社会保障制度の在り方 地域文化論講座 c 宇山 紗
日本の社会保障制度
<論点> 1.日本の年金制度の問題点は何か? 2.どう変えていくべきか?(他の国から学べることはな いか) 3.どこまで保障すべきか? 少子高齢化 経済の低成長 就業構造の変化 国際化 ← 22年度非正規雇用者数 55万 人!!
~年金制度の基礎知識~
年金 公的年金 国が法律に基づいて運営。 国民年金・厚生年金・共済年金の3つ。 私的年金 もっとゆとりある暮らしがしたい! 公的年金だけじゃ不安! → 個人年金・ 企業年金
国民年金 自営業者 農業者 学生 フリーター 無職 etc サラリーマン OL 公務員 (私学の教職 員も) 奥さん (厚生年金 共済年金 加入者の) 職域加算 部分 共済年金 厚生年金 なし 第一号 被保険者 第二号 被保険者 第三号 被保険者 厚生年金 基金
国民年金の基礎知識 25年以上の加入が必要 保険料 と 受給額
遺族給付 給付の種類 ※一人で二つ以上の年金を同時にもらうことはできな い 老齢給付 障害給付
老後の年金 いつから、いくらもらえ る?? 受給開始年齢 基本的に 65才 現在の定年制度は60才。65才への引き上げが目指され てはいるが仕事も年金もない5年間をどうするか???
老後の年金 いつから、いくらもらえる?? 国民年金・・・早く or 遅くもらうこともできる →1 ヵ月早めるごとに 0.5 %減額 / 1 ヵ月遅らせるごとに 0.7% 増額 厚生年金 60才から一部支給+65才から全額支給
給付水準の決め方 現役世帯の収入のどれくらいにするか? Ex 6割 → 現役世代の手取り年収の伸び=年金水準引き上げ (可処分所得スライド) 受給開始後は物価スライド 原則は上のふたつ but 少子化や平均寿命の伸びで制度維持が厳しい時 → マクロ経済スライド
保険料免除制度( 2004 制度改 正) 全額免除 ・単身世帯で年収57万円以下 (配偶者や世帯主の所得もチェック) ・もらえる額 1/3 一部免除 ・1/4納付 → もらえる額 1/2 ・1/2納付 → もらえる額 2/3 ・3/4納付 → もらえる額 5/6
若年者納付猶予制度 年収57万円以下(申請者本人のみチェック) 受給資格期間に算入される but 年金額に反映されな い 学生納付特例制度 本人の所得が一定以下の学生(年収 194 万円以下) 受給資格期間に算入される but 年金額に反映されない
追納制度 免除・猶予を受けると、受け取る年金額少なくなる → 10年以内ならあとから納付できる but 納付額は高くなる
~現行の年金制度が抱える問題~
財源:2つの方式 積立方式 ・自分が現役時代に支払った保険料で賄う ・「自助」 (ex) 保険会社の個人年金保険 賦課方式(世代間扶養方式) ・その時の現役世代の保険料で賄う → 所得の分配、生活保護の一部 ・「共助」 A 現役 B 現役 A 老後 A 現役 A 老後
年金制度:世代間格差 積立方式 自分たちの世代が現役時代に払った分だけもらえる → 世代間に損得の差がない 賦課方式(世代間扶養方式) 世代間格差 → 特に、少子高齢化社会では・・・ ・現役のとき高齢者「少」 : 支払った保険料より多く年金 もらえる ・ 〃 「多」 : 将来受給するであろう年 金に比べ、 多くの保険料を支払 わねばならない
年金制度:どこまで保障すべき か? 賦課方式の年金制度 =現役世代から高齢者への所得転移 「最低限の社会的生活」を営むことが困難な高齢者に対し ては → 社会的正義◎(生活困難者への所得の再分配) 十分な賃金収入・資産のある富裕高齢者に対しては → 必要ない☓ =必要 but 最低限であるべき 逆転現象 扶養者が飢え、被扶養者が富む 「昔頑張って働いたから」 「昔保険料をちゃんと納めたんだから」!? → 積立方式の考え方!!!(個人保険など)
年金制度:揺れる信用 ①年金記録漏れ問題 ・ 国民・厚生年金に約5000万件の記録漏 れ発覚 ・ 1997 基礎年金番号 一元化の際のミス (ex) 山崎さん、やまさきさん、やまざきさ ん ②主婦年金(厚生年金)、過払い問題 ・脱サラの妻、厚生年金扶養者 → 国民年金への切り替え ☓ ③制度の持続可能性への不安 ・少子高齢化 ・「つなぎ国債」でつないでいる現状 → 払いたくない!!
払えない!! 東京都内在住 アルバイト(24) ・週約25時間民間学童で働く(一日5h) ・年収約150万(月の手取り12~13万) ・国民年金「未納」きつい!!(以前は免除を受けてい た) パート・アルバイトでも、労働時間が正社員の3/4以 上なら、事業主は厚生年金に入れる義務ある。 正社員平均週40時間 → 30時間以上な ら・・・ 厚生年金の支払い=事業主と被用者の折半 → 厚生年金に入れたら保険料負担減る! →
年金制度:どこまで保障すべきか? 参考:厚生年金 日本 23・6万円 アメリカ 12.3万円 イギリス 6.8万円 → 日本、世界一高い水準!! ⇔パートで厚生年金にも入れず12万程度で暮らし ている若者もいるのに・・・?
年金制度はいらない!? 年金=年をとって働けなくなったときの生活保障 → 生活保護のように、最低限の額を税金から支給 (ベーシックインカム?) 増税が必要 but 年金保険料なくなる → むしろ負担減!? 複雑な年金制度なくなる → 社保庁の事務費もカットできる 税金から支給=「未納者」もいなくなる
スウェーデンの年金制度 「スウェーデン方式」 所得比例年金 + 最低保障年金 の併用 ・所得比例年金 財源 → 保険料・・・所得の18.5%(固定) 最低加入期間 → 3年 ・最低保障年金 財源 → 全額税金 最低加入期間 → なし ※一定水準以上の所得比例年金もらえる人には支給されな い! → 保険料を支払えなかった人も一定額受給できる!
アメリカの年金制度 「OASDI」 ・一般被用者・自営業者ともに強制加入 自営業者:全額負担 被用者 : 労使折半 ・主婦・学生・無職の人は加入できない ・最低加入期間:10年 四半期ごとに1クレジット → 40クレジット (10年相当) で受給資格◎
<論点> 1.日本の年金制度の問題点は何か? 2.どう変えていくべきか?(他の国から学べることはな いか) 3.どこまで保障すべきか? 少子高齢化 経済の低成長 就業構造の変化 国際化 ← 22年度非正規雇用者数 55万 人!!