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淀川キリスト教病院 がん診療センターがん相談支援室 市原香織
LCP日本語版の使用方法 淀川キリスト教病院 がん診療センターがん相談支援室 市原香織
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そもそも…看取りのケアに クリニカルパスって?
治療・検査・ケア・処置・指導内容やタイミング、患者の状態などを時間軸に沿ってまとめたもの 医師・看護師・関連職種がどのような行動をしなければならないかが把握できるため、チーム医療に役立つ 患者は治療の概要をあらかじめ知ることができるため、安心して診療が受けられる ●個別性を重視した看取りのケアでもおさえるべき 標準的なケアがある ●経時的にケアを評価できるため見落としが予防できる ●患者・家族にケア計画を説明することも可能である
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患者と家族が看取りの時期を安楽に安心して過ごせる
LCPの構成 看取りのクリニカルパス:3セクションで構成 患者と家族へのケア目標(計14目標50項目)が設定 使用基準 初期アセスメントセクション1 継続アセスメントセクション2 セクション3 死亡診断 患者と家族が看取りの時期を安楽に安心して過ごせる
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LCP日本語版使用基準 「看取り期」「日単位」「数日中の死が避けられない」状況での開始 ●プレテストでは1~2日から1週間以内
1.現在の症状について最善策を考慮し尽くし、患者に関わる多職種チームが予後数日または1週間程度と判断していること 2.下記の4項目中2項目以上が当てはまる 患者が終日が臥床状態である 半昏睡/意識低下が認められる 経口摂取がほとんどできない 錠剤の内服が困難である ●イメージは、終末期ではなく、 「看取り期」「日単位」「数日中の死が避けられない」状況での開始 ●プレテストでは1~2日から1週間以内
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LCPのサイクル 使用基準 初期アセスメントセクション1 継続アセスメントセクション2 セクション3 死亡診断 必要に応じてバリアンス分析
では、セクション1初期アセスメンについて説明します。 必要に応じてバリアンス分析
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セクション1:初期アセスメント 疼痛、呼吸困難、気道分泌、嘔気・嘔吐などの有無…計12項目 目標1〜3 目標4〜5 目標6〜7 目標8
はい: 達成 LCP開始時の身体症状 疼痛、呼吸困難、気道分泌、嘔気・嘔吐などの有無…計12項目 いいえ: 未達成 (バリアンス) 目標1〜3 目標4〜5 目標6〜7 目標8 目標9〜10 不必要な治療やケアの見直し (頓用指示・治療・看護介入) 患者・家族の精神面/病状認識 宗教上の要望、信条の確認 家族とのコミュニケーション ケア計画の説明 …計11目標 23項目 該当なし 昏睡
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セクション1:初期アセスメント バリアンスの記入
このページのバリアンス(「いいえ」の項目がある場合、そのバリアンスと対処等をここに記入する) 目標1 内服薬を中止し、注射・坐薬の指示に変更 目標2 頓用薬の指示を追加 目標3 定期採血を中止 目標3a 2時間毎の体位変換中止、エアマットへの変更 目標5 家族に予後を伝えていないため面談を設定 …など 目標で「いいえ」があったら、なぜそのようなバリアンスが生じたか、対処はどうしたかを記入する バリアンスとは?→クリニカルパスで想定された標準的な経過と患者の実際の診療経過とのずれ、逸脱
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LCPのサイクル 使用基準 初期アセスメントセクション1 継続アセスメントセクション2 セクション3 死亡診断 必要に応じてバリアンス分析
次は、セクション2:継続アセスメントに進みます 必要に応じてバリアンス分析
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セクション2:継続アセスメント 4時間毎と12毎の評価 達成:A バリアンス:V 4時間ごとに評価する目標 12時間事に評価する目標
症状:痛み,不穏・興奮, 気道分泌,呼吸困難など 処置:口腔ケア, 投薬 …など10項目 褥瘡、排便ケア 家族の病状理解 宗教/信条 家族ケア …など5項目
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セクション2:継続アセスメント 原則として4時間毎、12時間毎に評価し、記入する
4時間毎と12毎評価 原則として4時間毎、12時間毎に評価し、記入する 評価の時間は厳密でなくてよい(看護師のラウンド時間に合わせてよい) 「その他の症状」は患者にとって苦痛な症状があれば、それを記入する 各目標について達成:A、バリアンス:Vに○をつけて、具体的な問題点を記入する 本来はバリアンスはバリアンス分析シートに記入するが、必ずしも義務ではない 継続アセスメントは、原則として4時間毎、12時間毎に評価し、記入します。 しかし、評価の時間は厳密でなくてもかましません。看護師のラウンド時間に合わせてよいかと思います。 症状は、必ずしもここで挙げられている症状のみとは限りません、患者にとってその他にも苦痛な症状があれば、縦軸に項目を設定しそれを評価します 先ほども申しましたが、各目標について達成:A、バリアンス:Vに○をつけて、Vの場合は具体的な問題点を記入します 本来はバリアンスは最後の6ページ目のバリアンス分析シートに記入するが、必ずしも義務ではありません。
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バリアンス分析シートの例 バリアンス どのようなバリアンスがなぜ生じたか? 対処方法 結果 痛み ・痛みの訴え ・(痛みによる)呻吟
・頓用の鎮痛剤投与 ・持続皮下注射の開始/増量 ・マッサージ ・軽減した 不穏 興奮 ・体動が増強 ・身の置き所がない ・不穏 ・苦痛様表情 ・頓用の鎮静剤投与 ・鎮静剤の間欠的な投与 ・傾眠している ・穏やかとなった ・体動が落ちいた 気道分泌の増加 ・痰がゴロゴロいう ・喘鳴 ・喘鳴と呼吸困難 ・家族の不安 ・頓用の抗コリン剤投与 ・抗コリン剤のCSIの開始、増量 ・モルヒネのCSI開始 ・吸引/口腔ケア、体位調整 ・家族への説明 ・軽減する ・軽減しない ・家族は理解している
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バリアンス分析シートの例 バリアンス 対処方法 結果 その他の 症状 ・倦怠感 ・不眠 ・掻痒感 ・痙攣 ・ステロイドの増量
どのようなバリアンスがなぜ生じたか? 対処方法 結果 その他の 症状 ・倦怠感 ・不眠 ・掻痒感 ・痙攣 ・ステロイドの増量 ・夜間に鎮静剤の持続点滴 ・軟膏塗布 ・抗痙攣剤の使用 ・軽減した 口腔ケア ・乾燥 ・分泌物、吐物による汚染 ・体動、苦痛様顔貌となり中断 ・嘔吐を誘発し中断 ・口腔ケア ・見送り(次の機会に行う) ・部分的に施行 ・抗コリン剤舌下 ・輸液の減量 ・軽減する ・汚染が続く
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LCPのサイクル 使用基準 初期アセスメントセクション1 継続アセスメントセクション2 セクション3 死亡診断 必要に応じてバリアンス分析
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セクション3:死亡診断 目標11 目標12-13目標14 死後の処置の相談、実施 死亡後の諸手続きの案内患者・家遺族ケアの案内
死亡後の諸手続きの案内患者・家遺族ケアの案内 …計4目標4項目
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評価方法(例) ●患者が苦痛を感じることなく安楽である ●患者が自らの病状を理解している 達成 ●家族が患者の病状を理解している
●付きそう家族のニーズが満たされている バリアンス (未達成) ●苦痛があり穏やかでない状況 ●患者が自らの病状を理解できない ●家族が患者の状況を理解できない ●悲嘆が強い ●付きそう家族が心身共に疲弊している 該当無し ●不必要な治療やケアが元々なされていない 昏睡 ●患者が既に昏睡状態で評価できない
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バリアンスの活用(例) ケアの改善 ケアの見落とし、不十分さ システムの 改善 個別性への 配慮が必要な 個別のケアを 検討した結果 項目
・痛みが早期に緩和されなかった ・尿意で覚醒し、不穏・興奮状態になった ・病状説明が不足していた ・口腔ケアを見落としていた ・家族の連絡先を聞き逃した ケアの見落とし、不十分さ ケアの改善 システムの 改善 ・患者の症状に合わせて頓用指が処方されていた ・あえて患者の病状認識を確認しなかった ・臨死期特有の避けがたい症状 ・家族の死が近いことの認識、介護疲れなど 個別のケアを 検討した結果 個別性への 配慮が必要な 項目
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使用のポイント 目標の評価(達成?バリアンス?) に迷ったらその場にいるメンバーで話しあう
目標の評価(達成?バリアンス?) に迷ったらその場にいるメンバーで話しあう 個別性はバリアンスとして取り上げ、ケアの修正をチームで検討する その場限りの評価でなく、ケアが継続されるよう工夫する 記入もれをチェックする システムをつくる
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従来の記録からLCPへの移行① 従来の記録→LCPへの移行が本来の目的 しかし、これは日本の実情に合わないので、施設での記録で代用してもよい
施設の記録として認められ、オピオイドの投与などの必要な記録すべき行為を全て記録する必要がある 現在、電子カルテへの収載を2施設で検討
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従来の記録からLCPへの移行② 継続アセスメントの記録の例
施設で用いている経時記録用紙や電子カルテなどに記入されていれば、二重記録をする必要はない 初期アセスメント→従来の記録→死亡診断という流れでよい 4時間、12時間毎の時間間隔や 項目などはLCPに順じていること が望ましい
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LCPに期待していること LCPは看取りのケアの標準化を目指すツールであるが、ケアを画一的に行うものではない
ホスピス・緩和ケア病棟においても従来 からのケアを見直し、評価するために 役立つ 一般病棟、在宅における看取りのケアの 充実にも期待できる
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