知的財産権講義(3) 主として特許法の理解のために 平成16年1月6日 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 池田 博一
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第2回目の設問の解説
法人は、社会的活動の主体であるから、法人も発明者となることがあり得る。 設問【1】 法人は、社会的活動の主体であるから、法人も発明者となることがあり得る。 産業政策上の見地より、発明者主義を採用し、 法人発明は認めていません。
法人でない社団又は、財団は、代表者又は管理人の定めがあったとしても出願人とはなりえない。 設問【2】 法人でない社団又は、財団は、代表者又は管理人の定めがあったとしても出願人とはなりえない。 特許法6条にいう「手続」が限定的なものなのか、例示的なものなのかが問題になりますが、特許権取得を直接の目的とするような手続き能力はないものと解されています。 一方で著作権法2条6項は、「この法律にいう「法人」には、 法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含むものとする。」としています。著作権 には、出願制度はありませんから、これでも不都合はないものと理解することができます。
未成年は、法定代理人(親権者)によらなくても特許出願をすることができる場合がある。 設問【3】 未成年は、法定代理人(親権者)によらなくても特許出願をすることができる場合がある。 特許法7条に規定があります。 未成年であっても独立して法律行為をする ことができる場合があります。
特許権は譲渡の対象であるが、特許を受ける権利は一身専属であって、特に法律の規定がある場合でなければ譲渡することができない。 設問【4】 特許権は譲渡の対象であるが、特許を受ける権利は一身専属であって、特に法律の規定がある場合でなければ譲渡することができない。 特許法33条に規定があります。 特許を受ける権利は譲渡することができます。
発明を先に完成させたとしても、同一の発明を独立に完成させた他人が先に出願した場合には特許を受けることができる場合はない。 設問【5】 発明を先に完成させたとしても、同一の発明を独立に完成させた他人が先に出願した場合には特許を受けることができる場合はない。 先願主義(39条)が原則でしから、新規性喪失の例外を用いても特許を受けることができません。 しかし、当該他人が出願公開前に、その出願を取り下げ、又は放棄するようなことがあれば特許を受けることができる可能性があります。また、共倒れになるような状況にあることに気が付いた場合には、先の出願を取り下げてもらう代わりに、後の出願について共同出願人にするといったことも考えられます。
意匠登録出願された物品に表された外観と、同一の外観を有する装置に関する発明は、特許を受けることができる場合はない。 設問【6】 意匠登録出願された物品に表された外観と、同一の外観を有する装置に関する発明は、特許を受けることができる場合はない。 意匠法と特許法では、保護対象が異なるため、 問題なく特許を受けることができる場合があります。 意匠法では、5条において、「物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠」は登録しないこととして、特許法との棲み分けを図っています。
発明者でない者を共同発明者として特許出願しても拒絶査定を受けることはない。 設問【7】 発明者でない者を共同発明者として特許出願しても拒絶査定を受けることはない。 拒絶理由は49条に限定列挙されています。 これら以外の理由で拒絶理由通知が発せられること はありません。
発明者であるにもかかわらず、発明者として表示されないまま特許出願されたとき、発明者として願書に記載すべき旨を出願人に請求することができる。 設問【8】 発明者であるにもかかわらず、発明者として表示されないまま特許出願されたとき、発明者として願書に記載すべき旨を出願人に請求することができる。 パリ条約4条の3は「発明者は、特許証に発明者として 記載される権利を有する。」と規定しています。 特許法26条を経由して、この規定が直接国内法としての 効力を有することになります。 H14.5.23大阪地裁平成11年(ワ)1269は、真の発明者は 願書の発明者の欄の記載を真の発明者に補正すべきこと を請求することができるとしています。
特許を受ける権利は、未だ権利以前の権利であって、相続の対象とはならない。 設問【9】 特許を受ける権利は、未だ権利以前の権利であって、相続の対象とはならない。 これも33条の問題です。 特定承継のみならず、一般承継も可能です。
職務発明に対する相当の対価は、裁判所の判断に服するとの判例がある。 設問【10】 職務発明に対する相当の対価は、裁判所の判断に服するとの判例がある。 H14.11.29東京地裁10(ワ)16832、12(ワ)5572では、 「相当の対価の額」については、職務発明規定で一方的に定めても、発明者である従業者がこれに拘束される理由はないとしています。
第三回目講義の内容
第3回目講義の設問 講義の内容に入る前に
特許出願に関する手続きは、必ず弁理士に依頼しなければならないということはなく、出願人が直接特許庁に手続きをすることができる。 設問【1】 特許出願に関する手続きは、必ず弁理士に依頼しなければならないということはなく、出願人が直接特許庁に手続きをすることができる。 弁理士? 弁護士?
我が国の特許庁は国際的調和の観点から英語で記載した願書であっても受理する。 設問【2】 我が国の特許庁は国際的調和の観点から英語で記載した願書であっても受理する。 英文の願書? 英文の明細書?
英語で記載した要約書、明細書等の書面は、審査開始までに日本語に翻訳して特許庁に提出しなければならない。 設問【3】 英語で記載した要約書、明細書等の書面は、審査開始までに日本語に翻訳して特許庁に提出しなければならない。 審査開始まででよいか?
我が国の特許庁は、書面主義を採用しているから、発明が完成していることを証明するために現物の寄託を求められることはない。 設問【4】 我が国の特許庁は、書面主義を採用しているから、発明が完成していることを証明するために現物の寄託を求められることはない。 書面主義?
願書の書誌的事項であれば、特許査定後であっても補正することができる。 設問【5】 願書の書誌的事項であれば、特許査定後であっても補正することができる。 補正とはなんだ?
特許の審査には、要約書の記載が考慮されることがある。 設問【6】 特許の審査には、要約書の記載が考慮されることがある。 要約書の役割
特許請求の範囲は、明細書における必須記載事項である。 設問【7】 特許請求の範囲は、明細書における必須記載事項である。 特許請求の範囲?
特許請求の範囲の記載において、図面に付した番号を参照することは差し支えない。 設問【8】 特許請求の範囲の記載において、図面に付した番号を参照することは差し支えない。 図面?
特許請求の範囲に記載する複数の発明は、一の発明を多面的に表現する場合に限定される。 設問【9】 特許請求の範囲に記載する複数の発明は、一の発明を多面的に表現する場合に限定される。 一発明一出願の原則
出願公開の時期は、これを申請により早めることができる 設問【10】 出願公開の時期は、これを申請により早めることができる 出願公開?
書面主義 特許出願における書面主義とは、特許出願は、書面によりしなければならないとする主義をいいます(特36条、施規1条)。 我が国特許庁は、発明を客観的に特定するために書面主義を採用しています。 したがって、口頭での出願、現物での出願は認められません。一方、発明の完成を証明するために現物の提出を求められることもありません。 ただし、微生物に係る発明については、当業者がその微生物を容易に入手することができる場合を除き、その微生物を特許庁長官の指定する期間に寄託したことを証明する書面を願書に添付することが要求されます(施規27条の2)。電気、機械等の発明と異なり、微生物発明は、その微生物を再現することが一般的に困難であるため、特許の有効性、有用性を検証したり、研究をさらに前進させるために必要であることの要請に応えたものです。 我が国では、独立行政法人産業技術研究所内に寄託機関が設けられています。 当業者:その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者
願書(1) 願書とは、特許付与を要求する意思表示としての書面を言います(36条第1項)。 願書には、 1)権利主体を特定するために、出願人の氏名、住所 権利の具体的取得者の明確化のために、発明者の氏名、住所 2)先行技術調査の便宜のために、国際特許分類 3)その他、代理人の記載、手数料の表示、提出物件の目録、特記事項 等を記載します(施規23条、様式26)。 なお、願書に用いる印紙は、収入印紙ではなく、特許印紙であることに注意して下さい。
願書(2) 願書には 英文の様式はありません。
明細書(1) 特許制度は、新規発明の公開の代償として特許権(68条本文)を付与する一方、第三者に対してはその発明を利用する機会を与えるものでもあります(1条)。 そこで、特許法では、発明を十分に開示すべく、明細書に「発明の詳細な説明」等の記載を義務付けています(36条3項、4項)。 つまり、明細書には、技術文献としての役割があります。さらに、後述の「特許請求の範囲」の記載を裏付けるものとしての役割があります。
明細書(2)
明細書(3) 発明の名称: 当該発明の内容を簡明に表示するものでなければなりません(様式29備考13)。特に発明の種類(物の発明、方法の発明、物を生産する方法の発明)を明確にすると共に、先行技術調査の便宜に供するものであることが推奨されています。 図面の簡単な説明: 図面は、明細書とは別個の書類ですが、「発明の詳細な説明」において、図面を参照する都合上明細書において図面の説明を行うこととし、図面の理解の容易化を図っています。 符合の説明:図面に付した番号等に対応して説明を加えるものです。
明細書(4) 発明の詳細な説明では、 1)発明の属する技術分野の記載 2)背景技術の記載 ①従来技術とその問題点 3)発明の開示 ①従来技術とその問題点 ②先行技術文献(特許文献、非特許文献) 3)発明の開示 ①発明が解決しようとする課題 ②課題を解決するための手段 ⅰ)請求項と正確に対応を取ること ⅱ)各請求項ごとに、その構成の記載と作用の記載とを 分離して明確さを期すること ③発明の技術的効果 ④発明実施するための最良の形態 ⑤実施例 ⑥産業上の利用可能性
実施可能要件(1) 実施可能要件(36条4項一号):その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができるように記載すること。 具体的には、 1)当業者が一の請求項から発明を把握することができ、その発明が発明の詳細な説明の記載から読み取れることが必要 2)物の発明の場合には、その物を作ることができ、かつその物を使用することができるように記載することが必要 3)方法の発明の場合には、その方法を使用することができるように記載することが必要 4)物を生産する方法の発明の場合には、その方法により物を作ることができるように記載することが必要
実施可能要件(2) 実施可能要件違反の具体例として: 1)発明特定事項に対応する技術的手段が、単に抽象的、機能的に記載されており、それを具現化すべき装置等が不明瞭であり、当業者が請求項に係る発明を実施することができない場合 2)発明特定事項に対応する個々の技術的手段相互の関係が不明瞭であり、当業者が請求項に係る発明を実施することができない場合 3)製造条件等の数値が記載されておらず、当業者が請求項にかかる発明を実施することができない場合 等があります。
委任省令要件 委任省令要件(施規24条の2):発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他の、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解することができるように必要な事項を記載すること。具体的には: 1)当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項:出願時の技術水準に照らして当該発明がどのような技術上の意義を有するかを理解できるように記載 2)発明の属する技術の分野:請求項の属する技術の分野を少なくとも一つ記載 3)発明の解決課題及び解決手段:請求項に係る発明の解決課題を少なくとも一つ記載し、その発明によってどのように当該課題が解決されたかについて記載するようにします。
関連する文献公知発明の所在の記載(36条4項二号): 先行技術の調査効率を向上させるため設けられた規定です。 その他 関連する文献公知発明の所在の記載(36条4項二号): 先行技術の調査効率を向上させるため設けられた規定です。 なお、詳細な説明の記載要件違反は、拒絶理由に掲げられていることに 注意して下さい(49条四号、五号)。 発明実施するための最良の形態:日本国への出願だけを考慮するの であれば、「最良の形態」としてさほど有効でないものを記載しておいて、 ベストの構成・動作に関する情報は隠匿したままで特許権を得ることは可能です。しかし、我が国への出願を基礎として優先権主張をして米国に出願する場合には優先権の利益を享受できないことがあります。ちなみに米国特許法112条第1項は「明細書には、当業界における技術者が、発明を生産、使用しうる程度に、発明及びその生産、使用方法を十分に、明瞭に、簡潔に、そして正確な用語をもって明記するものとし、発明者が最善と信ずる発明の形態を記載しなければならない。」と規定しています。
特許請求の範囲(1) 特許請求の範囲とは、特許権として保護を要求する範囲を特定するための書面です。 特許審査に際しては、審査対象を特定する役割を担うと共に、特許成立後は権利書としての役割を果たすことになります。 平成14年までは、特許請求の範囲は、明細書における必要的記載事項として取り扱われていましたが、現在は国際的調和の観点から独立の書面として取り扱われることになりました。
特許請求の範囲(2)
特許請求の範囲(3) まず審査を通過するためのポイントについて議論します。 1)請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとするために必要な事項のすべてを記載します(36条第5項)。 ①請求項に区分: 各請求項の記載に基づいて、審査対象及び権利範囲が定められます。 ②特許出願人が特許を受けようとする発明: 特許出願人が「発明の詳細な説明」に記載した発明のうち、出願人の判断により、特許による保護を求める発明について記載します。 ③発明を特定するために必要と認める事項:発明の中には構成のみでは適切に表現できないものもあるため、技術の多様性に柔軟に対応した請求の範囲の記載を可能としたものです。 ④すべてを記載: 特許成立後に請求の範囲に記載した事項以外に必須の要件があるとか、記載した事項の一部は必須の要件では無い等の主張を禁止する趣旨です。
特許請求の範囲(4) 2)一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げないとされています(36条5項後段)。 ①同一発明を複数の請求項に記載することが可能です。これによって発明の多面的保護が可能となります。 ②同一: 技術的思想としての発明が実質的に同一であることを意味しています。技術的思想が同一である限り、表現形式を問わないという趣旨です。 3)特許を受けようとする発明が「発明の詳細な説明」に記載したものであることが要求されています(36条6項):特許公開の代償として独占権を付与する特許制度の趣旨によるものです。
特許請求の範囲(5) 4)特許を受けようとする発明が明確であることが要求されています(36条6項二号)。:特許権の範囲を確定する基準となる請求の範囲の構成要件的機能を担保する趣旨です。 もっとも、発明は、明細書と図面の記載及び出願時の技術常識をも考慮して判断されるべきものとされる一方、請求項の記載を離れて発明を把握してはならないとされていることにも注意して下さい。 5)請求項ごとの記載が簡潔であることが要求されています(36条6項三号):請求項の記載は、審査対象を特定し、権利書としての使命を担保するものであるため、第三者がより理解し易いように簡潔な記載とすることが適切とされています。もっとも、記載自体の簡潔さを要求するものであって、発明概念の簡潔性を要求するものではありません。
特許請求の範囲(6) 6)請求項の記載は、施行規則24条の3に従うことが要求されています(36条6項四号)。:「他の請求項を引用して請求項を記載するときは、その請求項は、引用する請求項よりも先に記載してはならない。」等の書式上の要件について規定したものです。 7)複数の発明であっても、一定の関係を有する発明(出願の単一性、ないし発明の単一性)については、一の「特許請求の範囲」の書面に記載することが可能です(37条)。
特許請求の範囲(7) つぎに実務上のポイントから議論します。 1)発明が解決しようとする課題:発明のポイントを正確に把握し、発明の上位概念を特定します。 2)課題を解決するために必要最小限の技術的要素:課題を解決するのに直接必要でない事項を排除します。 3)必要最小限な技術的要素を特定するための技術的視点:異なる技術的視点から多面的に発明を認識します。例えば材料、構成、動作等の観点から考察してみます。 4)上位(発明全体を上位概念で認識し、発明を特定する各技術的要素も上位概念で記載したもの。)、中位(上位概念の一部の要素が下位概念によって表現されているが、なおさらに下位の概念を包摂するもの)、下位概念による階層的展開:このような展開によって、たとえば拒絶理由に対する対応、補正における新規事項の追加禁止規定に対する対応が容易となります。同様に、権利化後の訂正の請求、訂正審判における対応が容易となります。さらに、侵害の特定が容易になるという特徴もあります。
特許請求の範囲(8) 5)上位概念の階層レベルにおける多面的展開:用途、使用方法、製造方法等の異なるカテゴリーに展開します。さらに、部品、基板、装置といった異なる単位での発明の特定を行います。 6)必要最小限の技術的要素を実施する製品と関連付け:実施の形態に合致していないのであれば、権利行使に支障をきたすことになります。 7)権利行使先の考慮:複数の異なる業種の相手先に権利行使することができるようにしておきます。部品メーカー、基板メーカー、装置メーカー等に対して、それぞれのレベルで権利行使することができるようにしておきます。 8)最終製品の形態を考慮:部品、基板、装置といった、最終製品の形態を意識したものとします。 9)実施料の考慮:部品よりも基板、基板よりも装置の方が実施料が高いといった事情にも配慮します。
特許請求の範囲(9) 10)侵害の特定の容易さを考慮:一般に、物の発明の方が、方法の発明よりも実施の特定が容易であるという特徴があります。物の発明でも作用的な記載やパラメータで特定するよりも構成によって特定する方が侵害の可否に判断が容易であるといわれています。 11)特許回避の困難さを考慮:実際に訴訟やライセンス交渉の場で相手方が検討すると思われることを、自ら検討してみることも有益です。これによって、限定要素の排除、上位概念の抽出、不足する請求項の作成を行います。
特許請求の範囲(10) 請求項の表現形式は、二部形式(ジェプソン形式)と要件列挙型(comprising形式)に大別することができます。 ジェプソン形式とは、 前提部(従来技術、上位概念、前提事項)+特徴部(発明の特徴) の二つの部分から構成されているという特徴があります。 日本、及びヨーロッパで比較的多く用いられています。 しかし、前提部が公知技術であるとして権利行使や審査において不利に扱われる可能性ある一方、技術的範囲を定める場合にも、前提部が限定要素として扱われるため権利範囲が狭められることがありうるという指摘があります。
特許請求の範囲(11) ジェプソン形式での請求項の例(特許番号 第2628404) ジェプソン形式での請求項の例(特許番号 第2628404) 【請求項1】加熱された基板の表面に、基板に対して平行ないし傾斜する方向と、基板に対して実質的に垂直な方向からガスを供給して、加熱された基板の表面に半導体結晶膜を成長させる方法において、基板の表面に平行ないし傾斜する方向には反応ガスを供給し、基板の表面に対して実質的に垂直な方向には、反応ガスを含まない不活性ガスの押圧ガスを供給し、不活性ガスである押圧ガスが、基板の表面に平行ないし傾斜する方向に供給される反応ガスを基板表面に吹き付ける方向に方向を変更させて、半導体結晶膜を成長させることを特徴とする半導体結晶膜の成長方法。
特許請求の範囲(12) comprising形式では、技術的要素を列挙することで発明を特定する手法です。米国で比較的多く用いられています。こちらでは、ジェプソン形式の場合のような微妙な問題の発生は少ないようです。 comprising形式での請求項の例(特開 2003-071762) 【請求項1】 自らの内部状態、または外部からの入力を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記内部状態、または前記入力に基づいて、音の周波数を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記音の周波数を表わす音データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記音データを再生する再生手段とを備えることを特徴とするロボット装置。
特許請求の範囲(13) 従属形式での請求項の例(特開 2003-071762) 従属形式での請求項の例(特開 2003-071762) 【請求項2】 前記検出手段は、前記ロボット装置の関節の角度を前記内部状態として検出し、前記選択手段は、前記検出手段により検出された前記角度に基づいて、前記音の周波数を選択することを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
必要な図面(1) 図面とは、発明の具体的構成を図示した書面です。 図面は、特許請求の範囲、発明の詳細な説明の内容を容易に理解するための補助的書面としての役割をになっています。したがって、図面の提出は任意です(36条2項)。例えば、化学物質の発明では図面が不要です。化学式は、数式と同様の扱いになりますので、特許請求の範囲、発明の詳細な説明の本文中に記載されます。
必要な図面(2)
要約書(1) 要約書とは、願書に添付した明細書又は図面に記載した発明の概要その他一定の事項を記載した願書の必要的添付書面をいいます(37条2項、7項)。 要約書には、 1)要約:明細書又は図面に記載した内容の概要(400字以内) 2)選択図の番号:公報に掲載することが最も適当な図の番号 が記載されます。 要約書は、専ら出願公開公報のフロントページにおける掲載の目的で用いられるものであって、要約書のみに記載した事項を明細書又は図面に追加する補正は認められず(17条の2第3項)、拡大された範囲の先願の地位は無く(29条の2)、特許発明の技術的範囲の解釈の基礎にもなりません(70条3項)
要約書(2)
その他の必要書類 1)代表者選定届(14条、施規8条、様式5): 複数当事者がある場合の代表者の選定に関する届出書 2) 代理人選任届、代理人受任届、包括委任状(9条、施規9条の2、施規9条の3、様式9、様式10、様式11、様式12の2):法定代理人、委任代理人に関する届出書 3)新規性の喪失の例外証明書提出書(30条、施規27条の3の2、様式34):新規性喪失の例外の規定の適用を受けようとする場合の書面 4)優先権証明書(43条2項、43条の2、施行規則27条の3の3、様式36):パリ条約による優先権主張、パリ条約の例による優先権の主張をするときに必要となります。国内優先権の主張は願書(様式27)において主張すれば、特許庁において調査可能ですから、別途優先権証明書の提出を要求されることはありません。
その他の必要書類(2) 5)出願審査請求書(48条の2、48条の3、施規31条の2、様式44):特許出願の審査は、その特許出願についての審査請求を待って行うことになっています。出願の後、3年以内に請求することが必要です。 6)優先審査に関する事情説明書(48条の6、施行規則31条の3、様式46):特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施している場合に優先して審査を行い、特許権を早期に確定させべく資料を提出するものです。 7)出願公開請求書(64条、施行規則38条、様式50):優先審査と同様の理由で将来発生するであろう権利を予告したい場合には、出願から1年6月後という通常の公開に先立って出願公開公報の発行を請求することができます。一旦した請求を取り下げることはできないことに注意して下さい(64条の2第2項)。
出願の瑕疵(1) 1)明細書、又は特許請求の範囲が不添付の場合には、出願の本質的要件が欠如しているものとして出願が却下となります(18条の2)。 2)要約書が不添付の場合には、補正命令が発せられます(17条3項)。これ対して期間内に応答しない場合には出願が却下となります(18条)。 3)外国語書面の翻訳文の不提出の場合にも、出願が取下げられたものとみなされます(36条の2第3項)。(取下げは、本来出願人が行うべきものですが、法的に同一の効果を擬制したものです。) 4)明細書に図面の簡単な説明が記載されているのにもかかわらず、図面が提出されていない場合であっても、出願却下とはなりません。しかし、補正によって図面を提出すると「新規事項の追加の禁止」(17条の2第3項)に抵触することになり、審査が不調に終わる可能性が高くなります。したがって、このような場合には、自主的に取り下げて、再出願する必要が生じます。PCTによる出願の場合には、再出願は不要ですが図面を提出した日に出願日が繰り下がります(PCT7条、11条)。
出願の瑕疵(2) なお、書面の内容的不備は、自主的な補正(17条の2第1項柱書)がなされない場合には、審査において拒絶理由の対象(49条)として処理される可能性があります。この場合にも、補正の機会が与えられますが、これにはより厳しい制限が課せられています(17条の2第1項各号)。 出願当初の明細書等記載から直接かつ一義的 に導き出せる範囲に限定される他、特許請求 範囲についてする補正については、削除等 限定的なものに制限されます(17条の2第4項)。
本機構の発明届の様式 1)発明届:発明者、共同発明者、①発明の名称、②発明の概要、③使用した研究設備、④発明に至った研究の種類及び使用した研究経費等、⑤発明者の意見、⑥発明までの研究経緯及び現況 2)発明の内容説明書:①発明者、②発明の名称、③発表の状況、④出願の緊急度、⑤審査請求の時期、⑥外国出願の必要性、⑦発明の要点、⑧発明の内容:ⅰ)発明の該当する産業上の利用分野、ⅱ)従来技術の特徴とその問題点、ⅲ)発明に至った技術的背景及び本発明の特徴、ⅳ)発明実施の具体例(構成及び説明、具体的作用、実施例に基づく特有の効果)
出願明細書の具体例(1)
出願明細書の具体例(2) 発明の内容説明書 1)発明者、共同発明者 2)発明の名称 3)発表の状況 4)出願の緊急度 5)審査請求の時期 6)外国出願の要否 7)発明の要点 出願書類 1)発明者、共同発明者 2)発明の名称 3)30条の適用の要否、可否 4)同上、及び競合出願の存否 5)後に優先権主張出願をすることがあるりうるか?権利の早期成立を要するか?権利化につき再考の余地はないか? 6)PCTによる出願 7)特許請求の範囲と設定
出願明細書の具体例(3) 発明の内容説明書 8)発明の内容 ①発明の該当する産業上の 利用分野 ②従来の技術の特徴とその 問題点 ①発明の該当する産業上の 利用分野 ②従来の技術の特徴とその 問題点 ③発明に至った技術的背景 及び本件発明の特徴 ④発明実施の具体例 構成及び説明 具体的作用 ⑤実施例に基づく特有の効果 出願書類 8)発明の詳細な説明 ①発明の属する技術分野 ②従来の技術 ③発明が解決しようとする課題 課題を解決するための手段 及び作用 ④発明実施の形態 構成・作用 ⑤発明の効果
第4回目の講義は 1月13日(火) 10:00-12:00 の予定で行います。 第3回目の講義は以上です 第4回目の講義は 1月13日(火) 10:00-12:00 の予定で行います。