コモンズの悲劇と都市空間 中前太佑.

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1 コモンズの悲劇と都市空間 中前太佑

2 コモンズの悲劇とは 生物学者のギャレット・ハーディンが
1968年に『サイエンス』に論文「The Tragedy of Commons」を発表したことで、一般に広く認知されるように。

3 コモンズの悲劇とは(牧草地の例) 共有地たる牧草地に複数の農民が牛を放牧 農民は利益の最大化を求めてより多くの牛を放牧。
共有地では、自身が牛を増やさないと、他の農民が牛を増やしてしまい、自身の取り分が減ってしまうので、牛を増やし続ける結果になる。 農民が共有地を自由に利用する限り、資源である牧草が枯渇し、すべての農民が被害を受けることになる。

4 コモンズの悲劇とは 共同歩調を取れば、コモンズを利用する人、全員が利益を増すことが出来る
しかし、交渉なしに単独で自己利益を追求しようとすると、結果的には、いずれの人の利益も減少させることになる。

5 都市空間における「コモンズの悲劇」 ~屋外広告物を例に~
公共空間を自由に利用できる ある人が派手な広告物を掲示すると、他の人が経済的利益の最大化を図るため、より派手な広告を掲げるようになる 負のスパイラルに陥り、公共空間は侵されていく

6 コモンズの悲劇~解決策は?~ 利害関係者に所有権を与えて管理させる =共有地を分割・私有地化することで「コモンズの悲劇」を防ぐ方策。
(私有地であれば、むやみやたらと牛の数を増やし続けようとはしない。) 「コモンズ」の形を残しつつも、課税や利用の禁止などの“規制”を用いる =“公的管理”により「コモンズの悲劇」を防ぐ方策。

7 「コモンズの悲劇」に対する批判 後の実証研究から判明したこと
⇒実際にコモンズの悲劇が起こるのはその共有地がオープンアクセス(非排除性・誰でも自由に使用できる)の場合に限られる。 伝統社会や地域コミュニティには、アクセスに制限があるコモンズが存在(ローカル・コモンズ)。 ローカル・コモンズは、地域コミュニティの他のメンバーの利益に配慮しながら利用される。そこで、フリーライダー(ただ乗り)やモラルハザードが抑制される。

8 なぜ、「ローカルコモンズ」では、 モラルハザードが発生しにくいのか?
経済学者は“囚人のジレンマ”の「繰り返しゲーム」で説明。 自分の利得は、自分が「非協力」の場合の方が大きくなる⇒1回限りのゲームでは、合理的な個人は非協力を選択(相手も同様) ⇒コモンズの悲劇発生 しかし、これを歴史的に繰り返すうちに、共に「協力」という選択肢を選ぶルールが発生してくる。

9 日本の街並みは美しくないのか? 日本の都市の景観を欧州の都市と比較して どう思いますか ?(日本人に対して)社団法人中部開発センター2005年

10 日本の街並みは美しくないのか? 日本の都市の景観をあなたの国の都市と 比較してどう思いますか (外国人に対して)?社団法人中部開発センター2005年

11 日本の町の景観で美しいと思うのは どこですか(日本人に対して)?

12 日本の町の景観で美しいと思うのは どこですか(外国人に対して)?

13 日本の街並みは美しくないのか? 比較できないと答える割合は高いが、人々の意識の中には、ヨーロッパ・アメリカ・オセアニアと比べて、我が国の景観は良好ではないという印象がある。 国を問わず、美しい街並みとは、「歴史ある伝統的な街並み」・「眺望のよい海や山」である答える人が多いのに対し、「ビルが立ち並ぶ都市の中心部」と答える人は概して多くない。

14 我が国の建築確認制度 土地=個人の所有(公共空間という側面は強調されず) 「建築自由の原則」 建築「確認」
=行政サイドに裁量の余地のない行政行為 =「建築物の敷地・構造・設備及び用途に関する最低の基準」を定めたものにすぎない。 ①法律の条文に明確に反していなければ確認を出さざるを得ない。 確認の対象となる法令に街づくり条例等の自主条例は含まず。 ②都市計画のマスタープランに適合するかどうかが、建築確認の条件にされていない。住民参加・情報公開・事前手続きも欠如

15 我が国の建築確認制度(問題点) 一棟なら容積率で禁止されるような建築物が多数棟を一棟と見なせば違反にならなくなったり、途中の階の床を地面として下の階を地下と見なせば、高層建築物が規制されている地区に高層建築物を建てられたりする。 これにより、七階建が低層扱いになったり、面積十五平方メートルの家が建ったり、平屋の隣に三十階建マンションなど、良好な環境及び景観を破壊する反社会的建築物が「合法的」に建っている。

16 ドイツの建築審査制度 「建築不自由の原則」
「土地利用計画」たるFプランは、市町村が、将来の土地利用の方向付けを行うプランで、中・長期的な都市の将来像を図面に描くもの。行政内部にのみ拘束力あり。私人には直接の拘束力は持たず。この時点で住民参加の手続きあり。 Fプランをベースとし、「地区詳細計画(Bプラン)」がつくられ、これが私人に拘束力をもつ。土地の一区画毎に容積率、建蔽率、建築物の高さ、屋根の角度など詳細なものとなっている。一区画毎に建物の外観を規制できる。

17 ドイツの建築審査制度

18 美しい景観を担保するもの ドイツ=「建築不自由の原則」 ⇒構造上の安全のみならず、統一的な景観 を実現するため詳細な規制が存在
⇒構造上の安全のみならず、統一的な景観  を実現するため詳細な規制が存在 ⇒厳格なルールの下、「コモンズの悲劇」を  発生させないようにしている。 日本=「建築自由の原則」 ⇒構造上の安全を満たせば自由に建築。

19 我が国における新たな取り組み 2003年7月 「美しい国づくり政策大綱」 発表
2003年7月 「美しい国づくり政策大綱」 発表 「都市には電線が張り巡らされ、緑が少なく、家々はブロック塀で囲まれ、ビルの高さは不揃いであり、看板・標識が雑然と立ち並び、美しさとはほど遠い風景となっている。」との認識を示す。 これを受けて、2004年に景観法を制定。 ⇒景観を理由に建築を規制することが可能に。

20 宇治市 平等院の景観論争 2005年に市が実施した調査で、周辺住民の 89%が「高さ制限の見直しを行うべき」と回答。
⇒06年1月、新たに建てられる建物の高さは20メートルまでに規制。 ⇒景観法上の「景観行政団体」になり、2007年度に、建物の形や色が周囲となじまない場合、デザインの変更を命じることのできる制度を制定。  

21 「景観行政団体」とは・・・ 景観法に基づき、良好な街並みを保つため建物の高さやデザイン、外観などについて独自の計画(景観計画)を作ることができる地方自治体。計画に沿わない建物には変更命令を出すことができ、従わない者には罰則を科すこともできる。都道府県と政令指定都市、中核市は自動的に景観行政団体になっており、その他の市区町村は都道府県が同意すればなれる。

22 京都市の景観政策 京都市では、2007年9月から、古都の景観を守るため、厳しい高さ制限を盛り込んだ新たな景観規制を開始。
  京都市では、2007年9月から、古都の景観を守るため、厳しい高さ制限を盛り込んだ新たな景観規制を開始。   高さ制限(中心市街地): 45メートル(15階建て相当)⇒31メートル(10階相当)に引き下げ   「清水寺から見下ろした町並み」「賀茂川から見上げた大文字の送り火」など、京都を代表する眺めを遮る建物の高さなども規制。 新しい規制を上回る高さのマンションやビルは約1800棟もあり、建て替え時には現状より低くする必要が出てくる。

23 暮らしやすい京都の住環境を考える会 インタビュー
暮らしやすい京都の住環境を考える会  インタビュー マンションに住む市民らでつくる私たちの会としては、新しい景観政策は納得できない。 大量のマンションやビルが、新しいルールにそぐわない「既存不適格」となっており、将来建て替えようと思っても同じ大きさの建物は造れなくなる。今の場所に住み続けたいなら、建物の寿命ギリギリまでマンションを残しておかなければならない。 結局、厳格な高さ規制により、マンションビルの立替が進まず、街全体が老朽化し景観が悪化する可能性を指摘している。 ⇒住民側も一枚岩ではない

24 今後の課題 「ローカルコモンズ」の応用は出来ないか?
規制に基づく景観の確保には、限界がある  私権の制限や代執行などの手続きは人権に優しいとはいえない。 そもそも、日本とヨーロッパでは景観に対する意識が違う⇒同程度の規制がいきなり受け入れられるのか? 「ローカルコモンズ」の考え方を応用した景観保護制度設計の可能性を探りたい


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