地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出 岩上研究室 M2 粕谷紳太郎
目次 I. Introduction II. 金星夜面の観測 III. 定量方法 IV. 結果 V. まとめ&課題 ・ Scan ・ 熱放射 ・ 金星 ・ 過去の観測 II. 金星夜面の観測 ・ 目的&観測概要 ・ Scan III. 定量方法 ・ スペクトルの合成 ・ 熱放射 ・ 迷光成分の除去 図1 Galileoによる金星夜面 ・ H2Oの定量 IV. 結果 V. まとめ&課題
金星 表1 金星の各パラメータ 図2 各波長の高度情報
過去の観測 その場観測 時間・空間共に限られてしまう。 大気窓利用 [V. S. Meadows&D.Crisp, 1996 ]
最下層大気の観測 アプローチ:最下層での水蒸気の広域分布を調べ、水蒸気の濃淡やソースの理解につなげる。 ・観測例があまりなく、広い領域を観測した研究は数例。 ・その場観測での水蒸気量の変化は、地上観測を含めて確認されていない。 アプローチ:最下層での水蒸気の広域分布を調べ、水蒸気の濃淡やソースの理解につなげる。
目的 1.18μmの金星夜面の熱放射スペクトルを解析し、下層大気(~15km)における水蒸気量の半球分布を導出し、水蒸気の集中する領域の特定したい 観測概要 Observatory : 県立ぐんま天文台(GAO) Date : May 11, 2004 Local time : 19:43‐20:12 (JST) Telescope : 口径150cm 反射望遠鏡 Instrument : 赤外アレイHAWAII, 1024×1024 Spectral range : 1.17~1.32μm Spectral resolution : ~1500 Seeing : ~2.5″ Diameter : 42″ Slit width : 1.0″ Pixel pitch : 0.4″ nightside 81% 0.6” /min slit 1” pix 0.4” Object :Nightside Thermal Emission 図4 観測状況
Scan Slit 地球と金星の公転方向速度差を利用してスリットを移動させる「公転差スキャン」 ピクセル番号 金星の動き スリット番号 図5 公転差スキャン 地球と金星の公転方向速度差を利用してスリットを移動させる「公転差スキャン」 スリット番号 図4 1.18µmの熱放射分布
定量手順 ① 地球大気・金星大気の透過率を求める ② 昼面からの迷光成分の除去 ③ 金星熱放射スペクトルを合成し、 混合比を定量 Observed Thermal Emission Contaminant 図6 スペクトル例 ① 地球大気・金星大気の透過率を求める ② 昼面からの迷光成分の除去 ③ 金星熱放射スペクトルを合成し、 混合比を定量
地球大気吸収スペクトルの合成 スペクトルの合成に用いたデータ ・分子吸収線データベースHITRAN2004 ・地球大気モデルのMSIS 図7 地球大気微量成分分布 スペクトルの合成に用いたデータ ・分子吸収線データベースHITRAN2004 ・地球大気モデルのMSIS ・観測の際に同時に観測した標準星のスペクトル calc Star
金星大気吸収スペクトルの合成 スペクトルの合成に用いたデータ ・分子吸収線データベースHITRAN2004 ・およびその高温高圧環境用HITEMP ・金星大気経験モデルVIRA 図8 金星大気微量成分分布(Pollack,1993) 図11 金星大気の透過率
熱放射 観測される熱放射 Thermal Emission Contaminant 地面成分 大気成分
× ×α ×(1-α) 迷光成分のスペクトル合成 + 合成に用いるデータ ・地球・金星大気透過率 ・太陽大気での吸収 αを変化させて観測スペクトルに合わせて決定
迷光成分の除去 night day Obs Model 差分 合成したスペクトルを観測のスペクトルから除く
5-28 11-28 5-20 11-20 28-20 5-13 11-13 28-13
熱放射 計算スペクトル 観測スペクトルのトレンドを除く フィルタ幅 で平滑化 トレンド( )を除去 最小二乗法でフィッティング
結果 誤差の評価
まとめ 課題 ・高度(~15km)の大気中の水蒸気量は標準の0.6~0.7倍程度。 ・他の観測結果と比較して有意な値 ・水蒸気の緯度構造は、やや極域に多い傾向が見られた。 課題 ・輝度分布から金星の縁を決め、座標をふり半球分布を作成。 ・分布から、ばらつきを見て水蒸気の集中する領域が存在する可能性を示せるのか。 ・定量結果の見直し ・誤差の議論
おわり