注目を集める途上国向けビジネス 2011 年 11 月 14 日 専門演習 B (安岡ゼミ) 国際文化学部 2 年 ビョン・ジャンソク
二つの途上国市場 MOP BOP 年間所得$ 20,000 年間所得$ 3,000 BOP 市場 ( 年間所得 $3,000 以下 ) ・約 40 億人(約 72% ) ・ 5 兆ドル規模 TOP ・ ヴォリューム・ゾーン ・ BOP ( Base Of Pyramid 又は Bottom Of Pyramid) ヴォリューム・ゾーン (年間所得 $5,000 ~ $35,000) ・約 8.8 億人
ヴォリューム・ゾーンの登場 北米、欧州経済の低迷 ↓ 世界の需要不足 ↓ 輸出減少 新たな経済発展の原動力が必要とされる。 先進国向け、高付加価値商品が主力である日本のものづくりの限界。 ↓ 今まで見捨てられてきた途上国市場に注目 対象的に、 対アジア輸出額は年々増加
BOP ビジネス登場の背景 市場開拓 (ヴォリュームゾーン、 BRIC sの次の市場 として) 貧困削減への新たなアプローチとして (援助の対象 → お客 ) MOP BOP TOP ・約 40 億人 (世界人口の約 72% ) ・ 5 兆ドル 年間所得$ 20,000 年間所得$ 3,000
貧困社会への貢献 と 市場拡大 現地向けの新製品・サービスを提供 ↓ 現地人の就業機会を与える。 ↓ 所得向上、生活環境改善 ↓ 新たな市場、さらなる投資 ↓ 自立 ← 中間層 → ↓ 中間層 低所得層 → 低所得層 ←
BOP ビジネスの意義 「利益を最大化するだけに集中するよりも、社 会的要求に応じてよりよい仕事をするビジネス が必要なのだ」 (ムハマド・ユヌス、 グラミン銀行総裁) 「 40 億人が苦しむ貧困の削減に取り組むこと以 上に、差し迫った課題はあるだろうか。多国籍 企業は、豊富な技術、能力、資源をもってい る。それを、本当に求めている人々のために使 わずに、物で溢れている人々に、従来製品のバ リエーションを増やして、さらに売りつけよう と努力することに、はたして説得力があるので あろうか」 ( C.K. プラハラッド、ミシガン 大学教授)
BOP の現状
BOP ビジネス、成功の鍵 土着化 革新的で効率的かつ持続性に富む 斬新なパートナーシップ
土着化 先進国 途上国 生産 消費 商品開発 先進国 ・投資 ・技術 ・マネジメント ・コスト削減 ・現地ニーズの把握 ・人材育成、雇用創出、ネットワーク構築
・イノベーション ケニアのモバイルバンキング 頼母子講(たのもしこう)金融サービス 小分け販売
逆イノベーション 途上国 生産 消費 商品開発 先進国 イノベーシ ョン ・ 'One Laptop per Child` プロジェックト がネットブックの誕生に。
斬新なパートナーシップ BOP 企業 政府・ 開発援助機関 NGO ・ NPO ・利益>社会問題解決 ・持続的なモデル ・社会問題解決 ・持続的なモデル ・自己利益≒社会問題解決 ・可視的成果
代表的な BOP ビジネス成功例 (配布資料) ユニリーバ 住友化学のオリセットネット ヤマハの洗水器 ライフストロー
BOP ビジネス、成功の鍵 斬新なパートナーシップ 土着化 革新的で効率的かつ持続性に富む ・持続可能かつ膨大な規模のビジネスモデル確立 ・現地の経済発展による生活環境の改善 ・逆イノベーションによる競争力強化
考慮すべき倫理的問題 商品 低所得層が必要とするものを生産、販売しているのか? ・低所得層の暮らしの改善と無縁なタバコ、酒類、美白 化粧品など製品マーケティング 適切 価格 ・小単位製品は大容量で売られる場合より単価が高いの では? ・マイクロファイナンス会社が一般銀行をはるかに上回 る利益率を得るのは妥当なのか? 流通 大企業の進出が既存の小売業者、行商の仕事を奪っては ないか? 富の 還元 BOP から得た収益を BOP 階層に還元できているか? 環境・小単位製品の方が環境を汚染させる危険性は? 消費者 保護 教育水準が低い消費者が適切な購買決定を行っているの か? ・タバコ、酒類など ・訪問販売か訪問強売か
ご清聴ありがとうございました。 下記は論点です。 企業の社会的責任( CSR ) BOP ビジネスは社会問題解決のための 有効であると思われますか。 効果的な CSR 活動のため、考慮すべきことは。 人材 新興国時代に求められる人材とは。 日本経済 途上国市場は日本企業にチャンスとなれるのか。
参考資料 「入門 BOP ビジネス」 菅原 秀幸、 2009 . 12 、 JETRO BOP SEMINAR 「 BOP ビジネスの現状とこれまでの取り組みに ついて」 経済産業省貿易経済協力局、 2009 . 8 . 「新興国で活路を模索する日本企業」 ジョン・ホソン、 、サムスン経済研究 所 BOP 、超巨大市場をどう攻略するか 小林慎和 外、日本経済新聞出版社