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2013/07/31 金融リテラシー連続講義 第4回 お金と経済
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1. お金の取引と経済との関係
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(1)ライフステージとお金の取引 就職 死亡 独身~結婚 子育て 子の独立~ 定年退職 老 後 収入 給料 退職金 年金 支出 生活費
定年退職 老 後 収入 給料 退職金 年金 支出 生活費 教育費 住宅ローン返済 借入 住宅ローン 貯蓄 運用 金融商品(預金・株式・保険等)の活用 貯金等の 取崩し
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Q;前表の取引のうち、経済環境が変化すると 影響が出そうなものはどれですか?
(例) 給料、退職金。 生活費 金融商品での資金運用 Q;その影響はどのような形で出ると思いますか? (例) 給料、退職金 ➝ 企業の業績によって増減する。 生活費 ➝ 物価の変動によって増減する。 金融商品での資金運用 ➝ 株価や金利の変動によって増減する。
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(2)経済の変化とお金の取引① 経済の変化が及ぼす影響 給料は、本来的に 〔企業収益〕 の分配の一部。
収 入 給 料 給料は、本来的に 〔企業収益〕 の分配の一部。 したがって、企業の売上が増えて 〔企業収益〕 が 増えると、給料も増える(減る場合は給料も減る)。 退職金 退職金も給料の一形態と考えられるため、〔企業収益〕 の増減の影響を受ける。 年 金 わが国の公的年金は、現役世代が納める保険料 と税金を年金の原資とする 〔賦課方式〕 が取られ ている。 このため、少子高齢化が進むと、将来の1人当た り年金支給額は 〔減少する〕 可能性が高い。
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(2)経済の変化とお金の取引② 経済の変化が及ぼす影響
支 出 生活費 モノやサービスの値段は、基本的に 〔需要〕と 〔供給〕の関係(バランス)によって決まる。 また、海外からの輸入品は、 〔為替相場〕 によっ て値段が変わる。一般に、〔円高〕の時は安く、 〔円安〕の時は高くなる。 教育費 短期的には余り変化しない。全般的な物価の変化には影響を受ける。 住 宅ローン返 済 月々の返済額は、借入額、借入〔金利〕、借入期 間、返済方式によって決まる(次頁参照)。
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(2)経済の変化とお金の取引③ 経済の変化が及ぼす影響 住宅ローンを借りると、利息(金利)を付けて返済し なければならない。
借 入 住 宅ローン 住宅ローンを借りると、利息(金利)を付けて返済し なければならない。 借入金利のタイプには、 〔固定金利〕と 〔変動金利〕 がある。 〔固定金利〕は、長期に亘って同じ利率を適 用するタイプ。一方、 〔変動金利〕は、定期的(6か月 ~1年)に〔市場金利〕の動きに合せて適用利率を見 直すタイプ。 このため、先行き〔市場金利〕が上昇する場合には 〔固定金利〕の方が支払う利息が相対的に少なくな る。一方、低下する場合には、 〔変動金利〕の方が、 支払利息が少なくて済む。
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(2)経済の変化とお金の取引④ 経済の変化が及ぼす影響 ◎ △ ○ 〔預金保険〕制度により、元金1千 万円とその利息は保証される。 預貯金
安全性 収益性 流動性 貯蓄・運用 預貯金 〔預金保険〕制度により、元金1千 万円とその利息は保証される。 適用利率は 〔市場金利〕 の動き を反映。 高い ◎ 低い △ 株 式 株価は基本的に 〔企業価値(or 企業収益)〕を反映して変動する。 元本割れの可能性がある。 配当や株主優待が受けられるも のもある。 中位 ○ 債 券 債券価格は、基本的に市場にお ける 〔需要〕 と 〔供給〕の関係で 決まる。
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(2)経済の変化とお金の取引⑤ 長期的な社会構造の変化(→少子高齢化など) お金の取引に影響を及ぼす経済の要因(まとめ)
経済活動(景気)の変化(→好況・不況) 物価の変動(→インフレ・デフレ) 為替相場の変化(→円高・円安) 市場金利の変化(→高金利・低金利・超低金利)
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2. 上手にお金の取引を行うための知恵(1) ─ 単利と複利 ─
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(1)金利とは 金利とは、「お金を貸し借りするときの価格(対価)」。
この価格を実額で表す場合は、利子または利息(単位:円)という。利子を元金で割った比率を金利または利率(単位:%)という。金利は、通常、元金を1年間借りたときの価格として定義される。 ─ 10,000円を1年間借りた場合の利子が100円であれば、 金利(年利)は1%。 ─ 店頭広告等では、「1日○円」や「1週間△%」と表記され る場合もあるが、年利に換算することが重要。 金利は、お金に対する需要と供給の関係で決まる。 ─ お金を借りたい人(企業)が増えれば、金利は上がる。
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(2)単利と複利 単利は元金に対してのみ利子が付く方式。複利は利子にもまた利子が付く方式。
(例)100万円を年利2%で2年間運用する(税金等は考えない) <単利> 1年目: 100万円 × 2% = 2万円 2年目: 100万円 × 2% = 2万円 利子 4万円+元金=104万円 <複利> 1年目: 100万円 × 2% = 2万円 2年目: (100+2)万円 × 2% = 2万 400円 利子 4万 400円 + 元金=104万400円
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(3)複利の力 複利で利子が増えていく効果は、金利が高いほど、期間が長くなるほど大きくなる。
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(4)72の法則 複利を前提とした場合、金利(年利)と元金との間には、次のような関係が観察される。 72÷金利 ≒ 元金が2倍になる年数
(例)金利18%で借金すると 72÷18 = 4 ⇒借金は4年で2倍になる。 72÷年数 ≒ 元金が2倍になる金利 (例)お金を20年で2倍に増やすには 72÷20=3.6 ⇒年利3.6%で運用する必要。
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3. 上手にお金の取引を行うための知恵(2) ─ 固定金利と変動金利 ─
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(1)市場金利① 金利は、お金に対する需要と供給のバランスで決まる。したがって、時々の経済情勢によって変化する。
金融機関の間では、日々、お金の貸し借りが行われ ている(2015年中の1営業日平均取引額は136兆円)。 こうした取引が行われている市場を「短期金融市場」 といい、ここで決まる金利を「市場金利」という。 ─ 一般に、お金を借りたい金融機関(=需要)が増えれば金 利は上がり、減れば金利は下がる。 金融機関は、預金や貸出の金利(利率)を決める際、「市場金利」を参考にしている。
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(1)市場金利② (2016年1月中の動き) (1985年からの動き) (注)シャドーは景気後退期
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(2)固定金利と変動金利① ●固定金利・・・ 契約期間中、市場金利の動きと関係なく同一の金利(利率)を適用するもの。
●変動金利・・・ 契約期間中であっても、市場金利の動きを参考に、一定のルールで適用する金利(利率)を変更するもの。 (例) 普通預金 ・・・・・・・ 変動金利 定期預金 ・・・・・・・ 固定金利が一般的 フリーローン ・・・・ 固定金利と変動金利を選択 住宅ローン (注)適用される金利は、取扱う金融機関によって異なる。
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(2)固定金利と変動金利② 市場金利の先行きが見通せる場合、固定金利と変動金利の商品を使い分けることで、「機会費用」(第2回講義資料を参照)を小さくすることができる。 (市場金利の見通しに合わせて、有利な金利方式を選んでみよう) 先行きの市場金利の見通し 上 昇 低 下 運 用 固定金利 ○ 変動金利 借 入
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4. 上手にお金の取引を行うための知恵(3) ─ 景気と物価 ─
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(1)景気とは 景気とは、モノやサービスの生産・販売・消費など経済活動全般のことをいう。
景気の動きは、海外諸国の経済状況、為替相場(円高・円安)、経済政策(公共投資、金融政策等)など、様々な情勢変化の影響を受ける。 (例) 海外でモノが売れる → 輸出が増えて企業の売上げが伸びる → 企業の収益が増える → 従業員の給料が増える → 国内で消費(買い物)が増える → 他の企業の売上げが増える→・・・→ 日本全体で景気が良くなる。
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(2)景気の影響 景気が良く(悪く)なると、私たちの生活にいろいろな影響が出る。 (景気が良くなったときの影響<イメージ>) 社会全体の変化
企業の収益 物 価 市場金利 資金を借りて設備投資を する企業が(増える)から 増加 給料アップ 株価上昇 上昇 生活費 (増加) 上昇 運用は(変動)金利 借入は(固定)金利 の組合わせが有利
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(3)インフレとデフレ インフレとは、物価が継続的に上昇すること。 デフレとは、物価が継続的に下落すること。
モノの値段が上がることは、「お金の価値が下がる」こと。 → タンス預金は得(トク)か損か? 日本銀行は、市場金利を上げるなどして、景気の勢いを 調整する。 デフレとは、物価が継続的に下落すること。 モノの値段が下がることは、「お金の価値が上がる」こと。 → モノの値段が安くなるのは得(トク)か損か? 日本銀行は、市場金利を下げるなどして、景気を刺激す る。併せて、政府が公共投資を増やすことも多い。
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5. 上手にお金の取引を行うための知恵(4) ─ リスクとリターン ─
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(1)リスクとは 「リスク」には 2通りの意味がある。 ①一般的な意味 意に沿わないこと、悪いことが発生する可能性。
─ 保険(第11・12回講義)の分野も同じ意味。 ②証券投資の分野で使われる意味 投資をした場合の結果(リターン)が見通し難く、 不確実であること。 ─ プラスに振れる(儲かる)のも、マイナスに振れる(損 する)のも、ともに「リスク」と考える。
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(2)リスクとリターンの関係① リスクとリターンの間には、総じて比例的な関係がある。
(出典)金融広報中央委員会「大学生のための人生とお金の知恵」
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(2)リスクとリターンの関係② 金融商品によって、リスクとリターンのバランスは異なる。一般的な特性に着目した金融商品別のリスク・リターンのイメージは下図のとおり。 (出典)「第9回・お金をふやす①」(日本証券業協会講義資料)
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(2)リスクとリターンの関係③ リスクとリターンの間には、一般に次のような関係がある。 リスクとリターンは、総じて比例的な関係がある。
高いリターンを得ようとすると、リスクも高まる。 ⇒ 「ハイリスク・ハイリターン」 リスクを低く抑えようとすると、リターンも低下する。 ⇒ 「ローリスク・ローリターン」 リスクを高めれば、必ずリターンが高まる訳ではない。 リスクが低くて、高いリターンを得られることはない。 ⇒ 「ローリスク・ハイリターン」はない
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本日の講義のまとめ お金の取引を行う際、合理的な選択かどうかは 金融経済の情勢によって変わり得る。
合理的な選択を行うために、身に付けておくべき 基本な知恵がある。 利子にも利子が付く複利の効果は、金利が高 いほど、期間が長いほど大きい。 運用と借入で固定金利と変動金利を使い分け るという発想が大切。 ローリスク・ハイリターンという「うまい儲け話」 はない。
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