特別支援教育2 全体利益から考える.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
学習目標 1 .セルフマネジメントモデル,学習援助型教育とは何か を理解する. 2 .セルフマネジメント支援のために必要な構成要素につ いて理解する. 3 .セルフマネジメントにおいて看護職に求められる能力 と責任について理解する. SAMPLE.
Advertisements

教育と発達. 能力とは何か(まとめ) 能力=何かできること 教育との関連での条件 – 価値ある能力であること – 訓練で発達可能であること – 教えることが可能であること ふたつの階層性 – 価値的な階層 – 発達の規定性としての階層.
第 2 章 子どもの成長・発達と看護 3. 幼児期の子どもの成長・発達と看護( 2 ) 学習目標 1 .幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解する. 2 .幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確 立に向けた援助を理解する. 3 .幼児にとっての遊びの意義と発達を促すために必要な 遊びへの援助を理解する.
がん患者の意思決定について がん患者の意思決定と、その過 程、要因について知る がん患者の意思決定への支援に ついて考える 先端侵襲緩和ケア 看護学 芦沢 佳津美.
特別支援教育につい て. 「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」 ( 文 部科学省 答申) <特別支援教育の在り方の基本的考え方> 特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だ けでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて 障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、そ.
高等教育機関における軽度発達障害学生の支援について(2) 関東1都3県の大学・短期大学に対する2次調査の結果より
Ⅰ 今後の特別支援教育のあり方 1 特殊教育と特別支援教育の違い 従来の特殊教育 障害の程度に応じ特別の場で指導する特殊教育体制であった
第3章 わが国における聴覚障害教育の目的と制度
広義の自閉症と考えてよい。 知的障害のある「自閉症」「非定型自閉症」と、知的障害のない「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などがある。
発達障害と統合失調の類似性 原因を求めれば発達障害が増える
特別支援教育の対象の概念図(義務教育段階) (平成26年5月1日現在) 義務教育段階の全児童生徒数 1019万人 特別支援学校 視覚障害 知的障害     聴覚障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱  0.67% (約6万9千人) 小学校・中学校 特別支援学級 視覚障害 聴覚障害 知的障害 肢体不自由 視覚障害.
「ストレスに起因する成長」に関する文献的検討
富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮
校内支援体制の構築と その運用 茨城県守谷市立松前台小学校
特別支援教育 全体利益から考える.
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
研修の目的(教材の狙い) 現場の負担軽減を図る 放射線の専門家になる必要はない 気持ちの負担に配慮
「存在の肯定」を規範的視座とした作業療法理論の批判的検討と 作業療法・リハビリテーションの時代的意義 田島明子
ドイツの医師職業規則 から学ぶもの 東京医科歯科大学 名誉教授  岡嶋道夫.
平成21年度 特別支援学校新教育課程中央説明会 (病弱教育部会).
保健学習の進め方・指導案の書き方 さいたま市立三橋小学校   豊島  登.
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
大分県立宇佐支援学校 グランドデザイン (平成28年度版)
脳性まひをもつ 子どもの発達 肢体不自由児の動作改善を目指して 障害児病理・保健学演習 プレゼンテーション資料 2000年2月24日
平成27年度 埼玉県障害者 虐待防止・権利擁護研修
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の概要
児童労働問題とILOの取り組み ー条約の重要性ー
誕生をめぐる問題 出産への思想と教育思想は同根.
若者はいま -新しいライフスタイルを求めて- 労働調査協議会
教師教育を担うのは誰か? 日本教育学会第70回大会ラウンドテーブル 2011年8月24日 千葉大学 2108教室
重症心身障害児者等 支援者育成研修テキスト 5 ライフステージにおける支援① 各ライフステージにおける 相談支援に必要な視点
教育を受ける権利(2) 障害者.
特別支援教育 全体利益から考える.
教育を受ける権利(2) 障害者.
エイズとその予防.
ヘルスプロモーションのための ヘルスリテラシーと 聖路加看護大学『看護ネット』
<校訓> つよく・あかるく・たくましく 【目指す宇佐支援学校の児童生徒像】
知的障害・発達障害 と差別解消法 2013年9月28日(土) REASE公開講座:知的障害・発達障害と社会
特別支援教育 障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,児童生徒一人一人の教育的二一ズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導や必要な支援を行うものである。 (「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」平成17年12月8日.
軽度発達障害の理解 中枢神経系における脳の機能障害である。 → 脳の発達の遅れ
教師を育てる行政.
特別支援教育 全体利益から考える.
教育行政組織(1) 指導助言と監督命令.
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
アメリカ教育 20世紀末から21世紀へ.
(2)発達障害学生の 修学支援・就労支援 第24回障害と多様な仕事の在り方研究会 (2017年10月27日) 国立大学法人浜松医科大学
2019/4/8 ストリートチルドレン 村瀬絵里奈 寺島友広 武田剛.
安全は成長の大前提? 安全か効率性か.
主な人権課題から.
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」
(C)2011女性にやさしい職場づくりナビ.
平成29年度 埼玉県立熊谷特別支援学校グランドデザイン
SCS研修「高等教育における障害者支援(2)」 国際的な障害者の権利保障と教育
経営計画策定の心得.
トピック6 臨床におけるリスクの理解と マネジメント 1 1.
教育を受ける権利(2) 障害者.
学習目標 1.栄養代謝機能に影響を及ぼす要因について説明することができる. 2.栄養代謝機能の障害による影響を,身体,精神機能,社会活動の三側面から説明することができる. 3.栄養状態をアセスメントする視点を挙げることができる. 4.栄養状態の管理方法について説明することができる. SAMPLE 板書.
教育行政学2018 導入説明.
教育と発達.
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
特別支援教育における 歯・口の健康つくり      都立しいの木特別支援学校                校長 堀内省剛.
図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
DI者の権利擁護にかかる相談窓口とソーシャルワーク・ポリシー
健康教育導入について 宮崎県薬剤師会 健康教育推進委員会  鈴木 啓子.
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
2019年度 すべての教職員のための授業改善研修 本研修の背景とねらい
浜松医科大学附属病院・磐田市立総合病院 チャイルド・ライフ・スペシャリスト 山田 絵莉子
・特別支援教育について ・発達障害等の特性 ・教育環境等の整備
Presentation transcript:

特別支援教育2 全体利益から考える

考えるべきこと 新人教師が最も苦労すること:発達障害の子 障害とは何か、障害をつくりだすもの 教育にとっての障害の意味、教育の役割 社会にとって、障害者のための取り組みをすることの意味

歴史的概観(排除・慈恵・権利)1 受精から出産・成長は、全てが順調ではない 順調ではない人は自然に淘汰された(流産・死産・0歳の病死) 人為的淘汰(子捨て)も cf 山本宣治 成長した者は、ほとんどが健康であり、そうでない者も重篤ではなかった→共同体の中で生活し、仕事も可能な限りしていた 特有の職業も(鍼灸師・琵琶法師)塙保己一

歴史的概観2 義務教育の開始 排除か学級内放置 就学免除・猶予規定(国家が判断) 篤志家による学校(近江学園の糸賀和雄) 義務教育の開始 排除か学級内放置 就学免除・猶予規定(国家が判断) 篤志家による学校(近江学園の糸賀和雄) 教育義務は保護者と子どもであり、国家の義務は1979年になって法定された 戦後は県による養護学校(盲・聾)の設置が進んだ。(ただし1979年までは任意)

歴史的概観3 戦後の変化(とくに1970年代後) 国家の教育義務(すべての子どもが学校教育を受ける権利をもち、国は保障義務) 国際的な保障政策の推進 障害者の権利・ノーマライゼーション・インクルーシブ・ユニバーサルデザイン等々 化学物質等の身体的影響の増加 医療の前進

障害は何故おきるのか 社会が障害を創設するという側面 器官・組織自体が欠損(先天的・後天的) 義務教育以前は「読字障害」はない 知的障害も原始時代と現代では異なる 嗅覚が弱いことは障害ではない(「犬になった男の話」オリバー・サックス) 器官・組織自体が欠損(先天的・後天的) 中枢神経系のなんらかの異常による(多くの障害) 育児や改善との理論的問題

中枢神経機能1 どのような機能が作用しているか、考えてみよう

障害を起こす諸要因 遺伝的要素・染色体DNA的要因 胎内の成長過程での発育上の問題 出産時 成長後 母親のストレス・疲労・有害化学物質 情報不足や偏り(シナプス形成は感覚器官からのインプットにより生じる) 化学物質による脳神経系の異常

教育学と障害1 医学: 治療(薬物・手術等)行為で、原因を除去して、正常な働きに戻す。 医学: 治療(薬物・手術等)行為で、原因を除去して、正常な働きに戻す。 リハビリテーション: 失われた機能を外的な働きかけと意思で継続的に行い、それによって、神経系を再構築する。 教育: 行うことはリハビリと同じだが、何が失われ、それをどのようにすれば回復するのか未知の段階でも、模索しながら取り組む。

教育学と障害2 医師は、生理学的な検査を行って、原因を探るが、教育的実践は、「行動」から類推する。類推のためにさまざまな試験的実践を試しながら、真の原因を探り、かつ原因をより細かな要素にわけ、要素ごとの指導を探る。 例題  1ある文章を音読できない人が 2エスカレーターに足を踏み出せない人

教育学と障害3 読めないことで考えられること エスカレーター 視力上の問題 知らない字がある 意味がわからないので、適切なリズムがとれない 発声上の問題がある エスカレーター 動いているエスカレーターを追えない 動きにあわせて足を踏み出せない 恐怖感で萎縮している

特別支援教育をめぐって 特殊教育から特別支援教育へ(統合・新しい概念((学習障害・高機能自閉症・アルペルガー・ADHD))・コーディネーターと個別計画) 専門的指導か共同学習か

障害者問題 能力を適切に発達させることの困難(教育) 健常者用に作られた設備・システムでは行動できない。(合理的配慮) 就職し、経済的に自立する困難(雇用政策) 必要な援助を得る困難(費用・人・施設) 差別や偏見