(K-,K+)反応によるΞハイパー核の生成スペクトル

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(K-,K+)反応によるΞハイパー核の生成スペクトル KEK研究会 『現代の原子核物理 -多様化し進化する原子核の描像-』 2006年8月1日(火)~8月3日(木) 高エネルギー加速器研究機構、素粒子原子核研究所 (K-,K+)反応によるΞハイパー核の生成スペクトル H. Maekawa and A. Ohnishi Division of Physics, Graduate School of Science, Hokkaido University, Sapporo 060-0810, Japan

⇒Σ粒子のような場合はどうすればよいか? ハイペロンの原子核との相互作用 Λ粒子の1粒子状態 Λ粒子 ・束縛状態を作るために、 束縛領域で分光学が可能 ・Woods-Saxon型のポテンシャルは束縛エネルギーをよく再現する s軌道 p軌道 d軌道 Ref. D.J. Millener, C.B. Dover, A. Gal, Phys.Rev.C38, 1988, 2700 Woods-Saxonポテンシャル [fm] [MeV] ⇒Σ粒子のような場合はどうすればよいか?

(π-,K+)準自由スペクトル(KEK-E438実験) Pπ:1.20GeV/c Σと原子核のポテンシャル Woods-Saxon型のポテンシャルを仮定 連続領域 約90MeV程度の斥力が必要 多くの理論模型はこの大きな斥力の結果を説明することは難しい Ref. Yamada and Yamamoto,Prog.Theor.Phys.Suppl.117(1994)241 Kohnoet.al.,Nucl.Phys.A674(2000)229 P. K. Saha, H. Noumi, et al., Phys. Rev. C 70, 044613 (2004)

Elementary Process and its momentum transfer Ref. H. Bando, T. Motoba, and J. Zofka, Int. J. Mod. Phys. A 5(1990)4021. 大きな運動量移向を生かした反応 (>フェルミ運動量) ~500MeV/c(K,K) ~350MeV/c(π,K) 1.65GeV/c 1.20GeV/c

DWIA+最適Fermi平均 Λ Σ Repulsive Potential Inside Nucleus On-shell条件を取り入れた素過程t行列のFermi平均の方法 T. Harada, Y. Hirabayashi, Nucl. Phys. A 744 (2004) 323 DWIA+最適Fermi平均 Λ Optimal Cross Section On-shell条件+Fermi平均(最適Fermi平均) 素過程の強いエネルギー依存性 Σ Repulsive Potential Inside Nucleus QFの記述に重要 T. Harada and Y. Hirabayashi, Nucl. Phys. A 759 (2005) 143.

Σ Hypernuclear Production Spectra in SCDW M. Kohno, Y. Fujiwara, M. Kawai et al., PTP112 (2004)895

研究目的 KEK(E438実験):ハイパー核生成の準自由ピーク測定 DWIA+最適Fermi平均(自由空間での平均) →QFの記述に重要 ☆素過程におけるポテンシャル効果は? 研究目的 ・最適Fermi平均に各衝突点でのポテンシャル効果を取り入れることで最適Fermi平均の方法を拡張する ・ハイパー核の生成スペクトル(Quasi-Free)の記述

森松・矢崎のグリーン関数法 Green関数 素過程の微分断面積 核子の波動関数 運動学の補正因子 Ref) O.Morimatsu and K.Yazaki, Nucl. Phys. A483, 493,1988. S.Tadokoro,Y.Akaishi,H.Kobayashi. Phys.Rev.C51,2656,1995. Green関数 素過程の微分断面積 運動学の補正因子 Strength function この中にハイペロンのポテンシャルが含まれている 中間子の波動関数の積 核子の波動関数 Distortion factor

局所最適Fermi平均(Local Optimal Fermi Averaging) π N K Y ポテンシャルが存在するために 原子核内でハイペロンが生成する 場所(衝突点)により運動学は異なる 各衝突点でFermi平均を行う 局所最適Fermi平均t行列(LOFAt) “Local Optimal Fermi Averaging” 有効質量という形でポテンシャルを取り入れる ポテンシャルが存在するためにエネルギーは自由空間とは異なる Strength function Non-Factrization t-matrix Double differential cross section

Description of Hypernuclear Production Spectra DWIA calculation ハイパー核生成スペクトルの記述 Description of Hypernuclear Production Spectra

Λハイパー核の生成スペクトル(28Siターゲット) 局所最適フェルミ平均 (ポテンシャル効果) 最適フェルミ平均 27Si+Λ d5/2 dΛ p1/2 p3/2 pΛ sΛ s1/2

Λハイパー核の生成スペクトル(28Siターゲット) dΛ pΛ 絶対値を再現させるように パラメータを決める 27Si+Λ sΛ

Study of Ξ-nucleus potential by (K-,K+) reaction 12C(K-,K+) PK=1.80GeV/c Ref) P. Khaustov et al., Phys. Rev. C61(2000) 054603-1. Reasonable agreement between the data and theory is achieved by assuming a Ξ-nucleus potential well depth V0 of about 14 MeV within the Woods-Saxon prescription (DWIA calculation). Theoretical curve: Tadokoro, Kobayashi, Akaishi Phys. Rev. C51(1995)2656. PK=1.65GeV/c

Ξ- hypernuclear production spectra on Al target Exp.Data:E176 最適フェルミ平均 Woods-Saxon V0Ξ=-15MeV 局所最適フェルミ平均

Ξ- hypernuclear production spectra on Cu target Exp.Data:E176 Woods-Saxon V0Ξ=-15MeV 最適フェルミ平均 局所最適フェルミ平均

Ξ- hypernuclear production spectra on Ag target Exp.Data:E176 Woods-Saxon V0Ξ=-15MeV 最適フェルミ平均 局所最適フェルミ平均

Ξ- hypernuclear production spectra on Pb target Exp.Data:E176 Woods-Saxon V0Ξ=-15MeV 最適フェルミ平均 局所最適フェルミ平均

Ξ- hypernuclear production spectra on Al target 局所最適フェルミ平均 26Mg+Ξ- dΞ Det. Res. :2MeV Woods-Saxon V0Ξ=-15MeV pΞ 6(deg.) sΞ 0(deg.) 12(deg.)

Summary ・ポテンシャル効果を取り入れた局所最適フェルミ平均: →Λ:約30MeV引力で生成スペクトルを再現         最適Fermi平均の違い(Pot.あり、なし)はみれない →Ξ:高励起側において違いがみられる ・ポテンシャルの細部について見れる可能性がある ・細部をみるには絶対値の再現が重要 ・QF領域での多段階反応過程の評価