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北京理工大学日語系暑期論壇(2日目) 日本語の格助詞
北京理工大学日語系暑期論壇(2日目) 日本語の格助詞 名古屋大学 日本語教育学講座 杉村 泰
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プロローグ
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「は」と「が」
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自己紹介 私は名古屋大学の杉村泰です。 私が名古屋大学の杉村泰です。
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「は」と「が」の係り先 姉は帰ったらピアノの練習をします。 姉が帰ったらピアノの練習をします。
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「は」と「が」の係り先 姉は帰ったらピアノの練習をします。 姉が帰ったらピアノの練習をします。
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「は」と「が」の係り先 姉は[(自分が)帰ったら]ピアノの練習をします。 (私は)[姉が帰ったら]ピアノの練習をします。
→ 「~は ~が ~だ/する」 のセットで覚える
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主題(topic)の「は」 私は 頭が 痛い。 ケーキが 食べたい。 ビールを 飲んだ。 アメリカに 行った。 彼と デートした。
私は 頭が 痛い。 ケーキが 食べたい。 ビールを 飲んだ。 アメリカに 行った。 彼と デートした。 ここには 私のいる場所が ない。
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対比の「は」 春はあけぼの。 (夏は夜。秋は夕暮れ。冬はつとめて。) 木曽路はすべて山の中である。 (三十路はすべて闇の中である。)
(夏は夜。秋は夕暮れ。冬はつとめて。) 木曽路はすべて山の中である。 (三十路はすべて闇の中である。) 輩は猫である。 (犬ではない。) 私は杉村泰だ。 (梁朝偉ではない。) 我爸是李刚。 (不是一般的人。)
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小泉元首相 「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ。」 「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ。」
(梶原しげる 『そんな言い方ないだろう』 新潮新書 )
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小泉元首相 「非戦闘地域とは どこが そうなのか?」 「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ。」 →非戦闘地域の定義がおかしい
「非戦闘地域とは どこが そうなのか?」 「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ。」 →非戦闘地域の定義がおかしい 「自衛隊が活動している地域は どこだ?」 「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ。」 →単なる嘘
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連体修飾節 彼( )くれた指輪( )ダイヤモンドです。 *彼(は)くれた指輪(が)ダイヤモンドです。 彼がくれた指輪は、ダイヤモンドです。
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教科書に載せたい日本語 A: あなたは 誰が 好きですか。 B: 私は あなたが 好きです。 B: 私は あなたは 好きです。
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「に」 と 「へ」のイメージ
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「に」と「へ」 東京に行く。(着点) 東京へ行く。(方向)
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「に」と「へ」のうち適当な方を入れなさい。
彼が待ってる新宿( )、5,100円で連れてって! (名鉄高速バスの広告コピー ) 彼女が待ってる新宿( )、恋する切符、5,100円。 (名鉄高速バスの広告コピー )
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彼が待ってる新宿へ、5,100円で連れてって! 彼女が待ってる新宿へ、恋する切符、5,100円。
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「に」と「へ」のイメージ に(収束) ↓ → ・ ← ↑ へ(発散) ↑ ← ・ → ↓
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に(収束) 2つのカードが1枚に !! (UFJカード、2003年)
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に(収束) サティ・ビブレは、イオンとひとつのグループに。 (イオン、マイカル、2003年)
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に(収束) ぜ~んぶをお隣さんに。 (KDDI、2003年)
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に(収束) 結婚できない人をゼロに。 (パートナーエージェント、2014年)
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に(収束) 今日の疲れに。 (武田薬品工業、2014年)
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へ(発散) 日本へ 世界へ 大空へ。 (名古屋空港ビルディング、2003年)
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へ(発散) その油断 火から 炎へ 災いへ。 (日本防火研究普及協会、2003年)
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へ(発散) 世界は □ から ○ へ。 (松下電器「DVDレコーダー ディーガ」 、2003年)
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へ(発散) 呼出し音は、「プルルル…」から 「♪♪♪♪…」へ。 (NTT DoCoMo 、2003年)
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へ(発散) シキシマは、Pascoへ。 (敷島製パン、2003年)
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へ(発散) 強くて、しなやかな ニッポンへ。 (内閣官房国土強靭化推進室、2014年)
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「に」と「で」のイメージ
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場所を表す「に」と「で」 私は庭で洗濯物を干す。 私は庭に洗濯物を干す。 私は庭で 物干し竿に洗濯物を干す。
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場所を表す「に」と「で」 私は庭{で/に}ゴミを捨てた。 私は庭で ゴミ箱にゴミを捨てた。 私は山{で/に}登った。 私は山で 木に登った。
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「に」と「で」のイメージ 私は毎日電車( )座って通学する。 私は毎日電車で 優先席に座って通学する。 で(範囲) □ に(着点) → ・
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比較を表す「に」と「で」 中国は世界( )一番人口が多い。 上海は東京( )比べて人口が多い。 で(範囲) □ に(着点) → ・
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時間を表す「に」と「で」 私は10時に寝ます。 私は10時で寝ます。 に(着点) → ・ で(範囲) □
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時間を表す「に」と「で」 私は10時に寝ます。 私は10時で寝ます。 =10時で起きているのをやめる(起きている範囲)
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時間を表す「に」と「で」 私は来年の3月に中国へ帰ります。 私は来年の3月で中国へ帰ります。 (妻が夫に)3月に実家へ帰ります。
(妻が夫に)3月で実家へ帰ります。
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「に」 と 「と」のイメージ
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「に」と「と」 私は彼{に/と}似ている。 私は彼{に/と}会った。 私は彼{に/と}話した。 私は彼{に/と}相談した。
私は彼{に/と}恋をした。 私は彼{に/と}キスをした。
54
「に」と「と」のイメージ 私は車{に/と}ぶつかった。 に(着点) → ・ と(相手) →←
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「を」と「から」のイメージ
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「を」と「から」のうち適当な方を入れよ。
私は毎日7時に家( )出る。 彼はアメリカの有名大学( )出た。 彼女は大学( )出て、まっすぐ家に帰った。 「教室( )出なさい」 犯人は逃げる時裏口( )出てきた。 夫が知らない女の家 ( )出てきた。
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「を」の選択率(母語話者、学習者) 私は毎日7時に家を出る。(100%、72.5%) 彼はアメリカの有名大学を出た。(100%、46.3%)
彼女は大学を出て、まっすぐ家に帰った。 (87.9%、53.7%) 「教室を出なさい」(8.6%、59.4%) 犯人は逃げる時裏口を出てきた。(8.6%、24.8%) 夫が知らない女の家を出てきた。(6.9%、26.8%)
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「を」と「から」のイメージ 私はトンネル{を/から}出た。 を(対象) ○ から(起点) ○
59
「を」のイメージ 彼は北京大学を卒業した。 彼はパンを食べた。 彼は彼女を愛した。 彼は空を飛んだ。 ○
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まとめ
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「から」のイメージ
65
「に」のイメージ
66
「へ」のイメージ
67
「まで」のイメージ
68
「と」のイメージ 1
69
「と」のイメージ 2
70
「で」のイメージ
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どうもありがとうございました。 北京理工大学日語系暑期論壇 2014年9月15日(月) 於北京理工大学外国語学院日語系 「日本語の格助詞」
杉村 泰
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