「税法」 Tax Law / Steuerrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 税と税法 課税要件.

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税の仕組みと財政 和歌山県租税教育推進連絡協議会 2012 ©. 税金の分類 普通税 府県民税 事業税 不動産取得税 自動車取得税 固定資産税 自動車税 鉱区税 軽油取引税 地方消費税 府県たばこ税 ゴルフ場利用税 狩猟税 目的税 市町村民税 固定資産税 軽自動車税 鉱産税 特別土地保有税 市町村たばこ税.
「税法」 TAX LAW / STEUERRECHT 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) TOSHIKI MORI, PROFESSOR AN DER DAITO-BUNKA UNIVERSITÄT, TOKYO 所得の意味/租税の 定義/課税要件.
広島主税くん ちから 広島国税局キャラクター. なぜ、これらの税金は必要なのか 店で買い物をするとき ↓ 皆が「消費税」 を負担しています。 国民が「安心して豊かな生活」をするために は、様々な公共サービス等が必要であり、その ためには、国や地方公共団体として多くの財源 が必要。 働くようになると.
学校に来る途中で 1 億円入りのスーツケースを 拾いました。 落とし主不明でその後警察からこの1億円をも らったとき、税金はかかるでしょうか。
贈与税 たばこ税 相続税 法人税 酒税 消費税 所得税 働くようになると 所得に応じて 「所得税」 を納めるようになります。 働くようになると 所得に応じて 「所得税」 を納めるようになります。 店で買い物をすると 皆が 「消費税」 を 負担しています。 店で買い物をすると 皆が 「消費税」 を 負担しています。
有形固定資産の取得原価 有形固定資産は、取得原価から原価売却累計額を 控除した金額で、バランスシートに計上。 取得原価は、取得の方法に応じて決定。 (購入 自家建設 現物出資 交換) 第8章 第2節第2節.
1 財政-第 11 講 4. 租税理論と税制改革 (5) 2008 年 5 月 20 日 第 1 限.
1 経済学-第 6 回 所得税③+住民税 2008 年 5 月 16 日. 2 日本の所得税をめぐる議論 ( 続き )  確定申告と源泉徴収  所得控除 ( 給与所得控除 ) 住民税 ( 個人 ) 課税対象 課税プロセス-均等割と所得割 所得控除 「ふるさと納税」制度 納付税額計算の具体例.
1 所得税①  所得の種類  総合課税と分離課税  確定申告と源泉徴収  課税プロセス ( 給与所得者の場合 )  所得控除.
1 経済学-第 4 回 所得税① 2008 年 5 月 2 日. 2 所得の種類 確定申告と源泉徴収 課税プロセス ( 給与所得者の場合 ) 所得控除.
● ● 中 学 校 広島主税くん ちから 広島国税局キャラクター. ●● 中学校に来る途中で 1 億円入りのスーツケース を拾いました。 落とし主不明でその後警察からこの1億円をもらっ たとき、税金はかかるでしょうか。 税金がかかる (所得税)
所得に対する課税 財政学B(財政学) 第 3 回 畑農鋭矢 1. 所得とは? ヘイグ=サイモンズの所得の定義 所得=消費+資産の純増(貯蓄) 所得に含まれるべきもの 自家消費:農家の農産物消費、 専業主婦の家事 帰属家賃:持ち家のサービス(自分への家 賃) キャピタル・ゲイン:資産の値上がり分.
「行政法1」 ADMINISTRATIVE LAW / VERWALTUNGSRECHT 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) TOSHIKI MORI, PROFESSOR AN DER DAITO-BUNKA UNIVERSITÄT, TOKYO 行政立法その2 行政規則.
1 経済学-第 5 回 所得税② 2008 年 5 月 9 日. 2 所得控除 ( 続き )  配偶者特別控除  勤労学生控除 日本の所得税をめぐる議論  確定申告と源泉徴収  所得控除 納付税額計算の具体例.
近畿税理士会 平成 27 年 中学生用Ⅱ. 1. 税理士って何です か? 納税者(個人や会社)が税金を納める計算をするお手伝いをし ています。 税金のことでわからないことがあったら相談にのります。 納税者の代わりに税務署などと、話し合いをします。 信頼のバッジ 1.
国の支出(歳出) 88兆5,480億円 平成 21 年度当初予算 医療、介護、老後 の暮らし 道路、住宅 、公共施設 教育 防衛 国から県や市町村 への交付金 国の借金の 返済など 社会保障関係費 24兆8,344億 円 28.0% 公共事業関係費 7兆701億円 8.0% 文教・科学振興費 5兆3,104億円.
租税の基礎理論 財政学(財政学B) 第 2 回 畑農鋭矢 1. 日本の税負担は重いのか? 主要先進諸国の税負担率(%, 対 GDP 比) 出所:畑農・北野・中東 「租税構造の国際比較 」 PRI Discussion Paper Series 03A-22 .
産業経済学A 12 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2016年7月19日

広大地評価と相続税 ・相続でなぜ土地を売るのか? ・相続税はいくら払うのか? ・広大地評価を使う理由と要件 ・マンション用地、戸建て用地として売却した場合の  売り主側の手取り金額はどの程度異なるか? ・相続税はいつまでに払う必要があるか? ・相続税が支払えない場合はどうなるか? ・広大地評価と相続税を取り巻くトレンドと今後の予測.
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 開講にあたって.
第1章 国民所得勘定.
第2章 経済生活とビジネス 1 経済のしくみとビジネス 5秒間待つか,クリックすると次の画面に変わります。
法人に対する課税 財政学(財政学B) 第3回 畑農鋭矢.
知的財産の国際課税 ―使用料の範囲と源泉―
消費に対する課税 財政学B(財政学) 第5回 畑農鋭矢.
租税の基礎理論 財政学(財政学B) 第1回 畑農鋭矢.
「事 務 管 理」 の 構 成 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
国民経済計算 System of National Accounts
衆議院総務委員会及び参議院総務委員会附帯決議
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政上の義務履行確保 強制執行など.
「あるべき税制」における税務執行問題の位置づけ
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政立法その1 法規命令.
京都・神戸のみならず国内外拠点との差別化が難しい
前回分(第1章 準備,1-1):キーワード ・ 生産,分配,消費 ・ 市場と組織 ・ 競争市場と均衡 ・ 市場の失敗と政府の介入
法人に対する課税 財政学B(財政学) 第4回 畑農鋭矢.
東京財団上席研究員 中央大学法科大学院教授 森信茂樹
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政裁量その2 裁量に対する司法審査.
各種所得の計算(範囲) 利子所得 雑所得 配当所得 不動産 一時所得 所得 所得税 事業所得 譲渡所得 山林所得 給与所得 退職所得
市民公益税制について 個人が一定の団体等に対して寄附をした場合、所得税及び個人住民税の税額控除が受けられる制度です。 制度の目的
租税の基礎理論 財政学B(財政学) 第2回 畑農鋭矢.
© Yukiko Abe 2008 All rights reserved.
大学生向け 講義用テキスト ― 税法を中心に ―   日本税理士会連合会.
大学生向け 講義用テキスト ― 税法を中心に ―   日本税理士会連合会.
徴収納付制度(源泉徴収制度・特別徴収制度)/年末調整
看護現場における 労務管理の法的側面① <労働法と労働契約>
「税法」 Tax Law / Steuerrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 税務調査 (質問検査権)
「税法」 Tax Law / Steuerrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 納税申告(確定申告を中心に)
ぜ い り し 税理士による  租税教室 日本税理士会連合会.
経済学-第7回 住民税+消費税① 2008年5月23日.
財政・金融入門(1クラス)-第4講 税のしくみ 2008年4月29日 第5限
国民健康保険における保険料と保険税の現状等について
行政と行政法 法律による行政の原理 (法治主義)
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政行為その2 行政行為の効力.
「不 当 利 得」 の 構 造 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
財政-第12講 4.租税理論と税制改革(6) 2008年5月20日 第2限
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政立法その1 法規命令.
公共経済学 20. 個別消費税と利子所得税.
経済学-第8回 消費税② 2008年5月30日.
(注1) 「○譲与税」の後のカッコの中の値=「○税」の税収のうち地方に譲与される割合 所得税 道府県民税 法人税 市町村民税 事業税 相続税・贈与税 固定資産税 地価税  1998年以降当分の間非課税 都市計画税 印紙税 特別土地所有税 登録免許税 不動産取得税 消費税 酒税 石油ガス譲与税(1/2)
財政-第10講 4.租税理論と税制改革(4) 2008年5月13日 第2限
米国の様な普遍主義的個人主義社会では、 四種類の経済が必要となる。Rev.8
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 開講にあたって.
経済学-第3回 租税体系 2008年4月25日.
●国税庁の組織 国税庁 国税局(12) 税務署(524) 【主な部門】 ◎ 管理運営部門・・・債権管理、窓口対応など
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政立法その2 行政規則.
  税理士による  租税教室  -税法を中心に- 日本税理士会連合会.
ぜ い り し 税理士による  租税教室  日本税理士会連合会.
「税法」 Tax Law / Steuerrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 租税法律主義.
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「税法」 Tax Law / Steuerrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 税と税法 課税要件

最初に 税=租税=税金(憲法第84条などは「租税」) 税法=租税法 税法は、基本的に、税に関する法的関係を扱う。 国家・地方公共団体VS個人・法人

租税の分類(1) 国税:国が課税主体として賦課・徴収する租税のこと。 所得税、法人税、相続税・贈与税、消費税、酒税、関税など 地方税:地方公共団体が課税主体として賦課・徴収する租税。 さらに都道府県税と市町村税とに分かれる。 住民税、事業税、固定資産税、都市計画税、地方消費税など

租税の分類(2) 関税:国税のうち、外国からの輸入貨物に課されるもの。税関が扱う。 関税法および関税定率法、さらに国際条約が適用されており、原則として、国税通則法および国税徴収法の適用が排除される。 内国税:関税以外のもの。  国税庁・国税局・税務署が扱う。

租税の分類(3) 直接税:納税義務者と担税者が同一であることを立法者が予定する租税のこと(所得税、法人税、相続税、固定資産税など)。 間接税:納税義務者と担税者とが異なり、納税義務者が租税負担を別の担税者に転嫁することを立法者が予定する租税のこと(消費税、酒税など)。

租税の分類(4) 人税と物税 人税(主体税):主に人的な側面に着目して課されるもの(所得税、相続税など)。 物税(客体税):主に物的な側面に着目して課されるもの(消費税や固定資産税など)。

租税の分類(5-1) 収得税・財産税・消費税・流通税 担税力の標識および課税物件の相違を基準とした区別。 収得税:収入に着目して課される租税。 所得税:直接的に所得を対象とする。 収益税:人が所有する生産手段から得られる収益を対象とする(事業税や鉱産税など)。

租税の分類(5-2) 財産税:財産の所有に着目して課される租税である。 一般財産税:人の財産の全体や純資産を対象とする。 個別財産税:特定の種類の財産を対象とする(地価税、固定資産税、自動車税など)。

租税の分類(5-3-1) 消費税:物品やサービスを購入し、消費することに着目して課される租税。 直接消費税:消費行為そのものに課されるもの。 間接消費税:製造業者や小売人により納付された租税が販売価格に含められて消費者などに転嫁されることが予定されるもの(消費税、酒税など)。

租税の分類(5-3-2) 単段階個別消費税:間接消費税の一種で、一つの取引段階のみで課税を行うもの(酒税、たばこ税など)。 多段階一般消費税:間接消費税の一種で、複数の取引段階で課税を行うもの(消費税)。 流通税:権利の取得や移転など、取引に関する様々な事実行為や法律行為を対象として課される(登録免許税、印紙税、不動産取得税など)。

租税の分類(6) 普通税と目的税 普通税:収入の使途を特定の経費に充てることを予定せずに課される租税である。近代立憲国家においては普通税が原則とされる(総計予算主義)。 目的税:当初から収入の使途を特定の経費に宛てることを予定して課される租税である。法律によって支出目的が規定されている。

所得の概念(1) =(収入金額)-(必要経費) 所得税法における所得の基本形 〔所得(の金額)〕 但し、必要経費の部分は0であることもあり、別のものとなることもある。

所得の概念(2) 〔(総)所得(金額)〕 =〔収入金額〕-〔必要経費〕 〔(総)所得(金額)〕-〔所得控除〕=〔課税総所得金額〕 所得によって計算方法などが異なる。 しかし、これは、それぞれの所得が有する性格に適切に対応するためのもの。 基本構造はどの所得であれ全て同じ。 〔(総)所得(金額)〕 =〔収入金額〕-〔必要経費〕 〔(総)所得(金額)〕-〔所得控除〕=〔課税総所得金額〕

所得の概念(3) 所得税法第1条:趣旨目的を示す規定 同第2条:用語の定義規定 同第23条以下:利子所得などの類型。 しかし、所得そのものについての定義を示す規定がない。 所得概念については、経済学や財政学などで様々な議論がなされている。

所得の概念(4-1) 消費型所得概念(支出型所得概念) 個人の収入のうち、効用や満足の源泉である財貨や人的役務の購入、すなわち消費に充てられる部分のみを所得とする。 蓄積(貯蓄など)にあてられる部分は所得でない。 消費のための借り入れは所得に含まれる。

所得の概念(4-2) 消費型所得概念(支出型所得概念)の長所:生涯所得を基準として納税者間の公平を保つことができる、投資や貯蓄を奨励する、など。 短所:富の格差を拡大することになるし、租税行政が困難となる。

所得の概念(5-1) 取得型所得概念(発生型所得概念) 個人が収入などの形で新たに取得する経済的価値を所得とする。 こちらのほうが一般的である。 さらに、制限的所得概念と包括的所得概念とに分かれる。

所得の概念(5-2) 制限的所得概念 周期的に生じる利得(利子、配当、地代、利潤、給与など)のみを所得とする。 一時的・偶発的な利得、相続、贈与、賭博、宝くじなどからの利得、キャピタル・ゲインは所得に含まれない。 資本や資産の維持を重視する考え方と評価できる。

所得の概念(5-3) 包括的所得概念 個人の担税力を増加させるような経済的な利得は全て所得となる。 従って、周期的に生じる利得はもちろん、一時的・偶発的な利得も所得となる。 それだけでなく、帰属所得なども含まれることとなる。

所得の概念(5-4) 現在の日本においても、この包括的所得概念が採用される。 非課税の規定が存在しない限り、いかなる源泉から生じた所得であれ課税される。 金銭による所得に限られず、現物給付や債務免除などの経済的利益も所得となる。

所得の概念(5-5) 利得が合法であるか不法であるかを問わない。不法な利得の場合は、それが私法において無効なものであっても課税の対象となると理解すべきである。 本来であれば、未実現の利得や帰属所得も課税の対象とされるべきであるが、捕捉ないし評価が困難であり、課税の対象とならない場合が多い。

租税の定義 公租公課:簡単に言えば、国家および地方公共団体の収入として、国民から徴収する財貨(金銭など)〕 税の他、負担金、手数料などがある。 また、社会保険料などについても、租税と同様の問題が生じる場合も存在する。 日本の法令は、税について定義を示していない(国税通則法第2条も参照)。

税のメルクマール(1) 「根本的に公権力を背景とした強制性をそなえていること」。 「無償性」 この講義においては、次のように整理しておく。 租税:国民個人が行政から受ける特定のサービスとは無関係に徴収される。

税のメルクマール(2) 「道具的性格」 租税は、第一次的に国家の資金調達を目的とするものである。 但し、国家が租税を徴収しつつも、その徴収額を第三者に譲渡することもある(地方交付税、補助金など)。 また、経済政策、景気政策などの手段に用いられることもある。

税のメルクマール(3) 「一連の租税の調達過程における課税の一方的性格」 国家・地方公共団体が、公共サービスの資金として、国民の富(財)を強制的に獲得する(移転させる)もの。 なお、租税は私人の法定債務である(租税債務説。通説)。

税のメルクマール(4) 法律の根拠を要すること 日本国憲法は、私有財産制度の存在を前提とし、私有財産の保護を規定する。 課税権の行使は、国民の財産権に対する一方的な侵害にあたる。そのために、恣意的な課税権の発動がなされてはならない。

重要:課税要件(1) 租税要件ともいう。租税債権債務関係を成立または消滅させる要件。 課税主体(課税権者) 納税義務者 課税物件(課税対象。地方税では課税客体ともいう) 課税標準

重要:課税要件(2) 税率 租税所属関係(納税者が、特定の租税につき、いずれの課税権者に対して納税義務を負うかに関するもの) 租税帰属関係(課税物件が納税義務者に帰属する関係)

課税物件 課税の対象となる物、行為または事実。 所得税などにおける所得 事業税における個人または法人の事業収益 固定資産税などにおける土地や固定資産など特定の財産 消費税などにおける課税資産の譲渡や外国貨物の引き取り

課税標準 課税物件を数量的に確定するための基準。 所有・収益などの存在および内容の確認に基づき、価格・金額・数量・品質により表現される。 所得税の場合は「総所得金額」など(所得税法第22条第1項) 消費税の場合は「課税資産の譲渡等の対価の額」(消費税法第28条第1項)