進学率と就職率から見るフリーター を生む社会構造の問題点について 発表者 中田 憲裕 炭山 元希
動機 香川県にある小豆島では、高校を卒業した者 は、四年制大学、短期大学、専門学校、など他 県に進学することが当たり前のようなことで あった。実際、小豆島高校では 140 名の卒業者 の内、就職したのはわずか 3 名であり、 137 名が 進学の道を選んだ。 一方神戸の学校では、進学することは当た り前ではなく、就職や進学などいろいろな道に 進むということが逆に当たり前である。このよ うな違いはなぜ起こるのかと言う疑問が生まれ 調べてみようと思うようになった。
仮説 就職できる企業が少ない地域では進学率 は高くなる。また、それらの地域の県民 所得等が低ければ、進学も就職もするの が難しいと考えられるので、フリーター になる人が多いと考えられる。
2 .目的 都道府県別の進学率と就職率を調査し、 それを取り囲む社会構造を示すデータを 集める。そこから進学率と就職率と社会 構造との関係性を見出し、フリーターを 生む要因は何かを分析する。
3 .方法 ①都道府県の就職に関する経済基盤、人 口・世帯、産業など。進学に関する教育 文化、家計・住環境のデータを収集する。 ②①のデータから進学、就職率の社会構造 との関連性を分析する。 ③進学と就職に関係する社会構造を考察し て明らかにする。 ④フリーターを生む社会構造の実証をする。
4 .研究途中報告 進学率に関しての データ
主成分分析の結果(1) 固有値による 結果の精度 主成分負荷量
主成分負荷量のグラフ 第1主成分 第2主成分
主成分1 × 2による都道府県の位置 ポジショニングマップ
考察 1 香川県では の事業所がある。しかし東京 都では もの事業所がある。これを比率で 表すと 1 : 13 になる。香川県と東京都の高校三 年生の就職事情は明らかに「就職口を選べる チャンス」に差があることがわかる。就職には、 メーカー、商社、金融など様々な業種があるが、 香川県の 事業所からサービス業である小 売、コンビニ、飲食店の数を引くと 事業 所になり約半分の数になってしまう。東京でも これらの項目を引くと 事業所になるが比 率で表すと約 1 : 13 と変わらない。同様の業種 を引いても「就職口を選べるチャンス」に差が あることは明確である。
考察 2 参考文献によると、高校生の就職内定率は 1990 年代から 現代の間に 7 割から 3 割まで減少したとある。しかし私の 高校の就職状況からいって 3 割というのは信じられない 数字だ。実際には 2 割を切る高校も少なくないと考える。 仮に 3 割就職できたとして、香川県の高校三年生のう ち、就職できるのは 4000 人で残りの 8000 人もの人が進 学するかどうかを迫られることになる。しかし香川県の 県民所得は東京都と比べても百万円以上も差があり、全 国的に見ても平均的で多いとはいえない。しかも香川県 から大学へ進学するとなると四国ゆえ下宿しなければな らない。県民所得からみて 8000 人もの人が大学全入時代 とはいえ全員進学できるとは考えにくい。このような就 職状況と経済状況から香川県ではフリーターをせざるを 得ない人も多いと考えられる
考察 3 進学する理由として、地元に就職したい と思える企業が少なく、就職も厳しいが 少子化の長男、長女化により地元に就職 を希望する社会問題により、進学して就 職の時期を遅らせることを目的としてい るのではないかと考えられる。
結論 私達が知りたかった「進学せざるを得ない 社会問題があったかどうか」であるが上記 から就職したくても都会と比べて選べる チャンスが少なく進学して就職時期を遅 らすしかないという社会問題から、香川 県の高校生、私も含めて、進学せざるを 得なかったのではないかと考える。又、 就職状況と、県民所得などの経済状況が 重なった場合フリーターが多く生まれる 可能性が高いと考えられる。
問題提起 香川県でのこの問題をどう解決していくかであるが、 四国という離島ゆえに進学の際の経済負担はほかの県よ りも多いことは事実でこれからも変わることはないが進 学者もこれからも香川県から多く出て行くことだろう。 この若者が県外へ出て行く問題、就職難から生まれるフ リーター問題を解決する方法は地元で就職したいと考え る高校卒業者という若者を受け入れる就職先、魅力を感 じる就職先を作り出していくほかないと考える。第一次 産業が盛んであるということはすなわち農業、林業、漁 業などが盛んであるということだが、第一次産業も強み としてこれからも力をいれ、香川県の発展が不足してい る第二次産業、第三次産業にも力を入れることが就職先 を作る原点になると私達は考える。これはひとえに香川 県の行政と地元企業の企業努力に尽きると考える。