実験概略 (K-、K+)反応でΞ-を作って、それをターゲット中に静止させ、それからのX線を測定する。 たたき台セットアップ K1.8ビームラインを使用。K-の運動量は1.8 GeV/c。 ビームラインスペクトロメータは不要だが、とりあえず使う。 ターゲットは鉛。鉛中の550GeV/cΞのレンジは1.5cm程度なので、ターゲット厚を2cm(23g/cm2)に取る。大きさはビームの大きさで決まっていて、1.5cm×8cmをとりあえず仮定。 目標のX線のエネルギーは558 keV±α(n=10→9)。 K+ のスペクトロメータはSKS+ではなく、KURAMAを使用。 アクセプタンスが0.2srと、10倍近く大きい。 X線はHyperball-Jをフルに使用。 ビーム強度 2.3×106 K-/spillで100シフトデータを取る。
物理 Ξと原子核の相互作用がわかる。 実は適当な原子核がある。 Σ-では多数の測定例あり。(遥かに簡単な実験) ポテンシャルの裾を見ている。 残念ながら中心付近の感度はあまりない。 測定量は、エネルギーシフト(引力/斥力)、幅(吸収の強さ)、それから収量(上の状態の吸収の強さ)。 実は適当な原子核がある。 ちょうど、吸収を受ける状態のシフト/幅が大きいところ。 理論計算あり。 アイソトープは余り気にしなくてよい。 Σ-では多数の測定例あり。(遥かに簡単な実験)
ターゲットの選択について Batty-Friedmann-Gal の論文(PRC59 (1999) 295)によると、F, Cl, I, Pbの4つがbest target. 実験的にはある程度重いターゲットでは鉛がもっとも難しいはず。(後参照) というわけで、とりあえず鉛を想定。実験的には鉄あたりが易しそう。 将来的には systematic にやってみたい。 43 54 65 76 87 98 109 F(9) Cl(17) Co(27)? Y(39)? I(53) Ho(67)? Pb(82) 131 223 314? 394? 475 518? 558
収量見積もり Y=NK*σΞ*t*ΩK*εK*RΞ*RX*ηX*εX ビームに関係する量 ターゲットに関係する量 σΞ: 微分断面積 有効陽子数がAαに比例するとして、α=0.38-0.41(玉川D論などによる)。従って、有効陽子数は8個程度→断面積は300 ub/sr ぐらいを想定。 t: ターゲットの厚さ(個数/cm2) 単純に計算すると6.6×1022だが、実効的にはその半分程度(後ろ側でできたΞは止まらない?)、つまり3.3×1022と思うことにする。
スペクトロメータに関係する量 Hyperball-Jに関係する量 RΞ: ターゲット中にΞが静止する割合 不明だが、とりあえず10%と置いてみる。要simulation。 RX: 静止Ξあたり、X線の出る割合。 これも不明(物理依存)。とりあえず0.5を仮定。 ηX: X線がターゲットを抜けてくる割合。 558 keV X線の鉛中での平均自由行程は6mm程度なので、0.3くらいになる。要simulation。 スペクトロメータに関係する量 ΩK: スペクトロメータのアクセプタンス 0.2 sr εK: K+の検出効率。E964のproposalから0.735(K+の崩壊による)×0.7(その他)=0.51を仮定。 Hyperball-Jに関係する量 εX: X線の検出効率 13%(LOIによる)×0.5(in-beam livetime)=6.5%
収量まとめ 以上合わせて、 E964との比較 Ξの生成数: 1.6×106 Ξの静止数: 1.6×105 Ξの生成数: 1.6×106 Ξの静止数: 1.6×105 X線の個数(ターゲットの外にでるもの): 2.4×104 X線を捕らえる数: 1500個 E964との比較 ビーム数15倍、ターゲット(厚さ×σ)0.15倍、Ξ静止確率7倍 → Ξの静止数は16倍。 X線に関してはターゲットでの自己吸収がきつい (E964:考慮していない)。検出効率は2倍強なので、合わせると実質的な検出効率はほぼ同じ。 トータルで15倍くらい統計が多くなる。→やれそう。
BGの見積もり E419: 12万イベントに対し、560 keV付近では20カウント/5 keVくらい。これから、 イベント数: 13倍 γ線検出効率: 4倍 その他: 2倍(反応が違うことによる) → 2000カウント/5 keV程度 連続BGは大丈夫 線BGで問題になるのはあるか? 558±10 keV でsignificantなγ線は? BGを決める手段はあるか?
問題点 Ξの収量が少ない 意外に鉛はstopping power が小さい。 ターゲットでのX線の自己吸収が大きい。 ターゲットが重すぎる。 意外に鉛はstopping power が小さい。 長さ当たりでは、ほぼ鉄と一緒。 ターゲットでのX線の自己吸収が大きい。 558 keV X線でならなんとかなるが、その1つ上(11→10)のX線(412 keV?)になるとさらに厳しい(ηX~0.2) ターゲットが重いので、たまたま問題になる線BGがある可能性がある。 ①~③は違うセットアップで解決できるかも知れない。
セットアップその2 Ξ生成に関しては、E964に近いセットアップにする。 収量の変化は 3cmのダイアモンド+(Si strip 検出器) +数mm~1cmの鉛ターゲット 収量の変化は ターゲットの厚さ×断面積 → 7倍得 Ξの止まる確率 → 3倍損 (emulsionの代わりに、geometrical な厚さが同じ鉛を置けば、E964の2倍以上(3%程度)の静止率が得られるはず) X線の自己吸収 → 得するはずだが、具体的な数字は不明 というわけで、3倍程度得するはず。ただし、BGは7倍 →SiでのdE/dxによるカットが有効か?
結論I 実験は可能と思われる。 今後詰めるべき点は、以下の5つ 鉛単独ターゲットでもOKだが、ダイアモンド+鉛がベター。 Ξの静止する確率 X線の自己吸収確率 線BGで問題になるものがあるか? 静止ΞのS/Nを上げられるか? SiでのdE/dxを使う、ターゲット周りのカウンターのmultiplicity 線BGを具体的に評価するためには、どうすればいいか? (K-,pi+)や(K-,p)といったイベントを集める ゲルマのmultiplicityが高いイベントを集める BGになるsingleΛ核のγ線のデータは、Byproductにもなる。
X線の位置、幅の精度 統計は十分あるので、X線のエネルギーの統計誤差は、1.5/√1500~0.04 keV程度。 どうやって抑える? Systematics をいかに抑えるかが勝負。 ちなみに、Ξの質量の精度(PDGによる)が0.01%なので、やっぱりこの程度の誤差要因。 どうやって抑える? X線エネルギーの両側にしっかりしたcalibration pointが必要。 558 keVだけでなく、412 keV(11→10)の方も。 練習をやってみたい。
Calibrationに使えるγ線 条件: 線源で使えそうなもの In beam で使えそうなもの エネルギー300 keV-600 keV それなりの強度がある(期待できる) エネルギーが<0.02 keVの精度で知られている。 注:e+e-(511)は使ってはならない! 線源で使えそうなもの 7Be(478), 108mAg(434,614), 125Sb(428,463,601), 133Ba(356, 383), 152Eu(344,411,444), 166mHo(411,452,530,571), 192Ir(468,589), 207Bi(569), 228Th(583) In beam で使えそうなもの 207Pb(569), 208Pb(583), 207Tl(351), 204Hg(437)
Exercise 1 狙った線源からのγ線のエネルギーをどれだけ正確に測れるか? いろいろな条件で。 狙う線源のデータとcalibration用の線源のデータを別のRunで取ったり、 ゲルマの single rateを変えてみたり、 calibration pointを変えてみたり、 S/N比を変えてみたり ・・・
Exercise 2 e+e-対消滅511 keVγ線の位置と幅を測定する。 物質によってシフトや幅が異なる(物性研究に使われている) 例えば、68Ge/Gaからのe+ビームが使える。 適当なターゲットに止めて測定。 物質による違いがわかるか?文献値が再現できるか? 簡易版:22Naソースを使う。 物性研究をやっている研究室でcalibrateしてもらってそれがどれだけ再現できるか見る。 あるいは文献からデータを取ってこれるか?
トリガー E373: 1.1×104個のK-に対し75の1st level トリガー この実験では15000/spill ほとんどは(K-,p)反応によるもの E373には 1st level で p をIDするためのカウンターはない。 Rejection factor > 10 のトリガーが必要。 Cherenkov カウンターなら、n=1.1程度 (threshold: K 1.1 GeV/c, p 2.05 GeV/c) そんな物質は? → 液体(重)水素しかない。 屈折率の高い aerogel は作れるか?重元素を混ぜる? 他のトリガーは作れるか Ring patternをlookup tableで見る?