追加資料③ 岸本 祐二.

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追加資料③ 岸本 祐二

Contents (1) 古典的コンプトン法 + MLEM

(1) 古典的コンプトン法 + MLEM

(1.1)カットをどこまで削るべきか MLEM法を導入するにあたり、できるだけ高い検出効率を実現できるようにカット条件を決めたい。MLEM法を用いた場合、PSFはARMに近づいていくことを考えて、ARMが綺麗に見えることを指標にカット条件を決めるとする。 まずは、カットを全てはずしてみる。その場合のARMが以下。 裾の成分が結構見られる

(1.1)カットをどこまで削るべきか 次に、Fiducialカットのみ入れてみる。Fiducial Volumeは28×28×28cm3。その場合のARMが以下。 まだ裾が残っている。

(1.1)カットをどこまで削るべきか 更に、Energyカットを加える。 その場合のARMが以下。 R(E0)= 0.147 * sqrt(356) / sqrt(E0) として、|E -E0| > R(E0) ならカット (E0 : 入射γのエネルギー [keV],E : 再構成γのエネルギー [keV],R(E0)エネルギー分解能(HWHM)) その場合のARMが以下。 裾が随分なくなった。以後、Fiducialカット+Energyカットという条件をデフォルトとすることにする。

(1.2)検出効率 Fiducialカット+Energyカットという条件の場合の検出効率を以下に示す。 コンプトン確率 1本のPMTに散乱γの全てのエネルギーを落としている コンプトン点がfiducial volume(28×28×28cm3)中にある Energy cut後

(1.3)MLEM法の導入 より細いPSFを得るために、MLEM法を導入した。シミュレーションにおいて様々な方向からγ線を降らせることで感度関数を作成した。できるだけ詳細な区切りで感度関数を作るべきだが、シミュレーション時間との兼ねあいから、今回は検出器の中心軸に対して感度関数が回転対象であると仮定して作成した。イメージの描き方はComptelのデータ空間(散乱角φと散乱γの方向ψ、λの3次元空間)上の各イベントを頂点とする頂角45度の円錐を描き、φ=0の平面と交わる円を重ねていく(高田さんのやりかたと同じ)。 高田さん資料より

(1.4)MLEM法の効果 Signalイベントに対するイメージ(200keV単色光を入射角=0度から入射した場合) MLEM X軸への   Projection X軸への   Projection MLEM (Iteration : 3) 10.6度(FWHM)

(1.4)MLEM法の効果 Bgイベントに対するイメージ(200keV単色光を等方的に入射させた場合) MLEM X軸への   Projection X軸への   Projection MLEM (Iteration : 3)

(1.5)MLEM法導入後のPSF エネルギー毎に画像処理後のPSFを調べた結果が以下。Iteration回数はいずれも3回。 PSF ARM 400keV以下はARM程度になっている。500keV以上はPSFがARMまで下がっていない。500keV以上に関しては使用したイベントの数が少ない(単にイベントが溜まるまで待てなかった)という事情があるがそのせいか?

(1.6)MLEM適用時のPSFを仮定した場合の感度計算 キルナ、高度40km Cygnus X-1 南中を跨ぐ24時間×10日間観測(高度40km、BG5倍) 1522 [photons], Bg : 29361 [photons] →  S/sqrt(S+2B) = 6.20, S/sqrt(S+B) = 8.66 Crab Nebula 南中を跨ぐ21時間×10日間観測(高度40km、BG5倍) 907 [photons], Bg : 16793 [photons] →  S/sqrt(S+2B) = 4.88, S/sqrt(S+B) = 6.82 以前使っていたPSF         (Classical Compton) 以前、Classical Comptonの場合で見積もった時と比べて随分とSignificanceが上がっている。これはPSFが極端に小さくなっていることにともなうBgイベント数の減少が主に効いている。

(1.6)MLEM適用時のPSFを仮定した場合の感度計算 大樹町、高度35km 南中を跨ぐ3時間×1日間観測(高度35km、BG1倍) 38 [photons], Bg : 216 [photons] →  S/sqrt(S+2B) = 1.77, S/sqrt(S+B) = 2.41 Crab Nebula 南中を跨ぐ3時間×1日間観測(高度35km、BG1倍) 49 [photons], Bg : 296 [photons] →  S/sqrt(S+2B) = 1.93, S/sqrt(S+B) = 2.63 Cygnus X-1 大樹町、高度40km 南中を跨ぐ3時間×1日間観測(高度40km、BG1倍) 56 [photons], Bg : 184 [photons] →  S/sqrt(S+2B) = 2.70, S/sqrt(S+B) = 3.59 Crab Nebula Cygnus X-1 南中を跨ぐ3時間×1日間観測(高度40km、BG1倍) 71 [photons], Bg : 252 [photons] →  S/sqrt(S+2B) = 2.97, S/sqrt(S+B) = 3.96

(1.7)改良の効果 <A>~<E>全部やると ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ×3.2 古典的コンプトン法を使った場合は下記の<D>の効果が望めなくなる。 <A> ガスを1.5気圧にする ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ <B> ベッセルの2層化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ <C> 姿勢を制御し天体追尾 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ <D> αカットの代わりにDeltaカット ・・・・・・・・・・・・・・・・ <E> PSFカットの最適化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Significanceが何倍になるか <A>~<E>全部やると ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ×3.2 1.57σ以上の観測条件ならば改良を施した場合に5σを達成できる P12,P13のSignificanceには、上記の改良の効果は含まれていない。

(1.8)BGとSIGを足し合わせたら 大樹町の高度35kmでの取得イベントの割合に合わせてSignalイベントとBGイベントを足し合わせる。その場合にSignalの成分が見えるか? 300keV 300keV X軸への   Projection X軸への   Projection MLEM (Iteration : 3) Signalの成分があまり見えない→バックグラウンド成分の差し引きを考える必要がある

(1.9)MLEMが適用できるとした場合の観測時間 前ページで示したように、BGとSignalを混ぜた場合についてはまだ工夫する必要がある。また、そもそも、最低限どれくらいのSignalイベントがあればMLEMが有効に働くかについても調査が必要である。 仮に上記の問題をクリアできたとしたら、どれくらいの観測時間でCrabやCygnasが受かるかを計算した結果が以下の通り。 ① キルナでCygnusX-1を観測する場合 (観測条件) 40km、1日間(24時間観測) (検出器の条件) 高橋ガス1.5気圧、TPC容器2層化、姿勢制御 → 6.27σ ② キルナでCrabを観測する場合 (観測条件) 40km、1日間(21時間観測) → 4.94σ ③ 大樹町でCygnusX-1を観測する場合 (観測条件) 35km、1日間(3時間観測) → 6.18σ ④大樹町でCrabを観測する場合 → 5.66σ ※検出器に必要な条件はP14の改良の効果を考慮して見積もっている。セレクションの改良効果も計算に入っている

まとめ ・ MLEM法を用いることでARM程度までPSFを細くすることができる (確実に確認できたのは400keV以下までだが) ・ しかしながら、バックグラウンドとSignalが混ざったイベントに対してMLEM  を適用してもそのままではSignalのピークが見えない →バックグラウンドの差し引きを考える必要がある ・ MLEMが適用できるとした場合、検出器に改良を加えるとキルナ・大樹町  共に1日でCrab、Cygnusが見える