塩素系難燃剤 Dechlorane Plus(DP) 1. これまでに行った調査の報告 (前回の内容) (スライド番号 2-8 ) 2. (続) (スライド番号 9-16 ) 1.

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塩素系難燃剤 Dechlorane Plus(DP) 1. これまでに行った調査の報告 (前回の内容) (スライド番号 2-8 ) 2. (続) (スライド番号 9-16 ) 1

食事 大気 食事 大気 1. 魚試料(環境汚染物質の影響を受けやすい) 2. トータルダイエットスタディー試料( 2012 ) ・石英繊維フィルターにより捕集した大気粉塵 予想される主要 DP 曝露源 汚染実態調査 2 を想定

食品試料分析フロー 食品試料 ジエチルエーテル / ヘキサン 抽出 GPC 硫酸処理 GC-HRMS 分析 JMS-800D カラム: DB-1 水洗 濃縮 Std 1ppb トータルダイエットスタディー試料 syn-DP anti-DP クロマトグラム例 濃縮 3

魚試料中DP濃度 スズキで最も高く、サワラ、イワシ、アジ、カンパチで比較的高い値となった PBDE の 10 ~ 100 分の 1 DP (pg g -1 wet wt) PBDE (pg g -1 wet wt) syn-anti-ΣDPƒ anti a #28#49#47#66#100#99#126#154#153ΣPBDE サワラ Hyogo, Japan N.D.3.2N.D.3.5N.D.52 サワラ Toyama, Japan N.D.115 サワラ Kyoto, Japan カツオ Kochi, JapanN.D N.D N.D. 5.8N.D.10 カツオ Miyagi, JapanN.D N.D N.D. 2.8N.D.8 タイ Fukuoka, JapanN.D N.D N.D. 5 タイ Fukuoka, JapanN.D N.D. 3.0N.D. 3.8N.D.7 サバ Fukuoka, Japan サバ Chiba, Japan N.D N.D.12.4N.D.48 ヨコワ Nagasaki, Japan 舌ヒラメ Hyogo, Japan N.D. 3.5N.D. 2.6N.D.6 イサキ Wakayama, JapanN.D N.D. 3.5N.D.9 スズキ Hyogo, Japan ヒラメ Aomori, JapanN.D イワシ Chiba, Japan N.D.95 アジ Hyogo, Japan N.D.8.3N.D N.D.57 カレイ Ishikawa, Japan N.D.6.4N.D N.D.64 タラ Hokkaido, JapanN.D N.D. 2 カンパチ Unknown, Japan カラスガレ イ Unknown, DenmarkN.D N.D.10.4N.D.223 4

1. 米・米加工品 2. 穀類・種実類 3. 砂糖・菓子類 4. 油脂類 5. 豆・豆加工品 6. 果実 7. 緑黄色野菜 8. 淡色野菜、海藻 9. 嗜好飲料 10. 魚介類 11. 肉・卵 12. 乳・乳製品 13. 調味料その他 1 日摂取量 (g/day) 食事経由 1 日 DP 推定曝露量 576 pg day −1 であることがわかった PBDE pg day −1 100 分の 1 TDS試料中DP濃度 DP (pg g -1 wet wt) PBDE (pg g -1 wet wt) Groupssyn-anti-ΣDPƒ anti a #209ΣPBDE

大気試料 ジクロロメタン 超音波抽出 シリカゲルカラム 硫酸処理 GC-HRMS 分析 濃縮 ハイボリウムエアーサンプラ ― 石英繊維フィルターを装着 500 L/min 、 1 週間捕集 total 5040m 月~ 月の間 大気粉塵試料分析フロー 捕集後のフィルター 6

DP (pg m -3 ) PBDE (pg m -3 ) filter a syn-anti-ΣDPƒ anti b #209ΣPBDE mean ###15.2 a sampling period Nov.21-Nov.28,2012 2Nov.29-Dec.6,2012 3Feb.13-Feb.19,2013 4Feb.20-Feb.26,2013 5Feb.28-Mar.7,2013 6Mar.7-Mar.14,2013 7Mar.14-Mar.21,2013 大気粉塵試料中DP濃度 大気経由 1 日 DP 推定曝露量 174 pg day −1 PBDE 238 pg day −1 であることがわかった 同程度 Std 100ppb 大気粉塵 呼吸率 15.7 m 3 day -1 (US EPA, 2011) 7

前回までのまとめ 1 ・食事、大気からの DP 曝露量を明らかにすることができた 2 ・食品試料中濃度は PBDE の 100 分の 1 程度であったが、大気中濃度は PBDE と 同程度であることがわかった 3 ・食品試料と大気試料で syn- と anti- 比に違いが見られた (生体蓄積性に差がある可能性) 8 food 580 pg / day air 170 pg/day

9 n=3syn-DPanti-DPdechlorane 602dechlorane 603 dechlorane 604_comA Rec.(%) R.S.D.(%) 分析対象物 添加回収試験

札幌 相模原 北九州 釜山 北京 大阪 金沢 10 BDE-209 も分析 大気粉塵試料情報 捕集期間捕集地点人口 ( 百万 ) 札幌 ( 緯度 43°04‘ “, 経度 141°20' ") 夏 冬 2 月 12—18 日 (2010) 8 月 9—15 日 (2010) 1.9 相模原 ( 緯度 35°34‘ “, 経度 139°23' " ) 夏 冬 2 月 12—17 日 (2010) 8 月 7—13 日 (2010) 0.72 金沢 ( 緯度 36°32‘ “, 経度 136°42' ") 夏 冬 2 月 11—24 日 (2010) 8 月 9—16 日 (2010) 0.46 北九州 ( 緯度 33°53‘ “, 経度 130°49' ") 夏 冬 2 月 13—19 日 (2010) 8 月 9—22 日 (2010) 0.98 釜山 ( 緯度 35°15‘ 16.53“, l 経度 129°5' 1.114") 夏 冬 2 月 12—20 日 (2010) 8 月 9—15 日 (2010) 3.6 北京 ( 緯度 40°24‘ 50.94“, 経度 116°43' 3.695") 夏 冬 1 月 25—2 月 1 日 (2010) 8 月 9—16 日 (2010) 20 大阪 * ( 緯度 34°40‘ “, 経度 135°32' ") 冬 11 月 (2012)—3 月 (2013) 2.6 * 大阪はフィルター 1 週間捕集 n=7

11 札幌 相模原 北九州 釜山 北京 大阪 金沢 (pg/m 3 ) DP summer DP winter BDE-209 淮安 大連 上海 哈爾濱 DP: 大阪 > 札幌 > 相模原 > 北九州 > 金沢 > 北京 > 釜山 BDE-209: 北京 > 大阪 > 金沢 DP 以外のデクロラン類は不検出 大気粉塵中DP濃度 7,737-26,734 pg/m 3 (Wang et al. 2010) 0.4 pg/m 3 (Ma et al. 2011) pg/m 3 (Yu et al. 2011) 3 pg/m 3 (Yang et al. 2012)

12 大気中 DP 濃度と都市人口との間に正の相関がみられた (R 2 = 0.87) 都市におけるヒトの様々な活動が大気中 DP の発生源に密接に関係してい る 可能性 人口 ( 百万 ) 濃度 (pg/m 3 ) 日本の都市におけるDP濃度と人口との相関性

ƒ anti values ƒ anti = anti-DP syn-DP + anti-DP ・ anti-DP decrease by UV radiation during long-range atmospheric transport (LRAT) (Möller et al. 2010; Salamova & Hites 2011) ・ syn-DP is more bio-accumulative than anti- DP (Wu et al., 2010; Xian et al., 2011; She et al., 2013) + 2 (70-80%) Diels-alder reaction cyclo-octadiene Hexachloro cyclo-pentadiene syn-DP anti-DP (Hoh et al. 2006; Wu et al. 2010) Technical product 13 ƒ anti = ƒ anti

大気粉塵中DPのƒ anti 値 日本都市における ƒ anti 値は釜山、北京よりも高い傾向 釜山における大気中 DP は LRAT の影響を受けている可能性 14 Technical product ƒ anti ( ) 日本都市 釜山 北京

15 まとめ 日本の都市において、釜山や北京に比べて高濃度の DP が大気 中から検出された。 大気中 DP 濃度と都市人口との間に正の相関がみられた。 日本の各都市大気中 DP は自ら発生源を有している可能性。 日本都市における ƒ anti 値は釜山、北京よりも高い傾向。 一方で PBDE は北京で高濃度であった。 難燃剤使用状況の差を反映している可能性。