厚生基準
「厚生経済学」 “Welfare Economics” 前半のテーマ ピグーの主著名 ピグーの本はいろんなことが書いてある 教科書的な議論は、市場の失敗とその補 正のみを扱う
経済厚生の指標 ピグーは、国民所得に対応する National Dividend を用いる より正確には、消費者余剰の和を用いる 限界効用は、低減するので、より平等な 分配がいい
効用の個人間比較 Robbins により非科学的であると批判 An Essay on the Nature and Significance of Economic Science(1932)
消費者余剰 補償変分、等価変分を含む、より正確な 議論をする
消費者問題 価格 予算制約 所得 予算制約を満たす一番好ましい を 選ぶ 解は需要関数
問題 最初の財の価格が上昇したときの損失を 貨幣学で計る もとの形でもできるが、ヒックスの集計 についての定理を用い、簡単化した形で 示す・
ヒックスの集計の定理 消費者問題で、 ( 相対 ) 価格の変わらない財 は、その支出額を消費する一つの財とし て考えてもよい。 二番目の財として扱 う
簡単化した消費者問題 集計した第 2 財の価格は 1 で標準 化 予算制約 所得 予算制約を満たす一番好ましい を 選ぶ 解は需要関数 第一財の価格
無差別曲線による説明 x y I
価格上昇の効果 x y I 切片が同じで傾きが 急になる
所得の補償 x y I I’ 元と同じ価格で同じ 無差別曲線 所得を補償する必要
の評価 選好を効用関数で表す 例原点から無差別曲線までの距離 上の二乗
効用関数を用いた消費者問題 代入する 微分して 0 とおく
効用関数を用いた消費者問題 解が需要関数 が恒等式として成立する。
補償所得 効用を一定にする所得 価格が上がるほど補償所得は増える 初期条件 は増加的
補償需要関数 補償所得を与えたときの需要 で成立 一階の条件 が
で成立が が恒等式として成立する。
は、補償所得と補償需要関数の定義により一 定 微分すると 0 になる。
赤で囲った部分は 0
両辺を積分する
上級財のときは、補償所得 が無く貧乏な分だけ需要が 小さい
等価変分 価格が上昇したときの家計の損失を貨幣 額のもう一つの候補 価格上昇を避けるために、払ってもいい 最大金額
等価所得の定義 等価変分 無差別曲線の図でどこになるかチェックする こと
需要曲線の図 価格上昇後が 基準 等価変分 < 普通の消費者余剰の変化 < 補償変分 劣等財、特にギッフェン財のときは、練習問 題 上級財のときは、等価所得 のほうが小さいので貧乏な 分だけ需要が小さい
所得効果が無いケース 代入する 微分して 0 とおく 価格 = 限界効用 需要関数は、所得に依存しな い どの需要関数も同じ で 等価変分 = 普通の消費者余剰の変化 = 補償変分
補償原理
市場の消費者余剰 家計の消費者余剰を合計 ある人の一円と別の人の一円が、経済厚 生について、同じ価値を持つ 追加的な1円の限界効用が等しいという 意味で、個人間効用比較 追加的な1円の限界効用が所得に依存す れば、現存所得を是認
補償変分の集計 一つの財の価格が上昇し、別の価格が下落 後者の補償変分の合計 > 前者の補償変分の合計 全体の補償変分で計った消費者余剰が増加 よりよくなった人から、より悪くなった人に、 補償して、お金が余る 全員がよくなることが可能
補償原理 経済状態 A から経済状態 B に移行 B のほうがいい人から、 B で悪化した人に 補償すれば、全員がよくなるとき、 B が A よりいいと判断する 実際の補償はなされなくてもいい・・仮 説的補償原理 1940年代にいろいろ議論され、原理 的にはいろいろ問題がある。 消費者余剰の集計は補償原理を受け入れ ることになる
補償原理 ほとんど補償がなされなくても、多くの 補償原理による改善がなされれば、ほと んどの人の経済厚生は、改善する可能性 が高い ガス灯から電灯への変更 ( ピグーの例 )
社会的厚生関数 何らかの価値基準で決める⇒社会的厚生関 数 バークソン・サミュエルソン型 個人主義的 ・・・社会全体の効用は、個 人の効用の影響のみに依存
社会的厚生関数の例 ベンサム型 効用の和 ロールズ型 一番恵まれない人の効用
個人 2 の効用 ベンサム流の 社会的無差別 曲線 効用フロンティ ア 個人 1 の効用 ベンサム流の 最適点 ロールズ 流の社会 的無差別 曲線 ロールズ 流の最適 点
指数と経済厚生 ピグーは厚生指標として National dividend を使う 後の国民所得や GDP にあたる 一人あたり GDP は豊かさの指標 実質 GDP の成長率は景気の指標 – インフレの影響を防ぐため実質化が必要
0時点 ( 基準時点 )1 時点 ( 比較時点 ) 価格 消費量 消費額 名目消費成長率 ラスパイレス実質消費指 数 パーシェ実質消費指数
ラスパイレス実質消費指 数 パーシェ実質消費指数 基準時点のウェイトを用い る 比較時点のウェイトを用い る ラスパイレスとパーシェの価格指数 は
顕示選好 比較時点で x が買えたのに y を買った 比較時点のほうが好ましくないことは ない パーシェ消費指数が 100 より大きいときは 経済状態が改善 ラスパイレス消費指数が 100 より小さいと きは経済状態が悪化