学専攻 修士1年 岡澤直也.
地球環境と気象.
菅野洋光 (農研機構東北農業研究センター) 渡部雅浩 (東京大学大気海洋研究所)
Johnson et al., 1999 (Journal of Climate)
ヤマセ時に津軽海峡で発生する強風 島田照久(1) 川村宏(1) 沢田雅洋(2) 余偉明(2)
金星昼面雲上における CO混合比半球分布の 地上分光観測
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
冬期極域成層圏対流圏循環の変動に おける赤道域QBOの影響の 統計的有意性
第 4 回.
竜巻状渦を伴う準定常的なスーパーセルの再現に成功
潮流によって形成される海底境界層の不安定とその混合効果
村上 浩(JAXA EORC) SGLI利用WG 2005/01/17
星間物理学 講義 3: 輝線放射過程 I 水素の光電離と再結合
MIROC5による将来のヤマセの再現性について(2)
第 4 回.
北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 B4 近藤 奨
2006 年 11 月 24 日 構造形成学特論Ⅱ (核形成ゼミ) 小高正嗣
400MHz帯ウィンドプロファイラとCOBRAで観測された台風0418号の鉛直構造
すばる /HDSによる系外惑星 HD209458bの精密分光観測
雲解像モデルCReSSを用いた ヤマセ時の低層雲の構造解析
トランジット惑星系におけるRossiter効果 I. HD209458での観測結果
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 4 年 堺 正太朗
オゾン層破壊のしくみ (2) 地球環境科学研究科 長谷部 文雄.
冨川喜弘 (国立極地研究所・トロント大学)
電離圏イオン流出現象 山田学,渡部重十(北大・理) プラズマ圏・内部磁気圏研究会(2002/03/13)
甲南大学 理工学部物理学科 宇宙粒子研究室 学籍番号 氏名 上田武典
従来研究 本研究 結果 南極大型大気レーダーPANSYで観測された大気重力波の数値モデル再現実験による力学特性の解明
Presentation transcript:

東北大学理学研究科 惑星大気研究室 M2 佐藤瑞樹 STPセミナー 2011/04/27 東北大学理学研究科 惑星大気研究室 M2 佐藤瑞樹

金星の極渦 polar dipole polar collar (cold collar) 両極付近の高温域 oval型, dipole型 極渦 (polar vortex) とは ⇨ 惑星の極域にできる大気の渦 polar dipole 両極付近の高温域 oval型, dipole型 polar collar (cold collar) dipole周囲の低温域 三日月型 Fig. 金星南極極渦の輝度温度分布 (5.05μm, 2007/05/06) [Piccioni et al., 2007] 現在までの観測 PVO (1978), Galileo (1990) ⇒北極、短期 VEX (2006 –) ⇒ 南極、長期

赤外域における極渦 polar dipole polar collar 2700 × 900km の高温域 雲頂で最高250K 2.5 ~ 3日で回転 形状の変動が激しい(波数2) polar collar 緯度60 ~ 75 度 (約4000km) 雲頂で最低210K 明け方に最低温固定(波数1) dipole 型の極渦は金星に特異 なぜ極が周囲より高温なのか? Fig. PVO による輝度温度分布 (11.5μm)

紫外域における極渦 dipole, collar は明瞭ではない 筋状の模様が見られる 中低緯度では100m/s、4日周期の雲の動き (スーパーローテーション) 雲追跡により風速が求められてきた 高緯度では風速減少, 周期増大 Venus Monitoring Camera (VMC) が観測中

研究の目標 宇宙研滞在中に行ったこと 赤外域の温度分布には大きな経度不均一性 紫外域の風速分布に経度不均一性は? 経度平均せず二次元的風速分布を導出したい 宇宙研滞在中に行ったこと VMCのジオメトリデータを利用し、画像を極中心の図法に展開 極渦の解析に適した画像を選定 今後の方針 雲追跡の手法により高緯度域の風速分布導出 赤外域での温度分布の経度非一様性と比較 現在の課題 極域の模様が淡く筋状 → 追跡精度が悪化 模様が移動に伴い回転する