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(独)労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 リスク管理研究センター 島田行恭

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1 (独)労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 リスク管理研究センター 島田行恭
(公社)神奈川労務安全衛生協会 平成28年度 第2回火災爆発災害防止講習会 平成29年3月21日@横浜情報文化センター IRF2009 (072409) プロセス災害防止リスクアセスメント (独)労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 リスク管理研究センター 島田行恭 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

2 内容 0.研究所の紹介 1.事故・災害統計と行政対応 2.リスクアセスメント等実施の目的 3.リスクアセスメントの進め方のポイント
4.解析事例 5.まとめ © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

3 0.研究所の紹介 独立行政法人労働者健康安全機構 独立行政法人 労働者健康安全機構中期目標 H28年4月発足 平成28年3月7日
厚生労働大臣 塩崎 恭久 事業場における災害の予防並びに労働者の健康の保持増進及び職業性疾病の病因,診断,予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究,臨床,治療就労の両立支援,未払賃金の立替払等の事業を行う. © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

4 労働安全衛生総合研究所 【研究所の目的】(独)労働安全衛生総合研究所法 第3条より ► 労働安全衛生に関する研究 ► 災害調査
H18年4月発足 【研究所の目的】(独)労働安全衛生総合研究所法 第3条より  事業場における災害の予防並びに労働者の健康の保持増進及び職業性疾病の病因,診断,予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究を行うことにより,職場における労働者の安全及び健康の確保に資することを目的とする.  ► 労働安全衛生に関する研究 ► 災害調査 ► 労働衛生重点研究推進協議会 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

5 1.事故・災害統計と行政対応 安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 5
© 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

6 H18年:RAの努力義務化 厚労省公開資料より

7 大手化学企業での事故 死者1名,負傷者36名 死者1名 負傷者6名 死者5名,負傷者13名 死者1名,負傷者25名 ※ 写真は省略しています
IRF2009 (072409) ※ 写真は省略しています 死者1名 死者1名,負傷者36名 負傷者6名 H23年3月@千葉県 H23年11月@山口県 H24年9月@兵庫県 死者5名,負傷者13名 死者1名,負傷者25名 H24年4月@山口県 H26年1月@三重県 H24年8月@岡山県 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

8 危険物施設における火災・流出事故発生件数の推移
IRF2009 (072409) 「 平成27年中の危険物に係る事故の概要の公表」(平成28年5月 総務省消防庁)

9 高圧ガス保安設備関係の 人的被害及び人身事故件数
高圧ガス保安協会HPより

10 産業構造審議会保安分科会報告書(H25年) 三つの大手化学工場の事故を受けて
① リスクアセスメントの問題 ア)設備の故障等により運転を停止した後に従業員の操作ミ ス等は発生しないとの考えにより,非定常時における リスクアセスメントが不十分であった. イ)製造設備や製造の方法の変更に伴うリスクアセスメ ントが不十分であった. ② 人材育成の問題  事故を防止する上で重要となるリスクアセスメントを行 う能力や,危険を予知する能力が低下していた. ③ 過去の事故情報の共有面での問題  過去から事故は繰り返し発生しているものの,過去の事故 の教訓が共有されず,また,活かされていなかった.

11 平成25年度危険物事故防止アクションプラン (平成25年3月27日)消防庁危険物保安室長
平成25年度危険物事故防止アクションプラン                (平成25年3月27日)消防庁危険物保安室長 1 危険物事故防止に関する重点項目  危険物施設における事故の件数を減少させるためには、「業種を超えた事故の情報の共有」を図り、同様の事故をできるだけ減らしていくことが重要である。 近年の危険物に係る事故や東日本大震災の状況に鑑み、次の事項を重点として事故防止対策を講ずる必要がある。 ○ 地震・津波対策の推進  東日本大震災の教訓を踏まえ、地震想定や津波想定の見直しが行われているが、このような状況を踏まえたハード面及びソフト面双方における地震・津波対策の再検証を行うとともに、訓練を通じた習熟度の向上を図ることが重要。  特に、地震や津波により想定される被害を具体的にイメージした上で、従業者等に対する地震・津波情報の確実な伝達、個々の従業者が行うべき応急対策の再確認、津波のおそれがある場合の避難方法については明確にしておくことが重要。 ○ 経年劣化による流出事故防止対策の推進  経年劣化によるタンク、配管等からの流出事故を防止するために、日常点検、定期点検等の際に、計装類の指示値の異 常、異音・異臭等の有無、錆垂れの有無等を見逃さない体制を確立するとともに、必要に応じて点検方法を見直し、不具合の発生が疑われる部位は速やかに補修、取替え等の対策を講ずることが重要。 ○ 保安教育の充実  知識不足、慣れから生じる配慮不足等による事故を防止するため、現場の整理・整頓・清掃や作業者間のコミュ二ケーション能力の向上といった基本事項を徹底する教育を実施し、効果測定の実施を推進することが重要。 特に、同種事業所において発生した事故事例は、軽微なものも含めて同種の事故の発生を防ぐ上で参考になる場合が多いことから、保安教育を行う際に積極的に活用するとともに、可能な限り業種を超えた事故情報の活用にも努めることが重要。 ○ 異常発生時における応急対応能力の向上  電力の途絶、工程の一部機能の喪失、原材料の全部又は一部の供給停止、冷却機能の停止等の異常が発生した場合に備えて、ハード面で講じられる安全対策を再整理しておくとともに、作業員が監視すべき項目や操作すべき項目を予め決めておくことが重要。  この際に、作業員に対してハード面で講じられる安全対策の概要及びその場合に想定される状況について教育するとともに、監視項目、操作項目の目的及び効果について教育することが重要。  また、これらの異常が発生した際の事故の発生リスク、万一事故が発生した場合に想定される事故の態様等を早期に把握して、関係機関への通報、関係者への連絡等を滞りなく行うことができるよう、従業者が連携して速やかに対応することのできる体制を構築しておくことが重要。 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

12 化学プラントの爆発火災災害防止のための変更管理の 徹底等について (厚労省通達;H25年4月)
1.化学プラントの変更時等のリスクアセスメント  の実施 ・化学プラントの変更時等のリスクアセスメントを確実に実施すること.  -「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」  -「化学プラントにかかるセーフティ・アセスメントに関する指針」 2.実施体制の整備等による現場力の維持・向上 ・人員の適正配置,教育訓練,非定常作業における対応マニュアルの策定及び関係者への周知徹底を実施することにより,現場力の維持・向上を図ること. © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

13 事業者や業界団体が取り組む対策 (H26年5月) 石油コンビナート等における災害防止対策検討関係省庁連絡会議

14 化学物質のばく露問題 大阪の印刷工場で発生した胆管がん 福井の化学工場で発生した膀胱がん
 平成24年3月,化学物質の使用により胆管がんを発症したとして労災請求があったことに端を発して,他の印刷事業場でも,労働者が胆管がんを発症した事例が相次いで明らかとなった.  大阪の印刷工場では,洗浄剤に含まれる1,2-ジクロロプロパンを長期間にわたり高濃度でばく露したことが原因で発症した蓋然性が高いとされた.この報告書を踏まえて,平成25年3月27日には16名の労災認定がなされている. 福井の化学工場で発生した膀胱がん  福井県の化学工場において,オルト-トルイジン,2,4-キシリジン等を原料として染料・顔料中間体を製造する作業に従事する労働者5名に膀胱がんが発生したとの報告を受け,厚生労働省労働基準局安全衛生部長から「芳香族アミンによる健康障害の防止対策について」(基安発1218第1号,平成27年12月18日)が発出され,関係団体に注意喚起が促されている. (災害調査報告書(A )福井県内の化学工場で発生した膀胱がんに関する災害調査, 平成28年5月,独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

15 労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)
H29年3月1日より27物質追加 厚労省公開資料より

16 化学物質等による危険性又は有害性等の 調査等に関する指針
化学物質等による危険性又は有害性等の 調査等に関する指針 (平成27 年9月18 日,基発0918 第3号) 012109@富山会場 改正法をはじめとする今般の化学物質管理に係る法令改正は,人に対 する一定の危険性又は有害性が明らかになっている 労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる640の化学物質等に ついて, ・譲渡又は提供する際の容器又は包装へのラベル表示 ・安全データシート(SDS)の交付 ・化学物質等を取り扱う際のリスクアセスメント の3つの対策を講じることが柱となっている. 16 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

17 化学物質(危険物,有害物等)に起因する労働災害
(休業4日以上) IRF2009 (072409) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH) 「労働者死傷病報告」より作成

18 アルミニウムとマグネシウムの合金を粉砕加工する作業中に粉じん爆発が発生し,作業者2名が死亡した.
IRF2009 (072409) アルミニウムとマグネシウムの合金を粉砕加工する作業中に粉じん爆発が発生し,作業者2名が死亡した. 無機化学工業製品製造工場において,黄リンと硝酸とが異常反応を起こして処理槽が爆発し,作業者2名が死傷した. のど飴の製造工場において,原料溶液に含まれていたエタノールが釜で撹拌中に引火し,近くにいた作業員がやけどを負った. 事業場内で灯油をポリタン クに給油中にホースが破損 し,噴き出した灯油がスト ーブの火により引火して火 災となった. オフセット印刷機で印刷作 業中,都市ガスを燃料とす る乾燥設備が爆発し,作業 員が負傷した. 集合住宅の室内改装工事に おいて,接着材に含まれて いた有機溶剤の蒸気に引火 爆発し,労働者3人が休業 災害を負った. 厚労省:職場のあんぜんサイトより

19 洗浄用の溶剤,切削油の製造販売等を行っている会社の廃液等処理施設の建設工事において爆発が発生した.
IRF2009 (072409) 洗浄用の溶剤,切削油の製造販売等を行っている会社の廃液等処理施設の建設工事において爆発が発生した. ガス管を取り替える作業中,漏れ出したガスに引火し,火柱が現場に面していたビルにまでおよび,その火柱によりビルが延焼した. レストランに附属する食品材料保管用冷凍倉庫の新築作業現場で,内装用の断熱材を床に接着する作業中,接着剤に含有するノルマルヘキサンの蒸気に引火し,火災となった. 地下鉄建設工事において,シー ルドマシンの解体作業中,使用 したガス溶接装置の火花や破片 が,油圧用の油,ゴムホース等 に着火し,火災となった. 工場に集じん装置を設置す る工事中に,溶接火花によ り既設の汚泥タンクが爆発 した. ごみ焼却処理設備の改装工事にお いて,排水ポンプ室内に設置され ていたポンプ,配管などの撤去作 業中,汚水ピットから流出したメ タンガスが,アセチレン溶断の火 炎により着火・爆発した. 厚労省:職場のあんぜんサイトより

20 化学物質などによる危険性または有害性の特定
2.リスクアセスメント等実施の目的 安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 化学物質リスクアセスメントの進め方(安衛法) リスクの見積り ステップ2 リスク低減措置の内容の検討 ステップ3 リスク低減措置の実施 ステップ4 リスクアセスメント結果の労働者への周知 ステップ5 化学物質などによる危険性または有害性の特定 ステップ1 安衛法第57条の3第1項 安衛則第34条の2の7第2項 安衛法第57条の3第1項 20 安衛法第57条の3の第2項      努力義務 安衛則第34条の2の8 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

21 火災・爆発防止のためのリスクアセスメント等実施上の 課題
安全工学シンポジウム2008(071008) 火災・爆発防止のためのリスクアセスメント等実施上の 課題 11/6/2018 1) 火災・爆発等の発生の可能性に気付いていない.   事故事例は自社には当てはまらないと考えてしまう. 2) ヒヤリハット情報などへの対応をリスクアセス メント等の実施とみなしている.   通常の製造現場で実施されている安全管理活動では気付 くことが難しいような潜在的なリスクを見つけ出すこと. 3) 従来の化学物質リスクアセスメントは物質及び 化学反応の特性のみに着目している.   設備・装置,作業・操作などの不具合も火災・爆発の原因 となりうる.   HAZOP, FTA, FEMA等は労力,時間,コストが掛かる. 21 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

22 火災・爆発防止のためのリスクアセスメント等実施上の 課題(続き)
安全工学シンポジウム2008(071008) 火災・爆発防止のためのリスクアセスメント等実施上の 課題(続き) 11/6/2018 4) 火災・爆発に至るシナリオを考えるのは難しい.   発災条件が多岐にわたる.専門的知識が必要となる. 5) リスク低減措置の機能が適切に評価されていな い(例:次スライド).   リスク低減措置の目的を理解していない. 6) 火災・爆発防止対策には多重防護の考えによるリ スク低減措置の検討が必要   厚労省指針は基本的に労災防止を目的としている. 7) リスクアセスメント等の結果が共有されない.   現場作業者は設計意図を理解しておらず,いざという時 に不適切な対応を行ってしまう 22 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

23 正しいリスク評価? (影響の過小評価) H18年の法改正直後の取り組みにはよく見られた リスク 低減対策 災害原因 (想定も含む) 災害が
正しいリスク評価? (影響の過小評価) No. 災害原因 (想定も含む) 災害が 発生する プロセス リスク評価 (現状) リスク 低減対策 (リスク低減措置実施後) 災害の重大性 災害発生の可能性 危険に近づく頻度 合計点 リスクレベル 順位 2 装置A内でガスが滞留しやすく,着火の恐れがある 装置A内ガス濃度が突然上昇し,爆発する可能性がある 10 4 3 17 ガス濃度を定期的に測定する環境を整備し,標準化する(毎月測定) 1 6 H18年の法改正直後の取り組みにはよく見られた © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

24 Q-どこまでやれば法規制を満足しますか?
リスクアセスメントに関するセミナー等でよくある質問 Q-どこまでやれば法規制を満足しますか? ・義務化に対応しなければ監督署に指導される  A-火災・爆発防止のためには法規制対応だけでは不十分 Q-なぜリスクアセスメントを実施するのですか? Q-簡単な方法(ツール)はありませんか? ・手間を掛けずに結果を得たい  A-支援ツールの出力(解)に思考プロセスは明示されず  A-簡単な方法では“見逃される”危険性がある Q-「想定外の事故だった」としていいんですか? © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

25 なぜリスクアセスメントを実施するのか? ① どんなリスクが潜在するかを把握する ② リスクにどのように対応するかを決める
① どんなリスクが潜在するかを把握する   (火災・爆発等が発生する危険性はないだろうか?) ② リスクにどのように対応するかを決める   (リスク低減措置を検討し,実装する目的は?) ③ 現場で対応すべきコトを明確にする   (リスク低減措置の機能を維持するためには?)   (残留リスクにどのように対応するか?) ・安全設計の根拠を明確にする ・安全管理(リスクマネジメント)の対象を明確に する ・教育・訓練内容とその目的を明確にする © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

26 3.リスクアセスメントの進め方のポイント 事業者が取り扱う様々な化学物質のリスク 環境 有害性 品質 危険性
安全工学シンポジウム2008(071008) 3.リスクアセスメントの進め方のポイント 11/6/2018 事業者が取り扱う様々な化学物質のリスク 環境 有害性 26 品質 危険性 (図の引用元)経済産業省製造産業局化学物質管理課       「化学物質のリスク評価のためのガイドブック(入門編)」

27 有害性に関するリスクアセスメントツール 分類 具体的な方法 具体的作業 長所 短所 実測法 測定器により作業現場の環境を実測する.
作業現場の対象物質の濃度を実測し,許容濃度と比較する. 実測値を用いるため,信頼度が高い. 手間,時間,及び費用が掛かり負荷が大きい. 定性的見積もり法 コントロールバンディング法 (厚労省提供CB法) 作業環境を「有害性」と「ばく露性」から2次元の区分けを行い,リスクの区分を判断する. 実測せずに,簡単な計算で,リスクを見積もることができる.大局観を掴むときに有効. 定性分析のため,対策の効果を数値化できず,対策のPDCAサイクルを回しにくい. 判断が極端に安全サイドに偏る傾向がある. 定量的見積もり法 ECETOC TRA法 (GSSMaker Worker Tool) 「ばく露濃度」と「有害性評価値」を計算で見積もり,比較する. 実測せずに,数値計算でリスクを定量化できる.精緻な計算が可能. CB法と比較して,計算の作業が複雑. 厚労省資料より

28 火災・爆発防止のためのリスクアセスメント (手法・ツール)
① JISHA方式化学物質リスクアセスメント(中災防 ) ② 化学物質の危険性初期リスク評価ツール(日化協 ) ③ 爆発・火災リスクアセスメントスクリーニング 支援ツール(厚労省) ④ プロセスプラントのプロセス災害防止のための リスクアセスメント等の進め方(安衛研) ⑤ リスクアセスメントガイドライン(経産省) ⑥ その他(FTA,FMEA,ETA,What-If解析,労働省方式・・ ) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

29 (1)爆発・火災リスクアセスメントスクリーニング支援ツール
《資料1》参照 全体像: ① 危険性に関する情報を収集する. ② (作業,プロセスごとに)4種類のチェックフローを用いてスクリー ニングを実施する. ③ 実施内容を結果シートに記録し,リスク低減措置の内容について検 討のうえ,結果シートを保管する. ④ 結果シートを活用し,労働者への周知や定期的な危険性等の確認な どに繋げる. 日化協セミナー資料(みずほ情報総研)より

30 (H29年2月28日,職場のあんぜんサイトにてWeb版公開)
4種類のチェックフローに基づく危険性判定 【化学物質の危険性】のチェックフロー 【プロセス・作業の危険性】のチェックフロー 【設備・機器の危険性】のチェックフロー 【リスク低減措置の導入状況】のチェックフロー (特徴)  ✔ 代表的な危険性や事例を知ることができる  ✔ リスク低減措置の導入状況も確認できる  ✔ 危険性が顕在化するシナリオや可能性の検討を支援 (H29年2月28日,職場のあんぜんサイトにてWeb版公開) 日化協セミナー資料(みずほ情報総研)より

31 (2)プロセスプラントのプロセス災害防止のためのリスクアセスメント等の進め方
012109@富山会場 《資料2》参照 技術資料では, 火災・爆発・漏洩・破裂などの災害を「プロセス災害」 と総称しています. 31 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

32 化学物質などによる危険性または有害性の特定
化学物質リスクアセスメントの進め方(安衛法) 012109@富山会場 潜在する危険性を如何に抽出するか? リスクの見積り ステップ2 リスク低減措置の内容の検討 ステップ3 リスク低減措置の実施 ステップ4 リスクアセスメント結果の労働者への周知 ステップ5 化学物質などによる危険性または有害性の特定 ステップ1 トラブルやプロセス災害に至るシナリオを如何に想定するか? 安衛法第57条の3第1項 リスクの評価 安衛則第34条の2の7第2項 リスクを如何に評価するか? 32 安衛法第57条の3第1項 論理的に有効なリスク低減措置を如何に検討するか? リスク低減措置を 如何に決定するか? 安衛法第57条の3の第2項      努力義務 安衛則第34条の2の8 現場の作業者に何を伝えるか? © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

33 化学物質取扱い設備設計の基本 挙動 操作 構造 ●挙動:爆発性・引火性/反応異常・・・ ●操作:作業者・運転員の誤判断・誤操作・・・
① 化学物質の特性:化学物質の反応・プロセス(挙動) ② 化学物質の取扱:反応・プロセスに係る作業・操作(操作) ③ 化学物質取扱設備:反応・プロセス,作業・操作に必要な 設備・装置(構造) 挙動 操作 構造 これまでの化学物質RA ●挙動:爆発性・引火性/反応異常・・・ ●操作:作業者・運転員の誤判断・誤操作・・・ ●構造:設備・装置の故障/腐食・摩耗による不具合・・ 33 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

34 あらかじめ準備すべき情報(関連資料) 常に最新版となっていること. 現場の実態とあっていること. 種類 具体例 必要とする理由 物質の情報
安全工学シンポジウム2008(071008) あらかじめ準備すべき情報(関連資料) 11/6/2018 種類 具体例 必要とする理由 物質の情報 □ 安全データシート(SDS) ・取り扱う化学物質の特性(引火点,毒性など)GHS分類を確認する. プロセスの 情報 □ 反応条件 □ 運転条件 □ 物質の取扱量 ・流量,温度,圧力,濃度などの正常なプロセス挙動,運転条件などを把握する. 機器の情報 □ 機器・装置リスト(スペック条件を含む) □ 機器図面 ・対象内に存在する設備,機器・装置などを確認し,それらの不具合要因を抽出する. ・設備・機器・装置のつながりを確認し,異常伝播の構造を把握する. ・既存のリスク低減措置を確認する. マニュアル  関連図書 □ 運転手順書,操作手順書 □ 作業標準 □ 作業手順書(工程表) □ タイムチャート □ 温度・圧力プロファイル ・作業方法・手順などの基本を確認し,それぞれに対する作業・操作ミスなどを抽出. 図面類 □ プロセスフロー図 □ 配管計装図 □ 機械設備などのレイアウトなど,作業周辺環境に関する情報 ・設備・機器のつながりを確認し,異常伝播の構造を把握する. その他 □ 類似事故事例DB □ 災害統計(データ) □ リスクアセスメント等実施にあたり参考となる資料など ・過去に発生した類似のプロセス災害に関する情報を得る. 常に最新版となっていること. 現場の実態とあっていること. 34 34 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

35 プロセス災害防止のためのリスクアセスメント等の進め方(概要)
質問に答える形で,どのような危険源が存在するかを知る © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

36 物質に関する質問 プロセスに関する質問 その他の質問 STEP 1: 取り扱い物質及びプロセスに係る危険源の把握 資料2-表4
 物質・プロセスの危険源把握のための17の質問  質問 1.取り扱い物質は,危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を義務付けられているか? はい いいえ 2.取り扱い物質は,いずれかのGHS分類が「分類対象外」「区分外」「タイプG」以外のものか? 3.取り扱い物質は,可燃性,引火性か? 4.取り扱い物質は,爆発性に関わる原子団,あるいは,自己反応性に関わる原子団を持っているか? 5.取り扱い物質は,可燃性(有機物,金属など)の粉体(可燃性粉じん)か? 6.取り扱い物質は,過酸化物を生成する物質か? 7.取り扱い物質は,重合反応を起こす物質か? 8.取り扱い物質は,液化ガスか? 9.取り扱い物質は,SDSが存在していないけれども,危険有害性が疑われるか? 10.対象とするプロセスプラントは,意図的に反応(副反応・競合反応なども含む)を起こしているか? 11.対象とするプロセスプラントは,何らかの物理的な操作の際に温度が上がるか? 12.対象とするプロセスプラントは,意図した物質の混合や,意図していない物質の混入により,以下のいずれかの可能性があるか?  (1)温度が上昇する,(2)GHS分類のいずれかの危険源となる物質を生成する(質問2.参照),  (3)大量のガスを発生する,(4)取り扱う物質の熱安定性が低下する 13.対象とするプロセスプラントは,常温・常圧ではない箇所(高温,低温,高圧,真空(低圧),繰り返し昇温・降温,昇圧・降圧)が存在するか? 14.対象とするプロセスプラントは,大量保管をしている箇所が存在するか? 15.対象とするプロセスプラントは,腐食が進みやすい個所が存在するか? 16.外界からの影響要因(雨水による外面腐食,紫外線による材料劣化など)はあるか? 17.対象とするプロセスプラントは,高電圧/高電流の箇所が存在するか? 物質に関する質問 (GHSやSDS等を参考に!) プロセスに関する質問 その他の質問 回答結果を参考にリスクアセスメントを実施 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

37 物質・プロセスの危険源把握のための質問票(一部)
説明と事故事例 3. 取り扱い物質は,可燃性,引火性か? はい  いいえ 説明:SDSが存在しない,製品ではない物質(気体,液体,固体)でも,火災・爆発を起こす可能性を持つ物質は存在する(石油精製時の排ガス,有機系の廃液,可燃性のごみ等).その中でも,可燃性ガスなどは,ごく一般に使用されており,それが故に爆発火災を引き起こす可能性も高い. 事例1:道路舗装工事会社のアスファルトプラントにおいて,アスファルト貯蔵タンク(高さ9.2m)にアスファルト原料を送入する配管が詰まった.機械修理業者の3名が配管を交換作業中,タンクが爆発して天蓋がめくり上がり,天蓋上で溶断作業をしていた1名が地上に墜落して死亡した.原因は,配管のフランジのボルトをアセチレンガス溶断した際,配管内のアスファルトの可燃性ガスが溶断の火花により着火したとみられる. 事例2:製油所蒸留脱硫エリアでの定期修理後のスタートアップにおいて,空気による送風テスト中,突然燃焼炉上部の煙道内でガス爆発を生じた.原因は,バルブリークのためフレア系の可燃性の排ガス(メタン,水素,エチレン,エタン等)が煙道内に流入して空気と混合し,何らかの着火源により爆発したと推定される. 4.取り扱い物質は,爆発性に関わる原子団,あるいは,自己反応性に関わる原子団を持っているか? 説明:その物質が爆発性や自己反応性に関わる原子団を持っている場合,エネルギー(熱,衝撃,摩擦など)が加えられた時に急速に分解し,爆発を引き起こす可能性がある.原子団の例は付録表A3及び付録表A4を参照のこと. 事例1:染料中間体の製造工場において,半製品のジニトロ・パラ・クレゾールを製造する硝化機でのニトロ化工程の反応温度が設定値を超え,原料の滴下を停止したが,さらに温度は上昇し爆発した. 事例2:ハイドロパーオキサイドを生成する酸化反応器のエマージェンシー・シャットダウン時のインターロック解除により,酸化反応器への窒素の供給が停止し,液相の撹拌が停止した.冷却コイルのない液相上部でハイドロパーオキサイドの分解熱が除熱できず,温度上昇により分解反応が加速し,酸化反応器が圧力上昇により破裂した. どのような危険性があるのか? 過去にどのような事故が起こっているのか? © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

38 プロセス災害防止のためのリスクアセスメント等の進め方(概要)
質問に答える形で,どのような危険源が存在するかを知る 一つの引き金事象に対してシナリオを同定し,リスク評価,リスク低減措置の検討を行う © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

39 STEP 2: リスクアセスメントの実施 一つのシナリオに対する検討 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)
 一つのシナリオに対する検討 実施日 ○年○月○日 実施者(記載者) ○○○○ STEP 1 取り扱い物質及びプロセスに係る危険源の把握 取り扱い物質及びプロセスに係る危険源の把握結果 質問票で「はい」に○が付いた項目 STEP 2 リスクアセスメント等の実施 作業・操作,設備・装置とその目的 (作業・操作,設備・装置) (目的) ①引き金事象特定とシナリオ同定 引き金事象 (初期事象) (参考:表5~表7) プロセス異常 (中間事象) プロセス災害 (結果事象) (参考:表8,過去の事故事例など) ②既存のリスク低減措置の確認 ・○○○ <種類><目的> ●リスク低減措置実施(実装)の種類 A) 本質安全対策 B) 工学的対策 C) 管理的対策 D) 保護具着用 ●リスク低減措置の目的 a) 異常発生防止 b) 異常発生検知 c) 事故発生防止 d) 被害の局限化 ②リスク見積りと評価 (その1) 既存のリスク低減措置が 無いと仮定した場合 重篤度 頻度 リスクレベル ○△× ⅠⅡⅢ (その2) 既存のリスク低減措置の 有効性確認 ③追加のリスク低減措置の検討 ③リスク見積りと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の イ) ○○○ <種類><目的> ・追加リスク低減措置毎にリスクを見積り,評価する ロ)  ハ)  ニ) ③追加のリスク低減措置の実装可否 イ) ~ ニ)     ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等     ③その他,生産開始後の現場作業者に特に伝えておくべき事項 残留リスクの有無の確認: 有 無 残留リスクへの対応方法: 備考 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

40 ※ STEP 1の結果と対象とする作業・操作,設備・装置の目的の記載
実施日 ○年○月○日 実施者(記載者) ○○○○ STEP 1 取り扱い物質及びプロセスに係る危険源の把握 取り扱い物質及びプロセスに係る危険源の把握結果  3 可燃性・引火性,5 可燃性粉じん,13 高圧・繰り返し昇圧・降圧, 17 高電圧/高電流 質問票で「はい」に○が付いた項目 STEP 2 リスクアセスメント等の実施 STEP 1で把握した危険源を記載 対象作業(操作),設備・装置とその目的 (操作)2.操作(仕込み・混合・払い出し):空気ラインを閉(V109)とする. (目的)ライン内を不活性雰囲気にし,粉じん爆発を防ぐ. ①引き金事象の特定とシナリオ同定 引き金事象 (初期事象)    プロセス異常 (中間事象) プロセス災害 (結果事象) 解析対象とする工程の作業・操作,設備・装置とその目的などを明記 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

41 ①引き金事象(初期事象)の特定 正常状態からの逸脱を発生させる要因を特定する. 引き金事象(初期事象)を想定
 正常状態からの逸脱を発生させる要因を特定する. 実施日 ○年○月○日 実施者(記載者) ○○○○ STEP 1 取り扱い物質及びプロセスに係る危険源の把握 取り扱い物質及びプロセスに係る危険源の把握結果  3 可燃性・引火性,5 可燃性粉じん,13 高圧・繰り返し昇圧・降圧, 17 高電圧/高電流 質問票で「はい」に○が付いた項目 STEP 2 リスクアセスメント等の実施 対象作業(操作),設備・装置とその目的 (操作)2.操作(仕込み・混合・払い出し):空気ラインを閉(V109)とする. (目的)ライン内を不活性雰囲気にし,粉じん爆発を防ぐ. ①引き金事象の特定とシナリオ同定 引き金事象 (初期事象) V109を誤って開とする.   プロセス異常 (中間事象) プロセス災害 (結果事象) 引き金事象(初期事象)を想定 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

42 引き金事象の特定: 火災・爆発を発生させる要因を特定する. 資料2-表5 (ⅰ) 作業・操作の不具合の例 (ⅱ) 設備・装置の不具合
安全工学シンポジウム2008(071008) 引き金事象の特定:  火災・爆発を発生させる要因を特定する. 11/6/2018 資料2-表5 (ⅰ) 作業・操作の不具合の例  ・○○の確認を怠った      (作業を実行しない).  ・○○を押す順番を間違えた   (逆の順番で操作を実行する).  ・○○を開くタイミングが遅れた (作業の実行が遅すぎる).  ・○○の投入量が少なすぎた   (充填量が少なすぎる).  ・・・ (ⅱ) 設備・装置の不具合  ・○○が故障して,動かなかった  ・○○が故障して,目的と異なる動きをしてしまった  ・○○が故障して,正しい測定ができなかった  ・○○が詰まった (ⅲ) 外部要因  ・停電  ・自然災害(豪雨,洪水,高波,高潮,積雪,落雷,竜巻,台風など)  ・大規模な自然災害(地震・津波・土砂崩れ・雪崩・噴火など)  ・破壊行為/妨害,・・・ 次スライド 資料2-表6 42 資料2-表7 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

43 作業・操作の不具合を想定するためのパラメータ
安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 資料2-表5 パラメータ ずれの例 作業・操作の 順番 作業・操作を実行しない 逆の順番で作業・操作を実行する 一部の作業・操作のみを実行する 余計な作業・操作を実行する 異なる作業・操作を実行する 時期 作業・操作の実行が早すぎる 作業・操作の実行が遅すぎる 時間 作業・操作の時間が長すぎる 作業・操作の時間が短すぎる 充填量 充填量がゼロ 充填量が多すぎる 充填量が少なすぎる 43 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

44 ①プロセス災害発生に至るシナリオの同定 プロセス災害発生に至るシナリオを同定 (引き金事象,プロセス異常,プロセス災害を区別して記載)
IRF2009 (072409) STEP 2 リスクアセスメント等の実施 対象作業(操作),設備・装置とその目的 (操作)2.操作(仕込み・混合・払い出し):空気ラインを閉(V109)とする. (目的)ライン内を不活性雰囲気にし,粉じん爆発を防ぐ. ①引き金事象の特定とシナリオ同定 引き金事象 (初期事象) V109を誤って開とする.   プロセス異常 (中間事象) V109が全閉となっていない場合,常にT100内に空気が流入し続け,その後,「③窒素置換」で窒素置換が不十分となり,T100内の酸素濃度が限界酸素濃度(LOC)を上回って残存する可能性がある.その後,「⑤払出し」の際に,空気がT100内で粉体を舞い上げながら(粉じん雲を形成しながら)大量に混入し,T100から払い出される.その際に撹拌により帯電していた粉体に静電気放電により着火する可能性がある.  プロセス災害 (結果事象) T100内で粉じん爆発が発生する可能性がある.   44 プロセス災害発生に至るシナリオを同定 (引き金事象,プロセス異常,プロセス災害を区別して記載) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

45 シナリオの同定:引き金事象発生による危険性の顕在化からプロセス災害に至る過程を求める
化学物質,反応プロセスの潜在危険性 引き金事象 人のミス 装置の不具合 外部要因 プロセス異常発生回避失敗 プロセス異常発生回避 プロセス異常 温度,圧力の上昇など 資料2-表8 事故発生回避失敗 事故発生回避 労働災害 プロセス災害 事故発生防止 (ヒヤリハット) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

46 (参考)危険源から労働災害発生プロセス 危険源 人 安全方策の 不足,不適切性,故障(不具合) 危険状態 危険事象 回避失敗 回避
ヒヤリ・ハット ニアミス 災害発生 (傷害又は健康障害) リスク 発生 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

47 燃焼には3つの要素が必要 ・可燃物(可燃性物質) ・酸素供給源(支燃物) ・点火源 可燃物 どの要素を抑えれば (対策を実施すれば)
 (対策を実施すれば) シナリオの発生  (プロセス災害の発生)を防ぐことができる? 酸素 点火源 図3 燃焼の3要素 ※ 3要素が揃わなくても爆発,  破裂などが生じる場合もある. © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

48 シナリオ検討時の既存のリスク低減措置の取り扱いについて
安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 リスク低減措置は必要なときに, 必ず機能するとは限らない 失敗! 48 既にリスク低減措置が存在することを前提としてシナリオを検討すると,“リスク低減措置が機能しなかった場合のリスク”が抽出されない. “既存のリスク低減措置は設置されていない”と仮定して検討 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

49 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合
②既存のリスク低減措置の有無の確認 IRF2009 (072409) ②既存のリスク低減措置 ・不活性雰囲気での混合操作(B-c) ●リスク低減措置の種類 A) 本質安全対策 B) 工学的対策 C) 管理的対策 D) 保護具着用 ●リスク低減措置の目的 a) 異常発生防止 b) 異常発生検知 c) 事故発生防止 d) 被害の局限化 ②リスク見積もりと評価 (その1) 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合 重篤度 頻度 リスクレベル (その2) 既存のリスク低減措置 の有効性確認 49 既存のリスク低減措置の有無確認 (【種類】と【目的】を明記) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

50 リスク低減措置の『種類』と『目的』 A) 本質安全対策 B) 工学的対策 C) 管理的対策 D) 保護具の着用
・リスク低減措置の『種類』(信頼性が高い順番)   A) 本質安全対策   B) 工学的対策   C) 管理的対策   D) 保護具の着用 ・リスク低減措置の『目的』(多重防護:設計意図)   a) 異常発生防止対策(主に原因事象への対応)   b) 異常発生検知策   c) 事故発生防止対策(主に中間事象への対応)   d) 被害の局限化対策(主に結果事象への対応) 資料2-表9 資料2-表10 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

51 プロセス災害に対するリスク低減措置(多重防護)
化学物質,反応プロセスの潜在危険性 引き金事象 人のミス 異常発生防止対策 装置の不具合 外部要因 プロセス異常発生回避失敗 プロセス異常発生回避 プロセス異常 温度,圧力の上昇など 事故発生防止対策 事故発生回避失敗 事故発生回避 被害の拡大防止 労働災害 プロセス災害 事故発生防止 (ヒヤリハット) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

52 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合
②リスク評価(その1,その2) IRF2009 (072409) ②既存のリスク低減措置 ・不活性雰囲気での混合操作(B-c) ●リスク低減措置の種類 A) 本質安全対策 B) 工学的対策 C) 管理的対策 D) 保護具着用 ●リスク低減措置の目的 a) 異常発生防止 b) 異常発生検知 c) 事故発生防止 d) 被害の局限化 ②リスク見積もりと評価 (その1) 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合 重篤度 頻度 リスクレベル × (その2) 既存のリスク低減措置 の有効性確認 52 既存のリスク低減措置の有効性の確認 (その1,その2) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

53 リスクの見積りとリスク評価の基準(例) 資料2-表11 (a) 危害発生の頻度(可能性) (b) 危害の重篤度 (c) リスクレベル
内容の目安 高い又は比較的高い(×) ・危害が発生する可能性が高い  (例:1年に一度程度,発生する発生する可能性がある) 可能性がある(△) ・危害が発生することがある  (例:プラント・設備のライフ(30~40年)に一度程度,発生する可能性がある) ほとんどない(○) ・危害が発生することはほとんど無い (例:100年に一度程度,発生する可能性がある) (b) 危害の重篤度 重篤度 災害の程度・内容の目安 致命的・重大(×) ・事業場内外の施設,生産に壊滅的なダメージを与える ・死亡災害や身体の一部に永久的損傷を伴うもの ・休業災害(1ヵ月以上のもの),一度に多数の被災者を伴うもの 中程度(△) ・事業場内の施設や一部の生産に大きなダメージがあり,復旧までに長期間を要するもの ・休業災害(1ヵ月未満のもの),一度に複数の被災者を伴うもの 軽度(○) ・事業場内の施設や一部の生産に小さなダメージがあるが,その復旧が短期間で完了できるもの ・不休災害やかすり傷程度のもの (c) リスクレベル 危害の重篤度 致命的・ 重大(×) 中程度(△) 軽度(○) 危害発生 の頻度 高い又は比較的高い(×) 可能性がある (△) ほとんどない (○) (d) リスクレベルの説明 リスクレベル 優先度 直ちに解決すべき,又は重大なリスクがある. 措置を講ずるまで生産を開始してはならない. 十分な経営資源(費用と労力)を投入する必要がある. 速やかにリスク低減措置を講ずる必要のあるリスクがある. 措置を講ずるまで生産を開始しないことが望ましい. 優先的に経営資源(費用と労力)を投入する必要がある. 必要に応じてリスク低減措置を実施すべきリスクがある. 必要に応じてリスク低減措置を実施する. © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

54 リスクを見積もる際のリスク低減措置の取り扱い
安全工学シンポジウム2008(071008) リスクを見積もる際のリスク低減措置の取り扱い 11/6/2018 ・より低い危険性を有する原料や触媒の使用に変更する,あるいは低温・ 低圧条件下での反応プロセスに変更するなどの本質安全対策は危 害の重篤度(火災・爆発発生による影響)を下げることがで きる. ・基本的な工学的対策では危害の発生頻度下げることはできても, 重篤度を下げることはできない. ・マニュアルの作成,ルール順守などの管理的対策は危害の発生頻 度を下げることはできるが,確実性が低い(発生頻度を大きく 下げるものではない. ・保護具の着用は労働災害防止が目的であり,火災・爆発の 発生自体を防ぐことはできない. 54 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

55 ③追加のリスク低減措置の検討, リスク評価(その3) 追加のリスク低減措置の提案と有効性の確認 (その3)
安全工学シンポジウム2008(071008) ③追加のリスク低減措置の検討,  リスク評価(その3) 11/6/2018 ③追加のリスク低減措置 ③リスク見積もりと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の有効性確認  イ) V109にリミットスイッチを設置し,アンサーバックを取得するインターロックシステムを構築する.(B-a) × ロ) V109のラインに流量計(ロータメーター)を設置し,V109閉時の漏れを検知する.(B-b)    漏れ検知時にはバルブを交換するように手順を改定する.(C-a) ハ) 撹拌機起動時の酸素濃度highアラームにより機能するインターロックを導入し,酸素濃度が高い場合には混合操作ができないようにする.(B-c) ニ) T100に爆発放散口を設置し,粉じん爆発発生時にT100等の破損を防止する.(B-d) 追加のリスク低減措置の提案と有効性の確認 (その3) 55 ・多重防護の考え方に従ってバランスが取れた対策を検討する. ・それぞれのリスク低減措置の【種類】と【目的】も記載する. © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

56 ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等
③追加のリスク低減措置の実装可否の確認,  現場作業への伝達事項の明記 安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 追加のリスク低減措置の実装可否の確認 ③追加のリスク低減措置の実装可否 イ~ニ) いずれのリスク低減措置もリスクレベルを下げることができ,既存のリスク低減措置などと干渉しあうこともないので,実装可能である. ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等 イ,ハ) インターロックについては,センサーや駆動部の外観点検を行う.また,○か月に1回の頻度でインターロックの動作確認を行う. ロ) V109については,○ヶ月に1回の頻度でV109の漏れ試験を行う. ニ) 爆発放散口については,日常の点検で目視により外観に異常がないか確認する.また,○か月に1回の頻度で損傷等がないことを確認する. ③その他,生産開始後の現場作業者に特に 伝えておくべき事項 残留リスクの有無の確認:  有 残留リスクへの対応方法:本作業において粉じん爆発の可能性があることと,実装されているリスク低減措置及びその実装理由をマニュアル等に明示し,定期的に作業者への教育を行う. 備考 リスク低減措置の機能を維持するために 現場作業者に伝えておくべき事項を記載 残留リスクへの対応を記載 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH) 56

57 プロセス災害防止のためのリスクアセスメント等の進め方(概要)
質問に答える形で,どのような危険源が存在するかを知る 一つの引き金事象に対してシナリオを同定し,リスク評価,リスク低減措置の検討を行う 様々なシナリオに対して,より有効なリスク低減措置の実装を決定する © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

58 STEP 3: リスク低減措置の決定 複数のシナリオに対する検討 ①シナリオごとのリスク評価,リスク低減措置の検討結果を並べる.
 複数のシナリオに対する検討 IRF2009 (072409) 取り扱い物質・プロセスの危険源の把握 対象工程・作業,設備・装置(機器)とその目的 実施担当者と実施日 ○○ ○年○月○日 STEP 1の記録 No. ①引き金事象の特定とシナリオ同定 ②既存の リスク低減措置 ②リスク見積もりと 評価(その1) 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合 評価(その2) 既存のリスク低減 措置の有効性確認 ④追加のリスク低減措置 ④リスク見積もりと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の有効性確認 ⑤追加のリスク低減措置の実施可否 ⑤リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等 ⑤その他,生産開始後の現場作業者に特に伝えておくべき事項 引き金 事象 (初期事象) プロセス 異常 (中間事象) 災害 (結果事象) 重篤度 頻度 リスク レベル STEP 2の記録(シナリオ1) STEP 2の記録(シナリオ2) ①シナリオごとのリスク評価,リスク低減措置の検討結果を並べる.  ・評価のぶれはないか? ・重複しているリスク低減措置はないか? 58 ②リスクレベルが高い順番にリスク低減措置の実装を検討する.  ・一つのリスク低減措置で対応できないか? 自動集計可能なRA等支援ツールを提供しています © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

59 リスクアセスメント実施上のポイント(まとめ)
IRF2009 (072409) 663種類以外の化学物質でも火災・爆発の危険性が潜在する! 参考とする資料は常に最新版を用意すること. 火災・爆発発生に至るシナリオを見つけること.  1) 危険源を顕在化させる作業・操作の不具合,設備・装置の不具 合 ,外部要因などを特定する.  2) 燃焼の三要素が存在する状況を見付ける. リスクの見積り・評価は最悪の事態を考えること.  1) 既存のリスク低減措置は必ず機能するとは限らない.  2) 工学的対策,管理的対策では重篤度は下がらない. リスク低減措置は多重防御の考えで検討すること.  1) 異常発生防止,(異常発生検知),事故発生防止,被害の局限化  2) 本質安全対策,工学的対策,管理的対策,保護具の着用 リスクアセスメントの結果を現場作業者と共有すること.  1) 記録シートには検討過程を明確に記載すること(後の教育資料にも 使用). 59 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

60 4.解析事例 《資料3》参照 663物質には該当しません. 主な工程: ①準備 ②操作 原料仕込み 混合 製品払い出し ③掃除
V118 主な工程:  ①準備  ②操作   原料仕込み   混合   製品払い出し  ③掃除 663物質には該当しません. V112 V113 主原料:ポリエチレン粉末 副原料:ポリスチレン粉末 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

61 【STEP 1】物質・プロセスの危険源把握 質問 質問に対する考え方 回答 3 「はい」 5 13 17 1
IRF2009 (072409) 質問 質問に対する考え方 回答 ポリエチレン及びポリスチレンは,リスクアセスメント等の実施が義務化された特定の化学物質(付録表A1)に該当しない. 「いいえ」 SDSから,ポリエチレン及びポリスチレンはGHS分類(付録表A2)に該当しない. ポリエチレン及びポリスチレンは可燃物である. 「はい」 ポリエチレン及びポリスチレンは,付録表A3に示す爆発性に関わる原子団及び付録表A4に示す自己反応性に関わる原子団を持っていない. 「いいえ」. 取り扱うポリエチレン及びポリスチレンは有機物の粉体である. ポリエチレン及びポリスチレンは,付録表A5に示す過酸化物を生成する物質には該当しない. ポリエチレン及びポリスチレンは,付録表A6に示す重合反応を起こす物質ではない. ポリエチレン及びポリスチレンは,液化ガスではない. ポリエチレン及びポリスチレンは,SDSがある物質であるため,該当しない. 10 事例プロセスでは,意図的に反応を起こしていない. 11 事例プロセスでは,主原料と副原料の混合を行うが,温度が上がるほどの激しい混合は行わない. 12 事例プロセスにおいて取り扱われるポリエチレン及びポリスチレンは,SDSによれば極めて安定な物質であり,それらの混合や意図していない物質の混入によって,(1)~(4)に示す現象を引き起こす可能性は考え難い. 13 事例プロセスでは,主原料を圧送しているため,高圧の箇所が存在する.また,主原料の圧送を繰り返すため,繰り返し圧力がかかる箇所が存在する. 14 事例プロセスでは,ポリエチレン及びポリスチレンは大量に保管されていない. 15 事例プロセスでは,腐食が進みやすい箇所は存在しない. 16 事例プロセスでは,装置等は屋内にあるため,外界の影響は受けない. 17 事例プロセスでは,主原料と副原料を混合するための撹拌装置を稼働させるため,高電圧/高電流の箇所が存在する. 61 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

62 【STEP 1】物質・プロセスの危険源把握 ・質問3の回答が「はい」 火災・爆発を引き起こす可能性がある. ・質問5の回答が「はい」
IRF2009 (072409) ・質問3の回答が「はい」  火災・爆発を引き起こす可能性がある. ・質問5の回答が「はい」  可燃性の粉じんが大気中に分散され,着火することにより,爆発を引き起こす可能性がある.また,堆積すると自然発火する可能性がある. ・質問13の回答が「はい」  シール部分の劣化などにより内容物が漏洩する可能性がある.また,逆に大気などがプロセス内に侵入し,内容物と反応する可能性がある. ・質問17の回答が「はい」  短絡・地絡を起こすと着火源となる可能性がある.また,ジュール熱によって電性素材の爆発を引き起こす可能性がある. 62 取り扱い物質・プロセスの危険源 3 可燃性・引火性,5 可燃性粉じん,13 高圧・繰り返し昇圧・降圧, 17 高電圧/高電流 質問票で「はい」に○が付いた項目 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

63 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ① 引き金事象の特定とシナリオの同定
安全工学シンポジウム2008(071008) 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ① 引き金事象の特定とシナリオの同定 11/6/2018 2.操作(仕込み・混合・払い出し) (仕込み準備) 全排出バルブを閉とする.  V110を閉とする.  V112を閉とする.  V113を閉とする.  V114を閉とする.   ただし,V100が常時開となっていることを確認する.      V111が常時開となっていることを確認する.      V115が常時開となっていることを確認する. 空気ラインを閉(V109)とする. 窒素供給ラインが閉となっていることを確認する  V105が閉となっていることを確認する.  V106が閉となっていることを確認する.  V105はPS105OFFで閉とする. 作業内容,手順の確認 作業・操作の選択 空気ラインを閉 (V109)とする 作業・操作の目的 ライン内を不活性雰囲気にし,粉じん爆発を防ぐ 63 作業・操作の不具合を特定 「空気ラインのV109が誤って開」 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

64 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ① 引き金事象の特定とシナリオの同定
IRF2009 (072409) 対象作業(操作),設備・装置とその目的 (操作)2.操作(仕込み・混合・払い出し):空気ラインを閉(V109)とする. (目的)ライン内を不活性雰囲気にし,粉じん爆発を防ぐ. ①引き金事象の特定とシナリオ同定 引き金事象 (初期事象) V109を誤って開とする.   プロセス異常 (中間事象) プロセス災害 (結果事象) 作業・操作の内容,設備・装置を具体的に記載する. 作業・操作,設備・装置の目的を明確にする. 64 (ⅰ)作業・操作の不具合,(ⅱ)設備・装置の不具合,(ⅲ)外部要因のうち一つを「引き金事象」として選択する (作業手順書,設備情報など基に網羅的に特定する) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

65 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ① 引き金事象の特定とシナリオの同定
安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 質問への回答結果の利用 1) ポリエチレン,ポリスチレンは【可燃物】である. 2) 「空気ラインのV109が誤って開」  → 空気【酸素供給源】が混入する.  3) 一般的に,プラスチックは帯電しやすく,放電を起こしやすい.  → 撹拌により粉体同士が衝突することで粉体に帯電し,移送中に放電することで【点火源】となり得る. 4) 1)~3)より『燃焼の3要素』が同時に存在  → プロセス異常「粉体が燃焼する」が発生  → プロセス災害「粉じん爆発」が発生 「燃焼の3要素」の確認 65 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

66 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ① 引き金事象の特定とシナリオの同定
IRF2009 (072409) 対象作業(操作),設備・装置とその目的 (操作)2.操作(仕込み・混合・払い出し):空気ラインを閉(V109)とする. (目的)ライン内を不活性雰囲気にし,粉じん爆発を防ぐ. ①引き金事象の特定とシナリオ同定 引き金事象 (初期事象) V109を誤って開とする.   プロセス異常 (中間事象) V109が全閉となっていない場合,常にT100内に空気が流入し続け,その後,「③窒素置換」で窒素置換が不十分となり,T100内の酸素濃度が限界酸素濃度(LOC)を上回って残存する可能性がある.その後,「⑤払出し」の際に,空気がT100内で粉体を舞い上げながら(粉じん雲を形成しながら)大量に混入し,T100から払い出される.その際に撹拌により帯電していた粉体に静電気放電により着火する可能性がある.  プロセス災害 (結果事象) T100内で粉じん爆発が発生する可能性がある.   66 引き金事象(初期事象), プロセス異常(中間事象),プロセス災害(結果事象) を区別して記載する © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

67 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合
【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ② シナリオに対するリスクの見積りと評価 IRF2009 (072409) 【既存のリスク低減措置】不活性雰囲気での混合操作 【種類】工学的対策(B),【目的】事故発生防止対策(c) ②既存のリスク低減措置 ・不活性雰囲気での混合操作(B-c) ●リスク低減措置の種類 A) 本質安全対策 B) 工学的対策 C) 管理的対策 D) 保護具着用 ●リスク低減措置の目的 a) 異常発生防止 b) 異常発生検知 c) 事故発生防止 d) 被害の局限化 ②リスク見積もりと評価 (その1) 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合 重篤度 頻度 リスクレベル (その2) 既存のリスク低減措置 の有効性確認 67 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

68 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合
【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ② シナリオに対するリスクの見積りと評価 IRF2009 (072409) リスク評価(その1) ・粉じん爆発発生による被害は大きい(重篤度:×) ・着火源を無くすことは難しい(頻度:△)  → リスクレベル(Ⅲ) ②既存のリスク低減措置 ・不活性雰囲気での混合操作(B-c) ●リスク低減措置の種類 A) 本質安全対策 B) 工学的対策 C) 管理的対策 D) 保護具着用 ●リスク低減措置の目的 a) 異常発生防止 b) 異常発生検知 c) 事故発生防止 d) 被害の局限化 ②リスク見積もりと評価 (その1) 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合 重篤度 頻度 リスクレベル × (その2) 既存のリスク低減措置 の有効性確認 68 リスク評価(その2) ・粉じん爆発発生による影響は変わらない(重篤度:×) ・既存のリスク低減措置「不活性雰囲気での混合操作」を確実に操作を実行する方策が無い(頻度をそれほど下がらない)(頻度:△)  → リスクレベル(Ⅲ) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

69 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合
【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ② シナリオに対するリスクの見積りと評価 IRF2009 (072409) ②既存のリスク低減措置 ・不活性雰囲気での混合操作(B-c) ●リスク低減措置の種類 A) 本質安全対策 B) 工学的対策 C) 管理的対策 D) 保護具着用 ●リスク低減措置の目的 a) 異常発生防止 b) 異常発生検知 c) 事故発生防止 d) 被害の局限化 ②リスク見積もりと評価 (その1) 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合 重篤度 頻度 リスクレベル × (その2) 既存のリスク低減措置 の有効性確認 69 ・リスクレベルが目標を達成していない  (例えば,リスクレベルをⅡ以下にしたい) → 追加のリスク低減措置の検討へ © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

70 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ③ リスク低減措置の検討 ・多重防護の考え方に従って対策を検討する. リスク評価(その3)
安全工学シンポジウム2008(071008) 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ③ リスク低減措置の検討 11/6/2018 追加対策 実施前 × ③追加のリスク低減措置 ③リスク見積もりと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の有効性確認  イ) V109にリミットスイッチを設置し,アンサーバックを取得するインターロックシステムを構築する.(B-a) × ロ) V109のラインに流量計(ロータメーター)を設置し,V109閉時の漏れを検知する.(B-b)    漏れ検知時にはバルブを交換するように手順を改定する.(C-a) ハ) 撹拌機起動時の酸素濃度highアラームにより機能するインターロックを導入し,酸素濃度が高い場合には混合操作ができないようにする.(B-c) ニ) T100に爆発放散口を設置し,粉じん爆発発生時にT100等の破損を防止する.(B-d) 異常発生防止対策 異常発生防止対策 事故発生防止対策 被害の局限化対策 ③追加のリスク低減措置の実装可否 ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等 ③その他,生産開始後の現場作業者に特に伝えておくべき事項 備考 ・多重防護の考え方に従って対策を検討する. ・それぞれのリスク低減措置の 【種類】と【目的】も記載  → バランスが取れた対策となっているかどうかを確認 リスク評価(その3) → いずれの対策も頻度を下げることができる(○) 70 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

71 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ③ リスク低減措置の検討
③ リスク低減措置の検討 安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 ③追加のリスク低減措置 ③リスク見積もりと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の有効性確認  イ) V109にリミットスイッチを設置し,アンサーバックを取得するインターロックシステムを構築する.(B-a) × ロ) V109のラインに流量計(ロータメーター)を設置し,V109閉時の漏れを検知する.(B-b)    漏れ検知時にはバルブを交換するように手順を改定する.(C-a) ハ) 撹拌機起動時の酸素濃度highアラームにより機能するインターロックを導入し,酸素濃度が高い場合には混合操作ができないようにする.(B-c) ニ) T100に爆発放散口を設置し,粉じん爆発発生時にT100等の破損を防止する.(B-d) ③追加のリスク低減措置の実装可否 イ~ニ) いずれのリスク低減措置もリスクレベルを下げることができ,既存のリスク低減措置などと干渉しあうこともないので,実装可能である. ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等 ③その他,生産開始後の現場作業者に特に伝えておくべき事項 備考 ・既存のリスク低減措置の機能との関連も踏まえて,実装可能かどうかを確認する. ・複数提案する場合には,同時に実装可能かどうかも確認する. © 2017 Y.Shimada (JNIOSH) 71

72 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ③ リスク低減措置の検討
③ リスク低減措置の検討 安全工学シンポジウム2008(071008) 11/6/2018 ③追加のリスク低減措置 ③リスク見積もりと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の有効性確認  イ) V109にリミットスイッチを設置し,アンサーバックを取得するインターロックシステムを構築する.(B-a) × ロ) V109のラインに流量計(ロータメーター)を設置し,V109閉時の漏れを検知する.(B-b)    漏れ検知時にはバルブを交換するように手順を改定する.(C-a) ハ) 撹拌機起動時の酸素濃度highアラームにより機能するインターロックを導入し,酸素濃度が高い場合には混合操作ができないようにする.(B-c) ニ) T100に爆発放散口を設置し,粉じん爆発発生時にT100等の破損を防止する.(B-d) ③追加のリスク低減措置の実装可否 イ~ニ) いずれのリスク低減措置もリスクレベルを下げることができ,既存のリスク低減措置などと干渉しあうこともないので,実装可能である. ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等 イ,ハ) インターロックについては,センサーや駆動部の外観点検を行う.また,○か月に1回の頻度でインターロックの動作確認を行う. ロ) V109については,○ヶ月に1回の頻度でV109の漏れ試験を行う. ニ) 爆発放散口については,日常の点検で目視により外観に異常がないか確認する.また,○か月に1回の頻度で損傷等がないことを確認する. ③その他,生産開始後の現場作業者に特に伝えておくべき事項 備考 ・リスク低減措置の機能を維持するために現場の作業者に対応してもらいたいことを記載する.  → 現場への周知・徹底すべき内容   (作業マニュアル等にも記載) © 2017 Y.Shimada (JNIOSH) 72

73 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ③ リスク低減措置の検討 ・残留リスクがある場合には,その対応策を示しておく
安全工学シンポジウム2008(071008) 【STEP 2】リスクアセスメント等の実施 ③ リスク低減措置の検討 11/6/2018 ③追加のリスク低減措置 ③リスク見積もりと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の有効性確認  イ) V109にリミットスイッチを設置し,アンサーバックを取得するインターロックシステムを構築する.(B-a) × ロ) V109のラインに流量計(ロータメーター)を設置し,V109閉時の漏れを検知する.(B-b)    漏れ検知時にはバルブを交換するように手順を改定する.(C-a) ハ) 撹拌機起動時の酸素濃度highアラームにより機能するインターロックを導入し,酸素濃度が高い場合には混合操作ができないようにする.(B-c) ニ) T100に爆発放散口を設置し,粉じん爆発発生時にT100等の破損を防止する.(B-d) ③追加のリスク低減措置の実装可否 イ~ニ) いずれのリスク低減措置もリスクレベルを下げることができ,既存のリスク低減措置などと干渉しあうこともないので,実装可能である. ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等 イ,ハ) インターロックについては,センサーや駆動部の外観点検を行う.また,○か月に1回の頻度でインターロックの動作確認を行う. ロ) V109については,○ヶ月に1回の頻度でV109の漏れ試験を行う. ニ) 爆発放散口については,日常の点検で目視により外観に異常がないか確認する.また,○か月に1回の頻度で損傷等がないことを確認する. ③その他,生産開始後の現場作業者に特に伝えておくべき事項 残留リスクの有無の確認:  有 残留リスクへの対応方法:本作業において粉じん爆発の可能性があることと,実装されているリスク低減措置及びその実装理由をマニュアル等に明示し,定期的に作業者への教育を行う. 備考 ・残留リスクがある場合には,その対応策を示しておく © 2017 Y.Shimada (JNIOSH) 73

74 【STEP 3】リスクアセスメント等実施結果
IRF2009 (072409) No. ①引き金事象の特定とシナリオ検討 ②既存のリスク低減措置の確認 ②リスクの見積りと評価 (その1) 既存のリスク低減措置が無いと仮定した場合 (その2) 既存のリスク低減措置 の有効性確認 ③追加のリスク低減措置の検討 ③リスクの見積りと評価 (その3) 追加のリスク低減措置の有効性確認 ③追加のリスク低減措置の実装可否 ③リスク低減措置の機能を維持するための現場作業者への注意事項等 ③その他,生産開始後の現場作業者に特に伝えておくべき事項 引き金事象 (初期事象) プロセス異常 (中間事象) プロセス災害 (結果事象) 重篤度 頻度 リスクレベル 1 V110を誤って開とする. 粉じんが洗浄排水槽に流れ込み,槽の排ガス口から粉じん及び窒素が放出される可能性がある. 工場外に粉じんが漏洩する. 無し 既存のリスク低減措置が無い場合は記入しない. 全排出バルブを閉にしておかないと内容物が工場外に漏洩する可能性があることをマニュアルなどに明示し,定期的に作業者への教育を行う. 2 同上 粉じんが洗浄排水槽に流れ込み,槽の排ガス口から粉じん及び窒素が放出される可能性がある.槽の排ガス口付近に高濃度の窒素が滞留する可能性がある. 洗浄排水槽の排ガス口付近で酸欠となる可能性がある. × イ) V110自動弁化によるインターロックシステムを導入する.(B-a)ただし,操作フェーズが分からないと,的確に動作しないため,シーケンスの製作導入が必要となる. ロ) V111の開・閉状態が外部から見て分かるような表示装置を設置し,バルブに開・閉表示札を設置する.(C-a) ハ) 払い出し時は,槽類の放出口や周辺で作業しないようにマニュアルなどに明示する.(C-c) イ)については,シーケンスの製作導入を行うことで実装可能である.  ロ),ハ)については,既存のリスク低減措置などと干渉しあうことがないので,実装可能である. イ) インターロックについては,センサーや駆動部の外観点検を行う.また,定期的にインターロックの動作確認を行う. ロ) 毎日の巡視において,表示がされていることを確認する. ハ) 毎日の巡視において,不安全行動がないかを確認する.また,定期的にマニュアルなどの監査を行い,明示されていることを確認する. 本作業において酸欠災害の可能性があることと,実装されているリスク低減措置及びその実装理由をマニュアルなどに明示し,定期的に作業者への教育を行う. 3 粉じんが洗浄排水槽に流れ込み,槽の排ガス口から粉じん及び窒素が放出される可能性がある.放出された粉体が粉じん気を形成し,静電気放電などにより着火する可能性がある. 洗浄排水槽の排ガス口付近で粉じん爆発が発生する可能性がある. プロセス災害の種類別に行を分ける. ハ) 洗浄排水槽の排ガスをスクラバーに通す設計とする(スクラバー能力増を含む).(B-c) 二)  スクラバー,特にガス放出口はアースを取っておく(B-c) 網羅的にシナリオを検討すると,プロセス災害に至らないシナリオも出てくる. ホ)  払い出し時は,槽類の放出口や周辺で作業しないようにマニュアルなどに明示する.同様に,火気取扱注意の旨を明示する(C-c) ロ),ハ),ニ)については,既存のリスク低減措置などと干渉しあうことがないので,実装可能である.  ホ)については,上記の対策に含めて火気取扱注意の掲示を行うことで可能である. ハ) 洗浄排水槽については,日常の点検で目視により外観に異常がないか確認する.また,定期的にスクラバーの点検,清掃を行う. ニ) 接地線が断線していないことを定期的に確認する. ホ) 毎日の巡視において,不安全行動がないかを確認するとともに,表示がされていることを確認する. 本作業において粉じん爆発の可能性があることと,実装されているリスク低減措置及びその実装理由をマニュアルなどに明示し,定期的に作業者への教育を行う. 点検記録などのルール及び管理規則や記録を確認する. 4 V112を誤って開とする. V112-V113間の配管に主原料及び副原料が混合されない形で,払い出し時に混練機に移送する. 無し(品質の劣化が生じる可能性がある.) 5 V113を誤って開とする. V110, V112, V114が稼働していればプロセスの異常には移行しない. 6 V114を誤って開とする. 粉じん及び窒素がスクラバーの能力以上に流れ込み,粉体を分離できず粉体及び窒素が外気に放出される可能性がある. また,分離不能となった粉じんによって循環水が詰まり,循環水ポンプが故障することにより,粉体がそのまま外気に放出される可能性がある. さらに,分離不能となった粉じんにより循環水槽がオーバーフローし,その循環水が工場内を経由して一般雨水口に流れ込む可能性がある. 工場外に粉じん若しくはスクラバーの循環水が漏洩する. 7 粉じん及び窒素がスクラバーの能力以上に流れ込み,粉体を分離できずに,粉体及び窒素が外気に放出される可能性がある. その結果,スクラバーの排ガス口付近に高濃度の窒素が滞留する可能性がある. スクラバーの排ガス口付近で酸欠となる可能性がある. イ) V114自動弁化によるインターロックシステムを導入する.(B-a)ただし,操作フェーズが分からないと,的確に動作しないため,シーケンスの製作導入が必要となる. ロ) V115の開・閉状態が外部から見て分かるような表示装置を設置し,バルブに開・閉表示札を設置する.(C-a) ハ) スクラバーで全量処理できるように粉体量の最大値を定める.(C-c)あるいは,スクラバーで全量処理できるようにスクラバーの能力増強を行う.(B-c) ニ) 払い出し時は,スクラバーの放出口や周辺で作業しないようにマニュアルなどに明示する.(C-c) ハ) 日常の点検で,粉体量の最大値の表示を確認する.あるいは,粉体量の最大値のスクラバーについて,日常の点検で目視により外観に異常がないか確認する.また,定期的にスクラバーの点検,清掃を行う. ニ) 毎日の巡視において,不安全行動がないかを確認する.また,定期的にマニュアルなどの監査を行い,明示されていることを確認する. 8 その結果,放出された粉体が粉じん気を形成し,静電気放電などにより着火する可能性がある. スクラバーの排ガス口付近で粉じん爆発が発生する可能性がある. ハ) スクラバー,特にガス放出口はアースを取っておく(B-c) ニ) スクラバーで全量処理できるように粉体量の最大値を定める.(C-c)あるいは,スクラバーで全量処理できるようにスクラバーの能力増強を行う.(B-c) ホ) 払い出し時は,スクラバーの放出口や周辺で作業しないようにマニュアルなどに明示する.同様に,火気取扱注意の旨を明示する(C-c) ホ)については,上記の対策に含めて火気取扱注意の掲示を行うことで可能である. ハ) 接地線が断線していないことを定期的に確認する. ニ) スクラバーについては,日常の点検で目視により外観に異常がないか確認する.また,定期的にスクラバーの点検,清掃を行う. ①シナリオごとのリスク評価,リスク低減措置の検討結果を並べる.  ・評価のぶれはないか?  ・重複しているリスク低減措置はないか? 74 ②リスクレベルが高い順番にリスク低減措置の実装を検討する.  ・一つのリスク低減措置で対応できないか? © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

75 火災・爆発防止のためのリスクアセスメントに必要な考え方
5.まとめ IRF2009 (072409) 663種類以外の化学物質でも   火災・爆発等は発生しています. 火災・爆発防止のためのリスクアセスメントに必要な考え方 ・参考とする資料・情報は常に最新版となっていること ・化学物質・プロセスの特性だけでなく,設備・装置の不具 合や作業・操作のミスなども網羅的に解析すること ・リスクの見積り・評価は最悪の事態を考えること ・リスク低減措置は多重防御の考えで検討すること ・リスク低減措置の機能を維持するために必要な現場作業を 明示すること ・リスクアセスメントの結果を現場作業者と共有すること 75 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

76 なぜリスクアセスメントを実施するのか? 社会に対する説明責任 ① どんなリスクが潜在するかを把握する
IRF2009 (072409) ① どんなリスクが潜在するかを把握する   (火災・爆発等が発生する危険性はないだろうか?) ② リスクにどのように対応するかを決める   (リスク低減措置を検討し,実装する目的は?) ③ 現場で対応すべきコトを明確にする   (リスク低減措置の機能を維持するためには?)   (残留リスクにどのように対応するか?) 社会に対する説明責任 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)

77 ご静聴ありがとうございました. 『プロセスプラントにおける プロセス災害防止のための リスクアセスメントの進め方』
労働安全衛生総合研究所技術資料, JNIOSH-TD.No.5 『プロセスプラントにおける  プロセス災害防止のための  リスクアセスメントの進め方』 以下より,入手できます. 安衛研HP内刊行物・報告書(成果一覧) 「リスクアセスメント等実施支援ツール/実施マニュアルについて」 © 2017 Y.Shimada (JNIOSH)


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