公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp 第5回 官僚制について 公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp.

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公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp 第5回 官僚制について 公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp

官僚制はどのような制度か 行政を執り行う国家の執行権を補佐する制度 そのため官僚制は以下のような特徴を持つ 権力者がすべてを行うことができない しかし「補佐」である限り、官僚は決定権を持たない ただし法律や命令を解釈する「裁量」は持つ そのため官僚制は以下のような特徴を持つ ルールや規則が基準となって運営される→匿名性 ピラミッド型の組織で上意下達の命令系統 組織内での評価は貢献度によって決まる Accountability(応答責任・説明責任)が求められる 細分化された専門性と分業体制

官僚制の特徴 官僚の「無謬性」→間違いを犯さない機関 合理的な組織(ウェーバー「支配の正統性」) 説明責任を問われる→いかなる行為にも理由が必要 合法性、適切性、妥当性→手続きがきちんとしていればよい 責任は政策決定者が負う→官僚は間違えてはならない 秘密主義による失敗の隠蔽 合理的な組織(ウェーバー「支配の正統性」) 行政は合理的に行われる 目的合理性と価値合理性 組織が持つ目的に対して合理的に行動する 組織が持つ価値や原則に対して合理的に行動する 目的合理性:目的のためにはどのような手段を取ってもよい? 価値合理性:価値に合理的であるなら目的は達成されなくてもよい?

官僚制の「逆機能」 官僚制は行政を動かすためには不可欠 しかし、その特徴から様々な副作用がある いわゆる「お役所仕事」「官僚主義」と呼ばれる 規則万能主義→ルールを杓子定規に適用する 事なかれ主義→手段が合理的であれば結果責任はない 前例主義→前例がなければ新たなことには挑戦しない 権威主義→権力者の代理として対処する/上司による評価 文書主義→万事を文書化し、それ自身が目的となってしまう タテ割り主義→自分の仕事だけやっていればよい 集団的無責任→責任は自分以外の誰かが持っているはず 予算拡大主義→評価の基軸が予算(組織のリソース)の拡大 いわゆる「お役所仕事」「官僚主義」と呼ばれる 官僚制は行政組織だけではない→「大企業病」

日本の官僚制 官僚内閣制(『統治の構造』飯尾潤) 弱い政治的なコントロール 政官関係の逆転 政治改革後→官邸への権限集中による構造転換 政策立案は官僚が主導権を握り、閣僚は形式的に追従 省庁が民意を吸い上げ、利益を調整する機能を持った 弱い政治的なコントロール 権力争いと大臣ポストの順送りシステム 政官関係の逆転 政治による命令ではなく、官僚による「振付」 議院内閣制が持つ権力の集中機能の不全 政治改革後→官邸への権限集中による構造転換 強い政治的コントロールと官邸へのアクセス競争

国連は巨大な官僚組織 193ヵ国からなる複雑な国際機関 共有される行政規範 異なる行政規範・文化を持つ人々が共同で働く 意思決定機関は加盟国による総会・理事会 ルールに基づく管理の徹底 文書による手続きと決定(公用語は6つ) パーキンソンの原則+非効率な組織運営 機構改革がキーワードとなっている 共有される行政規範 各国エリートによる集合体→欧米での経験が長い 採用プロセスの官僚化→画一的・均質的な人材

EU-Japan relations EU・日本との関係 2019年 5月23日 11:10-12:00 駐日欧州連合大使講演会 Lecture by EU Ambassador to Japan 駐日欧州連合大使講演会 EU-Japan relations EU・日本との関係 Speaker: Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the European Union to Japan Dr. Patricia Flor 講演者: 駐日欧州連合特命全権大使 パトリシア・フロア大使 【略歴】 1992年ドイツ外務省に入省。駐ジョージア・ドイツ大使、ドイツ外務省東欧・コーカサス地域・中央アジア局長、中央アジア担当EU特別代表、ドイツ外務省国連・地球規模問題総局長、ドイツ外務省国際秩序・国連・軍備管理総局長兼軍縮・軍備管理担当政府代表などを歴任。2018年11月、駐日EU特命全権大使に。 1992 She began her diplomatic career at the German Federal Foreign Office. 2006 Germany’s Ambassador to Georgia, 2010 Special Envoy for Eastern Europe, the Caucasus and Central Asia at the German Federal Foreign Office 2012 European Union Special Representative for Central Asia, 2014 Director-General for the United Nations and Global Issues at the German Federal Foreign Office, 2015 German Federal Government Commissioner for Disarmament and Arms Control as well as Director -General for International Order, the United Nations and Arms Control at the German Federal Foreign Office in Berlin. 2018 Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the European Union to Japan. 日時: 2019年 5月23日 11:10-12:00 DATE: May 23, 2019 11:10-12:00 会場: VENUE: 人文社会科学総合教棟 W203 Humanities and Social Sciences Classroom Building W203 言語:英語 English Language: Organized by Hokkaido University/ Hokkaido University Public Policy School Inquiries: Dean’s office of Hokkaido University of Public Policy School Email: office@hops.hokudai.ac.jp

受講上の注意点と中間レポート 出席について 教室入退室時にカードリーダーに学生証をかざすこと 中間レポートテーマ:「民主主義・政党・制度の三つの概念を使って、現代日本の政治について分析しなさい」 提出日:5月31日23:59 提出方法:メールで提出(kazutos@eis.hokudai.ac.jp) 2000字以上(Wordで作成) 「論文作成ガイドブック」参照 http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide.pdf http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide2.doc 参考文献、注は必ずつけること