第13回 相談援助の展開と 個別支援計画.

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図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
*:「自己理解・自己成長プログラム」を含む B:ベーシックコース、E:エキスパートコース、P:プロフェッショナルコース
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2010応用行動分析(3) 対人援助の方法としての応用行動分析
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第13回 相談援助の展開と 個別支援計画

社会(制度)と人をつなぐ 雇用 年金 介護 障害 医療 相談支援 生活保護

ソーシャルワークの機能 社会環境 人 1 2 3 人と環境とを調整する機能 人の対処能力を強化する機能 環境を修正・開発する機能

ソーシャルワークの視点 ある人の生活課題が生じる原因として、 ×個人の内面に問題がある ○人と環境との関係に問題がある  ×個人の内面に問題がある  ○人と環境との関係に問題がある 人と環境との全体を捉える視点 生活モデル ホリスティック(全体的)アプローチ エコロジカル(生態学的)アプローチ

ソーシャルワークの構成要素 全米ソーシャルワーカー協会(1958) 目的 目的 価値 知識 方法・技能 権限の委任 ↑ 方法・技能 5は必ずしも 不可欠ではない という意見も 知識 価値 方法・技能 目的 権限の委任

1.目的 個人、家族、集団、地域住民の社会生活 機能を増進すること 人間の福利(Well-Being)の増進 福祉の増進を目指して、社会変革を進め、 人間関係における問題解決を図り、人々 のエンパワメントと解放を促進していく

2.価値(価値観) すべての人間は平等であり、尊厳を有し ている 現実の社会が有している社会的価値 ソーシャルワーカー個人の有している 個人的価値 専門職として有している価値 機関が有している価値    優先すべきは、③になる

3.知識 他の分野からの知識 既存の人間の発達や行動、社会のシステ ムに関する知識 経験から引き出される知識 (実践知) 心理学、社会学、経済学、法学、、、 既存の人間の発達や行動、社会のシステ ムに関する知識 経験から引き出される知識 (実践知) 個人と環境の間の複雑さを理解する 診断→治療 と上手くはいかない

4.方法・技能 人と環境を全体的に捉え、個人だけでは なく、家族、地域、制度にまで介入して いくことになる ソーシャルワークの技能とは、 適切な技法を選び、活用すること 全米ソーシャルワーク教育協議会(1988) 認知する技能(cognitive skills) 相互作用に関する技能(interactive skills)

5.権限の委任 ソーシャルワークの実施を、国や地方公共 団体、職脳団体や個々のサービス事業者、 クライエントから承認を得ていくこと 社会全体からその存在を認めてもらう 職域の拡大と待遇改善を図る  例)行政の専門職採用の推進

ソーシャルワーカーの主要な役割 ブローカー (仲介者) SW イネーブラー (力を添える者) SW メディエーター (媒介者) SW 環境 クライエント 資源 SW クライエント コーピング SW 環境 クライエント 葛藤

相談援助の構成要素 パールマンの4P Person Problem Place Process 受身の弱者ではなく、主体的な存在 生活課題(人と環境の関係性に焦点) Place 援助を行う場所 機関の限界・制約を知る必要がある Process 目的を持って展開する援助過程

相談援助のプロセス インテーク アセスメント プランニング インターベンション モニタリング エバリュエーション

0.ケースの発見 施設・機関への来所・電話・メール… ソーシャルワーカーが家や地域に出向いて発 見することもある インボランタリー・クライエント クライエントは、自ら相談したいと考えている とは限らない 「何を話すかわからないが、行くように言われ たので来た」 相談援助の意味や目的を理解していない 相談に拒否や反発などのマイナス感情を持つ

1.インテーク(受理面接) 相談援助の最も初期の段階 主訴の提示 ソーシャルワーク機能の説明 契約 クライエントが何を相談したいのか どのような援助ができるか 契約 問題の解決を協同して行うか確認する (支援契約・治療契約)

インテークの留意点 相談しやすい雰囲気づくり 問題の明確化 SWの機能の明確化 不必要な緊張を強いないように プライバシーの確保 ラポールの形成、傾聴、個別化 問題の明確化 主訴に十分耳を傾けて、問題を的確に把握 緊急度を把握し、適切に対応する SWの機能の明確化 適切な援助が提供できない場合は、他の機関・ 施設を紹介する、つなぐ

契約の重要性 対等な関係性の確保 クライエントの自己決定権を尊重する 援助者-被援助者の相互作用の促進 クライエントの動機づけ 説明責任(accountability)を果たす 説明と同意(Informed consent)の遂行

2.アセスメント 生活課題に関する情報を収集・分析する 支援計画の目標設定への方向づけ 主訴 専門的援助の必要性 ニーズ 機関の機能の範囲内か ソーシャルワークの価値 自分の力量の範囲内か 主訴 専門的援助の必要性 ニーズ 他者との関係 専門的援助をすべき焦点

Bradshaw, J. A のニーズ分類 ノーマティブ・ニード フェルト・ニード エクスプレスド・ニード コンパラティブ・ニード 専門職から見た/判断したニード フェルト・ニード 本人が自覚したニード エクスプレスド・ニード フェルト・ニードを表明したニード コンパラティブ・ニード 他者との比較により導かれたニード

アセスメントの留意点 問題の病理に加え、クライエントの健全な 側面、可能性、潜在能力なども把握する →ストレングス・エンパワメントの視点 問題の病理に加え、クライエントの健全な 側面、可能性、潜在能力なども把握する  →ストレングス・エンパワメントの視点 提起された問題と諸要因の関連性を把握する 問題解決に必要な社会資源の存在と、それに 関連する情報を確認する

ジェノグラム・エコマップの活用

3.プランニング 援助の最終的な目標と、それを達成する ためのいくつかの小さな目標を明確にし ていく 具体的な目標を設定する 誰が・何をするのか 社会資源の何を、どのように活用するか 援助目標に向かって援助計画が 立てられる

介護サービス計画の立案 要介護者がサービスを利用する場合には、 原則としてケアマネジャーに居宅サービス 計画(ケアプラン)の作成を依頼し、これ に基づいて利用することになる 要するに、介護サービスの組み合わせ方を、 ケアマネジャーに考えて作ってもらう。 ケアマネジメントという

4.インターベンション(介入) 支援計画に基づいた援助を行う 直接的活動:クライエント個人に 働きかける 間接的活動:環境・社会に働きかける 直接的活動:クライエント個人に       働きかける 間接的活動:環境・社会に働きかける 援助者、機関が保有するあらゆる機能を活 用し、動員可能な社会資源を有効活用する クライエントの可能性や潜在能力を発揮で きる場と機会を確保する

5.モニタリング 支援計画に沿って介入が遂行されているか を点検・評価する モニタリング=フィードバック 状況の変化や新たなニーズが確認された場 合、支援計画の変更や新たな計画を立てる ため、再アセスメントが必要になる

6.エバリュエーション(評価) 援助目標に照らしながら、援助プロセスの 妥当性・有効性を評価する クライエントの主観的評価、援助者側の客 観的評価の両方を用いる 未解決 解決 支援の継続 再アセスメント、プランニング~を繰り返す 合意の上で終結 必要に応じ、終結後も見守り、再度関わる準備をする 他の機関へ引き継ぐ

援助プロセスと実践を支える 基本概念の図 問題の解決策についての話し合い 共同作業 関 心 情報収集 ・ 労 力 ラポールの形成 ソーシャルワーク理論 ソーシャルワークの価値・視点 時間

岡村重夫の4つの原理 社会性の原理 全体性の原理 現実性の原理 主体性の原理 クライエントを、社会関係に位置する社会的 存在と捉える 個人の生活はある側面のみを切り離して捉え ることはできない 現実性の原理 生活は、しばらく休んだり止めたりできない 主体性の原理

COOL HEAD & WARM HEART 冷静な知性 ・知識 ・方法・技能 ・根拠ある実践 (EBP:Evidence Based  ・知識  ・方法・技能  ・根拠ある実践 (EBP:Evidence Based Practice) 温かい情熱 ・共感的理解 ・思いやり ・関心 引用:smart org