オンライン血液濾過透析にお ける置換量と透析効率 優人クリニック (1) 東京大学医学部付属病院腎臓・内分泌 内科 (2) 、血液浄化部 (3) 冨田兵衛 (1) 、青柳直樹 (1) 、大原智香子 (1) 、根岸康介 (2) 、田中珠美 (2) 、野入英 世 (2) 、中尾彰秀 (3)
目的 近年透析患者の高齢化・長期化が進む 中、大量置換療法も含む血液濾過透析 の有効性が報告されている。オンライ ン HDF では、置換量の増加は有効透析 液流量の減少につながり、低分子物質 の除去効率が低下しない最適な条件を 設定する必要がある。
方法 オンライン HDF を施行中の 24 名の患者 において、置換量と透析液流量の変化 に対する低分子・中分子物質の除去効 率について評価を行った。置換量は固 定し、透析液流量を変化させた場合の 2条件と通常の血液透析の条件での3 条件を比較した。
HDF システム 当院では、東レ製中央透析液供給装置 を使用した、セントラルーコンソール 式のシステムを使用した透析液製造・ 供給システムにて HD,HDF を施行してい る。 東レ製 TR3000M QD 合計が 400ml から 600ml まで調整可能 QF は 0 - 300ml/min の間で調整可能
HD 時 HDF 時
透析液流量と濾液量 HD 条件 通常の血液透析 QD = 500ml/min HDF500 条件 QD+QF = 500ml/min HDF600 条件 QD+QF = 600ml/min 同一患者にて 3 条件で比較。ダイアライ ザー、 QB 、透析時間などの条件は同一
HDF 500の条件の例 標準条件 4 時間透析の場合 QD + QF = 500ml/min QD = 300ml/min QF = 200ml/min 置換量は 200×220 分 = 44 L 使用ダイアライザー BS2.1UL 、 BS1.8UL, APS18S など
患者バックグラウンド 男性 17 名 女性 7 名 糖尿病 10 名 非糖尿病 14 名 平均年齢 62.0 歳 平均透析歴 6.6 年 平均 QB 194ml/min 平均 QF 189ml/min 平均置換量 41.1L
HDF 導入の目的
低分子の効率
β2MG の変化
β2MG の除去効率
結果のまとめ ダイアライザー・透析時間・血液流量 などの諸条件が同一のとき、小分子の 透析効率は HD,HDF500 、 HDF600 の 3 条 件で有意差は無かった。中分子の除去 率は HD と比べ HDF500 、 HDF600 の両条 件で上回っていた。しかし、 HDF 条件 で透析液を 600ml としても 500ml として も有意な差は無かった。
結語 オンライン HDF において置換液量を多 くとろうとすると有効透析液量が減少 するが、合計 500ml として透析を行うこ とで、十分に小分子の透析効率を達成 し、中分子物質の除去も行える。 有効透析液流量が減ることで、より HF 的な透析療法となり、血行動態の安定 化もはかれる。