教育法 憲法・教育基本法
憲法 大日本帝国憲法には「教育」規定はな かった 民法論争が発端 – 近代家族制度 vs 復古的家族制の争い – 民法は概略近代派の勝利 → 徳育論争 復古派が教育に活路 – 勅令主義 ( 予算以外議会経ず ) 象徴「教育勅語 ) – 復古的道徳 ( 江戸時代の武士道徳が中心 ) – 町人道徳や以前の武士道徳は含まず – きみ 君たらずとも臣、臣たらざるべからず孔 安国
日本国憲法 日本国憲法 26 条に教育規定 – 戦後改革で法律主義に転換 – 本当か ( 具体的規定はほとんど政令と省令 ) 改正問題 現実的課題。自分の見解をもつ 必要 – 自主的な憲法なのか、押しつけなのか(テキ スト) – 26条を最初に創案したのは、東大法学部の 憲法研究会と思われる
憲法 26 条 第二十六条 すべて国民は、法律の定め るところにより、その能力に応じて、ひ としく教育を受ける権利を有する。 ○ 2 すべて国民は、法律の定めるところ により、その保護する子女に普通教育を 受けさせる義務を負ふ。義務教育は、こ れを無償とする。
すべて国民は(事例1) 外国にいる日本人の権利は保障されるか – 義務はなくなる – 教科書無償措置は保障される ( 日本人学校の場合 ) 外国人は含むのか、含まないのか – 公立学校に入る権利 ( 基本入れる ) 就学義務はな い – 公立学校での「言語保障」 → 自治体の政策 – 一定数の同じ言語の外国人 → 当該言語の教師を配 置する国もある ( 政治状況で次第に否定的動向 ) 私立学校は学校の判断
すべて国民は 裁判年月日 平成 20 年 1 月 23 日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決 高槻市の多文化共生・国際理解教育事業の縮小・廃止 に伴って、原告Aは、不当な配転命令と虚偽告訴を受 けたとして、原告Bは、不当な目的による雇止めを受 けたとして、また、その他の原告である子どもらは、 マイノリティーとしての教育を受ける権利を侵害され たとして、それぞれ損害賠償等を求めた事案において、 マイノリティーの教育権に具体的権利性は認められず、 また原告Aの報償金の扱いは違法なものであって当該 告訴の目的は不当なものだといえず、かつ当該配転命 令は業務上の必要性がないわけではなく、さらに、当 該雇止めは人員削減と財政負担の軽減の要請に基づく もので、不当な目的によるものではないとして、請求 が棄却された事例
外国人教育支援の終了は違法? 大阪の高槻市で、在日外国人教育の推進 事業が実施されてきたが、行政的支援を 終了させた。 「国際規約で、公の費用負担のもと、マ イノリティとしての教育を受け、マイノ リティの言語を用い、マイノリティの文 化について積極的に学ぶ環境を享受でき る権利(以下「マイノリティの教育権」 という。)が保障されている。26条も 認めている。」として提訴
法律の定めるところ 勅令主義から法律主義へと転換したが 法律とは「国会」が議決した規則 – 重要な規則が政令と省令で決められる cf 教員免許更新制度 「誰がうけるのか」 職員会議の位置づけ プログラム規定説と具体的権利規定説 cf 「生存権」「義務教育は無償」
「能力に応じて」原則 「習熟度別学級」は、原則にあっている か 入学試験で落とすことは「教育権」の侵 害 ? 定員で落とす or 基準以下で落とす 市町村立小中学校の入学試験は ? 県立・国立は ? 一斉授業で、能力に応じた教育は可能か
宮沢説と牧説 宮沢説(かつての行政解釈) – 教育を受ける権利は高等教育に関する規定 – 高等教育における奨学金の必要性 – 入学試験による選抜は可、経済的理由は不可 牧説(かつての学説、現在行政解釈に近 い) – 「能力に応じて」とは、発達段階の個々の必 要性に応じて
「ひとしく」 「ひとしく」と「ひとしい」は同じか – 「違う教育」だが、「ひとしい量」与えるの は「ひとしく」か – 「同じ教育」を与えることが「ひとしく」な のか 普通学級に重い障害児がいたら、どのよ うな教育が「ひとしく」なのか 私立学校と公立学校の条件が異なるのは 「ひとしく」なのか
公私の格差訴訟 私立と公立の格差・学校間の条件の格差は憲法に反するのか 公立高校と私立高校の授業料等の格差が数十倍にも及んでいることは前記 認定のとおりである。そして、希望者全員を入学させるに足りない数の公 立高校しか設置しないことによつて、同じく高校進学希望者でありながら 低額な学費で公立高校を利用しうる者とそうでない者とが生じることはさ けられないけれども、いかなる数の公立高校を設置するか、私立高校に対 していかなる程度の助成を行うかは、被告国がその財政状況、将来の高校 進学者数、私学助成の歴史的経過等さまざまな要素を総合考慮して決定す べき性格のものであること、しかも私立高校の学費軽減についての被告国 の施策が高校教育は無償制に近づけるのが望ましいとの観点に立つても憲 法二六条に違反するものではないこと前記七認定のとおりである。そして、 右判示を肯認する以上、公立高校生の入学者選抜方法に不合理な差別の認 められない本件においては、被告国が公立高校を設置し低額な費用で国民 の利用に供する施策をとることが私立高校生に対する学費軽減額よりも多 額の学費軽減を公立高校生にもたらす結果になるとはいえ、国会、内閣が 高校入学希望者数に見合う公立高校を設置するための施策をとらず、しか も私立高校の学費を公立高校のそれと同額にする施策をとつていないこと をもつて、それが恣意に基づく等教育の機会均等に反することの明白な場 合にあたるとはいえないところである。憲 法二六条
就学実務 学齢簿の編成(市町村教委)⇒通知 就学時検診(項目 p35 学校の通知(普通・特別支援) 学校選 択は・区割りの申し立て 就学援助 教育補助・扶助 就学管理 校長 就学免除・猶予 p39
義務教育の終了原則 年齢主義と課程主義 – 学校教育法第五十七条 – 小学校において、各学年の課程の修了又は 卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成 績を評価して、これを定めなければならない。 – 第五十八条 – 校長は、小学校の全課程を修了したと認め た者には、卒業証書を授与しなければならな い。 法的には課程主義だが運用は年齢主義
義務教育修了と社会の受け入れ 現在の日本 無視・問わない(ただし中 卒は極めて不利) ヨーロッパ 義務教育修了は労働の基礎 条件となっている。義務教育出席・修了 認定が厳格 義務教育の拡大(下方 上方) 家庭教育を容認するか
保護者の義務 (学校教育法)第百四十四条 第十七条第一項又は第二項の義務の履行の 督促を受け、なお履行しない者は、十万円以 下の罰金に処する。 – 17条は、6歳から15歳までの子どもを就学さ せる保護者の義務を規定 – 正当な理由なしに7日休む → 校長が教育委員会に 報告 → 教委は保護者に督促(施行令) 正当な理由か(勉強嫌だ、先生とうまくいか ない、給食がまずい、家が楽しい、家族旅行 にいく)親の義務は?