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薬学講座 身近な薬草 ○○○○学校 学校薬剤師 △△△△
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みなさんおはようございます。学校薬剤師の西島由仁と申します。私は学校生活が、健康で安全なものとなるよう先生と協力して活動しています。水道水の検査や空気、照明の明るさの程度を検査しますので学校でお会いした方もいるかと思います。もう一つ、私の大切な役割として薬学講座があります。皆さんに正しい薬の使い方や薬物乱用の危険を伝えるのです。どうかよく聞いて下さい。 乱用される薬物の名前は、いろいろ聞いたことがありますね。アヘン、モルヒネ、覚せい剤、コカイン、大麻など。麻薬といわれています。悪い物でしょうか?正しい使い方をして役に立つ有用なものもあります。麻薬とはわずかな量で痛みを取ったり、麻酔効果があるが、依存性(やめられなくなる)があるので、法律で取り締まりの対象となるものです。そして、多くが自然の植物から見つけ出されました。大きな効果からはじめは歓迎されていましたが、依存性や禁断症状(やめることにより、イライラしたり錯乱状態になること)から、厳しく規制され、限られた使用だけとなっています。今日は麻薬を自然界の植物という面でとらえて話していきたいと思います。その前に麻薬ではない薬草を紹介します。 これは、学校の東を流れる芳川で撮影しました。アメリカフウロという植物です。うすピンクの5枚の花びらが、可憐で実は尖っていて熟すと外側にくると聞きます。私は初めこれをゲンノショウコだと思って写真にとりました。ゲンノショウコとは「飲むとすぐその証拠に効き目が現れる」という意味の薬草です。現れるのはゲン、現実にのゲンの証拠です。 この写真の植物はゲンノショウコと少し葉の形が違うので調べてみましたら仲間ではありますが、帰化植物の「アメリカフウロ」でした。薬としては使わないようです。よく気をつけてみるとこの時季いたる所に生えていました。
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これが本当のゲンノショウコです。花びらが5つ白やピンクがあります。実の形が特徴で御神輿のように開くので「ミコシグサ」ともいわれています。葉は3~5枚に裂けてアメリカフウロとは異なります。葉も茎も花も一緒に摘んで乾燥させ煎じて飲みます。日本で胃薬です。 自然の薬草を摘んできて薬として利用するのは、昔から人間の知恵なのでやってみたいと思いませんか?けれど実際はなかなか難しいのです。私のように似た植物があると間違えることもあるでしょう。採集する時期や環境によって薬として効果がある有効成分の量が違ってもきます。どれだけの有効成分が入っているのかわからず使用すると効き目が弱かったり効きすぎたりしてしまうでしょう。例えば便秘薬だと効きすぎると大変ですね。 ゲンノショウコはあまり、その心配はないのですが、
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もう一つ薬になる植物を紹介します。この花を知っていますか?よく花壇で見かける花です。ニチニチソウです。これは、ガンの薬の素になっています。薬はアメリカで開発されました。ガンの薬の開発には莫大な費用がかかります。薬も高価です。そこでアメリカの人々の素晴らしいところは大変合理的なところです。莫大な費用をかける前に自然界の身近な植物でガンに効くものはないかと考えたのです。しかも園芸植物なら育てやすいし、たくさん増やせます。色々な園芸植物、バラやパンジー、ひまわりと次々に調べ上げ、そしてみごと、ニチニチソウから発見しました。小児ガン、子供のガンに効く薬です。今では、合成されていますが、はじめはニチニチソウそのものを使っていたそうです。それではうちにあるニチニチソウをガンに効くからとか、ガンにならないようにと取って食べたらどうでしょうか。絶対やめて下さい。ガンの薬はいろいろ種類がありますが、抗がん剤の多くはガン細胞を攻撃します。正常な細胞も攻撃します。病院ではその加減をして薬の量を調節して使います。患者さんの状態も常にチェックしています。庭のニチニチソウでは量もわかりませんね。おなかをこわすぐらいでは、すまないかもしれません。 そんなわけで自然界の植物を利用した薬も効き目の成分、有効成分をはかり、製品化され、1回1錠、1日何回と用法用量が決まっています。
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次に麻薬の原料となる植物の話をしましょう。これも芳川で撮影したものです。ケシの仲間ですが麻薬成分は持っていません。園芸品種でよく見られるポピーやひなゲシも同じくケシの仲間です。色あざやかな花が風にゆられ、とてもかわいいのです。それらにも麻薬成分は含まれていません。
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ソムニフェルム種、セティゲルム種という種類が、アヘンの原料となります。とてもきれいな花ですね。植えてはいけないケシということでのホームページから持ってきました。きれいな花びらが散ると子房が大きくなり、ケシ坊主と呼ばれます。ここにキズをつけると乳液がしみ出てきて20分ほどで黒褐色に固まります。へらでかき取って固めたのが生アヘンです。 ケシは種が食用になり、油も取れるので古くから栽培されていました。紀元前、エジプトやギリシャでは、痛みを取る、眠気を誘うという効果は知られていて、薬として利用されていました。 8世紀には、インドで栽培が盛んになっています。世界史で1600年、イギリスが東インド会社設立というのがありますね。このころから特殊なキセルでアヘンの煙を吸う、吸煙という風習が広まり、一気にアヘン中毒者が増えました。中国への輸出でアヘン戦争というのもありましたね。 アヘンを吸煙すると神経が麻痺してうっとりします。しかし、習慣性が強く、やめられなくなります。力が抜けだるく、薬が切れると精神錯乱を起こし、最後には衰弱して死んでしまいます。 アヘンというのは、このケシの乳液でしたね。その中の成分の一つに「モルヒネ」があります。ドイツで発見され、痛みを取る目的で1800年代は、利用されていました。皆さんの中で手術をしたことがある人はいますか?歯を抜いたことはありますか?その時、麻酔をかけましたか?現在の麻酔は、もっと違う薬品ですが、当時モルヒネを利用する事で痛く恐ろしい手術から救われた人もいるのです。けれど、このモルヒネにも薬物中毒になることが分かったので厳しい使用制限と管理がされるようになりました。 現在では主にガンの患者さんの痛みをやわらげることに利用されています。痛くて何もできず、ベッドで寝ている方もモルヒネを上手に使うと痛みが取れ、1日々を大切に過ごすことができるのです。痛みがなければ、よく眠り食事もとれ、体力が回復することもあります。確かにモルヒネは、使用するうち依存性が出て害を及ぼす可能性もありますが、病院の医師が正しく診療し、必要な量だけ使用すれば麻薬中毒になることはありません。
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フェイススケールというものです。どのくらい痛いというのは、表現が難しいので患者さんに顔の表情を選んでもらって丁度良い薬の量を決めるのです。モルヒネで痛みを上手にコントロールできれば、おうちで過ごすこともできます。病院で定期的に診察を受け、薬局で薬を受け取るのです。私の薬局にも麻薬であるモルヒネを保管する麻薬金庫があります。金庫で厳重に管理するのです。 日本は欧米に比べガン患者の痛みをやわらげるためモルヒネなどで麻薬を使うことが非常に少ないそうです。麻薬に対し非常に抵抗感があるからです。けれどガンで苦しんでいる方に正しく使う麻薬と薬物乱用で使う麻薬は全く意味が違います。 全世界で医薬品として流通しているモルヒネの何倍もの量がヤミで出回っているそうです。薬物乱用のない社会になれば安心して必要な患者さんにもモルヒネを使用する機会がもっと増えるでしょう。
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覚せい剤も植物である麻黄の成分エフェドリンの研究から発見されました。麻黄は漢方薬の成分で葛根湯などに入っています。エフェドリンは、咳止めやかぜ薬に入っている成分です。
これが麻黄です。これから合成された覚せい剤(メタンフェタミン)は、興奮作用があり、疲れることなく仕事ができる薬として「ヒロポン」という名で販売されました。第二次世界大戦前後、日本で使用されていたのです。けれど、すぐに恐ろしい薬だということがわかりました。興奮作用も薬が切れると激しい倦怠感に変わり、妄想や錯乱が起こり、一度やめてもフラッシュバックで薬の害が一生続くのです。今では規制され、薬としてはほとんど使われていません。 また、この麻黄の成分であるエフェドリンは、麻薬ではありません。けれど、中枢神経興奮作用があります。スポーツ競技前に服用するとフェアでないということでドーピングに引っかかってしまいます。漢方薬、咳止め、かぜ薬にごくありふれた成分ですので気をつけて下さい。
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コカインは、コカの葉を原料として作られます。昔からアンデス地方の人々が疲労回復のためコカの葉をかんでいたそうです。近代になり、ヨーロッパからアメリカでも疲労回復の飲み物として広まりました。初期のコカ・コーラにはコカの葉とコーラという植物が入っていたそうです。けれど、麻薬であるコカインの原料になるということで現在では、名前があるだけでコカの葉は使っていません。麻薬であるコカインは、医療の現場で眼の麻酔薬として使われています。 以上、ケシの花からアヘン、その成分のモルヒネ、麻黄より覚せい剤、コカの葉からコカインと人類が植物より見つけ出したものです。発見した時は、強力な作用からすばらしい薬だと思われていました。けれど、すぐ体に害があることが分かり規制しているのです。植物が元ですが、植物に罪はありません。どのように正しく使うかは、人間次第なのです。薬物を乱用する人は、昔人類が味わった苦い経験を生かさず愚かなことをくり返しているのです。
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最後に大麻の話をしたいと思います。 これが大麻草です。日本は、海外の諸国と比べて薬物乱用は少なかったのです。けれど、最近、連日のように大麻の事件がニュースで報道されています。それはインターネットのせいもあるでしょう。知らない人から簡単に手に入るからです。また、インターネットでは「大麻はタバコより害がない」などと間違った情報があふれています。 大麻は麻という植物です。日本の麻は、麻薬作用はごく少なく、繊維として昔から利用されていました。木綿が普及する前、絹は貴重ですので多くの人は、麻の着物でした。麻の服は夏向きで今でもよく利用されています。 麻は早く成長しますので「スクスク丈夫に育つように」との願いを込めて麻の葉模様の産着を赤ちゃんに着せる風習があります。この葉はひし形のようで特徴がありますね。 これが麻の葉模様の産着です。ひし形を六角形に組んだ模様です。とても縁起の良い模様で和服の柄としても見かけることがあるでしょう。 赤ちゃんの名を付ける時も麻という字を使って麻由ちゃんや麻美ちゃんと付けるでしょう。親御さんが、子供の成長に願いを込めて名付けるのです。日本では現在、麻薬成分の全くない麻を栽培し繊維に利用しているそうです。 世界中でも繊維を利用し、実の油を利用し、とても身近な植物です。そのため大麻の吸飲を規制するのが、難しい国もあります。そのことを取り上げて安全で法律に触れていないというのは間違いです。タバコより害がないというのも間違いです。確かにタバコの発がん作用は高いです。これは、大麻にもあります。タバコに含まれるニコチンは猛毒です。よく、飲み物の缶を灰皿代わりにしてニコチンを含む液体を幼児が誤って飲む事故があります。タバコ1本のニコチンで死んでしまいます。けれど、それと大麻を比べるのはおかしいでしょう。大麻は精神に作用します。吸わないとソワソワして大麻のことばかり頭に浮かんできます。幻覚が現れ、自分が自分でなくなります。大麻に手を出すともっと大きな刺激を求めて、覚せい剤に手を出すそうです。 有名大学の学生が大麻を栽培して逮捕というニュースはショックです。麻ですから条件が整えば丈夫にスクスク育ちます。 皆さんの中にもやがて進学や就職で一人暮らしをされる方がいるでしょう。大人との関わりが減り、気の合った仲間と多くの時間を過ごし、友達の話やインターネットが情報の中心になりやすいと思います。そんな時、「大麻ってそんなに悪い物じゃない」などと無責任な会話が耳に入るかもしれません。そんな時どうか思い出してください。麻は子供の成長を願う親の気持ちが込められているのです。そんな気持ちを台無しにしないで下さい。 先日、俳優の息子さんが大麻所持で逮捕されたのは、知っていますか。父親である俳優さんは、記者会見で泣いていました。息子さんを本当に大事に思い育てたのでしょう。大麻のことが少しでも耳に入ったら親御さんを思い出して欲しいのです。 スライドは以上です。
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薬は植物が元になっているものが多いのです。今日見た植物やその仲間を見かけることがあったら薬として役立ち助かっている人、乱用して大変困っている人がいるということを思い出してください。
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