第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 1 / 51 多次元 輻射輸送・輻射流体力学シミュレーション 中本泰史 (筑波大学) 1. 輻射とは 2. 輻射輸送 3. 輻射流体力学 4. 最近の計算例 5. 今後 参考書 : 「 Foundations.

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星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
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第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 1 / 51 多次元 輻射輸送・輻射流体力学シミュレーション 中本泰史 (筑波大学) 1. 輻射とは 2. 輻射輸送 3. 輻射流体力学 4. 最近の計算例 5. 今後 参考書 : 「 Foundations of Radiation Hydrodynamics 」 --- RHD , continuum Mihalas & Mihalas, 1999, Dover 「 Radiative Transfer in Moving Media 」 --- 1D 球対称, line Sen & Wilson, 1998, Springer linecontinuum 1D 2D 3D 「輻射輸送」は多様 注:本講演では主に,2・3次元空間内の continuum の輻射輸送・輻射流体力学計算に ついて概観する. 1次元については line も含め長い歴史と多量の ノウハウがあるが,それらは別の機会に. 「多次元」輻射輸送・輻射流体力学は 未熟・未発達! 始まったばかり・黎明期にある!

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 2 / 51 宇宙物理学における「輻射」の役割 1. 観測手段 2. 力 (輻射圧,輻射粘性) 3. エネルギー輸送 (加熱・冷却,電離・解離,化学反応) 1. 輻射とは

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 3 / 51 「輻射」の記述 輻射強度 (Intensity) 「光子」の分布関数との関係 6次元位相空間上の関数 注: n, ν は,光子の運動量 p の極座標表示に対応する.

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 4 / 51 Boltzmann 輸送方程式 輻射輸送方程式 : emissivity : opacity (単位長さあたり) 輻射輸送方程式の導出 (1)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 5 / 51 輻射輸送方程式の導出 (2)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 6 / 51 散乱 吸収放射 散乱 輻射輸送方程式の導出 (3) との 具体的な内容

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 7 / 51 物質分布の対称性と位相空間の次元 方向1次元方向2次元 空間1次元 空間2次元

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 8 / 51 ρ, T: givenFlux ρ: given T, E, Flux ρ: givenI, n i, T, E, Flux ρ, V, T, E, Flux Radiation Hydrodynamics (RHD) 「輻射」が関与する問題の類型化:「何」が知りたいのか

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 9 / 輻射輸送(定常問題) 定常性: 多くの現象では,である. 定常性を仮定して良い. 注: 輻射流体力学計算の アルゴリズムでも, 定常輻射輸送方程式を 解くことは基本となる.

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 10 / 51 輻射輸送方程式の形式解(積分型) 光学的厚さ ( 深さ ) : 空間距離 x を光子の平均自由行程 を単位にして測った距離 光学的に厚い,不透明 光学的に薄い,透明 Source Function

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 11 / 51 数値解法 ・ Λ-iteration ・ ALI (Accelerated Lambda Iteration) ・ Variable Eddington Factor 法 ・ Feautrier 法 ・ Rybicki 法 ・ Complete Linearization 法 ・... ・ Monte Carlo 法 反復解法が必要

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 12 / 51 差分化(一例) Λ-iteration (1) S, χ を既知とする (2) I を更新 (3) S, χ を更新 (4) (1) に戻る

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 13 / 51 数学的構造 Feautrier 法 (Rybicki 法, Complete Linearization 法,...) Λ-iteration 法 Accelerated Lambda Iteration (ALI) (Operator Perturbation Method)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 14 / 51 計算量を減らす工夫 計算量 ・ Short Characteristics 法 ・ Accelerated Ray Tracing 法

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 15 / 51 Monte Carlo 法について 計算量 ・ Λ-iteration と同等 ・位置・方向・振動数をランダムに振る ・点光源は扱いにくい

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 16 / 51 (Abel & Wandelt 2002) Adaptive Ray Tracing 点光源から周囲への 輻射輸送の際 ( のみ ) に有効 角分解能を維持するため, 適宜 ray を分割

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 17 / 51 並列化 右辺を既知とみなす反復解法では, 輻射強度は方向・振動数毎に独立 並列化は容易 方向・振動数分割 配位空間分割 ・計算順序に注意 ・ MWF 法で解決

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 18 / 輻射流体力学 一般的な基礎方程式 輻射エネルギー密度 輻射エネルギーフラックス 輻射圧テンソル

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 19 / 51 仮定 ・非相対論的 O(1) --- (v/c の 0 次まで ) ・任意の光学的厚さで成り立つ ・散乱を無視 (η 0 は等方的 ) ・主に continuum を扱う static diffusion dynanic diffusion free streaming relativistic flow 注:「輻射流体力学」の基礎方程式は扱う問題に応じていろいろ あり得るが,以下ではその一例を紹介する. 注:以下に述べる方法でも, v = 0 ならば非等方散乱も 扱うことが出来る.

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 20 / 51 Comoving Frame O(v/c) Lab Frame O(1) の式を得る static diffusion dynanic diffusion free streaming relativistic flow すべての場合で無視できるもの以外は残す

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 21 / 51 輻射流体力学 基礎方程式: O(1) 3次元 6次元 注: O(v/c) の項を一旦は残した 上で O(1) の式を作らないと, エネルギー保存則や作用・反作用 が満たされない式が出来てしまう. 見かけ上 v/c の項が残っているのは 重要な意味がある.

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 22 / 51 解法 1.Flux Limited Diffusion (FLD) 法 2.Simple Method 3.Variable Eddington Factor (VEF) 法

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 23 / Flux Limited Diffusion (FLD) 法 Diffusion 近似

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 24 / 51 Flux Limiter: FLD ・3次元空間の計算 ・エネルギー式は implicit 積分 ・ F // ∇ E の制約がある

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 25 / Simple Method ・3次元空間+ 6次元位相空間 ・流体は explicit , エネルギー式は, implicit 積分 ・輻射場と反復計算 ( 整合性をとるため ) ・アルゴリズムは 比較的簡単

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 26 / Variable Eddington Factor (VEF) 法 Eddington Factor

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 27 / 51 Variable Eddington Factor 法の特徴 ・空間3次元,位相空間6次元問題 ・流体は explicit ,エネルギー式は implicit 積分 ・エネルギー式の積分は,やや複雑 ・ Eddington Factor f は,輻射場の等方・非等方性を表している → E, F そのものよりも,誤差が小さい ・ Eddington Factor f は,時間変化は大きくない → 輻射場との反復計算は少なくてすむ

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 28 / 51 Polytrope FLDSimple VEF 計算量 複雑さ 精度 小大大中 小大大中 低高高中 <~<~ < << < < < 各計算法の比較 応用例多少々極少数 HD RHD 注: FLD は空間部分だけの計算量で輻射が扱えるので, 計算量が少ない割には「輻射」という「質」の良い計算が 出来る.その意味でコストパフォーマンスが良い.

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 29 / 最近の計算例 1.1D 軸対称 RHD フィラメント状星間雲の重力収縮 2.2D 軸対称 輻射輸送 T Tauri 型星・原始星の構造推定 3.2D 軸対称 RHD 大質量星形成 4.3D 輻射輸送宇宙の再電離過程 5.3D RHD 銀河形成

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 30 / 51 ・フィラメント状分子雲 = 無限に長いシリンダー ・磁場,回転,乱流,化学反応は無い ・星間輻射による加熱(境界条件) ・ 1D 軸対称 RHD (VEF) 1D RHD: フィラメント状星間雲の重力収縮 加熱 = 冷却  = 1 (Ogochi & TN, in prep.)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 31 / 51 2D RHD :大質量形成 (Yorke & Sonnhalter 2002) ・ 30, 60, 120 M sun の分子雲 ・ 2D RHD (FLD) で重力収縮計算 ・ Nested Grid (64x64, 3 階層 ) ・ FLD は波長依存性を考慮 初期 60 M sun Clump 形成された星の質量 初期 波長依存 灰色 輻射圧のために 降着が抑止される

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 32 / 51 T Tauri 型星 HL Tau 2D 輻射平衡計算 ・ 2 次元 軸対称 ・輻射平衡, VEF (Kikuchi, TN, & Ogochi 2002) Kikuchi, TN, & Ogochi 2002 T Tauri 型星

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 33 / 51 ディスク・ハロー モデル 中心星の放射を エンベロープが散乱 加熱されたディスク からの赤外放射 中心星からの放射を直接吸収 するよりも得をする エンベロープはディスクからの 赤外放射に対して光学的薄い ハロー:エンベロープの 内側 100 AU 程度の領域

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 34 / 51 密度・温度分布 ディスク中心星ハロー Kikuchi, TN, & Ogochi 2002

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 35 / 51 近赤外散乱光イメージ 観測 (HL Tau) モデル計算 (i = 60 o ) Close et al. (1997) Kikuchi (in prep.)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 36 / 51 Envelope Central star 100AU 1000AU Outflow region i Observer Circumstellar disk Central star:  2-D axisymmetric  three components; Luminosity Temperature Mass Circumstellar disk: Surface density at 1AU Power law index Envelope: Density at 1AU Power law index Opening angle  Temperature: Radiative equilibrium 原始星の構造推定 (Nakazato, TN, & Umemura 2003)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 37 / parameters (νL ν ) max νL ν [erg s -1 ] Model SED 観測角度依存性 大 i の推定 原始星構造の推定

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 38 / 51  IRAS ( TMC1A ) Class I 天体 νL ν [erg s -1 ] (Nakazato, TN, Umemura 2003)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 39 / 51 球対称エンベロープの場合 r-z 平面上の温度分布 VEF と FLD は良い一致を示す (Kikuchi, in prep)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 40 / 51 FLD (non-grey)FLD (grey)VEF Disk の温度分布 (Kikuchi, in prep)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 41 / 51 N 3 = in (8Mpc) 3, N angle = Radiative Transfer Ionization Equilibrium Isotropic background UV: I 21 =0.1 Zel’dovich approximation: z = 15 Neutral Fraction: 3D 輻射輸送 (TN, Umemura, & Susa 2001) CP-PACS 256PU ( 理論ピーク ~80 GFlops) ~ 100 hour

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 42 / 51 Z=9 Z=5 Z=7 Z=15 I 21 =0.1 Reionization History of an Inhomogeneous Universe

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 43 / 51 Shadowing Effect InhomogeneousHomogeneous 注:同じ物質量でも,物質の 分布の仕方の違いにより,透過 する輻射量が異なってくる

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 44 / 51 Shadowing Effect (1) 3D RT Raises Neutral Fraction in Optically Thick Region (2) Inhomogeneity Raises Neutral Fraction in All Region Shadowing Effect is prominent at (TN, Umemura, & Susa 2001)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 45 / 51 3D RHD: Cosmic Reionization (Gnedin 2000) T n gas X HI z = 9 Cosmological HD ~ M sun RT (Local Optical Depth 近似 ) Star Formation H, He H 2 form/dest

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 46 / 51 Optically Thin Variable Eddington Tensor (Gnedin & Abel 2001) LOD OTVET X HI

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 47 / 51 Initial Condition by GRAFIC in COSMICS + Rigid rotaion with λ=0.05 3D RHD (SPH): 銀河形成 (Susa & Umemura, in prep.)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 48 / 51 UV が ( 相対的に ) 弱く, 遮蔽効果も効いている時 ( ガスが冷えて星が形成される ) 青色は星 その他はガス温度

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 49 / 51 UV が ( 相対的に ) 強く,遮蔽効果も効いていない時 ( ガスが冷えず星が形成されにくい ) 青色は星 その他はガス温度

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 50 / 51 H eterogeneous M ulti C omputer S ystem GRAPE6 8boards~8Tflops Alpha Cluster (16×alpha21264) PCI bus ~200MB/s ×8 CP ‐ PACS 2048PU~600Gflops (peak) Internal Communication 1 : 1→280MB/s 16 parallel 40MB/s (peak)

第 15 回 理論懇シンポジウム 国立天文台 2002 年 12 月 26 日 中本泰史 page 51 / 今後 詳細な観測データ ↓ 詳細な輻射輸送・ RHD シミュレーションの意義が より大きくなる 多次元輻射輸送・輻射流体力学シミュレーションは黎明期 今後: 輻射輸送 ・ Ray Tracing の工夫 ・ Iteration の改良 RHD ・近い将来 Flux Limited Diffusion (FLD) ・その先 Variable Eddington Factor (VEF)