キックオフセッション これまでの成長 -キャリア・人生の歩みは十人十色- 名 前: 礪波健一 勤務先: 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 歯科総合診療部 仕事の内容: 担当教育分野:総合診療歯科学、歯科医療行動科学 (プロフェッショナリズム教育、医療倫理,医療面接、 歯科領域の総合診断、臨床実習、臨床研修等) その他 地域歯科医療連携センター等の病院業務
学生時代の思い出 高校時代、いきつけの立ち食いそば屋のマスターに、根拠はよ くわからなかったが「お前は教師に向いている。学校の先生に なれ。」と言われ、なんとなくその気になった。 家業を継ぐために歯学部に入学。入学後は、ジャズ研に所属し 音楽のことばかり考えていた。 臨床実習が始まり、音楽のことを考えるのはやめた。患者さん に迷惑をかけないよう、必死に勉強した。当時は「医療面接」と いう言葉すらなく、患者と医療者との間の意思疎通の壁のよう なものに悩んだ。 卒業後は大学院(歯科理工学)に進んだ。終了時、お世話に なった教授から「お前は大学に残りたいのか、開業するのか どっちだ」と問いただされ、自分も大学に残れるんだと勘違いし た。
社会人なりたての頃の思い出 大学院卒業後、歯科総合診療部(現在の職場)に医員で採用。 基礎研究を継続して行うつもりで在籍した。 2年目で臨床研修歯科医教育担当。当時は上の立場から「教 える」のが苦手で、自分は教育向きではないと思っていた。 助手になり、スウェーデン マルメ大学に在外研究員として1年 間在籍した。そのとき、教員・学生がグループ演習等で自由闊 達に討論しているのを目にし、新鮮な衝撃を受けた。 帰国後、歯科医療行動科学分野を手伝うこととなり、教育業務、 教育に関する研究業務が主なものとなった。教育研究に関わり、 学生・研修医と共に学ぶというスタンスがあることを知り、それ なら自分でもできるかと考えた。
近況報告 5年前より、歯学科2年生を福祉施設に派遣し、体験学習させ る授業を担当している。地域の中での歯科医師育成、特に態 度・習慣領域の教育に関して試行錯誤を繰り返している。 病院の患者の苦情相談等の対応にあたる業務も担当してい る。そこで得た経験、知見を学生の医療コミュニケーション教育 に援用できないか考えている。 病院の患者満足度調査の分析も担当しており、その知見を学 生や研修医への教育に活かせないか検討している。 近年、医療の現場にも新自由主義というか、市場原理主義的 なものの影響が認められるが、これについて国民に説明する言 葉を持たないと、学生教育できないんじゃないかと感じる。