10. ご質問. グループホームの取り組み 不可解な行動が修まり 穏やかな生活に戻るまで 事例の状況 76歳 女性 要介護3 GH 入居 ●H12 年頃 (66 歳頃) 軽度認知機能障害でアリセプト開始 ●H17 年 (71 歳 ) 認知機能低下が進み、要介護2と認定 デイサービス開始 ●H20.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
カウンセリングナースの 実践 と評価 不知火病院 カウンセリングナース 不知火病院 カウンセリングナース 国崎孝子 国崎孝子.
Advertisements

実践編 次のような処方箋と簡単な患者情報とともに在宅訪問依頼が来 た。 さて、何を準備し、何をチェックし、どのように多職種と連携 をとることが求められるか。 ワークシートを参考に考えてみましょう。
4月1日から新しい「地域づくり」が始まります。 地域のみんなで一緒に取り組む介護予防活動を応援します
九州工業大学 戸畑キャンパス 1年 赤池 淳 1年 藤本 洋資
特別養護老人ホームさくら園 副施設長 金谷 龍太郎
家事屋通信 ☆ご利用頂いた方のお声をご紹介します☆ Vol.3 家事屋コラム 『花粉症の季節が今年もやってきました。』
1.「時間感覚」のズレを直す 2.「他者の承認」の仕組みを生かす
老後をみんなで考え、共に生きるためのシンポジウム
認知症の方を地域で支えたい 正しい知識や 接し方を知りたい 認知症について  学んでみませんか? どこに相談すればいいの?
新宿食支援研究会とは 「食べられる街づくり」のための 地域連携を作る「コラクリ」 ワーキンググループ(WG)
看護師がお宅へ訪問し、 疾患や障がいを持っていても、 在宅で安心して生活してゆけるよう お手伝いします。
平成26年度 診療報酬改定への要望 (精神科専門領域) 【資料】
資料3 事例紹介(抜粋) プロフィール(抜粋) 1.氏名・性別・年齢: T.Tさん 男性 22歳
生きがいのもてる高齢者が イキイキと暮らす上田市へ
1、水分1日1500ml 2、栄養1日1500kcal 3、排便はトイレで 4、歩行訓練(運動)
学校家庭クラブ活動と ホームプロジェクト.
身近なエコ活動と地域資源を 活かした環境教育
平成25年6月7日(金) 医療保健政策区市町村包括補助事業 台東区 口腔ケア連携推進事業 台東区健康部健康課.
認知症になっても安心して暮らせる 人と人がつながる居場所づくり ・支え手づくり
アンケート② 病棟体制.
家族の介護負担とメンタルサポート (part II)
介護老人福祉施設   特別養護老人ホーム        玉園ハイム 社会福祉法人 布引会  東近江市.
UTキッズplusの集団療育 ご利用の流れ お子さん 相談、見学 ご相談、見学は随時お受けいたしております。
まず、率直に言うと、具体的にどうしたらいいのかというノウハウの密度が高いです。
国内平成24年 210 万人の 認知症(⇒20年後 400万人超?) そのうち7~9割に BPSD(認知症周辺症状)出現する
<研修資料>研修後の具体的な取組の事例紹介 <クラスの実態に合わせて個々の学級担任が取り組んだ例>
自立支援勉強会.
新高根定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所
在. 在 宅 事 例 を 報 告 せ よ !! 在宅事例を報告せよ!! 新潟かかりつけ薬剤師育成会.
東京災害ボランティアネットワーク × Youth for 3.11 第8期 活動報告
事例紹介(抜粋) ・特別支援学校高等部卒業後、近隣のB事業所へ2年通うが、トラブルを起こし、平成25年4月に退所。現在まで自宅で過ごしている。1か月経過した頃から「外出したい」と言うようになり、やり取りの中で不安定になる様子も見られ始め、支援に限界を感じ始めた。母が市役所へ相談。市役所は計画相談の対象として、市内のC相談支援事業所に計画相談の依頼を行う。C相談支援事業所はMさん・母と数回面接を実施し、サービス等利用計画を作成。Mさんの特別支援学校の同級生が3名いるK生活介護事業所を日中支援の場として調整を
特別養護老人ホーム白寿苑 ユニットリーダー 岡田美香 看護師 稲津澄江
独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター認知症疾患医療センター 川島 佳苗
介護予防サービス・支援計画表 記入のポイント.
1年目(28年度)の取り組みから そこで2年目(29年度)は 要介護状態が悪化している方の再発予防は難しい
~認知症患者の透析拒否への関わりを通して~
第2回 福祉の現在・現在 厚生労働省(2018) 障害者白書 厚生労働省(2016) これからの精神保健福祉のあり方に          関する検討会資料.
介護職に求められる 認知症の人の排泄ケア 〇〇事業所 平成30年〇月〇日 講師:〇〇〇〇.
一般財団法人 仁風会 嵯峨野病院 在宅事業部長 川添チエミ
現場で起こるQ&A 訪問依頼がありました 地域医療委員会 濵田 充.
認知症老人の介護   家族に対するケア 上野公園病院 高 田 靖 子.
『噛むこと・食べること の 重要性 』 八代歯科医師会理事  高野歯科クリニック院長   高野 明夫.
地域包括支援センターの実践 〜認知症徘徊模擬訓練を通して〜
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
当施設における排泄ケアの取り組み ~尿路感染症予防を目指して~ 介護老人保健施設 恵仁荘 看護師 本田喜美子.
各論1A【症例2】 訪問看護 1 痛みは緩和できているが寝たきり →本人の希望?ポート、カテーテルによる?
地域を知ることで見えてきたこと 倉敷市 玉島南高齢者支援センター                阪本 美和.
訪問介護報酬 訪問入浴介護報酬 サービス提供内容・時間に応じた 基本サービス費 1回につき 1250単位 20分未満 165単位
社会福祉法人愛光会 デイサービスあいこう 課長 吉見 元美
第4回目「これからの生涯学習推進の方向を探る」
受診したがらない患者さんへの対応 【患者さんが受診を嫌がっているが、それほど強硬ではない場合】
子育て支援だより 大人の期待 子どもの出来ること 嫩幼稚園 ①子どもの成長の過程を知ること 平成28年8月23日
各論1A【症例1】 訪問看護 1 訪問看護師が注目する問題 繰り返される誤嚥性肺炎 →嚥下機能低下に合わせた食事形態になっていない
一年間を振り返って 有友 直哉 1番.
筑波メディカルセンター病院 緩和ケア病棟 佐々木智美
認知症ケアパス 在宅生活 家族 地域資源 気づき 軽度 認知症の度合い 重度 終末期 介護・福祉・住まい・住民 地域住民 保健・医療・看護
ケアマネジャーとしての基本的なケアプラン作成について復習します。
     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
2.介護に必要な「時間」に置き換えて「要介護度」を判定します。 聞き取った「心身の状況(5項目の得点)」から直接、「要介護度」を求めることはできません。病気の重さと必要な介護量は必ずしも一致しないからです。 そこで、調査結果をコンピュータに入力し、その人の介助にどのくらいの「時間」が必要なのかを推計することで、介護の必要量の目安としています。この「要介護認定基準時間」を用いて要介護度を判定します。
細菌カウンタを使用した 自立支援に向けた個別口腔ケア
ケアマネジャーの皆様 利用者さんのことでの悩みや困りごと ありませんか? 地域の訪問看護ステーションに ぜひ、ご相談ください ☎
チラシ表 健康寿命をのばそう! 2月13日・10日 2月17日・24日 TEL にしかに
1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3. ご高齢の糖尿病患者さんの
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
百葉の会 各事業所が日々実践しているケアを発表します
若年性認知症の人への支援 若年性認知症支援コーディネーター これらの支援を一体的に行うために を各都道府県に配置
2015/11/08 俊和会 さつき訪問看護ステーション 玉井真由美
タウンモビリティを通じて.
排泄における スキントラブルの軽減に向けて
ケアセンターいぶきの今後、 伝えたいこと 地域包括ケアセンターいぶき  畑野 秀樹.
Presentation transcript:

10. ご質問

グループホームの取り組み 不可解な行動が修まり 穏やかな生活に戻るまで

事例の状況 76歳 女性 要介護3 GH 入居 ●H12 年頃 (66 歳頃) 軽度認知機能障害でアリセプト開始 ●H17 年 (71 歳 ) 認知機能低下が進み、要介護2と認定 デイサービス開始 ●H20 年( 74 歳) 在宅介護困難となり、グループホーム入居

グループホームでの様子 ◆自分でできること 食事・つかまらずに歩く ◆不可解な行動 夕方になると、荷物をまとめて出て行く ガラスに映った人に話しかけたり、向こうの山から人がこ ちらに来ていると言う 観葉植物を食べる ・暑い日でも6~7枚重ね着 食後の食器を手提げ袋に入れて持ち帰ろうとする ごみ箱の中を探り続け、使用済みペーパーを集める ごみ箱に放尿する ◆うまくできないこと 服を着る順番がわからない

実践塾で学び、わかったこと 水分 カップ容量を計 測 水分表を記録 1,300 cc/ 日 失禁を防ぐため水分 を控え目にしていた 栄養 毎食の摂取量 を確認 1,800 Kcal / 日 カロリーは足りてい る BMI 20.6 排便 毎日、観察 4~5日に1回4~5日に1回 便秘である 1 週間出ないこと も 運動 体操や散歩などをこれまで行っていな かった その 他 ごみ箱への放尿について行動観察 ⇒ごみ箱を撤去すると、他の入居者の部屋 に入り、カーテンの影に放尿することがわ かった 〈確認方法〉〈結果〉〈わかったこと〉

ケアの工夫と変化 水分水分 いつでも飲めるように飲み物を常 備 一日 1,800cc を目標に気配りした 1,800 ~ 1,900cc / 日 排便排便 排便状況を観察 ⇒水分が増え便秘改善、 2 ~ 3 日に 1 回 便秘薬が不 要に 運動運動 体操、散歩のプログラムを始めた ⇒週3回、体操や散歩 毎回、参加 楽しめる 放尿放尿 昔、農作業の合間に畑の隅や肥溜 めに用を足していたことがわかった ⇒ごみ箱を撤去せず、行動を見守る 放尿・失禁 が無くなり、 トイレでで きるように なる 〈工夫したこと〉〈変化〉

不可解な行動に変化が出てきた 夕方になると、荷物をまとめ て出て行く ガラスに映った人に話しかけ たり、向こうの山から人がこ ちらに来ていると言う ときどき、用を足しに外へ 出ようとする 職員が他の入居者に手を取 られ、寂しいと、ガラスに 映った人に話しかける 観葉植物を食べる 食後の食器を手提げ袋に入れて持ち帰ろう とする ごみ箱の中を探り続け、使用済みペーパー を集める ごみ箱に放尿する 暑い日も6~7枚重ね着 暑いと脱ぐ、順番がわかる

取り組みから学んだこと 不可解な行動は、認知症の症状なので仕方がない と考えてきた 慢性の脱水を解消し、意識が鮮明になると、不可 解な行動が消え、便秘も改善 生活歴をたどると、ごみ箱への放尿の意味が理解 できた。職員の対応が揺れ動くと、本人の行動も 不安定になっていた 新しい入居者が入ると、それまでの役割や関係に 変化が起き、行動が不安定になることがわかった。 グループホームでは、新入居者が加わった時の配 慮が特に大切

現在の様子 グループホーム全体が、入居者一人一人の普段 の体調を意識するようになった。 水分がほしい時にいつでも飲めるよう環境を整 えた グループホームの取組み 職員と一緒 に食事作り 紙細工

家族の取り組み

母の状況( 83 歳) H16 ( 77 歳) 父が亡くなり、母の一人暮らしが始まる H20. 8( 81 歳) 県外の娘宅に4ヶ月滞在後、自宅に戻る ぼんやりして、表情がなくなる、話をしなくなる。 日にちがわからない、外出を渋る。 薬の飲み忘れ、身の回りの整理が出来ない。 料理の仕方がわからない。薬の管理ができない 娘が毎日訪問 一緒に夕食を作る。 排泄、食事、着替え、散歩はできる。 H20.12 デイサービス週2回開始(要支援2) 。 家族の取り組み 実践塾前工夫したことその後の変化 水 分 1,250cc 飲み物の種類を増やし、飲 みたくなるようにした 1,400 ~ 1,700cc 食 事 1,200Kcal 一緒に献立を立てた 盛りつけを工夫 1,500 ~ 1,600Kcal 排 便 週1~2回週1~2回 便秘薬を減らし、自然排便 を目指した 1 日おきの自然排便 運 動 散歩を 1 回 1 日 2 回の散歩、一緒に体操歩く速度が速くなった 毎日ぼんやりしてる ので娘さんから お母さん、雑巾でも 縫ってみたらどうと 用意はしてみました が・・・

現在の母の様子 携帯電話に挑戦 ♪ お年寄りが定期的に 集まる場を地区に作っ た。 ♪ 普段の体調を整える。 ポイントを伝えている ~娘の取組み~ 認知症サポ-タ-養成講座の 啓発に取り組んでいる 簡単な調理 ふだんの体調を整えると 自分から行動できるようになり、 ぼんやりしていたのがはっきりしてきた

N さんらしさを 取り戻すために ㈱高知ゆうあい グループホームはなことば四万十 介護福祉士 井口 小百合

グループホームはなことば四万十の概要 開設日:平成 26 年 4 月 1 日 ユニット数:1(定員 9 名) 所在地:四万十市古津賀 2 丁目 174 併設事業所:住宅型有料老人ホーム(定員 9 名) ケアプランセンター ヘルパーステーション

事例紹介 入居日 平成 26 年 9 月 8 日 介護度 要介護3 年齢 90 歳 性別 女性 病名 アルツハイマー型認知症 (平成 22 年 8 月診断) 入所前の利用サービス デイサービス ショートステイ

実践塾参加前の状況① ・水分摂取量 一日平均 12 2 0ml ・排泄 トイレの場所が認知できず、誘導のタイミングが わない時には自室のゴミ箱や自室の床に排泄され ることがあった。 排便は 3 日に 1 回下剤服用 ・更衣 声かけで更衣され、パジャマの上にズボンをはい たりする。 ・入浴 時々嫌がることがあり、気をそらしながら誘導す る。

実践塾参加前の状況② 精神症状 デイに通所している感覚があり、 14 時頃になる と荷造りをした鞄や風呂敷包みを持ち、ホール内を 歩きまわり、外に出ようとされる。静止しようとす ると立腹されて職員に手を上げることもあった。 その都度、気持ちの切り替えができるように声かけ しながら付き添い外に出て、納得して帰るまで歩い た。ご家族にも電話対応の協力をお願いした。

実践塾での取り組み① 《 現状の評価 》 環境への不適応による情緒不安定 水分不足による脱水、便秘、低活動 による身体の不調 認知能力の低下

実践塾での取り組み② 《 金田先生よりのアドバイス 》 水分摂取量のアップ :一日 1500ml ~ 1600ml をキープする。 排便 :下剤に頼らずセンナ茶、オリゴ 糖を使用し排便を促す。 精神的な安定 :人生暦や生活習慣、プ ライドに配慮した関りや、役割りを持っ ていただく

実践塾での取り組み③ 《 取り組み 》 一日の水分摂取量の目安 1600ml 下剤を中止 ・コーヒーにオリゴ糖を入れる。 ・家事の後にティータイム ・夜間覚醒時にも水分をすすめる。 ・便秘解消に腹部マッサージ ・浮腫の軽減に下肢のマッサージ

《 取り組み 》 「 N さんらしさ」を見つけ、日課に取り 入れた。 掃き掃除 調理の手伝い 裁縫や計算 馴染みのある季節の営み スタッフはその都度、ねぎらいの言葉 や感謝の言葉をかける。

取り組みの成果 ・水分摂取量 :一日平均 1500ml ・排泄 :3~4日毎に自然排便 ・入浴 :機嫌良く入浴される ・精神状態 :他者との交流も楽しみ、落ち着いて過ご される。 ご家族の面会を喜ばれ、「気をつけて帰 れよ」と見送られる。

学んだこと 認知症と身体は密接な関係にあり、シンプルなケアである 水分、栄養、排便、運動という普段の体調を整えることが 基本 人生暦、生活暦から行動を理解しケアに活かす 不安や思いを共感し傾聴しながら寄り添う プライドやプライバシーに配慮し、恥をかかせたり不愉快 な思いをさせない チームで情報を共有しケアの方向性を一致させる ご家族は大切な存在であり、ケアチームの一員である

ご清聴ありがとうございました。