飯田ゼミ 後藤 栄彦
はじめに 私たちが健康診断を受けるように、企業も経営分 析によって、自社の健康度をチェックすることが大切 である。経営分析では、貸借対照表、損益計算書、 キャッシュフロー計算書などのデータをもとに、企業 の成長性や収益性、安全性や生産性などを把握し、今 後の経営改善に役立てていくことが求められる。 経営分析とは、健康診断によって、私たちの日常の 生活習慣の改善を図ることとまったく同じことといえ る。経営の基本となる「売上力」目的を明確にした上 での「集計力」データを読み解く「分析力」問題を解 決する「解決力」という4つの力をテーマにしている。 「4つの仕事力」伸びる会社・強い会社をつくるた めには、 Excel で経営分析を行うことはとても重要で ある。
概 要 経営データを入力して分析結果をグラ フ化して比較、評価、診断する方法を研 究する 具体的には 1. 数値集計と経営分析において、実用的なアプ リケーションソフトEXCELを味方につける ことで、目的を明確にする。 2. 戦略的なデータ活用の方法を紹介し、多量な 実務データを分析して問題点や課題を発見して いく。 3. 基礎的な経営指標に解説をいれ、財務諸表を 元に具体的なグラフ機能による視覚化をする。
比率分析 経営分析で最も行われる手法は「比率分析」である。比率分析は、損 益計算書と貸借対照表にある項目と、項目間の関連性を見るために行う 経営分析で求められるのは、次のような内容。 成長性 売上高や利益の伸び 会社は順調に伸びていけ るのか? 収益性 利益率や原価率の現状 会社はきちんと儲けられ るのか? 安全性 資金繰りの状態 会社は倒産しないか? 生産性 付加価値や人件費の状態 会社は効率よく経営して いるのか?
木を見て森を見ず 経営分析においても、部分だけ を評価して、全体的、総合的にと らえる視点が欠如してしまいがち。 それぞれが関連し、影響しあって 会社の財務状況を示すもの。 事業の収益性と財務の健全性、 安全性などを総合的に見てどうな のか、経営改善の優先順位はどこ から着手したらいいのかなど、客 観的にとらえる視点が大切になっ てくる。
決算書
損益計算書 ― 損益計算書は、収益、費用、利益の段階計算を見る決 算書 ― 「損益計算書」は、企業の一会計期間(通常1年)にお ける経営成績を表したものである。経営成績を収益と費 用で示し、その差額を利益として段階的に表示している。 損益計算書は、英語で Profit & Loss Statement と呼 ばれ、 P/L (ピーエル)と省略される。損益計算書は書 き方に若干の違いがあるものの、基本はまったく同じで ある。 通常、会社は利益を上げることが求められる。会社の財 政状態を示す貸借対照表より、経営成績を示す損益計算 書から読み始めるのが一般的である。もちろん、この2 つは関連付けて読み解くことが大切である。 また、貸借対照表と損益計算書の「当期利益」は同じ金 額になる。
参考文献 ・小さな会社の社長のためのExcelでマスターする経営分析 共著 渡辺克之 渡辺雅文 ・Excelでマスターする4つの仕事力 共著 渡辺克之 渡辺雅文 ・ビジネスデータ分析 実践の極意 著 住中光夫 ・Excel2000によるキャッシュフロー、連結経営 著 志村和次郎 ・経理で使うExcel 著 阿部友計 URL
おわりに 経営において大切なことは、ゴーイング・コンサーン、すな わち「永続」すること。大きい会社より潰れない、強い会社を 目指すことが一番である。そのためには、自社の状態や将来の 予測に対して、さまざまな角度から経営分析を行うことで、自 社の強みや長所を確認することが必要になる。 分析情報を生かして、将来において致命傷になりうる弱みや 短所の解決策を作成して経営改善に着手することができる。経 営分析は強い経営体質を作りあげるための一歩なのである。た かが1つの数値でさえ、その切り口とまとめ方によって見えな い本質が見えてくる。