媒質中でのカイラル摂動論を用いた カイラル凝縮の解析

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媒質中でのカイラル摂動論を用いた カイラル凝縮の解析 京都大学 原子核理論研究室 M2 郷田創一郎 共同研究者 京大基研 慈道大介 夏の学校 8月9日

目次 背景 手法 有限密度中でのカイラル凝縮 媒質中のカイラル摂動論 解析 まとめ・将来

背景 有限密度領域では 格子QCD使えない この研究であつかう領域は、ハドロン相の低密度領域

カイラル凝縮の密度依存性を知りたい ハドロン相 カイラル対称性が回復 カイラル対称性の自発的破れ 核媒質中での対称性の部分的回復に注目 核 しかし有限密度では カイラル対称性が回復 カイラル凝縮 秩序変数は 特に・・・ 核 π NGボソン(π,K,η)と核子の多体系 中間子原子など 核媒質中での対称性の部分的回復に注目 ハドロンの言葉で、部分的回復がみたい まずはカイラル凝縮の密度依存性を解析 カイラル凝縮の密度依存性を知りたい どれぐらいの密度でカイラル対称性が回復するか? ハドロンの物理量から、如何に対称性の部分的回復がわかるか?

有限密度中でのカイラル凝縮 あらゆる密度で成り立つ関係式 この2点関数を考えれば良い φ A :擬スカラー密度 :有限密度の基底状態 D. Jido, T. Hatsuda and T. Kunihiro, Phys. Lett. B 670 (2008) 109 φ A :擬スカラー密度 :カイラル変換の軸性カレント :有限密度の基底状態 soft limit あらゆる密度で成り立つ関係式 この2点関数を考えれば良い

媒質中でのカイラル摂動論 カイラル摂動論 π 利点:カイラル摂動論と同じく定量的 真空で決めたパラメータで議論できる J. A. Oller, Phys. Rev. C 65 (2002) 025204 U. G. Meissner, J. A. Oller and A. Wirzba, Annals Phys. 297 (2002) 27 低エネルギーQCDの対称性に基づく NGボソンの有効理論 カイラル対称性の自発的破れ NGボソンの質量、運動量で展開 カイラル摂動論 S. Weinberg, Physica A96, 327 (1979) J. Gasser and H. Leutwyler, Nucl. Phys. B 250, 465 (1985) J. Gasser and H. Leutwyler, Annals Phys. 158, 142 (1984) 核媒質中でのπの生成汎関数 核子 J:s,p,v,aの外場 核子はフェルミ気体 π 利点:カイラル摂動論と同じく定量的     真空で決めたパラメータで議論できる

媒質中でのカイラル摂動論 A:核子、π、外場の相互作用 媒質効果 展開の次数 核子のフェルミ運動量での展開

解析 O(p2)~リーディング Chiral limitの場合 Chiral limitではない場合も同じ結果 :擬スカラー密度 p A A soft limit :擬スカラー密度 p A A p π 真空でのカイラルラグランジアンからのバーテックス 真空中でのカイラル摂動論で得られる結果と一致

O(p4) A π p A π p π p A N A p π π p A N A p π カイラル対称性からキャンセル Chiral limitではない場合でも同様

O(p5) A π p A π p A π p 密度の一次までの結果と一致 通常の核密度 キャンセル 三割回復 A(2) A(2) A(1) E. G. Drukarev and E. M. Levin, Prog. Part. Nucl. Phys. 27, 77 (1991)

O(p6)以上 A A(2) π p A(1) A A(2) π p A(1) A A(2) π p A(1) N まだ解析中・・・

まとめ 将来 有限密度中でカイラル凝縮が満たす関係式と、媒質中のカイラル摂動論から、カイラル凝縮の密度依存性を一次まで求めた その結果、よく知られた密度の一次補正までを再現できた 将来 解析をすすめ、カイラル凝縮の高次の密度依存性を明らかにする 他の物理量(π崩壊定数、荷電二乗半径)の、密度変化を解析

πN相互作用1

πN相互作用2