「ひので」EIS*によって観測された、フレアに付随する強いブルーシフト現象について 浅井 歩(国立天文台 : まもなく休業) 共著者 原 弘久1、渡邊 鉄哉1、神尾 精1、今田 晋亮1、 松崎 恵一2、成影 典之2、英米「ひので」EISチーム 1: 国立天文台、2: ISAS/JAXA 2007年3月30日 日本天文学会2007年春季年会 M47a
フレアの概要 X3.4フレア Start: 02:14、Peak: 02:40UT 長時間持続イベント(LDEフレア) 活動領域: NOAA 10930 EISは01:12 – 05:41 UTまで活動領域をラスタースキャン GOES ライトカーブ SOHO/EITによる極紫外線画像 EISラスタースキャン EIS: 極端紫外線撮像分光装置
ひので/EIS 広範囲ラスタースキャンを稼働中(01:12 – 05:41UT)にフレア発生(02:14 UTスタート) ラスター画像: FeXV (284A) 各スリット位置での スペクトル 左: 短波長側
強いブルーシフト フレアの立ち上がりに2種類ブルーシフト現象(BS)を発見 Northern BS: Southern BS: 全てのラインで明るい Southern BS: 02:22 – 02:24UT 高温のラインで顕著に見られる faint 左: 短波長側
Southern BS Southern BS: スリットに沿う方向: ~500 km/s 非常にfaintな現象 スリットに沿う方向: ~500 km/s ブルーシフト成分: 0 ~ >250 km/s フロントエッジが斜めに走っている どんどんフロントエッジが立ってくる 02:22:11 02:24:18 レッドシフト? 200km/s Southern BSはラスター画像では細い線状の構造として見えます。 またラスター画像でも、FeXIIなどでは見えず、高温のラインでのみ確認できます。 100” Fe XVのライン
EIS Southern BSの構造 C B A スリットに沿った方向だけでなく、我々に向かいながら移動する噴出物 フレアの発生位置 短波長側 長波長側 C B A スリットに沿った方向だけでなく、我々に向かいながら移動する噴出物 フレアの発生位置から膨張しながら高速で移動する噴出物であると考えられる C B A 250 250
EIS Southern BSの構造 C B A スリットに沿った方向だけでなく、我々に向かいながら移動する噴出物 フレアの発生位置 短波長側 長波長側 C B A スリットに沿った方向だけでなく、我々に向かいながら移動する噴出物 フレアの発生位置から膨張しながら高速で移動する噴出物であると考えられる C B A 250 250
Northern BS Northern BS: 全てのラインで明るい 南側へ~45km/sの速度で移動 Fe XV (284A) 静穏成分 BS成分 Northern BSは非常に明るいため、ラスター画像でもはっきり見えます。 Fe XV raster image 300km/s
Northern BS Northern BS: 可能性1: Ejection 可能性2: Evaporation flow 全てのラインで明るい 南側へ~45km/sの速度で移動 可能性1: Ejection XRTで観測されている現象と比較 可能性2: Evaporation flow SOTなどで観測されているフレアリボンとの位置関係を調査 Ejectionかevaporation flowかを調べるため、EIS FeXVの(ラスター画像の)contourを使用します。 Fe XV raster image SOT: 可視光・磁場望遠鏡、XRT: X線望遠鏡
ひので/XRT Thin-Beフィルタ フレアの初期にループ状の構造が南東に向け噴出(X-ray waveか!?: 成影さんのポスターM21b) 明るい噴出物がそれに続き南西に噴出(坂尾さんの講演M41a)
Southern BS: ひので/XRTとの比較 EIS/southern BS はXRTで見られるループ状の噴出現象と位置が一致する(v~ 700 km/s) 非常に高速のプラズモイド噴出? もしくは XRT waveか(??) XRT Thin-Be filter
Northern BS: ひので/SOTとの比較 evaporation flowではない Northern BSがリボンに一致しないだけでなく、 EISスリット上にあるリボンの位置で同様のblueshiftが見られないため、 evaporation flowである可能性は低いと思います。 SOT CaII H-line
Northern BS: ひので/XRTとの比較 SOTで一致するフレアリボンはない evaporation flowではない XRTで見られるプラズモイド現象と位置が一致する プラズモイド噴出 東西に細長く、明るいejectionがちょうどnorthern BSの位置を掃いてゆくのが分かります。 従って、BSはこのejectionに付随していると考えるのが自然かと思います。 XRT Thin-Be filter
まとめ Southern BS: Northern BS: 2006年12月13日のフレアに付随して、ひので/EISにより観測された強いブルーシフト現象(BS)について調べた Southern BS: 500 km/s along slit, >250 km/s in spec. (~600 km/s) 膨張しながら噴出する様子がとらえられた XRTで観測された噴出物(?)もしくは衝撃波(??)に付随 Northern BS: 50 km/s along slit, 300 km/s in spec. (~300 km/s) フレアリボンとは一致しない XRTで観測されたプラズモイド噴出現象に付随 EIS: 極端紫外線撮像分光装置、SOT: 可視光・磁場望遠鏡、XRT: X線望遠鏡