綱領等翻訳問題調査研究小委員会 の報告と解説 委員 岩本 忠 Past Governor, RID2630

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綱領等翻訳問題調査研究小委員会 の報告と解説 委員 岩本 忠 Past Governor, RID2630 ロータリーの綱領から目的へ 綱領等翻訳問題調査研究小委員会 の報告と解説 委員 岩本 忠 Past Governor, RID2630

調査研究の経緯1 小委員会の経緯 Gov協議会設置の小委員会で、R定款第4条「The Object of Rotary」の訳文を検討することに。 委員長鳥居 滋PG(岡山東RC)と六名の委員で構成。 その活動概要は第39回、第40回ROTARY研究会   (毎年秋に東京か大阪で開催)で報告。 第41回R研究会(2012年11月)では、その後の経過報告と一応の新訳文(案)を発表した。

調査研究の経緯2 ❀1.作業内容 ❀ 2.別の問題 1)原文と訳文との検討 2)語句の英和対応関係の検証 アンケート; 報告  1)原文と訳文との検討      原文には触らないように。  2)語句の英和対応関係の検証   アンケート; 報告       ◇初年度は『ロータリーの友』2011年2月号&2012年9月号と      R研究会(第39回東京)で報告。     ◇次年度は『ロータリーの友』2012年3月号と     R研究会(第40回大阪)で報告。 ❀ 2.別の問題  3)現行文と新訳文の立場       保守派:長年馴染んだものを。現訳には威厳がある。     改定派:世代間のミゾ(gap)あり。すべての世代に通じること。  4)新訳文の認定     訳出に努力しても、新訳文がR組織に認定されるのか。

調査研究の経緯3 5) 組織の問題 ・副次的問題点 この予定外の「権威的」問題は、新訳文がいかに評価さ れて、authorizeされるかということにかかわること。 ・顧問を要請 そこで、日本RI理事・元理事懇談会(の諮問委員会)に 当委員会の顧問推薦を要請し、南園義一(元)RI理事を 顧問に就任して戴いた(2012年06月)。

調査研究の経緯4 ❀3.その後の進捗状況 6)[当委員会==南園顧問==RI日本語課] の連携   南園顧問は、当委員会の検討の場に同席し、新訳文の語句の論     議に参加した。    更に、RIの時山日本語課長と意見交換が行われ、 RI日本語課   として当委員会の新訳文に検討が加えられて、草案が出された。 7)最終草案の提示 そのRI日本語課草案に対し、当委員会は2ヶ月かけて整理調整   と確認作業の上、最終草案を南園顧問に提示。   その草案は日本RI理事元理事・RI日本語課で検討の後、問題点   の申し越しはない。

定款第4条の原文1 ❒1.RI定款第4条の条文訳文資料 A。原 文:   A。原 文: Constitution of the Rotary Club  国際ロータリー定款 Article 4  Object           第4条  **** The Object of Rotary is to encourage and foster the ideal of service as a basis of worthy enterprise and, in particular, to encourage and foster: First. The development of acquaintance as an opportunity for service; Second. High ethical standards in business and professions; the recognition of the worthiness of all useful occupations; and the dignifying of each Rotarian's occupation as an opportunity to serve society; 1. 第4条の訳出

定款第4条の原文2 Third. The application of the ideal of service in each Rotarian's personal, business, and community life; Fourth. The advancement of international understanding, goodwill, and peace through a world fellowship of business and professional persons united in the ideal of service.

現行訳文 B。現行の訳文 第4条 綱領 (Object) ロータリーの綱領は、有益な事業の基礎として、奉仕の理想を鼓吹し、これを育成し、特に次の各項を鼓吹育成することにある。   第1 奉仕の機会として知り合いを広めること。   第2 事業および専門職務の道徳的水準を高めること。あらゆる       有用な業務は尊重されるべきであるという認識を深めること。      そしてロータリアン各自が業務を通じて社会に奉仕するために、      その業務を品位あらしめること。   第3 ロータリアンすべてが、その個人生活、事業生活および社会       生活に常に奉仕の理想を適用すること。   第4 奉仕の理想に結ばれた、事業と専門職務に携わる人の世界      的親交によって、国際間の理解と親善と平和を推進すること。

現行訳文の問題点 ※ <この条項の問題点;語句に関して> 論議あり。  ※ <この条項の問題点;語句に関して> 論議あり。   The Object「綱領か目的か」;第3条のThe Purposes との整合性   the ideal of service;in particular;to encourage and foster;service    1)The development of acquaintance;    2)as an opportunity for service;    3)The application of the ideal of service;    4)through a world fellowship of;    cf. 第3条(Purposes)[目的] 第4条(Object)[綱領]となっているが・・・。     議案:理想的理念; 奨励し育む  ※ <各小項目の位置づけ;四つの項目に分ける意義は?>     私見。誰も賛同表明せず、無言。 むしろ「5大奉仕」が登場。場当たり的?   1)親 睦;        2)職業奉仕と社会奉仕;    3)各人の心構え;   4)国際奉仕

新訳文案1 ❒2.委員会の新訳文案と最終草案 第4条 ロータリーの目的 主文 [委員会案] 第4条 ロータリーの目的  主文 [委員会案]   ロータリーの目的は、有益な事業の基礎として奉仕の理念を奨励し、  これを育成する。特に、次の各項を奨励することにある。 「最終草案」   ロータリーの目的は、意義ある活動の基礎として奉仕の理念を奨励し、   これを育くむことにある。具体的には、次の各項を奨励することにある。 <原文>    The Object of Rotary is to encourage and foster the ideal of service as a     basis of worthy enterprise and, in particular, to encourage and foster: ◎日本語課からの提案      堅苦しくなく、分かりやすい文に:   「育成する」>「育む」; 「特に」>「具体的には」

新訳文案2 第1項 [委員会案] 奉仕の機会を通して 知り合いを広めること 「最終草案」 知り合いを広めることによって 奉仕の機会とすること  第1項 [委員会案]    奉仕の機会を通して 知り合いを広めること 「最終草案」    知り合いを広めることによって 奉仕の機会とすること <原文> First. The development of acquaintance as an opportunity of service;   ◎親睦は手段で; 奉仕が目的。 ◎ as (関係詞)= that would be

新訳文案3 すべて価値あるものと認識し、ロータリアン各自の品位を保つこと 識し、社会に奉仕する機会として、ロータリアン各自の職業を高潔なもの  第2項 ・  [委員会案]     奉仕の機会を通して、職業上の高い倫理基準を保ち、役立つ仕事は   すべて価値あるものと認識し、ロータリアン各自の品位を保つこと 「最終草案」     職業上の高い倫理基準を保ち、役立つ仕事はすべて価値あるものと認   識し、社会に奉仕する機会として、ロータリアン各自の職業を高潔なもの   とすること <原文>  Second. High ethical standards in business and professions;    the recognition of the worthiness of all useful occupations;    and the dignifying of each Rotarian’s occupation as an opportunity to serve society;   ☆岩いわく:「as an opportunity to serve society」は構文的にも、意味内容からもこの第2項の中の三つの項目 [倫理基準・価値認識・職業の高潔性] 全体にかかり、「奉仕の機会とする」と解するべき。as = that would be   セミコロン(;)よりも文脈をとるべし。[ツギハギ文だから]

新訳文案4 第3項 [委員会案] ロータリアン一人ひとりの個人生活、事業生活、社会生活において、奉仕の理念を実践すること  第3項 [委員会案] ロータリアン一人ひとりの個人生活、事業生活、社会生活において、奉仕の理念を実践すること 「最終草案」 ロータリアン一人ひとりが、個人として、また事業および社会生活において、日々、奉仕の理念を実践すること <原文>  Third. The application of the ideal of service in each Rotarian’s personal, business, and community life;  ◎「生活」が三回もある。「事業生活」はなじみのない語句。      「in ... life」の意味を「日々」として訳出した。

新訳文案5 第4項 [委員会案] 奉仕の理念で結ばれた職業人が、国際ロータリーの活 [委員会案] 奉仕の理念で結ばれた職業人が、国際ロータリーの活 動を通して、国際理解、親善、および平和を推進すること 「最終草案」 奉仕の理念で結ばれた職業人が、世界的ネットワーク を通して、国際理解、親善、および平和を推進すること <原文>  Fourth. The advancement of international understanding, goodwill, and peace through a world fellowship of business and professional persons united in the ideal of service.  ◎「through a world fellowship of ...」は私たちは「世界に一つの、世界的規模の団体を通じて」と理解するが、RIのnative職員たちはこれを「組織」ではなくて「組織機能」と解するそうである。「through」があるからか。   げに、米語なるらん。その解釈をいれて「ネットワーク」とした次第。

綱領と目的 ・第3条PurposesとこのObjectとの整合性 ❒3.OBJECTの問題 OBJECTはいかに訳すべきか   綱領はSloganなり、Objectにあらず。   Objectは「目的、目標、物、対象、反対する」の意あり。 ・第3条PurposesとこのObjectとの整合性   Objectは物質的、客観的であるのに対して、   Purposeは話者の意図、感情、主観が表現される。   第3条Purposeは「RIの意図する活動の方針と任務」であり、   第4条Objectは「Rの基本目的」である。              岩本「PとOの扱い」(2011年R研究会報告書)、参照                  Oxf. Eng. Dict.; Webster’s Dict. of Eng. Lang. 、参照

根本的問題点 ・旧訳語句に固執; 米語であること。 ☆語感優先:self-contented ・語句語感の問題 ・旧訳語句に固執; 米語であること。    ☆語感優先:self-contented    ☆通意優先:communication  ・語句語感の問題  ・統語法上の不均衡:syntactic unbalance  ・語調(リズムと押韻)の品位:rhythm and rhyme  ・文体の整合性  ☆名文にあらず  ☆原文がツギハギ:    長年の個別の改定がそのまま残った。全体の整合性がない。   ☆要は原文のありかた。

終わりに 原文には触らないむつかしさ。 原文自体が改定続きで、ツギハギ文。 忖度のしようがない。 組織的工夫に敬意。 委員各位三年間の善意と努力を評価。 委員長の忍耐と調整力。 本日のご静聴に感謝。                         報告:岩本PDG