2.ディジタル信号と アナログ信号 2.1 A/D変換 2.2 標本化定理 2.3 D/A変換 2.4 昨今のA/D変換とD/A変換 2.5 標本化定理についての留意点.

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2.ディジタル信号と アナログ信号 2.1 A/D変換 2.2 標本化定理 2.3 D/A変換 2.4 昨今のA/D変換とD/A変換 2.5 標本化定理についての留意点

2.3 D/A変換 (1)DA変換のしくみ 通信の場合,伝送路符号をPCM信号, そしてPAM信号に変換する処理が前処理として必要。 ディジタル信号 (PAM信号) 通信の場合 離散時間信号 アナログ信号 受信 PCM PAM変換 理想的 ローパス フィルタ 理想的 D/A変換 広義のD/A変換

(2)離散信号間を どのようにつなぐか? 元のアナログ波形に最も近いつなぎ方が望ましい

〔参考〕sinc関数 孤立矩形関数のフーリエ変換がsinc関数である。 (非正規化sinc関数) (正規化sinc関数) 信号処理では後者を使う

〔参考〕sinc関数 雑学 sinc関数は,英語でカーディナルサイン(cardinal sine) と呼ばれるが,表記はラテン語のsinus cardinalisの省 略形である。 cardinalとは「主要な」,「基本的な」という意味。 x=0のとき心配な人は以下の展開で安心を!

〔参考〕sinc関数 Excel等で確認するには Zero Divideが発生するので,以下のようにx = 0のと き1に設定するよう判定する。

波形の復元(1) sin(πt-nπ)/(πt-nπ)という関数 x(0)を0としたのでx(1)からはじめる。 絶対値はビット数が少ない値0.01012=0.312510を使う。 x(1) x(2) x(0) x(3) x(4) x(5) x(6) x(7) x (1) すなわち t = π のとき以外は 0 となる x(1)の高さで標本化周期のN倍周期の sinc関数

波形の復元(2) x(1)のsinc関数にx(2)の高さを持ったsinc関数を加算する。 それぞれの点はx(k)そのものになる x(2)

x(0)からx(7)のsinc関数を重ね合わせた結果 波形の復元(3) すべてのsinc関数を重ね合わせた結果 x(0)からx(7)のsinc関数を重ね合わせた結果 x(1) x(2) x(0) x(3) x(4) x(5) x(6) x(7)

Excel 式定義で計算(1) まず1行目に標本番号をB1以降に入力します。ここでは0から7 (B1~I1)の計8個を入力しました。 {0, 0.3125, 0.3125, 0, - 0.3125, -0.3125, 0, 0.3125} を入力しました。 ③ それぞれの標本番号に対する位相を入力します。標本番号化×π の値を入力しますが,前の標本番号にπを加算しています。 ④ 4行目には以降に続くデータのための見出しを入力しています。 ⑤ A列の5行目に0, 6行目に「=A5+PI()/20」と入力し,これをA156 まで複写します。

Excel 式定義で計算(2) ⑥ B5に次のように入力して, B5~I156の範囲に複写します。     =B$2*IF(($A5-B$3)=0, 1, SIN($A5-B$3)/($A5-B$3)) ⑦ J5に,以下のように入力してJ6~J156に複写します。     =SUM(B5:I5) ⑧ J5~J156が補間結果になります。

C言語で計算(1) #include "stdio.h" #include "math.h" #define PI 3.14159265358979 #define N 8 //分割数 double dt[]={0, 0.315, 0.315, 0, -0.315,-0.315, 0, 0.315, 0.315, 0,-0.315,-0.315, 0}; double sinc(double th){ if(abs(th)<1E-30)return 1; return sin(th)/(th); } int main(){ int k, i ;double DT=PI/(double)N, T, R; printf("t,y"); for(k=0; k<=(N*10);k++){ T=DT*k;R=0; for(i=0; i<13; i++)R+=dt[i]*sinc(T-PI*i); printf("\n%lf,%lf",T,R); getchar();

C言語で計算(2) N=2のとき N=8のとき

理想ローパスフィルタ 1 fs/2 0~fsの周波数を通過(ゲイン1) fs以上の周波数を遮断(ゲイン0) (パルス列をローパスフィルタに通すとsinc関数で補間し たことと同じ) 1 fs/2

(3)サンプルホールド回路 SH回路(sample hold circuit) 入力信号をサンプルして一定時間保持(ホールド)す る回路。 D/A変換された信号とローパスフィルタとの仲立ちを する回路 ローパスフィルタ組込みD/A変換器 アナログ 信号 ディジタル 信号 サンプルホールド回路 理想的 ローパス フィルタ D/A 変換器

SH回路の基本原理 VINの電圧 スイッチON スイッチOFF V t V SW VIN Sample動作 VOUT CH t Hold動作

SH回路の基本形 非反転型SH回路 反転型SH回路 - - + VOUT SW VIN CH サンプルクロック + VOUT SW VIN RF RH RS

スイッチの漏れ電流の 影響を緩和したSH回路の実例 LTspice Users Club(http://cc. cqpub. co 実際には,スイッチの漏れ電流の影響を緩和させるために次のよ うに 2 個のスイッチを使うことも多い。 基本的にはD/A変換器のクロックと動作させるが,最終電圧に落 ち着くまでのセトリングタイム(settling time)分だけ位相を遅ら せることで,信号品質を劣化させる不要な信号を除去する。 CH SW S1 CLK S2 - + U1 V- V+ LT1055 U2 R1 1meg VIN VOUT 100 p S2の 漏れ電流

D/A変換とSH回路の動作 D/A変換クロックCkクロックOnでD/A変換開始 S/HクロックのHレベルで信号サンプリング S/HクロックのLレベルで信号保持(ホールド) t1 TH TS t2 ホールド時間 サンプル時間

(4)アパーチャ効果(1) 理想的なD/A変換では時間領域出力はインパルス列 (周波数領域では矩形状) (保持処理:0次ホールド→高域側の振幅が減衰) 高域側振幅が減衰することをアパーチャ効果(aperture effect)という。

(4)アパーチャ効果(2) 理想的なD/A変換 実際のD/A変換 アパーチャ効果により,伝達関数は次のようになる y ( nT ) f Y( f ) 2fs fs 高域側の周波数成分が 減衰してしまう現象 nT y ( nT ) f Y( f ) 2fs fs

(5)従来型D/A変換器の問題点 理想的パルスが出力できない。 理想ローパスが存在しない( fs / 2付近の特性乱れ) 離散時間信号 アナログ信号 理想的 ローパス フィルタ 理想的 D/A変換 アパーチャ効果 fs / 2付近の特性乱れ

(9)最近の変換器 オーバサンプリング,ΣΔ変換 → 特性改善 理想ローパスのディジタルフィルタでの近似実現 D/A変換とフィルタの一体化 オーバサンプリング,ΣΔ変換 → 特性改善 理想ローパスのディジタルフィルタでの近似実現 D/A変換とフィルタの一体化 ただし,特性等をチェックするほうがよい。 PC等でディジタル正弦波や白色雑音信号等を生成 D/Aに入力して出力を確認(オシロスコープ,標本化周波数 の高いA/D等で逆変換 A/Dフィルタと同様,fs/2の10%程度で逆折り返し(fs/2 以上の成分)が発生することがある。