社会福祉調査論 第1回 _3 Ⅰ.社会福祉と社会調査 Ⅰ _1. 社会調査とは何か 10月5日
1_1_1 社会調査のとらえ方 アンケート? センサス?
調査の目的 社会調査は、多様な人が、多様な目的を 持って行います。 その目的・関心によって、調査のあり方 もいろいろと違ってきます。 例えば、仮説検定での過誤確率の設定水 準などは、相当、異なるものと思われます。 しかし、このような差異の検討はあまりな されていないようです。
社会福祉のための踏査 ブースの調査 貧困の比率・非自己責任 ラウントリー ライフサイクル
SSM調査 社会格差論
1_1_2 社会調査の定義 「一定の社会または社会集団における社会事 象に関するデータを、主として現地調査に よって蒐集し、処理し、記述 ( および分析 ) す る過程」原・海野 (1984) 「さしあたり一定の社会集団に生じる諸事 象を定量的または定性的に認識するプロセ ス」岩永 (1996) 質的調査派 vs. 量的調査派
量的データ、質的データ 調査の科学を検討する際の視点として しばしば現れる軸 概ね統計的調査と事例調査に対応
データの一覧表は、変数毎に列、標本毎 に行を設定する習慣となっている。 統計的調査は、幾つかの変数 ( 列 ) を取り出 して調査。 事例調査は、少数の行 ( 列 ) を取り出して調 査。
事例的調査 新しいことを発見、発想 統計的調査 普遍性の確認
記述的問題/記述的調査 何がどのようになっているか 説明的問題/説明的調査 何故そうなっているか
1_1_3 社会調査の意義 「今日、社会調査は単に社会学という学 問にとってのデータ収集という意味を持 つだけでなく、政策決定や国民生活の 様々な局面において広く活用されている 重要な社会現象の一つとさえなっている。 ( 社会調査は ) 自由で民主的な社会の維持と 発展にとって、不可欠な要素であると 言ってもよい。」盛山・近藤・岩永 (1992)
自由で民主的な社会の維持発展に不可欠 ←→ 根拠のある行動 根拠を得るには社会調査が不可欠 既存データの活用 情報共有
1_1_4 社会調査における認識と実 践 実践目的を持った調査 科学的精神の自覚 認識と実践 M.Weber
1_1_5 科学について 再現可能性 ( リプロデューシブル ) ( 中谷宇吉郎 ) 真善美のうちの真を扱う ・・・価値自由 M. ヴェーバー 無矛盾 反証可能性 K.ポパー 否の判定はできるが真の判定は難しい
19 世紀の歴史の段階的発展説 A. コント 実証主義 社会学の提唱 人間精神の進歩 神学的 → 形而上学的 → 実証的社 会 社会の進歩 軍事的 → 法律的 → 産業的 H. スペンサー 社会進化論 未開社会 → 複合社会 軍事型社会から産業社会へ K. マルクス、 F. エンゲルス 『共産党宣言』 1848 原始共産制 → 古代奴隷制 → 中世封建制 → 近代資本主義社会 → 社会主義社会 → 共産主義社 会 ⇒ 「比較研究法」
科学的とは ― 科学を考えてきた歴史 ― 1.自然科学の転換 科学についての見方は、長い人間の歴史 の中で大きく変わってきています。
(1) 自然科学の転換 ◎地動説 プトレマイオス コペルニクス ケプラー ガリレオ ニュートン ◎進化論 博物学への関心 ダーウィン ウォレス スペンサー
(2) パラダイム転換 クーン 『科学革命の構造』 1962
◎ 20 世紀の物理学の展開 相対性理論 量子理論 統一理論 標準モデル
2.科学哲学史 また、理論の展開の仕方についても、 演繹的手法・帰納的手法など多様な議論が あります。特に、因果関係の検証について は、その蓋然性を高めることはできても、 本質的な証明は困難です。
(1) 演繹と帰納 ルネサンス 科学技術の展開 大航海時代 世界の拡大 宗教革命 心の拠り所の懸念
ベーコン 『ノヴム・オルガヌム』 1620 帰納主義 イギリス経験論 たくさんの観測データから、一般的な法則を 導く デカルト 『方法序説』 1637 「吾思う故に吾 あり」 演繹 生得観念からの展開 二元論、動物機 械論 ロック 「タブラ・ラサ」『人間知性論』 1689
(2) 懐疑 ヒューム 単称命題から全称命題を論理的に引き 出すことはできない。 (3) 斉一性 J.S. ミル 『論理学体系』 1843 (4) 博物学の隆盛 (科学哲学から関心が離れる)
3.論理実証主義 さらに、科学的であることの証として、 論理実証主義が提唱されていますが、これ だけで徹底することは困難です。
(1) 科学への楽観 19C 末 マッハ ケルビン ラッセル、ホワイトヘッド ウィトゲンシュタイン
(2) 論理実証主義 ウイーン学団 カルナップ 論理実証主義の議論の展開
(3) 反証可能性 K.ポパー マルクス、フロイトへの疑義 反証可能性の議論の展開 (4) 科学の限界 ゲーデル 公理系からその系自体の無矛盾を証明する ことはできない
(5) 今日の科学の認識 秩序 推論 反証可能性
4.調査と科学 今日では、科学による記述や説明とは、 対象の事実について規則的なものに注目し、 推論を含み、その多くは仮説で反証される 可能性があるものとされています。
社会調査の目的 社会事象の科学的認識 社会の変革、福祉サービスの確保等々、 実践的な目的のための社会事象の認識
実践からの知の構築 経験⇒認識⇒知 実証主義
1_1_6 社会調査とプライバシー プライバシー 古典的プライバシー 私生活への非干渉 積極的プライバシー 個人情報の扱いについて要望する権 利
社会調査の前提 対等な人 必要性の理解
個人情報の保護に関する法律 主として個人情報取扱事業者の規制
倫理綱領 ( 後述 )
授業の範囲
時間末レポート課題 次の表を使って、統計的調査と事例的調 査について説明しなさい。