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資料2 高知県の地震・津波対策の方向性 平成25年3月25日(月) 高知県 土木部 公園下水道課
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目 次 1. ガイドラインの概要 2. 地震・津波対策の考え方 3. 高知県における地震・津波対策の方向性 (1)人命を守る
目 次 1. ガイドラインの概要 2. 地震・津波対策の考え方 3. 高知県における地震・津波対策の方向性 (1)人命を守る (2)処理場、ポンプ場の対策方針 (2)-1 処理場、ポンプ場の類型化 (2)-2 地震による被害対策 1)地震対策における「防災対策」の考え方 2)地震対策における「減災対策」の考え方 (2)-3 津波による被害対策 1)津波対策における「防災対策」の考え方 2)津波対策に対する「減災対策」の考え方 (3)管路施設の対策方針 1)管路施設の「防災対策」 2)管路施設の「減災対策」 4.県内下水道施設相互の災害時における支援体制 5.まちづくり全体の視点から見た下水道の津波対策
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1.ガイドラインの概要 (1)基本方針 南海トラフの巨大地震発生時においても、県民の命と生活を守るため、下水道が有すべき機能である 『①命を守る、②トイレ使用の確保、③公衆衛生の保全、④浸水の防除、⑤応急対策活動の確保』 を目 標とし、以下の点を考慮したガイドラインを策定する。 ・下水道管理者が自ら地震・津波による下水道施設の被害想定を行ったうえで、地震・津波対策の方針を 決定し、対策実現に向けた行動の道筋を示す。 ・被害想定が、地域の地理的条件により大きく異なることや自治体の財政事情など、地域の実情を反映す るため、ハード対策、ソフト対策の両面から目標が達成できるよう、手段の選択肢に幅を持たせたガイドラ インとする。 ・被害想定については、経年的に防災力が高まったり、低下したりすることから、必要に応じてモニタリング(5年程度)を行い、ガイドラインを見直すなど、発展性のあるものとする。
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(2)対象地震 『最大クラスの地震・津波』を基本とするが、地理的条件などによっては、 『頻度の高い地震・津波』の実施も可能とする。
・最大クラスの地震・津波;南海トラフの巨大地震(H 高知県公表) ・頻度の高い地震・津波 ;安政南海地震クラス (H 高知県想定) 最大クラスの地震・津波 頻度の高い地震・津波
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(3)対象施設 対象施設は、以下の3施設とする ①下水処理場 ②ポンプ場(合流・汚水・雨水)
①下水処理場 ②ポンプ場(合流・汚水・雨水) ③下水管路(「重要な幹線等」と「その他の管路」) ○対象処理場、ポンプ場一覧 黒色;処理場 青色;ポンプ場 茶色;ポンプ場(合流)
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(4)ガイドラインの仕組み :資料-2の範囲 地震・津波対策の方向性(資料2) 高知県下水道地震・津波対策ガイドライン
現状把握 被害想定(勉強会の実施) 国の地震・津波対策指針 ・国の指針、提言等に 基づいて地震・津波対策の方向性を整理 地震・津波対策の現状把握と管理体制等 ・アンケート調査に基づき対策状況や職員数、緊急時対応等を整理。 地震被害想定(処理場、ポンプ場、管路) 津波被害想定(処理場、ポンプ場、処理区) 津波シミュレーション(詳細被害想定) 下水道管理者の役割 ○定期的な見直し ・地震・津波対策の進捗状況、被害想定を必要に応じて(5年程度)モニタリングし、ガイドラインを見直すなど、段階的な『下水道地震・津波対策計画』、『下水道BCP』の策定が可能。 地震・津波対策の方向性(資料2) 上記3点を踏まえた上で、高知県としての地震・津波対策の方向性につい て整理する。地理的条件や自治体の財政事情などを反映できるよう、防 災対策、減災対策の両面から対策の考え方について整理する。 地震・津波対策メニューおよびBCP策定時の留意点 ・被害分類毎(地震:1~4、津波:1~6)に地震・津波対策のメニュー(概算費用含む)をまとめる。 ・下水道BCPの中でも、「地震津波対策の方向性」中の優先的に実施すべき項目について留意点をまとめる。 下水道管理者の役割 下水道が有すべき機能の確保 (①人命を守る、②トイレの使用の確保、③公衆衛生の保全、④浸水の防除、⑤応急対策活動の確保) 自治体にて『下水道地震・津波対策計画』、 『下水道BCP』の策定、対策実施
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2.地震・津波対策の考え方 (1)国の地震・津波対策の方針 地震・津波対策の実施にあたっては、最終的に施設の防災対策を基本とする。
地震・津波対策の実施にあたっては、最終的に施設の防災対策を基本とする。 ただし、いつ発生してもおかしくない大規模地震に対して防災対策が困難とされる場合、減災対策を組み合わせた危機管理を行う。(下水道施設の耐震対策指針と解説、社団法人日本下水道協会、2006年) (下水道BCP) 図 地震・津波対策の考え方
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(2)地震・津波時に下水道が有すべき機能 ①人命を守る ②トイレ使用の確保 ③公衆衛生の保全 ④浸水の防除 ⑤応急対策活動の確保
(下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書、平成24年3月) ①人命を守る 東日本大震災の犠牲者の多くは津波が要因とされており、沿岸部に多く設置されている下水道施設について、防災避難広場や津波避難ビルとしての機能をもたせ、活用することが望まれる。 ②トイレ使用の確保 ライフラインとしての下水道の最も重要な機能の一つ、特に、多くの避難者等が集まる避難所、学校、病院、医療施設等の防災拠点がある地域では、し尿の排除が急務となり、伝染病の発生等公衆衛生上の重大な影響が懸念される。 ③公衆衛生の保全 発災直後も、し尿は発生し続け、更に水道の復旧等により、下水量が増大するため、流下機能の喪失により生活空間へ下水が滞留するため、水系伝染病等のリスクが拡大し、被災者等に環境衛生上の危機を招くこととなる。 ④浸水の防除 津波による海水の流入により、避難所等を含む生活空間に甚大な浸水被害が発生し、住民の生命や財産が失われる。 ⑤応急対策活動の確保 人孔の浮き上がりや管路の損傷に伴う道路陥没は、交通障害を招くため、被災者の救助や避難所の救援活動に支障を来し、特に、緊急輸送路等では重大な障害となる。
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3.高知県における地震・津波対策の方向性 避難場所の確保 基本機能(揚水・消毒)の確保 基本機能(流下)の確保 下水道が有すべき機能
対策の方針 避難場所の確保 全ての自治体に共通した最優先事項として、管理棟などの耐震化、耐水・防水化を実施する。 ①人命を守る §9人命を守る ②トイレ使用の確保 基本機能(揚水・消毒)の確保 地域特性を反映させるため、処理場、ポンプ場毎に手段別の類型化を実施し、優先的に取り組むべき対策を整理する。 §10処理場 ポンプ場の 対策方針 ③公衆衛生の保全 ④浸水の防除 基本機能(流下)の確保 管路対策の方針は、県内全ての自治体で共通の方針とする。※津波被害の影響が整理されておらず、類型化が困難なため §12管路施設の対策方針 ⑤応急対策活動の確保
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最優先次項:人命を守る 自治体が判断 対策実施の優先度 ● 対策の優先度は「人命を守る」を最優先として検討を行う事とする。
●処理場・ポンプ場と管路対策のどちらを優先するか、また雨汚水どちらを 優先するか等についての判断は、復旧の困難さ、影響度の大きさ等から自 治体の判断によるものとする。 最優先次項:人命を守る 復旧の困難さ、影響度の大きさ等から 自治体が判断 処理場 ポンプ場 管路 雨水 排水区 汚水 処理区
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いつも(平常時) もしも(災害時) ●防災対策事業としては、下水道施設の改築事業等その他の事業との効率的な実施が求められる。
いつも(平常時) もしも(災害時) 市町村の合併等を受け、下水道事業の効率的な実施のため、事業の再構築や農業、漁業集落排水の統廃合が考えられます。 旧A処理区域の汚水は処理施設から沈殿放流し、B処理区域の残存区域については代替機器を用いて対応する。 旧A処理区域の汚水やB処理区から移送された汚水を処理 ※廃止する処理施設については、災害時に備え揚水、消毒、沈殿機能の保持。また代替品の備蓄基地としても活用する。 A処理施設※ 残存するB処理区域の汚水をA処理施設に備蓄していた代替機器を用いて処理 P 管きょを用いた汚水移送やバキューム車等を用いた移送も検討 :A処理区域 B処理施設 :B処理区域
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(1)人命を守る(避難場所の確保) 人命の確保は、地震・津波対策において、最も優先すべき機能であるため、具体的な対策として、職員や関係者が常駐する施設の耐震化を基本としつつ、建物の耐水化を行うとともに、仮に建物内部で浸水が発生した場合にも人命が確保できる機能を各施設で有しておく必要がある。 (※避難時間および財政的な観点から、優先度は①>③とする。 ) ケース1(施設の一部が浸水) ケース2(処理場全体が水没) 「①敷地内構造物へ避難」 敷地内で高い建物等を選定し、想定浸水深さに相当する階に2を加えた階の有無から検討する。 (施設の耐震化、耐水・防水化) 「②敷地外の構造物へ避難」 避難計画を策定し、定期的な訓練を実施する。「③敷地内に避難施設(避難ビル相当)を設置」 周辺に避難場所がない場合は、新たに耐震性、耐津波性を有する避難施設の設置を検討する。 ② ③ ① 処理場敷地 処理場敷地
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下水道サービスエリアの被害想定や対策費用等から判断
(2)処理場、ポンプ場の対策方針(揚水・消毒機能の確保) 処理場、ポンプ場においては、基本機能である『揚水機能、消毒機能』を確保するため、画一的な対策方針を示すのではなく、処理区、排水区の地理的条件(地域特性)などで類型化し、対策方針を整理する。 (2)-1 処理場、ポンプ場の類型化 地震、津波それぞれについて、基本機能を確保できるか、出来ない場合に対策を実施できるか、処理場、ポンプ場毎に分類する。 下水道サービスエリアの被害想定や対策費用等から判断 耐震診断を踏まえて判断※ 地 震 津 波 対策実施実現性 (地震被害分類1~3) 基本機能確保 基本機能確保 (津波被害分類1~5) 対策実施実現性 NO NO NO NO 被害想定から判断 YES YES YES YES (地震被害分類4) (津波被害分類6) ③ ② ① ④ ⑤ ⑥ 地震被害タイプ1~3 毎に対策を実施 対策の必要なし 対策の必要なし 津波被害タイプ1~5 毎に対策を実施 ※高知県では耐震診断の必要な処理場の内、約半数が実施済みであり、残りのほぼすべてにおいても実施を予定している。なお、ポンプ場などで明らかに物理的、経済的に防災対策の実施が困難な場合はこの限りではない。
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物理的、経済的に防災対策困難。復興計画を留意して。
地震、津波の被害想定に基づき、基本機能が確保できるかどうか、また、確保できない場合に、対策の実施が可能かどうか、下水道管理者が地域の実情を加味して方針を決定する。 「地震による被害対策」と「津波による被害対策」の関係図 地震による被害対策 ①基本機能が確保可能 地震被害分類4 基本機能確保不可能 ②防災対策が実施可能 地震被害分類1~3 ③減災対策にて補完 物理的、経済的に防災対策困難 津波による被害対策 ④基本機能が確保可能 津波被害分類6 対策必要なし 耐震対策実施 地震に対する 減災対策実施 津波被害分類1~5 ⑤防災対策が 実施可能 耐津波対策実施 耐震・耐津波対策 を並行して実施 (両者共ハード対策) 耐津波対策を実施しつつ 地震に対する減災対策を 並行して実施 ⑥減災対策にて補完 物理的、経済的に防災対策困難。復興計画を留意して。 津波に対する 耐震対策を実施しつつ 津波に対する減災対策を 地震・津波に対する減災対策実施 (両者共ソフト対策) ①、④ ② ③ ⑤ ②、⑤ ③、⑤ ⑥ ②、⑥ ③、⑥
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(2)-2 地震による被害対策 1)地震対策における『防災対策』の考え方 【対策の実施】
(2)-2 地震による被害対策 1)地震対策における『防災対策』の考え方 【対策の実施】 対策の実施にあたっては、下水道管理者が実施した被害想定に基づく、被害分類毎(被害分類1~4)に基本機能確保に必要となる対策を選択し、対策計画を策定する。 ※具体的な地震対策メニューとその概算単価については、ガイドラインに記載。 被害分類 タイプ 地震対策メニュー 側方流動対策 液状化対策 耐震対策 ・護岸の改良強化 ・護岸の再構築 ・地盤改良 ・締固め ・躯体補強材 ・躯体補強(増壁) ・直接基礎補強 ・杭基礎補強 1 ○ 2 3 4 対 策 の 必 要 な し 【地震被害分類】 タイプ1:側方流動による被害 タイプ2:地震動・液状化による被害 タイプ3:地震動による被害 タイプ4:軽微な被害
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【段階的な目標の設定】 ※指針には示されていないガイドラインの特徴
【耐震設計の考え方】 「下水道施設の耐震対策指針と解説」(社団法人日本下水道協会、2006年以下、指針)の内容に則って対策を進めるものとする。なお、指針の見直しがされ(2014年改定予定)、南海トラフの巨大地震に対応する新たな考えが示された場合は、その内容を踏まえて対策を検討する。 ○土木構造物 ➣本来の機能を確保する ➣損傷や塑性変形が残留しても早期の機能回復が可能 ○建築構造物 ➣建築物の機能を保持する ➣崩壊から人命を保護し、大きな補修をすることなく建築物を使用できる 【段階的な目標の設定】 ※指針には示されていないガイドラインの特徴 対策の実施にあたっては、最終的には全ての施設の耐震化を目標とするが、被災後に発生する汚水量を想定し、その揚水、消毒機能を確保する為の対策を短期的な目標とする。 なお、耐震対策が十分整わない状況下で被災した場合を考慮して、対策完了までの間は減災対策と並行して実施する。 必要となる能力を確保出来るよう、段階的に耐震化を実施 汚水の発生量を想定 被災時に必要となる能力(揚水、消毒機能)設定 ※基本的には平常時の汚水発生量とする
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2)地震対策における『減災対策』の考え方 【汚水処理区における検討】
2)地震対策における『減災対策』の考え方 下水道BCPマニュアルに示された内容を基本としつつ、マニュアルに記載されていない項目および、特に留意すべき項目について示す。ここに示された項目から、段階的にBCPを策定する。 【汚水処理区における検討】 ●下水道サービスエリアから発生する汚水量を想定する。汚水量については被災前の日 平均流入量を基本とする。なお、汚水量の想定にあたっては、最悪の事態に対応するた め、管路の被災は無いものとする。
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●想定される汚水発生量から、必要となる可搬式ポンプの能力および可搬式発電機の能 力、必要となる燃料、消毒剤の量を検討しておく。また、その備蓄場所についても検討す る。
●被災後の暫定対応として、仮設沈殿池等を用いた対応が考えられる。必要となる面積 や場所の確保、放流先との事前協議等について検討する。 ●想定される汚水量が多く、代替機能(ポンプ)の確保が困難な場合については、災害用 トイレ等の活用が求められる。必要数の把握、配備の計画、関連部局との調整を行なうと ともに、下水道使用自粛願い等の住民周知についても事前に準備をしておく。 ●被災時の現場作業を自治体職員が実施することは困難と考えられることから、事前に民間企業や関連協会等との事前の協定を結び、定期的な訓練を実施する。 【雨水排水区における検討】 ●雨水排水区においてはポンプの排水能力が非常に大きく、代替機能の確保が困難と 考えられる。機器を速やかに復旧できるよう、メーカーや関連協会等と協定を締結する。 ●降雨期まで復旧作業がかかる場合には浸水の危険性が想定されることから、適切な 情報発信時期・内容について検討する。 ●被災時の現場作業を自治体職員が実施することは困難と考えられることから、事前に民間企業や関連協会等との事前の協定を結び、定期的な訓練を実施する。
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(2)-3 津波による被害対策 1)津波対策における『防災対策』の考え方 【対策の実施】
(2)-3 津波による被害対策 1)津波対策における『防災対策』の考え方 対策の実施にあたっては、各自治体が実施した被害想定に基づく、被害分類毎(被害分類1~6)に基本機能確保に必要となる対策を選択し、対策計画を策定する。 ※具体的な津波対策メニューとその概算単価については、ガイドラインに記載する。 【対策の実施】 被害分類 タイプ 津波対策メニュー 浸水対策 波圧対策 漂流物対策 ・開口部閉塞 ・防水扉・板 ・ゲート緊急遮断 ・防護壁 ・津波堤 ・浸入防止フェンス (・防護壁) (・津波堤) 1 ○ 2 3 4 5 △ 必要に応じて 6 対 策 の 必 要 な し 【津波被害分類】 タイプ1:波圧・漂流物・浸水の被害 タイプ2:波圧・浸水の被害 タイプ3:漂流物・浸水の被害 タイプ4:浸水による被害 タイプ5:軽微な被害 タイプ6:被害なし
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【対象津波の設定】 「最大クラスの津波」を対象とすることを基本とする。
【対象津波の設定】 「最大クラスの津波」を対象とすることを基本とする。 「頻度の高い津波」については、対策優先度の設定等に用いるが、場合によっては当面、中期的な対象津波とすることも検討する。 地震動区分 耐 津 波 性 能 目 標 最大クラスの津波 「津波防災地域づくり法」の規定により、都道府県知事が設定・公表する際の津波である。この津波による「津波浸水想定」に基づき耐津波対策が行われる。高知県においては平成24年12月に公表された「南海トラフの巨大地震」である。 頻度の高い津波 基本的には海岸保全施設等を整備・管理する海岸管理者が定める津波である。高知県においては平成24年12月に想定された「安政南海地震」相当となる。 ●高知県においては処理場の約半数、ポンプ場の1/4において海岸保全施設の設置が予定さ れておらず、こうした処理場・ポンプ場では当面、中期的な目標として「頻度の高い津波」につ いて検討することも必要と考えられる。 ●その他の処理場・ポンプ場においても津波高が見直されたことから、海岸保全施設等の整 備進捗等と施設の処分期限期間とを勘案して適切に目標を設定する必要がある。 ●なお、耐津波対策が十分整わない状況下で被災した場合を考慮して、対策完了までの間は減災対策と並行して実施する。
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【対策レベル】 既設構造物を活用した津波対策としては、大きく分けて以下の4種類に分類される。各対策レベルの内容について示す。これらの対策を組み合わせた効率的な対策が求められる。 対策レベル 対策内容 リスク回避 Ⅰ 施設敷地周囲に防波堤等を囲うことで場内への浸入を防止。 設備の高所移転、構造物の高所設置。 リスク低減 Ⅱ 建物周りの開口部を止水化(部分的な防波壁設置や防水扉への変更等)することで、屋内への浸入を防止。 Ⅲ 屋内の耐水化するブロック(部屋)を特定し、出入口の防水化。 Ⅳ 主要設備の防水化。 対策レベルのイメージ
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2)津波対策における『減災対策』の考え方 【対象津波の設定】
【対象津波の設定】 ●基本的には最大クラスの津波を対象とするが、汚水処理区の汚水発生量の想定においては津波による下水道サービスエリアの被災は無いものと仮定する。これは、地震のみが発生し、津波が来ないことも想定されるからである。 基本的には最大クラスの津波を対象 汚水発生量の想定 津波によるサービスエリアの被害を考慮せずに汚水量を想定
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【汚水処理区における検討】 【雨水排水区における検討】 ※基本的に、地震対策と同様
●下水道サービスエリアから発生する汚水量を想定する。汚水量については被災前の日 平均流入量を基本とする。なお、汚水量の想定にあたっては、最悪の事態に対応するた め、管路の被災は無いものとする。 ●想定される汚水発生量から、必要となる可搬式ポンプの能力および可搬式発電機の能 力、必要となる燃料、消毒剤の量を検討しておく。 ●被災後の暫定対応として、仮設沈殿池等を用いた対応が考えられる。必要となる面積 や場所の確保、放流先との事前協議等について検討する。 ●想定される汚水量が多く、代替機能(ポンプ)の確保が困難な場合については、災害用 トイレ等の活用が求められる。必要数の把握、配備の計画、関連部局との調整を行なうと ともに、下水道使用自粛願い等の住民周知についても事前に準備をしておく。 ●被災時の現場作業を自治体職員が実施することは困難と考えられることから、事前に民間企業や関連協会等との事前の協定を結び、定期的な訓練を実施する。 【雨水排水区における検討】 ●地震対策と基本的に同様だが、水没した施設の速やかな復旧が求められるため、施設 から水を抜く為のポンプ等の備蓄や、移動排水車の手配等について検討する。
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(3)管路の対策方針(流下機能の確保) 1) 管路施設の「防災対策」 ○下水道管路の区分 管路は、以下のように大きく二つに分類される。
1) 管路施設の「防災対策」 ○下水道管路の区分 管路は、以下のように大きく二つに分類される。 ①重要な幹線等;流域幹線、処理場・ポンプ場に直結する幹線、河川・軌道を横断、 緊急輸送路等に埋設、防災拠点や避難所などの排水を受けるなど ②その他の管路;重要な幹線等以外の管路 ○東日本大震災における管路の被害状況 ・管路の被害は、液状化によるものが91%を占めた。 ・マンホールの被害は、液状化によるものが69%、地盤沈下によるものが27%であった。 ・なお、地震動による被災は、4~5%に止まっている。 下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書より
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東日本大震災で管路被害の大部分を占める要因となった液状化は、大きく2つの形態に分類される。 ①埋戻し部の液状化
東日本大震災で管路被害の大部分を占める要因となった液状化は、大きく2つの形態に分類される。 ①埋戻し部の液状化 管路施設の埋戻し部分のみが液状化するもので、人孔浮上や管布設部の路面沈下、管渠のたるみ等が主な被害。 ②周辺地盤の全面液状化 下水道管路施設埋戻し部周辺の道路や宅地地盤も含めて全面的に液状化するもので、人孔の躯体ズレ、破損、取付管突出、管渠の抜け、管内の土砂閉塞等が主な被害として挙げられる。また、管路埋戻し部以外の場所においても、舗装が損壊し、家屋・電柱等の沈下や傾倒が見られるのが特徴。 液状化の形態イメージ 効果的な対策 液状化対策の埋め戻し3工法 下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書より
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【防災対策の実施】 管路機能の基本機能(流下機能)は、下水道システムの根幹を成す機能であり、⑤応急対策活動の確保においても重要となる。対策実施の考え方については県内全ての自治体で共通の方針を示すものとする。 ●自治体の財政状況を鑑み、重要な幹線等以外についてはレベル1地震動への対応を基本とする。 ●防災対策については重要な幹線等を対象とし、特に重要な幹線から耐震化を進める。(レベル2) 特に重要な幹線とは・・・ ①処理場と災害対策本部施設(役場等)や特に大規模な広域避難場所等の防災拠点をつなぐ管路 ②軌道や緊急輸送路等下の埋設管路 砕石等による埋戻し 埋戻し土の固化 埋戻し土の締固め 下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書より ●地盤沈下により水没し、道路啓開時に盛土などの対策が想定される重要な幹線等 盛土された道路(気仙沼市)
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2) 管路施設の「減災対策」 ●浸水により、流下機能が失われる場合、浸水区域外のマンホールから、汚水を汲みとり、滅菌処理 したうえで、放流する必要がある。 ●このため、浸水被害以外からの汚水量を事前に把握し汚水発生量から、必要となる可搬式ポンプの 能力および可搬式発電機の能力、必要となる燃料、消毒剤の量を検討しておく。 ●想定される汚水量が多く、代替機能(ポンプ)の確保が困難な場合については、災害用トイレ等の活 用が求められる。必要数の把握、配備の計画、関連部局との調整を行なうとともに、下水道使用自粛 願い等の住民周知についても事前に準備をしておく。 ●大規模地震の被災直後は外部からの支援は困難と考えられるため、バキューム車による管路から の排除も有効と考えられる。地元の管路清掃等の民間企業や業界団体等との事前の協定を結ぶ事と する。 処理場以外の場所での沈澱処理 マンホールからの放流 バキューム車による対応
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4.県内下水道施設相互の災害時にける支援体制
(1)下水道台帳のバックアップ ○下水道台帳のバックアップ(県内下水道施設) 最大クラスの地震・津波発生時には、県内の多くの下水道施設が被災を受けることが想定される。 そこで、浸水被害想定の結果、浸水深が1.7mと比較的浅く、H25には耐震工事が完了する高須浄化センターの管理棟を防災拠点として位置付け、県内の下水道施設の復旧に向けた拠点とする。 このため、事前に県内の下水道施設台帳を電子化し、当センターにおいて一元的に管理する。
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(2)自治体間の広域支援体制、各種団体との支援協定
●事後対応にあたっては、一部の自治体を除いて自治体職員単独での調査実施は不可 能であると想定されることから、県外からの支援自治体を速やかに受入れることが重要で ある。よって、全国的なルールを活用するとともに、県内の受援体制の構築ならびに、支 援部隊の窓口となる県との連絡体制の確保から対策を進めるものとする。 【下水道事業における災害時支援に関するルール】 東北地方太平洋沖地震における支援要請や支援活動を教訓に、広域被災を念頭にした、 災害時支援のルールがH24.6に改正された。 主な改正内容は、複数県にまたがる広域被災の状況に応じて、下水道対策本部機能が 迅速に重層的に、連携的な構成を構築している。(次ページに広域災害時の支援の仕組 みを添付) ○災害時支援ブロック連絡会議 <構成員> 地方整備局、日本下水道事業団、ブロック内都道府県・大都市、下水道新技術推進機構、 全国上下水道コンサルタント協会、日本下水道施設業協会・管路管理業協会・施設管理 業協会、全国管工事業協同組合連合会、日本下水道協会 ○災害時支援全国代表者会議
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県内の下水道管理者間における災害時支援体制の構築
※大地震・津波を想定した、連絡網の定期的な訓練を実施(7月頃) 県内下水道管理者と関係団体(構成員)との 一元的な災害時の支援に関する協定の締結 ※震災直後の調査から、復旧工事における役割、リソースの調達など 被災自治体が準備すべきチェックリスト(例) □ 宿泊場所 職務室の手配 マンホール開閉器 マンホール開閉マニュアル 道路地図 下水道台帳(写) 調査記録表 緊急連絡先リスト 被災自治体による準備が望ましいチェックリスト(例) □ 詳細地図(住宅地図等) 交通整理員手配の確認 現地への移動ルートが判る資料 電話・インターネット環境 緊急車両許可証の依頼文 ・・・・・ (下水道BCP策定マニュアル第2編 P43より)
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広域災害発生時の支援の仕組み 下水道事業における災害時支援に関するルールより
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表 最大クラスの津波において浸水が想定される処理区と被災率
5.まちづくり全体の視点から見た下水道の津波対策 ○処理区域の7割以上が3m以上の浸水と想定される処理区が8箇所あり、こうした場合には復興計画などまちづくり全体との整合についても留意する必要がある。 表 最大クラスの津波において浸水が想定される処理区と被災率
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(参考)高知市下知処理区における対策の考え方(例)
高知市下知処理区では、最大クラスの津波発生時に処理区の70%以上の範囲で3m以上の浸水深が想定され、 さらに長期浸水も想定されている。 高知県の南海地震長期浸水対策検討委員会では、「江の口・下知エリア」「高須エリア」を対策優先エリアとして位 置付けられ、海老の丸ポンプ場ついては長期浸水時に活用が望まれるポンプ場として優先度A(短期目標)に、その 他7ポンプ場が優先度B(中~長期目標)に設定されている。 一方で地震発生後、道路啓開、止水対策が施され、排水対策を開始できるまで3週間を要すると想定されている。 この間、下水処理場への燃料供給等は困難と考えられるため、下水道部局としては、処理場以外のスポットからの 汚水排除、避難者へのトイレ機能の提供について減災対策を検討する必要がある。併せて、排水後の人口回復に 備えて、速やかな復旧のために、処理場の耐津波対策を並行して実施する。 下水道サービスエリアの大きな被害が想定され、まちづくり全体の視点で津波対策について取り組む必要がある 場合は、下水道単独で計画を検討するのではなく、他の部局との調整を図り、下水道として求められる機能を検討 する必要がある。 下知処理区における 津波対策の方向性 高知市における 長期浸水 高知県南海地震長期浸水対策検討委員会 防災対策 下水道の雨水ポンプ場の対策が優先度の上位に位置付けられている 海老の丸ポンプ場の耐震化、耐津波化を最優先。排水後の人口回復に備えて処理場も並行して耐津波化。 処理場での対応 減災対策 処理場以外からの汚水排除について検討 浸水により処理場に最低3週間燃料を供給することが困難
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