デルタ・ヘッジ戦略についての 考察 指導教官 浅葉 学 先生 桐蔭横浜大学 工学部電子情報工学科 4 年 T16E051 渡邊信之 T16E042 川上直毅
各証券会社及び金融機関が用 いているオプションのリスク を算出するための手法を調べ、 オプション価格決定の参考に する。 リスク指標の1つであり、リ スクヘッジを可能とするもっ とも単純な手法であるデル タ・ヘッジについて調べる。 これを用いれば安全資産と危 険資産を組み合わせることで、 ショートしたオプションと全 く同じ動きをするポートフォ リオを複製することでリスク ヘッジが可能となる。 デルタ・ヘッジ – コール・オプション価格式の 利用法として、株価の価格変 動による影響をヘッジするた めに行う取引手法。 デリバティブ オプション デルタ・ヘッジ 目的
以下の株式を原資産とするコール α 単位を組み合わせたポートフォリオを 考える。 ⊿ ( デルタ ) … 原資産 ( 為替 ) レートの変化に対するオプション価格の変化率 。0~ 1の値をとり、絶対値が1に近づくほど価格変動の影響を大きく受ける、 ⊿ = オプション価格の変化額 / 基礎商品価格の変化額 V=S ₀ +αC このとき、ポートフォリオ現在の価値 V は ここで、r、T、K、 ρ などが一定であるとしたとき dV / d S ₀ = 1 +αdC/dS ₀ ここで、コール・オプションの価格式より、 dC/dS ₀の値を計算し、それを⊿とする と、 α= -1/ ⊿ とおいたとき dV/dS ₀ = 1 – (1/ ⊿ ) ⊿ = 0 とすることが出来る。 株価が上がればコール価値は上がるため⊿はせいの値を持つ。 これより、株一単位購入に当たって、コールを⊿分の 1 単位だけ売れば、 株価の微小な変化の影響を受けないポートフォリオを組むことが出来る。 手法
単純化モデルを用いた場合 オプションタイプ=プット・オプ ション 権利行使価格 =10,000 円 満期 =3 ヶ月 ボラティリティ =40% 金利 =5% 配当=なし ・オプションのプレミアムとデルタ 日経平均 プレミアム デル タ 9, , 日経平均が 10,000 円のとき … – オプションを1枚売った後に 日経平均が 9,900 に下落した場 合、損失 - 45 円( =727 - 772) となる。 – オプションを1枚売った後に 日経平均が 10,100 に上昇した 場合、利益 43 円( =727 - 684) となる。 … リスクヘッジを考えたとき、 日経平均が下がったために損 失が出たのだから、予め日経 平均を売っておけばよい。 日経平均は何枚売ればよいの か?
10,000 円から 9,900 円に下落したと き 変化: 9,900 - 10,000 = - 100 プレミアムの変化: 772 - 727 = 45 日経平均に対する比率:- 0.45 倍 ここで日経平均を 0.45 枚売却 … 日経平均売持ち利益: (10,000 - 9,900) × 0.45 = 45 円 プット売持ちの損失: 727 - 772 = - 45 円, 損益合計:0 円 0.45 枚売却した状況で 10,000 円か ら 10,100 円に上昇したとき 日経平均売持ち損失: (10,000 - 10,100) × 0.45 = - 45 円 プット売持ちの利益: 727 - 684 = 43 円, 損益合計:- 2 円 → 以上から 損益を確定できる 。
考察 日経平均そのものをヘッジに使うことは出来ない。 – 先物が安い価格で取引されている場合、ヘッジは避ける。 オプション売買数の問題。 – オプション 1 枚のヘッジは不可能。 デルタ値は満期直前ほど大きく変動するため、この時期ほどロス・ リターンが大きくなる。 – 満期直前にヘッジ回数を増やすなどして対応すること。 デルタ・ヘッジ戦略は全てのオプションに対して有効なのではない こと。 – アウトサイドバリアオプション等、まったくヘッジ出来ないオプショ ンもある。 この戦略は使用するオプションへの有効性の確認が不可欠である。 実際に株式を運用する際にはこれを確認した上で行う必要がある。
関連図書・論文・ web ページ ・ 今野 浩 「金融工学の挑戦」 中公新書, 2000 ・三宅 輝幸 「デリバティブ入門」 日本実業 出版社, 1995 ・野口 悠紀 「金融工学、こんなに面白い」 文藝春秋, 2000 ・笹井 智行 卒業論文「アウトサイドバリアオ プションの評価とヘッジ」 東京大学工学部経 営システム工学科, 1998 ・IR Simplex Technology, Inc
「経済」について 「経世済民 」の略式語。 世を治め、民の苦しみを救うこと。
竹中平蔵氏について 昭和 26 年 3 月 3 日生まれ。出身地:和歌山県 特技:カラオケ 趣味:構造改革、野球観戦、音楽鑑賞 1973 年 一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行入行。 ハーバード大学、ペンシルベニア大学の客員教授を経て、 1990 年慶應義塾大学総合政策学部助教授、 1996 年に同教 授。 1998 年「経済戦略会議」 ( 小渕首相諮問会議 ) のメン バーを務め、以後国務大臣、経済財政政策担当大臣、内 閣府特命担当大臣、参院議員当選、総務大臣などを経て 郵政民営化を担当。 著書:多数 今後:小泉内閣の任期終了と共に政界から身を引く?